今日は何も考えずにゆっくりしてください。そういうときは音楽や
美術展など、心に栄養を与える事を薦めます。また、ぶらりと海を見に
いって眺めて充電するのも良いと思います。
「人事を尽くして天命を待つ」という、橋本さんは一生懸命とても
がんばったと思います。個人面接で気になることを言われても
それを気にしてはいけません。前に個人面接でその時の教授と
和気あいあいになったけど、最終で結果がうまくいかなかった
人もいます。
さまざまな試験採点でどのような判定が行われるかは
外部からは分かりません。どういうレベルの受験生がその年に集まる
のかは大学側も入試までは分からないからです。
38年間、国内外美大学部入試、転科、3年時編入や大学院などの私の経験から言え
ることは、どの大学があなたの個性を認めてくれて入学を許可するかは
分かりませんが、あなたを認めてくれた大学が、自分が学ぶべき大学で
あると考えます。世間の評価ではなく、自分の”人生の目的とは人々に奉仕
して社会に役立つ自分が選んだ仕事を通じ、何事かをなそうと決心した
その事”だと思います。”夢”と”願望”は異なります。願望を実現するためには
たゆまぬ努力が、すなわち行動していく事です。
「成功とは一度の人生で価値ある自分の目標を段階を追って実現していくことです」
季節と同じで一つ一つ種を蒔き、それに水をやり面倒を見ていく事で実がなりそれを
大事に育てていくだと思います。今はきみの人生でこれからの自分が何をしたい
のか、そしてそのために何を学ぶのか、計画を立てた最初の自分の心との自己対話と
内省の機会を、このAO入試で与えられた貴重な機会であると、私は考えています。
だから大学側の先生から見た入試の対策は全てよいイメージではなくなりますが、
昔から大学入試という狭き門では、受験生はどうしたら合格できるか、そのために
我々のベビーブーマー第一世代時代から”四当五落”と言って、五時間睡眠は落ちるの
でみんな四時間や三時間は当たりまえで頑張ったのです。受験勉強や予備校は悪い
ものかという認識は、我々の世代はありません。なぜなからば、自分の中にある
”何をやりたいのか”という長期目標を持ち、潜在能力に信念を持って自分の短期目標で
ある大学受験実現することは、自分の頭で考え計画し、入試までの時間を計測して、
フィードバックする「自己管理の貴重な機会であり」、自己成長の機会であり自己実現の
チャンスであるという、今のはやりで言うと”ドラッカーの自己マネージメント”という
システムを自分で自分の人生を設計して実行し進捗を点検する機会であると考えていました。
だから、自分だけだとまだ経験してないので、どうしても煮詰まってしまう事もあるので、
そのために受験予備校や塾のような経験豊富な専門家集団に自分の考えをぶつけ、
そのフィードバックを聞くという事は、自分と言う人間の考えや内面の意識を識る貴重な
機会だと私は思います。
だからもう終わった事は消極的な事を考えないようにしましょう。心を切り替えて
女性のみなさんも自分らしく自信をもって、権威者の言葉を鵜呑みにせず、自分の頭で
考えて他人の手にゆだねてはいけません。将来、女性でも世界で活躍する前衛精神の建築家
だった、故ザハ・ハデイットはロシアの前衛美術から終生、大きな冒険精神を学んでいます。
SANAAのプリッカー賞の女性建築家瀬島さんみたいに、女性目線で日本人の感性を取り込んで
自分独自の世界観を持ち、前向きなセルフイメージの心の目で見て総合芸術家としての建築芸術
作品を権力にすり寄らず淡々としてマイペースで実現しています。
受験生は心に不安や悩みをすり込まないでください。引き寄せることになりストレスの原因に
なるからです。安藤忠雄さんは元ボクサーで高校卒業で独学で自分の臓器もほとんど摘出しながら、
建築を設計して生きてきたのです。
いつもポジテイブに良いことや楽しい事だけを心に描き何ものからも自由でいましょう。
大学入試もきみだけの一度の人生の種まきがはじまったと言えます。スタートラインです、
あとはそれを将来大きな樹木にするために、新しい知識を学び、美術などの新しいスキルも
何度も練習して独自の建築美学や哲学へと自己成長して、一度の人生を人々が幸せになれる
家族の家を作れるように人に奉仕しながら、社会に役立つ自らが選んだ仕事という、ワクワクした
冒険の旅にできるように祈ります。
高橋 順一
▶ 勉強も大事ですが、心が疲れたら秋は美術展でも見てください。
先日、ルーベンス展を見た。10カ国から集合した数多くの初めて見た大作をはじめとし
最後の大作などの貴重な作品があり、また数年間のイタリア滞在時にギリシャ彫刻のトルソやルネサンスの
ラファエロ、カラバッチオ、ミケランジェロなど人体の量感表現や構図、作品などから多くの影響を受けた
素描や、油彩模写など数々の天才画家や彫刻などイタリア芸術から深い影響を受け真摯に研究、研鑽し感動
し模写をしながら直接作品から学んだ過程の多くの作品と、後の多くのバロック美術への影響を与えた画家
の作品もあり、それらの時系列作品も同じ展示空間でわかりやすく展示されている企画展でもある。
私は特に印象に残った素晴らしい作品、ルーベンスの愛する娘”クララの肖像”にとても心を打ち感動した。
12歳で若くしてこの世を去ったこともあるが、その圧倒的なモデルである人物の存在感である。描き手の
意図や意識ではなく、描き手と描かれる娘との”魂の対話”とでも言うべき核であるオーラが存在している。
おおらかで明るい積極的な心構えと性格を持ち、外交性を持ち優れた人格と多くの人から愛された人柄も
外交官として当時の王からも厚い信頼があった事が伝わってくる。大型の工房システムを持つ起業家の
側面や深い知性と教養、宮廷人としての社交性と良き家庭人の顔というそういう多面性を持つことで制作
のみに没頭できず、時間がない多忙な時をすごしていたようで、
教養人でもあったようです。破滅型の芸術家にはない多面性をもつアーテイストという面でも希有な人です。
また、語学力にもたけていたそうで手紙を全てイタリア語で書くという教養人でもあったようです。画家と
しての数多くの大きな作品にみる優れた構図とポイントの描き込みと、それ以外の省略と画面全体のリズム
感は、やはりバロックという新たな時代を創造した創造者という、新たな世界を切り開いた画家であり、
天才的な描写力は圧倒的な”髪の流れとリズム”や”布の表現”に見る美とそれを支える描写であり技術力であ
り、ルネサンスの天才と同様の”創造的想像力”をもっている人といえます。
写真では想像できない宗教であり西欧文化の中心があり、画家の心の中に存在する、神との対話と魂であり
内面的世界観の表現とも言える世界はやはり、日本にはない西欧世界観と言えるのではないでしょうか。
■ ルーベンス展-バロックの誕生
場所:国立西洋美術館 東京上野公園
開催日時:2018年10月16日(火)より2019年1月20日(日)金曜日と土曜日は夜8時まで。
休館日:月曜日 (ただし12/24、1/14・祝日は開館)