先日、グローバル化の進行下での世界の紛争、難民、文化の衝突、ポピュリズムの台頭下での「接続」と「孤立」をテーマにした”ヨコハマトリエンナーレ2017”に行ったので、私の感じたその報告と印象を述べてみたいと思います。会期は8/4から11/5とスパンの長い企画です。
“横浜美術館のほか横浜赤煉瓦倉庫一号館や横浜開港記念会館地下、寿町総合宇労働福祉会館再整備事業用地”での巨大テント劇場での”水族館劇場”の演劇など会場も分散して、場所もそれぞれ異なる雰囲気のある会場なので、地方から観光をかねて回る趣向はとてもいいと感じます。
すべての会場を全部見てはいませんが、横浜美術館での展示における印象や作品などに関する事になります。海外作家がほとんどなので、現在の日本のガラパゴス化が浮き彫りにされるコンセプトが垣間見えました。
会期中では9/18にはMITのメデイアラボ助教やコロンビア大学芸術学部教授などのアーテイストや海外美術館のデイレクターや、TEDなどでの”地政学”の提唱など、純粋に美術作品と言うより意識の変革や情報の精査や再解釈、あるいは思惟といった思考に関する提示というような意味合いが、多くの作品に感じた。
大型の観客が直接に空間造形作品中に参加体験する、相互参加型のインタラクテイブなインスタレーション作品も多数見られた。地方からの修学旅行で中学生も数多く見られ、みんな「これはなんだ?」という顔で興味心身の体で会場を廻っていた。みなとみらい地区の立地も自分たちの地方には見られないので異次元の経験であるように見えた。これからの日本を担う若い世代のしなやかな感性にどのように写るのか?
エンターテイメントとして見えるような、若い人に親和性のある作品も多いので飽きることがないのではないかと感じ、会場内の展示の動線もまた木製の階段とホモゲンホルツの集積木材で、硬質ではないデイスプレーが空間の中で、アーテイストや情報デザイン系の学者提案の作品にとてもうまく調和していて長く回廊空間を移動していても、目線と誘導性を巧みにデザインされている事も注目したい。
横浜美術館のエントランス左右の大空間は、天井高があるので圧迫感がなく大理石の内装とも今回の木質の会場デイスプレーは秀逸と感じた。
私が1977年のパリのポンピドーセンターでの”クセナキスのポリトープ”のような、2次元や3次元作品を貼るかに超越した、比類なき深い自分への問いかけと圧倒的な既成概念を粉々にされた後の、静寂と思惟、そして深い感動の”空間造形音響インスタレーション”作品は見当たらないが、若いアーテイストのポップなユーモアのある作品は、新しい自由な表現の息吹を感じる。中にはマーケテイングを意識しすぎている作品もあるが……こういうアーテイストはゴッホやキーファーやジャコメッテイ展でも見てもらいたい。
《公開対話シリーズ》も8/26アーテイストと情報学、行動生態学者や、9/18「新しい公共とアート」横浜美術館レクチャーホールでは、ルーブル分館を設計したSANAA・西沢立衛/横浜国大大学院教授Y-GSAなど都市計画と建築家の対談も開催されるので、興味がある方は予約して見てはどうでしょう?
”ヨコハマトリエンナーレ2017”
横浜美術館 会期は8/4から11/5
定休日:木曜 10時から午後6時まで