シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

中国経済の影響力が ...

2009年12月18日 | 経済あーだこーだ
地図は主な液晶パネル工場の建設計画。
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中国の経済規模がその重みを増すにつれて、その影響力も大きくなっている。 日本の GDP を越えようとしつつあるのだから、当然といえば当然だが …
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「次は液晶、中国発デフレ輸出」(12月11日 熊野信一郎/香港支局/日経ビジネス) _ ※追加1へ
「息切れ間近の中国経済」(12月7日 上野泰也=みずほ証券/日経 BP net) _ ※追加2へ

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それが好影響ばかりだと、世界は歓迎ですが、必ずしも好影響ばかりではありません。

好影響の事例としては、1) 購入力が増えて周辺国から中国への輸出が増える 2) 人民元がドルに対してほぼ固定化しているので生産される輸出品が安価に保たれている。

好影響でない事例としては、1) 生産能力が巨大なため 度々過剰生産に陥り、周辺国の類似生産品目の暴落を招く 2) 特許料を払わないコピー製品が氾濫し先進国正規品の利益を損ねている 3) 人体に悪影響を与える化学物質を含んだ製品が世界に流れている 4) 非効率な生産体系でエネルギー消費が大きく CO2 排出量も巨大だ (07年の CO2 排出量は米国を抜いて最大)。
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好影響事例 (2) も、見方を変えると「周辺国の在来品が安価な中国製品に駆逐されて、生産が成り立たなくなり廃業に追い込まれるケースが続出しています。 廃業にまでいかなくても、生産に従事する従業員の収入は減っている」など、いわゆる安価な中国製品に駆逐されるケースが増えています。

私がこれまで蓄積してきた中国についての認識では、世界のルールと大きく違うのは、血縁・縁故主義/地域経済と国家経済の非連動性/特許を尊重する感覚が薄い/円卓で一緒に食事をしないと何も始まらない __ など少々いい過ぎというかうがった見方ですが、このような傾向があると思います。

ただ 欧米先進国のルールだけが金科玉条じゃないですから、そのやり方で全てを決めつけるのもどうかと思います。 日本は欧米ルールと中国ルールの中間点にあり、欧米 特に米国から異議をぶつけられると 自分の意見をいわずにその主張を受け入れる傾向が強いですね (こういうのを敗戦国の弱みというのでしょうか)。

中国経済が巨大化しているといっても、その規模は日本と同規模、1人アタリでは10分の1ですから、個人消費が GDP に占める比率は日米の6〜7割より少なく、設備投資が牽引しています。 そうはいっても 自動車の販売数は米国を抜いて今年世界一の 1300万台 になりそうです。
「息切れ間近」と上野泰也氏が分析するように 絶対盤石ともいえない中国経済ですが、”商人の国” 中国は計画経済の共産国ながら自由経済を受け入れ、貧困国だった国をここまで引き上げてきたのはさすがです。 中国発のバブルも可能性なしとはいい切れませんが、”中国商人” はうまく切り抜けるのではないでしょうか。

以上


※追加1_ 4兆元 (約52兆円) の景気刺激策が助長する中国の生産過剰。 政府は素材分野の投資抑制を打つが、懸念は収まらない。 液晶パネルでは、中国企業による大型投資が相次ぐためだ。

総額 4兆元 (約52兆円) の景気刺激策が生み出す「中国発デフレ」への警戒感が世界に広がっている。 在中国 EU 商工会議所は11月26日、「中国の過剰生産能力 (Overcapacity in China)」という60ページの報告書を発表した。

報告書は、景気刺激策に伴う過剰融資が幅広い業種で設備過剰を引き起こしていると指摘する。 無尽蔵に供給される安価な労働力が生み出す、従来型の中国発デフレとは構造的に異なる。

● 3000億円 規模の大投資が続々 ●
中国政府もそのあたりを心得ており、鉄鋼やセメント、板ガラスなどの素材産業に対して設備投資の抑制を通達するなど、火消しに必死だ。 しかし低いまま固定されている人民元レートも手伝った「デフレ輸出」の構造は何も素材産業にとどまらない。 ハイテク製品にもその波は及ぼうとしている。

例えば液晶パネルでは、中国の地方政府も巻き込んだ設備投資競争がここにきて熾烈になっている。

地図は、現在持ち上がっている主な液晶パネル工場の建設計画だ。 シャープや韓国のサムスン電子、LG 電子などの外資系企業が新しい投資計画を発表しているのに加え、これまで外部からパネルを調達してきた中国メーカーが 3000億円 規模の大型工場の建設を次々に打ち出し始めた。

中国内での液晶テレビの需要急拡大を見込んでのものだが、これだけの大型投資が重なることで、来年以降の価格下落リスクが膨らんでいる。

液晶パネル業界の動向に詳しい大和総研 (上海) 諮詢の杉下亮太社長は次のように分析する。「過去に過剰設備による相場下落を何度も経験してきた日本や韓国のパネル各社は、大型投資には慎重に採算を読むが、そうした経験のない中国企業は違う論理で投資を進める傾向がある」
 
例えば中国の家電大手、TCL 集団が広東省深セン市に建設予定の工場では、地元の深セン市系の投資ファンドが半額出資する。 中国各地の地方政府は液晶パネルのようなハイテク産業誘致を狙っており、シェア拡大を狙うメーカーと利害が一致して巨額投資に走る。 成長市場における地方政府とメーカーの主導権争いが、供給過剰を煽る構造だ。

● コピー工場が雇用の受け皿に ●
コピー製品の問題も深刻になっている。 米調査会社 iSuppli は、09年の中国からの「コピー携帯電話」の出荷台数は、前年比 44% 増の 1億4500 万台 になると予測する。 世界の携帯電話市場は低迷しているが、圧倒的な低価格を売りにしたコピー製品は新興国を中心に需要が伸びている。 金融危機後、雇用の受け皿となるコピー製品の工場に対する取り締まりの手を中国政府が緩めているという裏側もある。

その割を食うのが正規品の携帯電話メーカーである。 世界最大手、フィンランドのノキアは09年7〜9月期決算で営業赤字に転落した。 その裏には中国発のコピー携帯による販売台数と単価の下落もあるという見方がある。

2000年代初頭に世界を席巻した中国発デフレ「第一波」は、外資系企業も工場進出によってそのメリットを享受できた。 だが今回のデフレではその原因となる補助金など公的資金の大半は中国企業に向かっている。 中国以外の国にとっては、恩恵より害が大きいのが現状だ。
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※追加2_ ● 中国経済はそれほど強靭なのか ●
中国経済は、普通の国よりもはるかに強靭な体質を備えているように見えるときがある。

08年9月の「リーマンショック」発生で、世界経済が米国経済にカップリングして急激に悪化していった局面で、中国政府は同年11月、総額 4兆元 (1元=13円で計算すると約 52兆円) の大規模な景気対策を打ち出した。

中国の実質 GDP 成長率は10〜12月期は前年同期比 +6.8%、今年1〜3月期は同 +6.1% へと急低下していたが、4〜6月期になると、経済対策の効果が早くも発現し、同 +7.9% へと急速に持ち直した。 雇用を中心とする国内情勢の安定を確保できる、すなわち暴動など社会騒乱の頻発を回避するために必要な最低ラインとされている +8% の成長率を、この段階でほぼ取り戻した。 さらに、7〜9月期は前年同期比 +8.9% へと、中国の経済成長率はさらに加速した。

欧米の政治家からは「経済成長の潜在力が大きい中国ならではのV字回復だ」と、驚嘆の声が上がった。 だが、厳しい言い方をすると、中国経済の高成長は様々な歪みを内包している。「世界経済の救世主」として、中国に過度に期待している一部の楽観論に対し、筆者としては違和感を覚えざるを得ない。

●「個人消費」はメインエンジンにならない ●
一人っ子政策を取り続けてきたことによる人口構成のひずみゆえに、高齢化社会の到来が視野に入りつつあるものの、中国の社会保障制度整備はきわめて不十分なままである。 このため、中国人の間では将来不安が強く、貯蓄率が高止まりしやすい。 したがって、中国の場合、個人消費が経済成長のメインエンジンになってこないという大きな弱点がある。

確かに「家電下郷」と呼ばれる農村部での家電普及策や、自動車の購入促進のための減税・補助金政策はきちんとした成果をあげている。 だが、これらは将来分の先食いを含む耐久消費財の需要喚起策であって、消費全体を持続的に上向かせる性質のものではない。

●「輸出」の回復も期待薄 ●
一方、沿海部の高成長地域に立地している外資系企業は、かなりの程度輸出に依存しているが、頼みの米国経済が構造不況に陥っているため、見通しは明るくなりにくい。 中国の今年10月の輸出は、前年同月比▲13.8% で、12か月連続の減少。 1〜10月の累計は前年同期比▲20.5% で、マイナス幅はなかなか縮まってこない。

中国当局は鋼材などの品目について、輸出増値税の還付率を段階的に引き上げるという減税措置を講じるなどして輸出を促しているが、国内で過剰な製品の輸出をあまりに露骨に促すと、貿易摩擦が激化してしまう。

また、管理変動相場制をとっている外国為替市場では、人民銀行が人民元の対米ドル相場の上昇を完全に止めている。 1ドル=6.38元 前後の狭いレンジ内での推移が 1年以上も続いており、事実上ドルペッグ状態に戻っていると言えよう。 さまざまな通貨に対してドル基調が続いており、人民元がドルに連動していることから、ユーロなど米ドル以外の通貨に対し、人民元は結果的に切り下がっている。 これも輸出促進策の一つと受け止めることが可能だ。 実際、ユーロ圏では人民元相場に対する不満が高まっている。 ただし、グローバルな需要レベルが、米家計過剰消費崩壊によって大きく下方シフトした後であるだけに、輸出押し上げ効果は限られざるを得ない。

● 拡大する財政赤字の下では、公共投資は続けられない ●
中国の高度経済成長実現に大きく寄与してきた輸出が、当面頼りにならない。 消費にもメインエンジンとしての期待はしにくい。 消去法的思考の帰結として、中国の経済成長を牽引するのは、固定資産投資 (公共投資や設備投資) ということになってくる。

しかし、公共投資については、国や地方の財源調達の問題 (特に地方政府の資金調達の困難さ) に加えて、財政赤字の膨張という副作用が伴う。

中国の財政赤字増大は、日本や米国、英国ほどではないにせよ、気になるところである。 今年3月の全国人民代表大会 (全人代) に提出された、4兆元 の景気刺激策の一部を反映した09年度予算案で、国・地方の赤字額は 9500億元 とされ、08年度予算の赤字額である 1800億元 から大きく膨張した。

中国の名目 GDP は、08年時点で 30兆元 強。 この数字を使って財政赤字の名目 GDP 比を計算すると、3% を超える。 単年度財政赤字が 3% 以内というのは、EU 加盟国が統一通貨ユーロを使用する欧州通貨統合に参加するための基準 (クライテリア) の一つであり、健全財政の限界ラインとして認識されることが少なくない。 むろん、09年上半期の名目 GDP は前年同期比 +3.8% という伸びになっており、通年でもプラス成長が確実な情勢なので、09年度の財政赤字は結果的に 3% 以内におさまるものとみられるが、中国の財政赤字が警戒ラインに接近していることに変わりはない。

温家宝首相など中国政府当局者が第2弾の景気刺激策を打ち出す可能性に何度か言及しつつも、実現に向けて動き出す兆候がいっこうに出てこない背景には、財政赤字が 3% を超えてしまうことへのためらいがあるのではないかと、筆者は推測している。 財政による人為的な経済成長かさ上げの余力は、中国でも意外に残されていないのではないか。

● 内陸部に公共投資をしても、沿海部には波及しない ●
さらにいえば、公共投資を軸にした 4兆元 の景気刺激策については、「患部」と「処方箋」がかみ合っていない感がぬぐえない。

中国経済が落ち込んだ主因は、米国でのバブル崩壊を発端に「ドミノ倒し」的に起こった輸出関連産業のはずである。 だが実際には、もともと経済成長が遅れており沿海部との格差が問題視されてきた内陸部のインフラ整備などに、中国当局は景気刺激目的で注力しようとしているのである。

地方でインフラ整備などの公共投資を推進し、景気のテコ入れを図る。 中国が行っている景気対策の手法は、日本の90年代の大型経済対策と、よく似ているのである。

「日本の教訓」から言うと、公共事業には、(1) その進捗が一巡した時点で需要の「断層」が生じてしまう、(2) 上積みする規模の大きさを優先すればするほど非効率な事業が入り込みやすくなってしまい、借金が積み重なる割には経済の生産性向上に貢献しないケースが増えやすい、といった問題点がある。

● 設備投資が「暴走」している ●
では、設備投資についてはどうだろうか。 そもそも論を言うと、設備投資というのは、個人消費や輸出といった最終需要が持続的に高い伸びを示してきた後で、企業収益の伸び率が相応に高くなり、既存の生産設備の稼働率がある程度高くなった段階で本格的に出てくる、景気回復を加速させる役回りの需要項目である (よほどの技術革新が起こって独立的な投資が広がる場合も考えられるが、レアケースであろう)。 例えて言えば、設備投資は景気の先導役である「馬」ではなく、最終需要が力強くなった後でそれに引っ張られてはじめて動き出す「馬車」である。

そして、企業の設備投資は、楽観の行き過ぎに気付いたときにブレーキがかかり、悲観の行き過ぎに気付いたときに今度はアクセルが踏まれる。 楽観が行き過ぎる場合には、バブルの生成と崩壊が大規模に起こることを通じて、景気変動が増幅されるのである。

中国の09年1〜10月の都市部固定資産投資は前年同期比 +33.1% で、伸び率は前年同期から 5.9% も拡大した。 公共投資に加え、都市部での不動産開発を含む企業の設備投資も、高い伸びを続けている可能性が高い。

最近の中国経済においては、輸出という最大の「馬」が停止し、個人消費という もう1つの「馬」も勢いが強まってこない状況であるにもかかわらず、設備投資という「馬車」がいわば暴走している感が漂う。

● 当局も過剰設備対策に乗り出す ●
日経新聞などによると、8月26日に温家宝首相が主宰して国務院の常務会議が開かれ、過剰設備対策の強化・範囲拡大が決まった。 これを具体化したのが、9月26日付けの通達である。英米経済紙や朝日新聞によると、鉄鋼、セメント、ガラス、アルミニウムといった素材産業に加え、太陽電池に用いる多結晶シリコンや風力発電設備といった新エネルギー分野についても、過剰生産能力の抑制方針を強く打ち出した。

特に鉄鋼業界については、08年の粗鋼生産能力 6.6億トン に対し、国内需要は 5億トン にとどまっており、しかも09年上半期にはさらに 5800万トン 分の生産設備を建設中のため、当局側の危機感は強いようである。 生産設備の建設許可を厳しくするほか、許可を得ていないプロジェクトへの融資を禁止。 合併などによる業界再編も促す。 地方政府や一部の企業が設備投資で「暴走」している事態を、中国政府がもはや看過できなくなったことがわかる。

このように、過剰生産能力がさまざまな分野で表面化する中で、中国の設備投資については今後、政府通達の効果もあってブレーキが掛けられざるを得ないのではないか。 もしもブレーキの効きが悪い場合には、過剰生産能力を背景に中国内でモノの需給が緩んだ状態が続いてデフレ圧力が強まったり、低価格での中国からの輸出急増 (輸出ドライブ) による一種の「デフレ輸出」が強まったりすることが予想される。

実際、中国の物価統計をみると、10月の工業製品出荷価格指数 (PPI) は前年同月比▲5.8% という大幅なマイナス。 10月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月比▲0.5% で、9か月連続のマイナスになっている。 後者は食品を除くベースで前年同月比▲1.6% である。 08年夏にかけて発生していた原油など資源価格バブルの反動が統計上出ている面はあるものの、高度成長期にある国で、物価指標にマイナスの数字が並ぶのは異例であろう。 過剰供給による経済の不均衡 (歪み) の存在が示唆されている。

こうした歪みを反映して、09年上半期は、実質 GDP が前年同期比 +7.1% であるのに対し、名目 GDP は同 +3.8% で、いわゆる「名実逆転」状態になった。 名目 GDP の伸びが鈍いと、税収が伸び悩み、財政再建に向けたハードルは高くなる。 このことは日本の事例で、十分すぎるほど実証されている。

中国政府の9月の歳入は約 5609億元 (前年同月比 +33.0%)。 5か月連続の増加だが、年初来の累計ベースでみると、景気刺激策の効果が出てきて、8月からようやくプラスに転じたところである。 企業収益の低迷や、すでに述べた輸出増値税の還付率引き上げのほか、物価下落が影響して、歳入の伸びが抑制されているという。

● 金融引き締め示唆で株価が急落 ●
そして最近では、銀行融資促進策が中国経済にもたらしている追加的なひずみが問題化している。

大型景気対策が打ち出された08年11月、銀行融資に関する中国当局の方針は 180度 転換した。 中国当局は07年から08年秋にかけて、日本の「窓口指導」を参考にしたとされる銀行貸出への介入 (総量規制) を通じて、融資の絞り込みを促していた。 だが、「ドミノ倒し」的な世界経済の急悪化に中国も巻き込まれる中で、エンジン全開状態へと方針を切り替え、総量規制を撤廃。 09年の人民元建て融資の年間増加額目標は 5兆元 に設定された。

ところが、これが効きすぎた。 5月時点で、年初来の融資増加額累計は早くも 5兆元 を突破。 資金が不足している中小企業には回らずに、株式市場や不動産市場に投資目的で資金が大量に流入している兆候も増え始めた (日本でもかつて、景気対策として行われた特別保証が株式投資を促すという類似の事例があったことが想起される)。 7月から10月までの月間増加額は 1兆元 を下回っているものの、1〜10月の累計は約 8兆9000億元 に達している。

事態を憂慮した人民銀行は、金融引き締めに転じる可能性を示唆するようになった。 ところが、これに過敏に反応したのが、株式市場である。

中国の代表的な株価指数である上海総合指数は、明らかにバブルとわかる急騰で07年10月に 6000 の大台を突破した後、バブル崩壊と世界同時不況で、08年11月には 1700 前後に下落し、ピーク水準の実に7割を失った。 それに引き続いて起こったのが、上記の融資促進策に後押しされたミニバブルである。 09年7月に入ると、底値の2倍にあたる 3400 台を回復した。 だが、8月には人民銀行による金融引き締め懸念から一時 2600 台まで急落するなど、その後は総じて神経質な商いになっている。

温家宝首相は中国の経済政策運営について、「積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策」を継続することをたびたびアナウンスして、市場の不安心理沈静化に努めているものの、政策運営はジレンマに陥っている感が強い。 そしてもう1つ忘れてならないのは、景気低迷状況にもかかわらず銀行融資が急増する場合、不良債権が先行き積み上がるリスクが存在するということである。

● 人口の急速な高齢化が経済成長力を奪う ●
さらに、より長い目で中国を見る場合には、人口面での急速な高齢化見通しと、それに伴う経済パワー減退という問題がある。

一人っ子政策がもたらした年齢構成の歪みから、中国の労働人口 (15〜64歳) は2015年ごろに、総人口は2033年ごろにそれぞれピークを迎える、と中国国家人口・計画出産委員会では予測している (9月12日付『日本経済新聞』)。 別の予測によると、中国の老齢人口比率は現在 16% だが、2025年までには倍になり、2050年までには 61% に達するという。

高齢化が急速に進むことで現役世代の負担が重くなり、経済の活力が失われることが問題視されているのは、日本と同じである。

AP 通信が伝えるところによると、上海市当局は戸別訪問やビラ配布を通じて、市民に2人目の子供をつくるよう呼び掛けている。 将来の労働力不足に加え、社会保障財源の不足を懸念しての、異例の行動だという。

● 共産党指導部に漂う将来不安 ●
中国は10月1日、軍事パレードなどで、建国60周年の節目を盛大に祝った。 だが、中国共産党指導部は危機感を募らせているという (9月22日 時事通信)。 腐敗や格差に対する民衆の怒りが強まっており、ネット上では1911年の辛亥革命で清朝が崩壊した前夜と現在とを比較する見方さえ出ているという。「還暦」を迎えた中国共産党の「寿命論」が、党内では真剣に語られており、9月18日に閉幕した党第17期中央委員会第4回総会 (4中総会) で採択されたコミュニケは悲壮感にあふれ、「永遠に人民の信頼と期待に背かない」という一言で締めくくられていた、と上記報道は指摘した。

日米欧の金融市場では、中国経済の力強い成長力が世界経済の「救世主」であるかのような楽観論ないしは希望的観測が、断続的に顔をのぞかせている。 だが、本稿でさまざまな角度から指摘したように、中国経済は数多くの面でバランスが悪く、大いに問題含みである。

中国は来年、日本を抜き去って、世界第2位の経済大国の座を手中にする可能性が高い。 しかし、上記のようなさまざまな歪みを内包している中国経済が今後たどるコースについては、本レポートでは触れなかった経済統計の信頼性の問題を含め、強い不透明感が漂っているといえるだろう。

以上

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