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シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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半世紀前録音の CD 化盤を聴いて

2019年04月05日 | オーディオの今は
左は50年代?発売当時の LP の、右は90年代発売 CD の、同じ音源の55年録音のカラヤン/フィルハーモニア管の「悲愴」(EMI)
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EMI の1955年ステレオ録音という大古盤 (おおぶるばん) でも、20ビット処理 CD (カラヤン/フィルハーモニア管の「Tchaikovsky Sym. No.6 Pathetique 悲愴」など) は聴きやすい、とこれまで思っていました。

それは、再生装置がポータブルステレオとか、PC に繋いだ小さなアンプ・小さなスピーカーだからだったのです。 改めて 38cm スピーカーの TANNOY ARDEN でそれなりの音量で聴いたら、第1楽章・第3楽章・第4楽章などの低音が出る箇所では音がビリついていました。

38cm スピーカーはそのビリつく低音をはっきりと再生していましたが、小さな口径のスピーカーだとビリつく低音まで再生できなかったのです。 録音時の低音入力で、当時の録音機・テープの性能では “歪みなし” に記録する事が不可能だったのですね。

でも よくよく考えると、55年録音といえば、64年前です。 その当時 これだけの音質で録音できたのなら まだ良かった方かもしれません。 また その当時 大方の愛好家の再生装置は大きなものではなく、現在のポータブルレコードプレーヤーに毛の生えたような小さいものだったでしょうから、それで充分で歪みも聴こえなかったのでしょう。
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もう1つの例です __ 就寝前に ポータブルステレオで音量を少し落として1965年録音の「Rhapsody In Blue」「パリのアメリカ人 American In Paris」(スタンリー・ブラック指揮 London Festival Orchestra DECCA) CD を聴いたあと、87年録音のカラヤン VPO の新年コンサート CD を聴くと、音量ヴォリュームは同じなのに後者からは低音領域がはっきりと大きく聴こえました。

優秀録音で有名だった DECCA phase4 録音ですが、65年録音では明らかに低音領域のレベルを落として収録しています。 それに比べ 87年録音は低音領域のレベルを上げていますね。
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1965年当時 時代の最先端機材を使って最上の記録だったのですが、半世紀も経つと録音機材も進化し 機能性能が大きく向上していますから、半世紀後の記録物と比較すれば その品質には差があって当然なわけです。

特に 80年前後から導入されたデジタル録音は、ダイナミックレンジの拡大とテープの固有ノイズの排除に大きく貢献しましたから、録音チームは過大入力の音割れ・歪みを懸念する悪夢から解放されたといっても過言ではないでしょう。
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カラヤンはデジタル録音方式を迎えて、”生まれるのが早過ぎた” と嘆いたそうです。 カラヤンが亡くなった頃を前後して、往年の巨匠たちが次々と物故し、次代を背負うはずの中堅指揮者たちが彼らに代わって活躍、名演奏・名録音をカラヤン並みに量産しているかというと、どうも違うようです。

今 世界各地のオーケストラは、技量も押し並べて向上し、有名どころのベルリン・フィル、ウィーン・フィルと比べて遜色ない演奏を聴かせるところが増えています。 目を閉じてステレオ装置の再生音を聴けば、ほとんど区別できない人が多いのではないでしょうか (勿論 生は別)。

ソリストも、例えば ヴァイオリンの世界で うまい人は大勢いますが、その名前だけで客を呼べる人が増えているかというと、これもどうもそうではないように感じます。

うまい人が増えているのは、それはそれで喜ばしいことではありますが、往年の巨匠たちのようなカリスマ性を持つ演奏家がいなくなってしまったのも寂しい感じがします。

大衆は、いつの時代でも カリスマ性を持つスターを求めています。 うまい演奏だけではなく、それに加えて スター性・カリスマ性も必要なのです。
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YouTube でヴァイオリニストの演奏を聴くと、無名でも随分とうまい人が多いです。 しかし それが中年の演奏家となると、その無名中年演奏家が評判を取って、CD などを次々に発表できるかと考えると、そうはならないと想像します。

往年の名ヴァイオリニストのシゲティは若い前橋汀子にいったそうです __「27歳までに名前を売らないとダメだ」(前橋汀子 私の履歴書/日経新聞 2018年10月)。 つまり 演奏家も世間に名前を知られてもらう “旬の時期” というものがあるのですね。

ですから 若い時期に有名でなかった人が、中年以降になって急に脚光を浴びるというケースは少ないようです。 その意味で カラヤンも戦前の30歳頃で名門のベルリン・フィルを振ったし、戦後もずうっと亡くなる直前まで人気を博していましたね。 ドミンゴも27歳以降は主役しか歌いませんでした。

次世代のカラヤンはどこにいるのでしょうか?

今日はここまでです。

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