
「坂本会長へのリベート、一部自主返還の意向 ブックオフ」(6月19日 ロイター)_ブックオフコーポレーション は、社内に設置した調査委員会の中間報告に基づき、坂本孝・代表取締役会長兼 CEO について、1993年5月から01年5月までの8年間に受け取り手数料、いわゆるリベートが約 7.42億円 あったと発表した。 坂本会長は、この一部を自主的にブックオフに返還する意向を示しているという (※追加1へ続く)。
~~~~~~~~~~~~~~
「消費者を軽視している ... 急成長に不正の影」(6月20日 産経新聞)_急成長した新興企業の不祥事が相次いで発覚している。 19日には中古本販売チェーン最大手、ブックオフコーポレーションの坂本孝会長が売り上げ水増しなどの責任をとって退任した。 厚生労働省から事業所指定の取消処分を受けた訪問介護大手、コムスンを傘下に抱えるグッドウィル・グループ (GWG)、受講契約者に虚偽の説明をしたなどとして経済産業省から一部業務の停止を命じられた英会話学校の NOVA ...。 急成長の陰に潜む「不正の誘惑」をどう克服するかが、重大な課題となりつつある (※追加2へ続く)。
~~~~~~~~~~~~~~
以前にも ブログ「急成長する会社の側面」(6月7日 ※トラックバック) で書きましたが、急成長企業の陥り易い点がもう一つあります。
それは、ワンマン経営者が企業を強引に牽引していくという図式です。 実力社長/会長が独自の手法で業績を拡大_これは急成長企業によく使われる表現です。
しかし、その実力者を支えるチームにはなかなか光が当らず、マスコミもあまり記事には取り上げないものです。
全ての業務を実力者が取り仕切ることは不可能で、その影には必ず補佐役というか副官ともいえるチームが存在しています。
事業拡大のシナリオを書く人、新店舗候補地を品定めし 不動産契約をする人、新部隊を結成し その部隊を率いる人、それらを実現するための資金を集める人、新部隊を教育し 実働部隊に仕立て上げる人、ロゴを決定し 広告を打ち 様々な道具類を準備する人 などなど。
それら多くの決定案件を次々に決済するのが、最高意志決定者です。 それらの中には法律的に微妙な案件も入ってくることもあるでしょうし、最初から明確に違法な案件も_。 違法とまでいかなくても 道義的に許されないものも、人間性を軽視するものもあるでしょう。
また、急成長すると、実力者の友人という輩が入社してきて、短期間で役職に就いてしまうのもよく見られます。 そういう人は大概 畑違いの分野から来ますから、「なんであんな人が ...」という実力はどうかという人が多いものです。 現場に不満が渦巻いても、ワンマン経営者の指示だからで済ませて 押し切ってしまうのです。
~~~~~~~~~~~~~~
それでも、業績が拡大していますから、社員の多くがおかしいと感じつつも、給料も上がり 成長の果実を共有できるから 黙って付いていくのです。
重要な会議などで、それら問題点を指摘した者はワンマン経営者にうとんじられ、閑職に追いやられるか 辞めざるをえない状況に追い詰められます。 そういったことが積み重なると、指摘する者/反対者は姿を消していき、ワンマン経営者がこうといえば、「はいっ!」「おっしゃる通りです」で案件処理が進んでいきます。
そして不満はヨドミにたまっていき、ある日 ... という形で一気に吹き出し、マスコミの格好の餌食となるのです。
~~~~~~~~~~~~~~
ワンマン経営者に必要なのは、業績拡大に貢献する人と共に、苦言を述べる人です。 多くの場合、苦言を述べる人は煙たがられる傾向があります。 それはコストを引き上げ、どちらかというと成長のアクセルを踏むどころか、ブレーキに写ってしまうからです。 けれど、こういう苦言を述べる人に耳を傾けるかどうかで、ワンマン経営者が本当の意味で「尊敬される経営者」となれるかどうかが決まるでしょう。
以上 (尚 このブログは特定の企業について書いたものではありません)
以下は興味ある人のみ お読み下さい。
※追加1_中間報告によると、坂本会長の発案で、丸善 から東京流通研究所 (その後ブックオフファクトリーに商号変更) などに一定金額を支払わせていた。 ただ、ブックオフファクトリーも手数料を受領するにふさわしい情報提供などを行っており、調査委員会では違法性は認められないが不透明さは残ると指摘している。
また、04年12月、06年2月の2回にわたって、合計 2,206万円 の不適切な売り上げ計上があったことを改めて確認した。 坂本会長と栗山英紀専務取締役は、不適切な売上計上や一連の報道による混乱を受けて6月19日に辞任する。 橋本眞由美・代表取締役社長兼 COO は6月23日に代表権を返上する。
~~~~~~~~~~~~~~
※追加2_ブックオフの創業者である坂本会長は、「本を売るならブックオフ」の分かりやすいキャッチフレーズで、すき間産業だった中古本販売を小売業界の表舞台に引き上げた功労者だ。 中古本の売り手にも買い手にも便利な業態を作り、消費者の支持を得て平成2年の1号店出店から、今年5月末で1,032店に拡大するまでに成長した。
しかし、疑惑を調査してきた調査委員会はこの日、「昨年対比の 100% 超えを至上命令とする経営者の強い意志があり、現場にプレッシャーをかけていた」と不正の背景を指摘し、数字の拡大に奔走する経営姿勢をあぶり出した。
GWG のケースでは、コムスン買収などによる介護事業大手への急成長の陰で、介護報酬の不正請求など「介護保険を食い物にしていたといわれても仕方がない」と折口雅博会長が認めたほど根深い問題が浮上。 NOVA も「駅前留学」のテレビ広告などで消費者にアピールしながら受講者に虚偽の説明を繰り返す、あきれた経営で達成した成長だったといえる。
しかも、不正会計で投資家を欺き、介護を受ける高齢者まで食い物にし、多数の受講者を軽視しながら、不祥事発覚後は謝罪に終始するが、なぜ「不正の誘惑」に負けたかの言及はなかった。
明白なのは、不祥事を受けて急落する株価に狼狽した経営者の姿だ。 彼らが口にする企業価値向上策とは、企業を成長させてくれた顧客でなく、株価上昇しか興味を示さない投資家向けの施策だった。 だが、不正に手を染めれば上場廃止という最も恐れる結果を招くことを忘れてはいけない。
以上
~~~~~~~~~~~~~~
「消費者を軽視している ... 急成長に不正の影」(6月20日 産経新聞)_急成長した新興企業の不祥事が相次いで発覚している。 19日には中古本販売チェーン最大手、ブックオフコーポレーションの坂本孝会長が売り上げ水増しなどの責任をとって退任した。 厚生労働省から事業所指定の取消処分を受けた訪問介護大手、コムスンを傘下に抱えるグッドウィル・グループ (GWG)、受講契約者に虚偽の説明をしたなどとして経済産業省から一部業務の停止を命じられた英会話学校の NOVA ...。 急成長の陰に潜む「不正の誘惑」をどう克服するかが、重大な課題となりつつある (※追加2へ続く)。
~~~~~~~~~~~~~~
以前にも ブログ「急成長する会社の側面」(6月7日 ※トラックバック) で書きましたが、急成長企業の陥り易い点がもう一つあります。
それは、ワンマン経営者が企業を強引に牽引していくという図式です。 実力社長/会長が独自の手法で業績を拡大_これは急成長企業によく使われる表現です。
しかし、その実力者を支えるチームにはなかなか光が当らず、マスコミもあまり記事には取り上げないものです。
全ての業務を実力者が取り仕切ることは不可能で、その影には必ず補佐役というか副官ともいえるチームが存在しています。
事業拡大のシナリオを書く人、新店舗候補地を品定めし 不動産契約をする人、新部隊を結成し その部隊を率いる人、それらを実現するための資金を集める人、新部隊を教育し 実働部隊に仕立て上げる人、ロゴを決定し 広告を打ち 様々な道具類を準備する人 などなど。
それら多くの決定案件を次々に決済するのが、最高意志決定者です。 それらの中には法律的に微妙な案件も入ってくることもあるでしょうし、最初から明確に違法な案件も_。 違法とまでいかなくても 道義的に許されないものも、人間性を軽視するものもあるでしょう。
また、急成長すると、実力者の友人という輩が入社してきて、短期間で役職に就いてしまうのもよく見られます。 そういう人は大概 畑違いの分野から来ますから、「なんであんな人が ...」という実力はどうかという人が多いものです。 現場に不満が渦巻いても、ワンマン経営者の指示だからで済ませて 押し切ってしまうのです。
~~~~~~~~~~~~~~
それでも、業績が拡大していますから、社員の多くがおかしいと感じつつも、給料も上がり 成長の果実を共有できるから 黙って付いていくのです。
重要な会議などで、それら問題点を指摘した者はワンマン経営者にうとんじられ、閑職に追いやられるか 辞めざるをえない状況に追い詰められます。 そういったことが積み重なると、指摘する者/反対者は姿を消していき、ワンマン経営者がこうといえば、「はいっ!」「おっしゃる通りです」で案件処理が進んでいきます。
そして不満はヨドミにたまっていき、ある日 ... という形で一気に吹き出し、マスコミの格好の餌食となるのです。
~~~~~~~~~~~~~~
ワンマン経営者に必要なのは、業績拡大に貢献する人と共に、苦言を述べる人です。 多くの場合、苦言を述べる人は煙たがられる傾向があります。 それはコストを引き上げ、どちらかというと成長のアクセルを踏むどころか、ブレーキに写ってしまうからです。 けれど、こういう苦言を述べる人に耳を傾けるかどうかで、ワンマン経営者が本当の意味で「尊敬される経営者」となれるかどうかが決まるでしょう。
以上 (尚 このブログは特定の企業について書いたものではありません)
以下は興味ある人のみ お読み下さい。
※追加1_中間報告によると、坂本会長の発案で、丸善 から東京流通研究所 (その後ブックオフファクトリーに商号変更) などに一定金額を支払わせていた。 ただ、ブックオフファクトリーも手数料を受領するにふさわしい情報提供などを行っており、調査委員会では違法性は認められないが不透明さは残ると指摘している。
また、04年12月、06年2月の2回にわたって、合計 2,206万円 の不適切な売り上げ計上があったことを改めて確認した。 坂本会長と栗山英紀専務取締役は、不適切な売上計上や一連の報道による混乱を受けて6月19日に辞任する。 橋本眞由美・代表取締役社長兼 COO は6月23日に代表権を返上する。
~~~~~~~~~~~~~~
※追加2_ブックオフの創業者である坂本会長は、「本を売るならブックオフ」の分かりやすいキャッチフレーズで、すき間産業だった中古本販売を小売業界の表舞台に引き上げた功労者だ。 中古本の売り手にも買い手にも便利な業態を作り、消費者の支持を得て平成2年の1号店出店から、今年5月末で1,032店に拡大するまでに成長した。
しかし、疑惑を調査してきた調査委員会はこの日、「昨年対比の 100% 超えを至上命令とする経営者の強い意志があり、現場にプレッシャーをかけていた」と不正の背景を指摘し、数字の拡大に奔走する経営姿勢をあぶり出した。
GWG のケースでは、コムスン買収などによる介護事業大手への急成長の陰で、介護報酬の不正請求など「介護保険を食い物にしていたといわれても仕方がない」と折口雅博会長が認めたほど根深い問題が浮上。 NOVA も「駅前留学」のテレビ広告などで消費者にアピールしながら受講者に虚偽の説明を繰り返す、あきれた経営で達成した成長だったといえる。
しかも、不正会計で投資家を欺き、介護を受ける高齢者まで食い物にし、多数の受講者を軽視しながら、不祥事発覚後は謝罪に終始するが、なぜ「不正の誘惑」に負けたかの言及はなかった。
明白なのは、不祥事を受けて急落する株価に狼狽した経営者の姿だ。 彼らが口にする企業価値向上策とは、企業を成長させてくれた顧客でなく、株価上昇しか興味を示さない投資家向けの施策だった。 だが、不正に手を染めれば上場廃止という最も恐れる結果を招くことを忘れてはいけない。
以上