
写真はダルヴァザの地獄の門。
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一般的に医者は、医師仲間ではない “一般人” には あまり頭を下げないものです (そもそも 下げる必要がない)。 下げるのは、自分に利益になる人に対してだけです。 以前は病院医と開業医が患者の引き継ぎを直接やりとりしていたのが、お互い多忙になったため 医師ではないコーディネーターが取り持つようになってきているのが見てとれました。 すると 患者をどの開業医に回すかの権限を持つ人には、(それが医師であろうがなかろうが) 頭を下げるという訳です。
そういえば Bが打ち合わせ会議に乗ってきた車は、初老の運転手が運転する高級車でした。 当初は病院の車かと思いましたが、若いBが病院の高級車を、しかも運転手付きで乗るとは考えられず、不思議な気がしました。
しかも せまい温泉街にある医院前の駐車場に振り返りもせず 場慣れたバックインで大型車を一発で停めるのを見て、この医院関係者だろうと思い至りました。 私の推理では 院長の父親 (先代の院長医師) が、所有する私有車で送り迎えしたのではないかと思います。 それくらい 患者を回してくれるコーディネーターは、開業医にとって大事というわけです。 父親も息子のために 利益をもたらす人に朝から自家用車を提供し、自ら運転したのでしょう。
会議中 医師が示した往診予定を書き込んだボードには 30人ほどの名前が書き込まれていましたから、午前は外来、午後は往診というパターンでしょう。 1人往診すると、例えば 医院の手取り 8万 (1割患者負担で 8000円?) として年 96万 (ざっと 100万)、30人で年 3000万 です。 午前外来を例えば 年 2000万、他に企業嘱託医とか施設嘱託医なども含めて 5000万〜6000万 といった辺りが、この “温泉街にある医院” の総収入でしょうか (以上は全て私の推測です)。
けれど 温泉街から車で 15分ほどで ここの県庁所在市まで出てこられますから、従来 温泉街の人たちが通院していた地元医院から、市の開業医や大病院に乗り換える患者が増えていることは十分想像できます。
ここ地元の医院で直らなかった病気が市のあそこの病院で直った、良くなったというクチコミが広まれば、同じ種類の病気の患者が流れ出すことは避けられないでしょう。 午前の会議 (ほぼ 10時半〜11時) で待合室には 患者が “2人” しかいませんでした。
しかも この温泉街が活況だったのは何十年も前、つまり先代の院長時代だったはずですから、患者数は確実に減りつつある、勢い 往診を増やさざるを得ないという 経営上の問題が迫っているのも容易に想像できます。
これが、“最後迄 訪問医にまかせる” という意味だったのです (金づるが途中で逃げては困る?)。 私にとっても 町医者の “本音” をナマで聴けた貴重な経験でした。 なかなか こういう機会は得られませんからね (ある意味 感謝すべきかも …)。
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来週10日月曜日午後1時には入院していた病院での通院が予定されています。 担当医は “忙しくて倒れそうなくらい” の1人で、訪問医候補 (C) に紹介状を書き送った医師です。 病院ソーシャルワーカー (B) やCから、6日の打ち合わせ会議の結果が伝えられているはずです。
担当医は母を診てどういう診断を下すのでしょうか? 入院した3月2日の状態よりは、悪化しているのは明白ですから、普通に考えたら 再入院となるでしょう。 しかし 紹介状を書いて訪問診療にまかせた積りだった患者が、また通院して舞い戻って入院するのを認めるか、それとも (怒って?)、次の月1回の通院日を通知するかも知れません。
どういう診断結果を通知されるにしろ、その前に 診察室に入室したら、先ず家族側から これだけはお伝えしなくてはならないでしょう __ 折角 ご紹介いただきました訪問診療医とは診療方針と家族の考え方が一致せず、お断りすることになってしまいました。 申し訳ありませんでした。
これを聞いて、担当医の診断にどう影響するでしょうか? 礼儀上 いわないままは失礼になりますから、一応 頭を下げる形を取るのが望ましいと思います。 担当医は色々考えて処方薬を出してくれますが (たとえ それが 0.1% しか効果がないとしても)、温泉街医師Cは末期がん患者への治療はしないのですから、往診しても何もせず そのままとなった可能性が高いですね。
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余談ですが、打ち合わせ会議の翌7日夕方 実家から車で10分ほどのところのシニアハウス (有料施設 医師は常駐せず 担当医もいない) を見学に行ったら、ナント 駐車場に “温泉街の医院” 名を付けた車が止まっていました。 (“最後迄 訪問医にまかせる”) 入居者の往診に来ているようです。 医師Cと遭遇するかなと思いましたが、それはなかったです __ 医師も営業活動で忙しい。
私が先日の会議の最後で加えた “比喩的表現” の ”若いなぁ” には2通りの意味があります。「若いだけに中年、老年にはない斬新な表現力、発想力、行動力がある」という褒め言葉と、「未熟者」という意味です。 これを類推する想像力・理解力が三十路半ばの若い医師Cにはあったでしょうか? 私が暗に示唆したのは、もちろん …
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10日昼過ぎ 通院して診察の結果 再入院となりました。
今日はここまでです。