
左は F-2A 53-8535号機 (築城基地、2010年撮影)。 右は米 F-16。
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1980年代前後は日本経済や技術が、一瞬輝いた短い時間でした。 世界は驚きを持って 極東の “小国” 日本を見ていました。
あの時代 日本企業は多くの分野でトップを走っていました。 それまで戦後の長い間 先頭で肩で風を切っていた超大国の米国は、不安を感じ トップランナーに足かせを付けることを模索します。
米国の後塵を拝すのなら かわいがってやるが、米国を凌駕する事は許さない、というわけです。 モチロン そんな事は表立っていうわけにはいかないから、様々な理由 (というか難癖?) を付けるのです。
例えば 半導体分野です。 一時は半導体売上世界トップ10社中6社までが日本企業となり、特に DRAM メモリー分野では圧倒的な強さを誇っていました。 しかも一時的に DRAM が品不足になり 世界中の PC メーカーが PC を量産しようにも、他の重要部品 CPU (中央演算素子) 以下が揃っていても、 DRAM が調達できなければ出荷できない事態にまでなります。
そこで CPU 最大手の米国 I 社がいいだしました __ これから もっともっと DRAM が大量に必要になる。 今の生産数量の何倍もの DRAM が使われるだろう、と。
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すると、これを聞いた多くの DRAM メーカーは一斉に設備投資を始めました。 数年後 生産能力を大幅に増やしたメーカーから DRAM が大量に出荷されると、荷余り状態となり、価格が暴落します。 一時はハンバーガーよりも安いといわれるほど下落しました。
単価が下がれば、DRAM メーカーの売上も下落します。 仕方なく (?) 多くの DRAM メーカーは設備投資を絞ります。 しかし その中で韓国メーカーだけは設備投資を絞りませんでした。
オーナーが大きな権限を持つ韓国メーカーだけが逆張りの投資を続け、 数年後 次の DRAM 市場活況時に設備投資した韓国メーカーは勝者となり、投資を絞った日本メーカーは敗者となり市場から徐々に撤退、残った工場群を1つにまとめてエルピーダ社となりましたが、最終的には米 DRAM メーカー M社に吸収される運命となります。
今 日本の半導体メーカーで残っているといえるのは、CMOS イメージセンサー市場の過半を握るソニーと、メモリー以外の部門を集めたルネサスの2社くらいです。
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もう1つの分野 日本の戦闘機開発の経緯です。 1995年に初飛行を行い、2000年から 100機余りを部隊配備した F-2 です。
「F-2 の開発は当時の日米貿易摩擦などに端を発する米国との政治的問題が絡み、当初のエンジン輸入 (ライセンス生産) を前提とした国産開発から、米 F-16 戦闘機をベースとした日米共同開発へと推移、米国は後部胴体と左主翼のみを生産した。
1982年 国防会議において次期支援戦闘機 (FS-X) 整備が盛り込まれ、1985年 具体的選定作業が始まった。 1987年 米国防総省の調査チームが来日、三菱重工業名古屋航空機製作所、三菱電機鎌倉製作所を視察、三菱側が明かした FS-X に盛り込もうと構想していた最先端技術は調査団を驚かせた。
ハイテク分野での日本の伸張は、単純な対日貿易赤字の問題だけではなく、日本のハイテクが米国の国防をも左右するのではないかという反発が出てきた。 結局 米側ワークシェアが「総生産額の約 40%」と明記され、日本側は (米側が希望する) “すべての技術を米側に技術移転する” 内容となった」(ウィキペディア)
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当時も新聞紙上などで読んでいて、共同開発とはいいながら 日本サイドには不利な内容だなと素人ながら感じていたものです。 しかし 政治が絡んでしまったら、もう理屈は通りません。
また 超大国 米国に比肩しつつある (?) 日本といっても、政治力・経済力・軍事力の3条件が揃わなければ大国とはなれなかった過去の歴史から、政治力・軍事力が欠けている日本は大国の資格はあるのか?と疑問視する意見もありました。
その頃、その3条件のうち、政治力しかなかった中国ですが、今や3条件全てを満たし、超大国 米国に挑戦しています。 米国は かつての日本に対してと同じように (?)、中国を潰しにかかっていますが、中国はなかなかしぶとく 日本のように「はい そうですか」とは簡単にいきません。
中国潰しには日本より時間がかかりそうですが、1つ 中国の人口構成からすると、これから生産年齢人口が減ることで、経済力がピークアウトすると予想され、意外と早く経済が萎んでいくかも知れません。
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さて その (日本の空自支援戦闘機) F2 が35年ごろに退役すると予想され、次期戦闘機開発が報道されています。
F2 開発当時、米側は自らの技術機密は明かさない一方で、欲しい日本の技術は吸い上げたという経緯から 次期戦闘機は日本主導で国際共同開発する方針のようです。
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「譲れなかった開発の自由 次期戦闘機、日本主導へ」(8月13日 日経) __ 日本政府は、航空自衛隊の次期戦闘機を、日本主導で国際共同開発する方針を明らかにした。
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これがどう推移していくのか、政治が絡む余地はないのか、予断を許しません。 F2 のような “キリ揉み状態になり、米国に技術を持ち逃げされる” ような事態は避けて欲しいものですね。
日本の後継首相がこの案件をどう捌 (さば) くのか、見守りたいものです。 官房長官が有力視されていますが、この人の印象は “調整型の人” ですよね。 どうも 信念を持って引っ張って行くというイメージではないように感じます。
もっとも 今月決まる党首は来年の9月までのリリーフ党首ですから、それ以降はどうなるか分かりません。 “兵馬俑 (へいばよう) ” 顔の人になるかも。 以前 人気の高かった若手の議員は、最近 さっぱりと期待されなくなりました __「滝クリに〝サゲマン〟危機! 空回り続く夫・進次郎氏に『政治オンチ』の声」(9月2日 東スポ)
今日はここまでです。