シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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編集 〜 録音プロデューサー (14)

2021年02月26日 | 音楽関係の本を読んで
シェフィールドのダイレクト・カッティング風景、ラインスドルフ指揮 LA フィルのプロコフィエフ/バレエ「ロメオとジュリエット」より抜粋盤とその LP ラベル。
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「録音セッションを覗いた人からは『こんな部分録りで音楽が繋がるのですか?』と質問を受けることがある」(246p)
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『一枚のディスクに レコード・プロデューサーの仕事』(井阪 紘著 春秋社 2006年刊) ―― 録音芸術の生命線 ――
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「マイクからコンソールを通った音を直接ラッカーに切る “ダイレクト・カッティング” 方式があった。 この方式では 音量 (瞬間のパルス) に備えながら溝幅を決めて録っていかなくてはならないため、マスタリングするエンジニアには緊張と集中力が求められた。 演奏家にとっては、中断とミスタッチが許されない上に、音楽性も論議される、過酷な戦いだった。

私は1977~79年にかけて 横浜・新子安の日本ビクター・カッティング・センターから、当時最新鋭のカッティング・システム、ノイマンの SX-74・SAL-74・VMS-70 を入間市民会館に運び込み、2~3日かけて楽屋に設置、1週間で4枚 ダイレクト・カッティングを試みた」(248p)

__ 1970年代後半の、デジタル録音が始まる前のほんのいっときの事です。 何社かからダイレクト・カッティング LP が市場に出ました。 私は その中からシェフィールド・ラブの LP を1枚だけ購入した事があります … 冒頭写真がそれです。

いい音質だと思いましたが、それ以上に大いにびっくりするものではありませんでした。 『春の祭典』『運命』などで、ハイファイ・マニアの購入意欲をくすぐるとかしたらいいのにと思いましたね。 プロデューサーの選曲がイマイチだったと想像します。

後年 録音してないはずのダイレクト・カッティングだったのが、シェフィールドの CD として発売されました。 やはりバックアップ用に録音していたんですね。 それでも大きな話題にはなりませんでした。

当時 話題になったのは、TELARC 社のデジタル録音の『1812年』です。 カンゼル指揮シンシナティ・ポップス管の演奏はまるで話題化せず、専ら その音溝をカートリッジがトレースするかしないか、オルトフォン社が怒ったとか、そういう再生上の話題ばかりでした。 私は LP で聴いた事はなく、後に CD で聴いて拍子抜けしましたけど …
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「神谷郁代のベートーヴェンの『熱情』、吉原すみれの『ツィクルス&エクローグ』だったが、(演奏ミスや中断を許されず) 極度の緊張にさらされたと思う。 78回転 SP の頃も 同じ環境でレコード録音したに違いない」(249p)

__ 日本ビクターのダイレクト・カッティングがあったなんて、今まで知りませんでした。 オーディオ誌・クラシック誌でも全く載らなかったんじゃないでしょうか。 宣伝がよくなかった? 今 ネット検索をしても全然出てきません。 いくら意欲的な録音の試みをしたとしても、マスコミに載らなければ オーディオ・ファンも知りようがありません。 なぜ 注目されなかったのでしょうか?


TELARC 社の『1812年』、その LP 音溝。
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今日はここまでです。

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