*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史
「第3章 NRC秘密報告」を複数回に分け紹介します。2回目の紹介
福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。
本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。
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**『世界が見た福島原発災害』著書 「暴露された「フクシマの真実」」の紹介
前回の話:『世界が見た福島原発災害』第3章 NRC秘密報告 ※1回目の紹介 <暴露された「フクシマの真実」>
日本のメディアもワシントン特派員電で紹介していたが、ほんのさわりの部分だけで、同紙のスクープの全容が報じられることはなかった。
「フクシマ」とは何だったか? 「NRCフクシマ秘密報告」の内容を詳しく紹介しよう。
記事の書き出し、いわゆる本記はこうである。
NRCがまとめた秘密の調査報告によると、危機に立つ日本を支援するために派遣された米政府のエンジニアたちは、事故を起こした原発が、今後、再限なく続きかねない、一連の新たな脅威に直面しており、そのいくつかにおいては、これまで原子炉を安定させようと採られて来た手段そのものによって脅威が増大すると見込まれるーと警告している。
「今後、再現なく続きかねない、一連の新たな脅威に直面している状況」「(これまで東電がとって来た)安定化策が裏目に出かねない状況」ーこれが当時の、今に続く「フクシマの真実」の姿だった。
記事の内容ー本文の部分を、最初から順に見て行くことにしよう。
同紙が、NRC報告書の指摘する「一連の新たな脅威」のひとつとして挙げているのは、「放射性の冷却水で満たされたことで格納容器に対するストレスが増し、余震による破砕に対し、より脆弱になっている」ことである。
「フクシマ」では炉心の溶融の進行を食い止めるため、大量の水の注入が続けられたが、これは、その注入水が余震の際、格納容器を破砕しかねない、という警告である。
「前文」に書かれた、「安定策」が脅威を増大させかねない、とはこのことを指しているのである。
「フクシマ」はこの時点で、こうした新たな危機の前に立っていた・・・。
NRC報告書が指摘する、2番目の脅威もまた、注入された海水によるものだ。注入された「海水から発生した水素と酸素により、格納容器内で爆発が起きる可能性」が出てきていたのだ。炉心からの放射線によって水の分子が2つに割れ、水素を生み出している可能性が出てきているわけだ。
同紙によれば、この水素の発生量については、少ないとする試算も出ているが、シカゴ・ノートルダム大学の物理学者、ラヴェルヌ氏は、少なくとも燃料棒の付近で水素はいま実際に生み出されている、その水素は酸素とともに反応しかねないものだー 「そうなると、燃料棒付近に爆発物の組み合わせが存在するということになる」ーと警告しているという。
NRC報告書はさらに、注入された海水がもたらした、もうひとつの重大な脅威を指摘する。
それは「塩」だ。注入された海水の残留塩が、半ば溶解した燃料棒とともに、いかに真水による炉心冷却を妨害しているか、詳しく報告している。炉心は塩と燃料棒の溶融物でグジャグジャになっており、真水の冷却水の通過を阻んでいる・・・。
※続き「第3章 NRC秘密報告」<もっと大きなかたちでダメージが起きうる>は、8/24(月)22:00に投稿予定です。