杉並の純一郎(3)

2009年12月で68歳に!
先の戦争が一体なんだったのかを今一度勉強し、次の世代に伝えてゆきたい。

ロシアが中国の軍門に下る日

2006-03-28 11:02:30 | Weblog


2020年代には中国はアメリカを経済面で追い抜くだろうといわれているが、ロシアはどうなるのだろうか? 3月29日付のニューズウィークは Fear  and loathing in Siberia (直訳すれば シベリアでの恐怖と嫌悪)を「ロシアが中国の軍門に下る日」と訳してモスクワからの報告を載せている。

アメリカが抜かれるのだからロシアにいたっては当然のことと誰しも思うが、改めてそのことに焦点をあてて記事にしていることに興味をもち取り上げてみたい。

見出しには「プーチンの訪中で進む中ロの蜜月ぶりが東アジアとヨーロッパの地政学を大きく変える」そして書き出しは「中国の資金や商品がロシアに続々と流れ込んでいる。あまりの勢いに中国脅威論まで噴出しているが、ロシアは中国と手を組まなければ世界で埋没しかねない。欧米の一員になれない‘元超大国’のジレンマを探った」とある。

「ロシアの国章は双頭のワシ、国も二つの顔を持つらしい。一つはG8の一員としての欧米向の顔を信頼できるエネルギーの供給国を演じ超大国の指導者のように振舞う。一方、最近は北京を訪問して、同じアジアの専制的な国家、中国との強い絆をアピールする。しかし、どちらが本当の超大国か?資源大国のロシアが優位に見えるが、経済ではとっくに中国に抜かれている。ロシアのオイルマネーは中国の貿易黒字に及ばず、中国のロシア極東方面での投資は存在感をましている。それはシベリアに行ってみれば分かる。中国製品が溢れている。もちろんシベリアのエネルギー資源は中国にとっても重要だがそれも2011年まででありその先、中国はイランとカザフスタンに石油を、その他資源を豪州に確保している。」

次の小見出しは「シベリアの頭脳を中国は買いあさる」とあり、「シベリアには有能だが職の無い技術者や科学者が沢山いる。西欧は技術を中国に売りたがらないから、中国はシベリアに来る。ロシア政府は科学に金を出さないから中国マネーが必要だ。」とは言え、「技術を売り渡せばそれでお終いになりかねず、ロシア人とりわけモスクワの政治家には座視しがたい状況である。感情的な中国脅威論も広がっている。中国からは移住民が流入しており50万人近くが定住しており、‘黄禍論’も出始めている。中央政府も戦略的に重要なエネルギー資源についてはメジャーの資本参加は認めても中国の軍門に下るのは困るらしい。」

最後の小見出しは「西の友人を捨ててアジアの大国をめざす」である。「冷戦時代の超大国という立場を失い、アメリカの覇権に対抗するため、汎アジア連合の結成を夢見ており、プーチンは上海協力機構‘SCO’に力をいれている。ロシア、中国に加えウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタンが参加する緩やかな安全保障協力機構である。
地域内のテロ対策を目標にしているが中央アジアの米軍基地を撤去させる狙いもある。」

「プーチンはロシアを欧州のみならずアジアの大国として位づける事に熱心であり、ASEANへの加盟申請を求めたこともある。イラク、イラン問題で中国と反米路線で足並みをそろえている。しかし中国に接近しすぎれば、すでに見るように言論の自由が封じられ‘管理された民主主義’の下、経済への国家統制も拡大されつつある。こうなれば、欧米諸国の仲間入りを果たすと言う長年の夢の実現は難しくなるだけでなく、G8のメンバー資格も危うくなりかねない。東を向くか西を向くかロシアは決めかねているが、計算高いプーチンゆえリスクは承知のことだろうが、気がつけば‘友人’は中国だけという事態は避けたいものだ。」と結んでいる。

中ロのせめぎあいをみるにつけ、ロシアが極東での対中国へのバランサーを必要としているのが良く理解できるし、その相手とは日本しかありえない。日本も慌てず、あせらずにロシアとの関係改善に臨むチャンスに恵まれているといってよいのではなかろうか?