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薬剤師の不労所得論でネット論争

2017年11月17日 | 社会

薬剤師会に質問したらやはり

2017年11月17日

 私はブログを仕事の一部にしているブロガーでもなく、まして医療の専門家でもありません。以前から疑問に思っていた薬剤師の不労所得論の4回目を書いてみました。


 コメント数は初回の「医療費を食う薬剤師の不労所得」(10月30日)が120件、2回目の「薬剤師の不労所得論に殺到した抗議に反論」(11月2日)が130件、3回目の「薬剤師の不労所得論になぜ大騒ぎ」(11月6日)が129件でした。通常のテーマでは多い時でも数件です。今回の場合、7,8割が薬剤師によるものとみられ、しかも長文のコメントが多く、投稿者同士が論争するなど、異例の反応です。


 私に対する抗議の流れの1つは、「薬剤師の仕事内容をよく知らない素人のくせに、批判ばかりしている」です。薬剤師が「薬剤を棚から取り出して、手渡しているだけというのは誤解だ」、「副作用や飲み合わせの可否について助言もしている」、「医師の処方のミスも発見している」などなど。


 薬剤師会の回答は「医師に相談を」


 私の体験を紹介します。その1。私が使用している薬剤ついて、質問してみようと思い、ある薬剤師会のホームぺージを開きました。一般の消費財のようにお客様相談室でもあれば、お年寄りにも便利なのに、見つけたのはパソコンによる「お問い合わせ」の欄です。パソコンを使わないお年寄りはどうするのでしょうか。


 質問は「私は不整脈の傾向があり、抗凝固剤のワーファリンとバイアスピリンを併用しています。足などを何かにぶつけると、痣ができる。継続しても副作用は心配ないでしょうか」という主旨です。医院での内視鏡検査で、私の胃にびらん性胃炎が見つかり、医師から「この2種類を併用すると、起きやすい症状です。バイアスピリンはやめたら」といわれた話は以前、紹介しました。その確認です。


 こちらのメールアドレス、氏名、年齢、男女区分などの記入欄があり、後ほど返事をするとのことです。3時間ほどすると、返事がきました。「主治医に早めにご相談を。ワーファリン量が適正化かどうかチェックする血液凝固能検査というものもあります。服用を継続するかは、必ず主治医と相談の上、お決め下さい」。


 薬剤師さんのブログコメントでは、「継続使用、副作用、飲み合わせなどについて、薬剤師は専門的な知見を持っている。医師任せにしていない」という主張が目立ちました。ですから薬剤師会の窓口はあれこれ、追加の質問し、有用な助言をしてくれるのかと思っていましたら、「医師と相談を」の指示で終わりです。


薬局は手数料との認識


 体験2。近所の調剤薬局で、「領収書に書かれている薬剤料は分かる。調剤技術料、薬学管理料の意味は何ですか。何を調剤しているのか、何を管理しているのか」と、質問しました。混んではいないのに、応対してくれた薬剤師は面倒臭そうに、「一言でいえば、手数料です。薬を売るときに得る手数料です」と、答えました。


 正直すぎる答えで、あっけにとられました。薬務上の専門的な仕事の対価として、報酬を得ている形になっているのですから、何に対する報酬なのかを聞きたかったのです。この薬局は「手数料」という認識です。仕入れた薬剤を医師の処方箋に従って、売る時の手数料ということなのでしょう。


 薬剤費は薬そのものの料金であるから分かります。調剤技術料、薬学管理料は一般の利用者には意味不明です。領収書のどこかに何がそれに該当するのか、今後、分かり説明文をつけてくれることを期待します。「調剤」には「調合」の意味もあるように、「2つ以上のものから1つのものを作り出す」ということですね。それは製薬会社の仕事であり、薬剤師よる「調剤」の意味は何なのでしょうか。


院内と院外の二重構造


 体験3。通院している内科は貸しビルに間借りしていました。繁盛したのか、駅近くの一等地に土地を取得(借地かもしれません)し、医院を新築しました。同じ貸しビルに入居していた調剤薬局も同時に移転し、医院の2階のフロアを借りました。このことはすでに紹介しました。


 そこで領収書のチェックです。毎月、処方される薬は8000円相当で、自己負担はその何割かです。医院の伝票には薬の処方箋料として、一般処方と長期投薬加算の計1350円相当の記載があります。医師が患者を診断し、使う薬を決めることに報酬を得る行為そのものには、金額はともかく異存はありません。


 次に、2階の薬局で薬を買った時の領収書です。8000円相当の支払額のうち、「調剤技術料」と「薬学管理料」の合計が3000円程度になっています。つまり薬を買うために、医院にも薬局にも、二重の報酬を払っているのです。合計で4000円以上になります。


 院内処方(病医院)と院外処方(薬局)の二重構造です。「前者は医師への診療報酬、後者は薬局への調剤報酬で、別物であり、二重取りではない」という説明も聞きます。説明がついたとしても、金額は適正なのか。「薬局の処方費が医師の処方費の約3倍。ここが問題で高すぎる」という指摘もあります。


 医院や薬局が勝手に決めているのではなく、医療行政、薬務行政のルール(規制)の結果がそうさせているのでしょう。「素人は誤解を与えるようなことを書くな」というならば、どこをどう改革、改善すれば、利用者を納得させられるのか、説明が欲しいと思います。


 



 

 


 





 



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108 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2017-11-17 21:29:20
なんか炎上商法に味を占めた感がある(笑)
薬剤師もそうじゃない人も相手にしない方が吉!
Unknown (Unknown)
2017-11-17 21:30:42
私は過去に管理薬剤師を経験したことがあるものです。

今回も相変わらず不労所得という表現を使われたタイトルなんですね。言葉で仕事をされている方なら、この部分は謝罪しないまでも、改めるべきではないのでしょうか?私は人生のかなりの時間を調剤薬局の業務に従事し、24時間365日のオンコール対応を強いられていました。中村さんのご批判やご意見はむしろ感謝すべきと受け止めていますが、不労所得という表現を用いることはやはり許せません。

以下、簡単に私見を述べさせていただきます。
薬剤師会の回答は当然の回答と思います。そもそも抗凝固薬であるワーファリンと抗血小板薬であるバイアスピリンの適応症は同じではありません。処方理由を解らない人間が判断できるわけがありません。

次に調剤報酬の領収証等への記載の件ですが、現在は薬局内に掲示してあると思います。領収証等に記載してあれば、おっしゃる通り分かりやすいかもしれませんね。

点数についての件ですが、これもおっしゃる通り行政が決めることです。薬局が卸から購入した価格に利益を乗せて販売できたら一番分かりやすいのかもしれませんが、これも行政から禁止されていることです。それを許可してしまったら、高い薬を多く扱う薬局のみが生き残ることになります。病院は院内調剤に戻して高い薬をバンバン使うことになり、中村さんのご希望通りに医薬分業は終わることになると思います。個人的には、技術料だとか、管理料だとか揚げ足を取られやすい名称は改めていただきたいと思っています。薬剤師としての義務は果たすのが、大前提ではありますが。

長文のコメントになってしまい、誠に申し訳ありません。皆さまも個人ブログのコメント欄であることをわきまえて、中村さんや他のコメントに対する誹謗中傷は控えるべきと考えます。
Unknown (Unknown)
2017-11-18 02:05:21
>>主治医に早めにご相談を。ワーファリン量が適正化かどうかチェックする血液凝固能検査というものもあります。服用を継続するかは、必ず主治医と相談の上、お決め下さい

これはこの回答しか無理でしょう。
カルテも治療経過もわからないのに、回答できるはずがないです。
逆にカルテや治療経過(薬歴なども参考になるかも)がわかるなら、それをもとにそういう論文や報告は取り寄せることはできます。ただ、あくまで
参考程度なので、最終的にはDrと相談して、服用者自身が決めることになりますが・・。
結局Drに相談をになります。

逆にそこで薬剤師会に「やめたらどうでしょうか?」と答えられたら無責任ですよ。

後、不労所得という言葉は調剤薬局で働いている身としては撤回していただきたいのですが・・。改善点は多々あるでしょうし、どの仕事もそうですが・・。

逆に、私みたいなジャーナリズムを知らないど素人に新聞記者なんて、他人の不幸を餌にして飯食ってるだけと言われたらどう思われますか?新聞は紙の無駄だから不要。ケツ拭く紙にもならん。ネットで充分。主観の入り混じったメディア論なんて害悪。事実だけ伝えればいらないと。

一度お話伺うことも可能です。以下のケータイ番号へどうぞ。

水野隼人(厚労省の薬剤師検索でてきます)
070-5334-3356









それでも
Unknown (Unknown)
2017-11-18 05:03:02
議論が本格化してきましたね

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171117-00050010-yomidr-sctch

良い流れです。
調剤報酬は費用対効果の観点から考える必要がありますね。

まあもうすぐ国民の審判が下るでしょう。どうなるか首を長くして待ってみます。
Unknown (Unknown)
2017-11-18 09:31:10
炎上商法
マッチポンプは
撲滅しましょう。

https://www.ad-c.or.jp/campaign/self_all/self_all_01.html
Unknown (Unknown)
2017-11-18 14:34:32
・薬局に直に出向いて相談すれば、異なる対応もあったのでは? タダ働きしないことに文句を言ってどうしようと言うの?

・医科における支払いのうち、処方せんの発行料「のみ」の部分を比較対象にする理由は?
それはつまり、あなたは医師のことも、「薬を出してくれる人」と言う認識しかない?
仕組みが良くわからないが薬に関わる仕事が二つあるので無駄だと思う、と言っているようにしか見えない。

・今や病院のほうが院内処方をしたがらない。患者さんからは消費税を取れないので。薬の納入時には消費税を当然払う。ましてや、在庫だけ抱えるリスクは常にあるので、院内処方が昔ほど流行ることは二度とないだろう。
あなたは、お金を払いたくないので院外処方を辞めてください、と医師に話をしないのですか? 話せばいいじゃないですか。

・薬科大を増やし過ぎた文科省の責任にも責任がある。薬剤師の質が担保できていない。また、理念を持たない薬局経営者が多すぎる。医療に数の論理を持ち込み、規模を目的に活動するだけになってはいないか。
あなたの話に、そういう論点が足りないのはなぜ?


文句を言うだけなら誰でもできる。
物事を知らない事自体を偉そうに言ってどうなるの?
恥の上塗りですよ?
Unknown (ぽんた)
2017-11-18 15:24:57
>> 医院や薬局が勝手に決めているのではなく、医療行政、薬務行政のルール(規制)の結果がそうさせているのでしょう。「素人は誤解を与えるようなことを書くな」というならば、どこをどう改革、改善すれば、利用者を納得させられるのか、説明が欲しいと思います。

これは、そもそも「国」がすべきでは無いですか?
民間の保険に入る時には細かい字のパンフをもらって重要事項を説明してくれるのは「保険会社」です。
ですから、皆保険制度であって本人が承諾して無くても保険料さえ払えば保険に入ってるわけですが、保険証を渡すときに、皆保険制度はどういうものか?保険点数はどうなってるのか?の説明責任は保険会社である国だと私は思いますけど。

それと、これだけ院外が問題ありと思うなら医師に「院外処方でなく院内で薬を欲しい」と言えばいいのではないでしょうか?

医者と薬局の二重取りと言うけど・・・内科と耳鼻科とかかったら都度再診料を取られるしあなたが知らないことも多いと思いますけど?
医師の間違いをどれだけ防いでるかご存知ですか? (Unknown)
2017-11-18 18:38:59
血圧降下薬ノルバスク・抗がん剤ノルバデックス、間違って医師が処方することもあります。
処方箋1枚の中の他の薬から推測して薬剤師は医師の間違いを正しているのです。
世間の認知度が低いのは、裏で敢えて隠しているからです。
「主治医の先生の処方、間違っていたから直しておきましたよ!」なんて患者さんに伝えようものなら、主治医と患者さんの信頼関係を崩してしまうことになるからです。
調剤に時間がかかるのはそのせい。裏で主治医に確認して間違いを修正しているから。間違った薬を出されなくてむしろラッキーなんですよ。
私は病院薬剤師でがん治療に従事していますが、薬である抗がん剤だけでなく治療法自体も勉強しています。(何癌ならこの薬の組み合わせの治療法、といったように。)
その治療法自体すら間違える、不勉強だったり若手の医師がいるので、そこから是正すべく医師に助言したりしています。それで治療法が覆ることも。

私も正直思います、このようなジャーナリストがいなくても世の中は回るけど、医療者がいなくなったら死人がゴロゴロ出ます。病気に苦しむ時間が長くなる人が増えます。
プライドを持って仕事しているので、悪く言われるのには心外です。
※他のジャーナリストの方すみません。他人を蔑むようなことはせず、大事な記事を作っていらっしゃる方もみえることは重々承知しています。
Unknown (Unknown)
2017-11-18 19:16:11
そこまで言っといて、薬局と連携してるような病院に通わないで下さいよ。

文句言いたいだけかどうかはっきり記載して下さい。だから皆を怒らせてるんですよ?

そろそろ理解しなさい。
悪質極まりない (通りすがりの薬剤師)
2017-11-18 19:41:00
いい加減に不労所得って言葉撤回して謝罪しろよ
ろくな取材もせんで全てを語るなんか週刊誌よりもタチが悪いわ
こういう言いがかりについてこちらもいろいろ調べさせていただいておりますので
そのうち然るべき手段を検討しております
例え、個人のブログであれ
他者の名誉を著しく毀損したり、
侮辱すれば問題になるのは当然です
それが新聞の元記者であればその記事の影響力を考慮すべきです
ただでさえ来年の4月の医療保険、介護保険、薬価改定などで医療関係者はピリピリしています
こういう言いがかりでも
アゴラに掲載されているの
今度の中医協でこのネタでガチャガチャ突っ込まれるネタになりかねないんですよ
とりあえずまずブログの大元には通報させていただきます
尚、アゴラにも同様の記事が出ているのでこちらについても削除要請を実施します
あとは今警察の方にも被害届として検討しています
警察の方に伺うと
現時点では悪質だが、
薬剤師の人が多すぎて立件は難しいそうですが
薬剤師の人からの被害届が多ければ動く可能性もあるそうです
ですので、薬剤師の人たちはお近くの警察のサイバー犯罪対策室への被害届をお勧めします

最後に、記事の内容は非常に悪質極まりないですので
このままの記事を書き続けらのであれば何度でも警察への被害届は出させていただきます

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