緻密な分析で黒田氏を痛烈に批判
23年3月24日
黒田日銀総裁の退任に向けて、10年に及んだ異次元金融緩和を総括する出版物、解説やインタビュー記事が多数、発表されています。黒田氏自身、日銀自身が「本当のところはどうなっているのか」の検証をし、日銀もその公表に取り組んでこなかったからでしょう。
異次元緩和や、これを軸にしたアベノミクスに「一定の成果」があったとする擁護 . . . 本文を読む
副作用どころでない構造変容を招く
2023年3月11日
植田和男氏を日銀総裁とする人事案が国会で同意されました。一方、2期10年間、総裁を務めた黒田東彦氏は、最後となる定例の金融政策決定会合後、記者会見に臨み、「金融緩和政策は成功だった」と語りました。
去り行く総裁は通常なら、記者からも労いの言葉をかけられ、「力が十分、及ばないところはあった」というようなやり取りで . . . 本文を読む
「回顧録」は歴史の検証に不可欠
2023年3月5日
白川方明・前日銀総裁が国際通貨基金(IMF)の季刊誌で、10年も続いた黒田総裁による異次元金融緩和政策に対し、「効果は控えめ。長期の緩和は生産性向上へ悪影響をもたらす」と批判しました。
「効果は控えめ」という表現にとどめたのは、古巣への遠慮でしょう。また、白川氏自身が政治の圧力に押し切られ、大規模緩和への道筋を開い . . . 本文を読む
「ライバルがいないと社員は緊張しない」
2023年2月18日
トヨタ自動車の社長を10年務め、米国進出を成功させ、経団連会長にも就任した豊田章一郎氏が97歳で亡くなった。私の現役時代、何度か懇談する機会があり、豊田氏の率直な経営思想に2度、驚かされました。
その2度というのは、世間一般の感覚、常識とは全く違うので、鮮明に記憶に残っております。私は経済記者として、官 . . . 本文を読む
黒田総裁にとってのサプライズ
2023年1月31日
これほど次々に異次元金融緩和政策の転換を迫る声に包囲されるとは、黒田日銀総裁は予想していなかったに違いありません。市場に数々の「サプライズ」を与えてきた黒田氏にとって、今回の流れはご自身にとっての「サプライズ」でしょう。日銀の歴史においても異例です。
令和国民会議(令和臨調)は30日、「異次元金融緩和が過度な財政 . . . 本文を読む
経済理論を欠くドキュメンタリー
2023年1月3日
今年最も重要な経済政策は、アベノミクスの主軸であった異次元、大規模金融緩和からの転換です。それを担う日銀の新総裁(4月就任)の人選を岸田政権は年明けから急ぎます。
出口に至る複雑な方程式を解き、市場の混乱を避けながら転換を担える人物の選任は容易ではありません。候補に挙げられても「困難極まる仕事で、私にはとても無理」 . . . 本文を読む
黒田氏の起用が誤りの始まり
2022年12月22日
日銀は20日、事実上の金利引き上げ(長期金利の上限幅を0・5%に変更)に迫られました。黒田総裁は不可解な説明を繰り返しています。今回も「市場機能の改善が目的で、利上げではない」というではありませんか。苦し紛れの弁解を言い続けるのはやめたほうがよい。
「市場機能の改善に焦点をあてたもので、金融引き締めではない」などと . . . 本文を読む
ドル高容認の背景には対中政策もある
2022年12月16日
日銀ウオチャーの加藤出氏(東短リサーチ)が最近書いたの記事の中で、1990年代のルービン米財務長官の「強いドルは米国の国益にかなう」との政策理念を想起しています。「強い通貨」は「対外的な購買力を高め、インフレ率を低下させる。良質な投資資金も流入する」との政策理念です。
加藤氏は「日本の通貨安は逆の悪循環を生 . . . 本文を読む
「新しい資本主義」より「新しい政治」が必要
2022年10月29日
政府は29日、物価高対策、円安対策などを盛り込んだん一般会計で約29兆円の総合経済対策を決めました。日銀も同じ日に大規模金融緩和を維持することを決め、巨額の赤字国債の発行を支える態勢を続けます。
ほとんどの国が金利を引き上げ、財政支出を引き締める方向に転換しているのに、日本だけが世界の大勢に逆行し . . . 本文を読む
長期戦略なき小手際の対応ばかり
2022年9月23日
大規模金融緩和の継続と利上げ回避を日銀総裁が記者会見で発表中に、円は1㌦=146円を突破し、慌てた政府は24年ぶりの円買い介入を実施しました。140円台前半まで円は戻したものの、介入の効果は限定的なようです。
鈴木蔵相、黒田日銀総裁の会見を見ていると、異次元金融緩和と財政拡張政策を10年近く続けたため、身動きがと . . . 本文を読む
まるで「円の国葬」ではないか
2022年9月5日
130円台前半まで戻した円は再び下落に転じ、1㌦=140円をつけ、24年ぶりの安値を記録しました。米FRB(中央銀行)のパウェル議長は「経済に影響が出てもインフレ抑制を優先する」構えで、政策の方向性について意思を明確に示しています。
欧米の金融引き締めに対し、日本は超金融緩和を継続する構えで、「日本だけが別の世界にい . . . 本文を読む
後輩の次官を怒鳴りつけた硬骨漢
2022年8月4日
大蔵省(現財務省)の事務次官だった吉野良彦氏が91歳で死去しました。財務省のドン(ボス)といえば、長岡実氏(事務次官を退官後、最後は東証理事長)が有名で、吉野氏はその後を継ぐドンでした。
1928年の入省、86年から二年間、事務次官を務め、「吉野悪彦(ワルヒコ)」という異名がつけられていました。最近の官僚の相次ぐ不 . . . 本文を読む
世界が注目する孤高の大規模緩和
2022年7月23日
欧米を始め、世界の63か国が今年前半、インフレ抑止のために、金利を引き上げている中で、日本は大規模緩和政策の維持、金利の据え置きを決めました。円安も1㌦=140円突破に向かい、消費者物価は上昇しています。
孤高の異次元緩和政策を続けていくと、日本経済はどういうことになるのか。「やってみなければ分からない実験みたいなことに挑 . . . 本文を読む
人口減少も歓迎すべき変化
2022年7月18日
中国の経済社会問題で日本のメディアが大扱いしているのは、経済成長の失速と人口減少です。いままでのペースで中国が経済成長し、人口もどんど増えていったら日本はおろか世界の脅威であり続けます。
むしろ中国の経済低迷と人口減少は、日本や世界にとって歓迎すべきことです。ロシアのウクライナ侵略を傍観、黙認している中国を批判しながら . . . 本文を読む
異形の政策に苦悩が滲む
2022年6月25日
黒田東彦氏と中曾宏氏は13年2月、日銀の正副総裁に就任し、アベノミクス・異次元金融緩和政策を推進しました。中曾氏は18年3月、5年の任期が切れて退任しました。同氏による回顧録「最後の防衛線/危機と日本銀行」(日経出版)が出版されました。
バブル崩壊(1990)後の金融危機対策から書き始め、異次元金融緩和の出口論に至る700頁もの大 . . . 本文を読む