危機は姿を変えて来襲
2023年10月13日
50年前の1973年10月、第4次中東戦争を契機とした世界的な石油危機が勃発しました。当時、通産省・資源エネルギー庁の担当官僚は連日連夜、情報収集、危機対応に追われ、それを伝える記者らも寝食を忘れる日々でした。記者クラブに在籍していた私もその1人でした。
戦後最大の経済危機と闘っているという意識から、危機対応の官僚と記者 . . . 本文を読む
異次元緩和策の「目的外使用」
2023年9月9日
円の実力(実質実効為替レート)は「50年ぶりの低水準」、円安と海外資源高で消費者物価は「40年ぶりの高騰」です。歴史的な異変と言えましょう。物価は11か月連続で3%超(政策支援をなくすと4%台)です。ガソリン価格まで円安で1㍑=180-190円で「15年ぶりの高値」です。
円安阻止のために、政策金利を上げていくべきな . . . 本文を読む
原発回帰に立ちふさがる難題
2023年8月10日(下)
(2) 防潮堤を甘くみた報い、福島原発事故で全て台無し
オイルショック当時は、官僚が力を発揮できた時代で、通産省、資源エネルギー庁の活躍で、日本の省エネルギーの経済構造への転換に成功し、経済成長率が高まっていく時代でした。それがオイルショックからざっと40年後の2011年3月、福島第一原発の事故で全てが台無しになりました。事故 . . . 本文を読む
原発回帰に立ちふさがる難題
2023年8月9日(中)
便乗値上げ分析の産業連関表をスクープ
当時の新聞の縮刷版をみると、「ついに石油割り当て立法」、「石油耐乏生活スタート、緊急対策決まる。暖房温度20度、テレビ、車自粛」、「灯油1缶288円。モノ不足、物価加速」などという見出しの記事が連日、第1面に載っています。
年が明けて1月、山下英明・事務次官が記者会見で「 . . . 本文を読む
原発回帰に立ちふさがる難問
2023年8月8日(上)
(1) 官僚の力、新聞の力があった頃の石油危機
(2) 防潮堤を甘くみた報いから原発事故起こす
(3) 脱炭素政策で原発回帰を目指すも課題山積
今年の10月は、第4次中東戦争を契機とする第1次オイルショック(1973年)から50年になります。私は当時、通産省の記者クラブに在籍し、石油危機に揺れる激動の時代を取材 . . . 本文を読む
物価高で国民の悲鳴が聞こえる
23年7月29日
日銀は28日、長期金利の上限を「0・5%」から「1・0%」に事実上、引き上げることを決めました。植田総裁は市場機能の低下という副作用を減らすための「金融政策の柔軟化」が狙いだと、記者会見で表現しました。日銀関係者にしか意味が分からない悪文の典型です。
新聞の社説は「これまで以上に丁寧な説明が求められる」(朝 . . . 本文を読む
日経のインタビューに登場した背景
2023年7月8日
日経新聞の一面に7日、内田・日銀副総裁が応じた不思議なインタビュー記事が載りました。10年以上にわたる長期の異次元金融緩和の修正(出口)を示唆したと受け取るしかない発言内容です。
日銀総裁のインタビューならともかく、単独インタビューとはいえ、副総裁の発言が一面で目立つように扱われ、さらに中面で紙面の半分以上を使っ . . . 本文を読む
円安と物価高で税収増を図る
2023年6月26日
円が1㌦=143円(26日現在)まで下落し、為替安もあり、5月の消費者物価は3・2%まで上がりました。9か月連続で3%を超え、政策効果(物価抑制の補助金政策)がなければ実質4・3%というインフレ状態です。引き締めを続けている米国の4%を上回ります。それなのに日銀は動きません。
メーカーは商品の容量を減らし、見かけの価 . . . 本文を読む
動かない植田総裁に催促の声
2023年6月13日
東京株式市場で週明けも勢いが止まらず、13日、株価はさらに上昇し、終値は580円高で3万3000円台でした。3万円を超えた頃から、外人投資家が主導するバブル発生との見方もあり、高値警戒感が急速に強まってきました。
それにもかかわらず、株価は3万1000円台、3万2000円台と上昇し、32年ぶりの高値を記録しました。年 . . . 本文を読む
財政再建は財務省の謀略とみた安倍氏との違い
2023年5月29日
米国の国債発行額の法定上限を引き上げることで、バイデン大統領と野党・民主党が基本合意に達しました。日本のメディアは交渉が決裂すれば、米国債が債務不履行(デフォルト)に陥り、マネー市場が大混乱に陥るため、大々的に報道してきました。
市場は交渉結果を好感し、日本の株も29日、500円高の3万1400円で寄 . . . 本文を読む
「見えるか化」で緩和の代償を示せ
2023年5月13日
植田・日銀新総裁は過去25年間の金融政策について多角的なレビュー(検証)をすると明言しました。大いに期待するとして、それにしても異次元金融緩和の結果や効果はもちろん、その裏側に隠れているコスト、代償について隠し事があまりにも多かったように思います。
一種のカモフラージュでしょう。国民が知りたい本当のところを説明 . . . 本文を読む
物価上昇は金融政策の成果ではない
2023年4月29日
植田新総裁を迎えた日銀は大規模金融緩和を維持しつつ、1999年以来、25年間続いている緩和策の検証を決めました。植田氏は98年から2005年まで日銀審議委員を務め、ゼロ金利政策のスタート(99年)に関与していたので、2013年からの異次元緩和(アベノミクス)に先行する期間を外すわけにはいかなかったのでしょう。
. . . 本文を読む
金融不安対策で大展開の紙面
23年4月24日
「米著名投資家」、「投資の神様」と様々な尊称を欲しいままにしているウォーレン・バフェット氏が11日に12年ぶりに来日しました。日経新聞は1面トップで単独インタビュー記事を掲載し、「日本株投資を拡大」、「金融不安は買いの好機」の見出しで大展開しました。
同氏の投資会社バークシャー・ハザウェイは、円建てでこれまで1兆円を超え . . . 本文を読む
学生の関心事の如実な推移
2023年4月15日
日経新聞とマイナビ(就職情報)が24年3月卒業予定の大卒者を対象にした就職希望調査をしたところ、ニトリ(家具、インテリア)が第1位に躍りでました。上位の常連だった生損保、メガバンク、商社を抑えてのトップです。ニトリは前年も3位でしたから、実力でしょう(以下、文系男女総合)。
4位にはユニクロ(衣料品)が昨年の13位から . . . 本文を読む
再び先進国の最下位の経済成長率
2023年4月8日
黒田日銀総裁の退任は異例づくめになりました。先進国最長の異次元金融緩和、10年という在任期間の長さ、実質経済成長率の先進国最下位転落、他国に例をみない桁違いの国債保有残高、出口政策に背を向けた去り際といい、これほど議論を呼んだ総裁は日銀初でしょう。
花束を手に日銀本店を去る映像を拝見していますと、手を振り、満面の笑 . . . 本文を読む