ジネンカフェだより

真のノーマライゼーション社会を目指して…。平成19年から続いているジネンカフェの情報をお届けします。

ジネンカフェVOL.132レポート

2019-06-06 16:50:27 | Weblog
新時代の幕が開けた。私は、年号変わりは昭和から平成のそれしか経験がないけれど、あの時は昭和天皇の崩御を受けて日本中が自粛ムードに包まれていて、とても新時代の幕開けを言祝ぐ気持ちにはなれなかった。しかし、今回の場合は天皇の生前退位ということもあり、まるで年末年始のような賑わいと言祝ぎの中で新時代を迎えられることが出来、こういうのも良いなあ~と思った。児童虐待とか悲惨な事故や事件は時代が移り変わろうとも跡を絶たないが、この新しい令和の時代を平穏無事に暮らして行けますように…。さて、令和になって最初のジネンカフェは、ジネンカフェではお馴染みではあるけれど、お久しぶりでもあるナカムラユウコさんの音楽LIVEである。ナカムラユウコさんとは独身時代にジネンカフェを通じて知りあい、拡大版の時のアーティストとして二度ほどミニLIVEをお願いしたこともあったし、その半生を通常版のゲストとして語っていただいたこともあった。個人的には朗読CDを一緒に製作したり、バンドの真似事をしたこともあった。ご結婚されて子どもさんを生んでしばらく育児に専念されていたが、現在はリトミック講師やピアノの先生や絵本の読み聞かせなど活動の幅を広げられて活躍中である。今回がソロシンガーとしての久しぶりのLIVEだという。光栄なことだ。

LIVEは三部形式に分けて行われた。先ず第1部では「約束のリング」「月と歩いて」「ときのまほうつかい」「星がみっつ並ぶ日」「会いたい」「芯」「闇と光」の7曲を披露して下さった。お久しぶりの曲も新曲もあったが、ナカムラユウコさんの特徴でもある自然界と私たちとの繋がりを意識させてくれるような曲たちであった。5曲目の「会いたい」という曲は、ナカムラさんが学童保育をされていた頃に、小学三年生のひとりの女の子が書いた詩に曲をつけたものだそうで、その詩の内容もそうだが、「好きなひとに会いたい」という、ひとがポジティヴにもナーバスにもなれる感情の有り様を見事に表していて、やはりこの人は根っからの人好きてあり、表現者なのだなと思わせてくれた。また、たびたび、深呼吸をする? と訊いて来るのもナカムラさんらしいなあ〜と面白かった。

第二部では「季節」「せかいはなぞだらけ」「野生のキャベツ」の3曲と、即興で歌を作るワークショップが行われた。大まかな括りとして〈地球上の生き物〉なら何でもよいということで、参加者ひとりずつが好きな生き物の名前を挙げて行ったのだが、〈生き物〉というだけではまとまりようがなく、トカゲのような爬虫類からペンギンのような有名な動物もいるし、ダイオウグソクムシのような深海生物もいる。また、おじさんなどというとぼけた名前の魚や、カミキリムシみみたいな昆虫なども出された。ナカムラさんファミリーが持ってきた図鑑を見ながら答える人たちの姿もあった。これを果たして曲に出来るのか興味深いところだが、どうにかこうにか一曲の中に収まった…感じであった。このワークショップが大いに盛り上がったのは言うまでもない。

15分間の休憩を挟んで、第三部では〈みんなで歌える曲〉ということで、「浜辺の歌」「上を向いて歩こう」「見上げてごらん、夜の星を」「翼をください」と歌って来て、またもや参加者から言葉を募り、即興で歌を作ることになった。今度も全く括りがないので、それぞれにそれぞれのお気に入りのフレーズを出して行ったわけだが、それが全く異質なものと繋がりの感じられるものとがあり、それらを束ねて曲を作ってしまえるナカムラユウコさんというアーティストの感性の豊かさに改めて感動を覚えた。今回のLIVEは最後にとある参加者さんのリクエスト曲・「幸せなら手をたたこう」で閉められた。

長いつきあいだから解るのだが、今回のLIVEは、癒やし系シンガーソングライター・ナカムラユウコさんが全力を出したLIVEだったと思う。彼女の人間としての魅力や、シンガーソングライターとしての能力や、ひとりの母親としての包容力などが凝縮され、それらがひとつの世界を形作って提示されていた。現在世界各地で分断やら断絶やら脱退などという言葉が飛び交い、あたかもそれが正義の如く為政者たちにより語られている。違うのだ。私たちが求めるものは包容であり、融合であり、ゆるやかに繋がりあった世界なのだ。仏教の開祖・ゴーダマ・シッタルータがその入滅の折、弟子に向かって「この世界は美しい」と言われたそうだ。そう、この世界は限りなく美しい。そして音楽とは、その世界を音と言葉によって形容し、私たちの前に現出させてくれる映し鏡のようなものなのだろう。ナカムラユウコさんの活動が広がり、彼女が作り奏でる映し鏡で世の中に美しく染め上げて行ってくれることを願いたい。