ジネンカフェだより

真のノーマライゼーション社会を目指して…。平成19年から続いているジネンカフェの情報をお届けします。

ジネンカフェVOL.050のご案内

2011-04-07 11:44:17 | Weblog
日時:5月14日(土)14:00~16:00
場所:くれよんBOX
ゲスト:西野由里さん(NPO法人ポパイ生活介護事業所オリーブ職員)

プロフィール:1984年名古屋市生まれ。
       2007年同朋大学社会福祉学部社会福祉学科卒

タイトル:「寄り添う気持ち」

コメント:
オリーブに出会い、丸4年経ちました。5周年を迎えたオリーブの歴史と共に過ごした時間を振り返ります。たくさんのご縁をいただいているジネンカフェで人の輪がつながれば嬉しいです。

参加費:300円(カフェ代別途)

主催・共催:NPO法人まちの縁側育くみ隊/かたひらかたろう/
      NPO法人くれよんBOX
      
お問い合わせ/お申し込み先
NPO法人くれよんBOX
名古屋市昭和区小桜町3-11 羽ね屋敷1階
TEL:052-733-5955

ジネンカフェVOL..049レポート

2011-04-04 22:23:50 | Weblog
今年度最後のゲストは(まちの縁側育くみ隊の年度末は4月)、瑞穂区障害者地域生活支援センター相談員の山本寿子さん。これまでも度々ジネンカフェに参加してくださっていたが、まさかご自分がゲストになろうとは思ってもいなかったろう。お話のタイトルは『まち・ひと・出会い、育まれてゆく私』
 山本寿子さんは石川県のご出身。大学進学のため名古屋に来られた。大学では社会福祉を専攻されていたが、なぜ福祉だったのかと問われると明確な答えが見つからないそうだ。ただ、大学進学を控えている頃にTVで「これからは福祉の充実が一層望まれる時代である」と言っていることを聴いて、あまり深く考えずに福祉というものを学んでみようと思い立ったとか。しかし、大学生活ではサークル(軽音楽部)活動とアルバイトに明け暮れ、サークルの部室に入り浸っていたという。
 そんな山本さんの学生生活を一変させたきっかけは、〈卒論〉であった。卒論を書かなければならないがテーマが思い浮かばず、山本さんがゼミの先生に相談に行ったところ、「ボランティアでもしてみなさい」と言われ、その先生がかつて勤めておられた名古屋市総合リハビリセンターの「障害者生活支援相談室」(後に現在の瑞穂区障害者生活支援センターとなる)へボランティアに行くことにした。
 ボランティアの活動内容としては、身体に障害のある方たちと行う外出講座やお菓子作り講座のお手伝いだった。山本さんはそこでリハビリや様々な体験を積んで昨日よりも今日、今日よりも明日…とより良く変わってゆく人たちの姿を見て、「からだの障害が改善したわけではないのに、なぜ変わったんだろう?」と疑問に思いながらも、はじめて福祉に対する関心が湧いてきたという。人は誰かとの出会いや、支えによって変われるものなのだ…。
大学卒業後にまだ就職先が決まっていなかったため、リハビリセンターの就労支援を行う部門でアルバイトを行うこととなった。そこで山本さんが担当したのは、主に事故や突発的な病気など人生の途中で体に障害をもってしまった方たちに対する職業評価である。その仕事を通して、〈障害〉そのものに対して考えさせられたという。これまでは、〈障害〉に対して、無意識のうちにネガティブなイメージを持っていたが、できること・できないことを正しく知り、できることを伸ばし・できないことを補う方法や環境をつくれば、〈障害〉ではなくなるんだ、と感じるようになった。
障害者の〈障害〉は社会環境が作り出している部分もある。障害者を取り巻く環境や制度が整備され、社会的な理解が促進されれば、それは〈障害〉があっても普通に生活してゆけるのではないのだろうか?
 その後、名古屋市総合リハビリテーションセンターで採用され、平成18年の自立支援法がスタートした年に「瑞穂区障害者地域生活支援センター」に相談員として配属された。
 名称には〈センター〉とつけられてはいるが、どの区の支援センターも職員(相談員)の人数が少ないのが現状で、その少ない相談員で知的障害と肢体障害の生活全般にわたる相談支援(精神障害の場合は各区にはなく、ふたつの区にひとつ設置されている)をされたり、いろいろなピアサポートを行っているわけだが、そんな気ぜわしい中にあっても、山本さんは日々変わりゆく人々の姿に、福祉の仕事の面白さを感じている。ご自分がいろいろな出会いや体験によって変わっていったように、どんなに重い障害を抱えていても機会があれば人は変われる。障害を抱えた人たちがその潜在能力を引き出し、自立をし、社会参加を果たしてゆく…。自分はその人たちの相談に乗り、必要なときは支援をする仕事をしている支援者なのだという自覚。さらに、人が変わっていくことによって、地域もよりよいふうに変われるはず。それが山本さんの原動力になっている。
あるとき、山本さんの友達が乗っているバスに、一般常識から外れてマナーを守らない障害をもった方が乗り合わせていた。後日、その友達と会ったとき、言われたのだという。「障害者だからって公共的なマナーを守らないでいいなんて、私は福祉の心がないから思えなかったわ」と。それを聴いた山本さんは驚いたという。一般の方が描く〈福祉〉って? 〈福祉の心〉って? 特定の人たちを特別扱いすることが〈福祉〉なのではない。障害のある方であっても公共の場でマナーを守ることは必要だし、マナーを知らなければ学ぶ機会が守られるべきだ。マナーを学ぶことに限らず、外出したり、買い物をしたり、自分で自分のことを決める等、通常行われるあたり前のことがきちんと行われるようにするのも〈福祉〉の仕事なのではないだろうか?
日本と欧米では〈福祉〉という概念の成り立ちも歴史も異なるので仕方がない面もあるのだが、まだまだ〈福祉〉がある特定の人たちのためだけにあると思われているところもあり、教育の現場からいってもそれは色濃く出ている。各区の障害者地域生活支援センターも、地域に住む障害のある方が安心して暮らせるように、福祉事業所や行政、当事者さん、地域住民などと自立支援協議会というネットワークづくりの場を設けてはいるものの、なかなか点の〈福祉〉が線になり、面になってゆかないジレンマも感じている。
どうしたら〈福祉〉を誰もが身近なものとして感じられるようになるのだろう? それは私もいままで考えてきた課題でもある。答えはまだ出ない。山本さんではないが、今度とも皆で考えて行かねばならない問題であると思っている。