ジネンカフェだより

真のノーマライゼーション社会を目指して…。平成19年から続いているジネンカフェの情報をお届けします。

ジネンカフェVOl.117レポート

2017-09-22 18:51:38 | Weblog
毎年この言葉を書いているような気もするのだが、それでもやはり書かずにはいられない。
「暑い!」この暑さは一種の〈凶器〉と言ってもよいだろう。みなさまもくれぐれも熱中症にはお気をつけて下さい。さて、今月、VOL.117のゲストは、SUVACO・リノベりすアドバイザーの加藤沙奈さん。後述するがSUVACO、リノベりす、というのは、住まいづくりのためのリノベーション・リフォーム、注文住宅のサイトの名称で、加藤さんはそのサイトに家を建てたい、リノベーションをしたいと問い合わせをされるお客さんと、そのお客さんの希望に添った建築家を探して繋ぐコーディネーターなのである。お話のタイトルは、『家が欲しいひとと、家づくりのプロをつなぐ~リノベーションの魅力』

【匠に憧れて】
加藤沙奈さんは、名古屋市港区生まれ。大学は名古屋だが就職は東京に出て、現在は実家である日進市に住んでいる。SUVACO、リノベりすどちらのサイトも運営会社が東京にあり、加藤さんは電話やメール、スカイプなどを駆使し、リモートワークをされていて、西日本全域を担当されているという。加藤さんは工務店を営まれていたお祖父さんの影響もあって、幼い頃から物作りや建築に親しんできた。現在お住まいになられているご実家もお祖父さんが建てられたということで、建築やものをつくることに対して憧れを持っていたのだ。TV番組もテレビ朝日系列で放映されていた『劇的ビフォー&アフター』が好きだったという。匠が問題を抱えた家をどのようにリノベーションして、その家の家族の希望通りの住空間を作りあげるのか? お披露目された時に家族ひとりひとりの笑顔が見られるのか…? 自分もお祖父さんのように、または『劇的ビフォー&アフター』に登場する匠のように、住空間づくりを通して、人々に幸せを届けたい! 加藤さんはいつしかそんな未来の夢を描くようになった。

【大学の建築学科に入ったものの】
こうして名古屋の某公立大学の建築系の学科に入学した加藤さんだったが、学んでゆくに従って〈建築〉というものが解らなくなってきた。有名建築家の話題の建築が完成して学生として見学に行った際に、建築としての評価とインターネットなどを通じてみる一般の人たちの評価がちがうことに気づいたのがそのきっかけだった。デザインの良さや革新的なプランニング、建築としての評価と、住みやすさはイコールではないのではないか?そんなことが頭の中をぐるぐる回って「建築って何なのだろう?」「もう建築をやめよう」とさえ思い、悩んだという。

【その人のために設える建築】
しかし、加藤さんは踏み止まった。その人のために、色々なことを考えて一生懸命にデザインして設える建築は素晴らしいと思っていた。幼い頃から親しんできた建築の世界、自分たち家族のために実家を設えてくれたお祖父さんを尊敬する気持ちもあり、建築は人々を幸せに出来るものであるという想いを加藤さんは抱き続けていたのだろう。

【建築とひととをつなぐ仕事】
学生時代の課題を通して、加藤は建築家を志す友人たちには熱意も情熱も敵わないと感じた。友人は徹夜をしてまで細部に拘って考え抜いてものづくりをしているし、そうして造り出された計画はやはり素晴らしいと思う。そういう建築の世界をより多くの人々に知ってもらいたいとも加藤さんは思っていて、自分には建築と一般のひとをつなぐ仕事なら出来るのではないかと考えた。建築家と仕事がしたかったのだという。しかし、加藤さんが就職する時には名古屋では建築家と家をつくるというのはまだ一般的ではなくハウスメーカーが強い地域性で、新卒で入りたい会社が地元にはなかったので、就職は建築の最先端であり、憧れでもあった東京の〈建築家とつくる注文住宅の会社〉に就職したという。

【家づくりの基礎を学ぶ】
その会社は〈デザイナーズの注文住宅〉の会社で、3名の建築家たちからコンペをしてもらい、提案をみてその中から建築家を決め、その建築家と家づくりをするという仕事の仕方だった。加藤さんの仕事としては住宅展示場にいて、見学に訪れたお客さんに家づくりやコンペの話をして、そのお客さんの希望に合った建築家を登録してくれている中から3名選び、お客さんと3名の建築家とのヒアリングの機会を設け、プレゼンをしてもらい、決まったら加藤さんの会社が施工をする…ということをしていたという。その会社で注文住宅の基本、どんなことを決めてゆくのかとか、注文住宅は設計から仕様まで自由なので、家づくりの基礎を学んだという。加藤さんは注文住宅の営業だったのだが、お客さんの選択肢として〈建売住宅〉〈ハウスメーカー〉があり、ライバルでもあった。〈建売住宅〉は既に建ててある家を販売するので価格も安く、仕様も似たような家が多いのだが、そういう物件を求める人もいれば、ハウスメーカーに行ってプラン集の中から選んで家を建てる人もいる。ハウスメーカーもそれぞれに特徴があって、積水ハウスは鉄骨造だから価格がちょっと高めとか、三井ホームなら木造で坪単価はこのぐらいとか、どんな会社があって、どんな金額で、どんなことが出来るかということを学んだという。

【注文住宅の営業として、していた事 1】
それというのもそこには建売住宅のメーカー、ハウスメーカーとの”競合”があったからだ。そのお客さんに合っているのは建売かも知れないし、ハウスメーカーの家かも知れない。加えて注文住宅というのは、どうしても価格が高くなってしまうので、それだけの価値を感じて貰わなければならず、そういうことも踏まえた上で営業をしていたので、それぞれの家づくりを比較するための勉強も必要だったのだ。

【ハウスメーカーの家づくり】
当時のハウスメーカーのいくつかはそれぞれの会社のプラン集があり、その中からお客さんが自分たちの希望に近いプランを選び、それを多少の変更する程度。建売よりも選択する自由はあるものの、注文住宅のように完全にフリーで設計する形ではなかった。キッチンなどの水まわり、床材や壁材などの仕様もハウスメーカーが用意したものの中から建てないといけないわけだ。

【注文住宅の営業として、していた事 2】
その当時、加藤さんは注文住宅の営業担当者として、自己紹介とかお客さんに対する手紙を『家つくだより』というニュースレターにして送ったり、完成したお客さんの家の写真を撮り、記事にされていたそうだ。また、コンペ方式の注文住宅だったので、お客さんから家づくりのテーマ(キーワード)や、悩みとか要望をあげて貰い、それを書き出して3人の建築家を提案し、この3人に図面や模型でプレゼンしてもらって、最終的にはお客さんにどれがよかったか確認を取って建築家を決め、施工に入るというプロセスをこなしていたそうだ。ここで営業の基礎を学んだとか。

【いろいろと重なり、転職を決意する】
しかし、あまりもの激務に加藤さんは転職をしたくなった。土日はもちろん仕事、休みも少なく毎晩遅くまで仕事をしなくてはならず、、新卒だったということもあって仕事の効率が悪く、友人と会うこともなかなかできなかったという。建築家と加藤さんがお客様と一緒に、一生懸命にプランニングをしても、時には施工がうまくいかず、お客さんをがっかりさせてしまったりして、「加藤さんは信用出来るけれど、工事で残念な思いをした」と言われてしまったりもしたそうだ。そうしているうちに、他の会社でも働いてみたいと転職する決意を固めたという。

【いつの間にやらリノベ会社のコンシェルジュに】
転職先はリノベーション会社だった。「これからはリノベーションだ」と思っていたこともあったし、これまでの反動でゆっくりと働ける仕事がよかったので、リノベ会社に経理とか工事部事務として入ったそうだ。事務仕事なので割と定時に帰ることが出来るのだ。経理の仕事も建築のことが解っている事務職だったので、建材の仕入れ担当や、業者との価格交渉担当をしていて、そうこうしているうちに「受付に座ってくれ」と言われて受付に座ったら、今度は喋ることが出来るから「お客さんと喋ってくれ」と言われて、いつの間にやら営業職ではないけれど、コンシェルジュという肩書きが付けられていたという。コンシェルジュの仕事は、リノベーションに興味があるお客さんにいろいろと説明したり、中古物件を買ってリノベーションしたい人に「ワンストップ相談会」の案内をしたり、セミナーをしたり、そのうち広報のような仕事までやり出して、結構いろいろなことを経験させてもらったそうだ。新築とは違うリノベーションにも徐々に詳しくなり、色々な仕事を経験したことで、自分はやはりお客様と話すのが好きで得意なことだと気づいたという。

【リノベーションとリフォーム】
最近〈リノベーション〉という言葉をよく耳にするようになった。名古屋でも四家道や円噸寺商店街の民家のリノベーションが有名だが、昔から一般的に使われている〈リフォーム〉との違いは何か? 加藤さんによるとリフォームというのは、現状回復のための修繕・営繕、不具合箇所への対処で、例えばシャワートイレが壊れたからトイレの便器を交換したり、壁紙を変えたりするのに対して、リノベーションというのは機能とか価値の再生のための改修、規模に関わらず暮らしが変わるような工事のことを差すのだという。つまり加藤さんが好きで視ていたTV番組『劇的ビフォー&アフター』が扱っていたケースは、殆どが〈リノベーション〉だったのだ。

【優良なリノベーションとは?】
そして優良なリノベーションとは工事とか検査もされていて、保証もされていて、リノベーションの履歴が残っていることだとか。そういったリノベーションを推進する『リノベーション住宅推進協議会』という団体も存在し、加藤さんの所属するSUVACO株式会社もそこにも加盟している。

【リノベーションの魅力】
リノベーション会社に転職して、加藤さんはすっかりリノベーションの虜になっていた。注文住宅の営業をしていた時、加藤さん曰く「壊して、建てる人」だったという。建物が建っていたらそれを解体して、新築する…ということは、解体する費用もかかることになる。これが100万以上のお金がかかる。リノベーションをすればそれがないし、現在そこにあるものが活かせる。建て替えであればもともとある建物の思い出も残すことが出来るし、エコロジカルでもあるし、なによりもあるものを活かしてお客さんの夢や希望を叶えるという考え方が魅力的だと感じているそうだ。

【リノベーションでは同じものはひとつもない】
新築の場合は建売でも同じものをガンガン建てて売るのだが、リノベーションの場合は現在あるものをベースに造ってゆくしかないので、同じものはひとつもないということになる。それもリノベーションの面白さのひとつだという。つまりは拘りをもって個性的な家づくりが出来るのだ。建築をする側からすると、リノベーションというのは新築を建てるよりもかなり難しいのだそうだ。新築は何もないゼロの状態から形にして行くのに対して、リノベーションはお客さんの要望を叶えるのに、現在ある素材(建物)をうまく使いながら工事したり、現場でいきなり問題が発生したり、そういう〈難しさ〉みたいなところが面白いのだという。

【やがて迎えた第二の転機】
このように自分では設計はしないけれど、お客さんにリノベの実例とかの話をしたり、共感してもらってリノベーションがどんどん広がってゆくのが楽しくてやり甲斐を感じていた加藤さんだったが、転機が訪れた。自分の会社とマッチングしないお客さんが来てしまうことがあって、それは『リノベーション住宅推進協議会』に入って気づいたことなのだそうだが、そこにはいろいろなリノベーション会社が登録しているので、その人たちと会う機会もあるのだ。自分の会社と他の会社が全然違ったり、得意としている分野が違ったりするのだが、お客さんにはそれが解らないのだ。どんな会社があるのか? 自分たちに合う会社なのかも解らない。それは凄い問題だなと思ったという。「このお客さん、うちの会社よりもあそこの方がよいのにな…」と思いながら話を進めてゆくことに、違和感を持っていたそうだ。何となくお互いに「ちょっと違うな」ということがあったり、お客さんは気づいてなくてもこちらが「あの会社の方が合っているかも…」と思っていると、ちょっとした問題ではあるが、ミスマッチが原因と思われるトラブルも発生したりした。しかし、自分の会社に来てくれたお客さんには、社員である以上、当然自社のPRをしなければならない。そういう思いが出てくるに連れて、会社に縛られずにもっとひとと建築をつなぐという、もともとやりたかったことが出来るのではないかと思い始めたそうだ。

【フリーランスとして独立する】
そうして2016年1月に、加藤さんはそのリノベーション会社を辞め、フリーランスで働くようになった。リノベーションライターだったり、いろいろな会社とお付き合いして仕事をしてみようと思ったのだ。ライターの他にも広報のお手伝いとか、中古物件探しのお手伝いとか。いろいろな会社の手伝いをしたという。その一年間独立し、自分の地盤固めとか、何がやりたいかを考えてから地元の愛知県に帰ろうと思ってもいた。もともとずっと東京に住み続けたいと思っていたわけではなく、東京で学んだものをいつか地元に持って帰りたいと思っていたので、これは良い機会だから帰りたいと思っていたのだそうだ。

【SUVACOとの出会い】
その中でSUVACOに出会った加藤さんは、SUVACOの社長から「うちも手伝って」と声を掛けられ、SUVACOアドバイザーの仕事をすることになった。SUVACOとは、家がほしいひとと、家づくりのプロをつなぐマッチングサイトで、注文住宅のお客さんも来れば、リノベーションのお客さんも来るし、リフォームしたいお客さんも来る。ただ単に住宅ローンの組み方の相談のお客さんも来る。いろいろなお客さんが来てくれるから、いろいろなアドバイスが出来るということでやり甲斐があり、加藤さんは徐々にSUVACOへと重点を置くようになっていった。

【建築とひとを繋げられる実感が出て来た】
いままではリノベーション会社だったので、他のリノベーション会社と知りあいの建築家さんとしか付き合いはなかったのだが、SUVACOに入ったことによっていろいろな人たちと知りあうようになったという。イベントも開催したり…。SUVACOにはいまいろいろな会社が1,000社ぐらい登録して貰っているそうで、そのすべての人たちとお会いしたことはないのだが、様々な売りの会社がある。デザインも和風が得意な会社もあれば、モダン系やナチュラルな感じが得意な会社もある。リノベーションよりもリフォームの方が得意な会社もある。スピード対応が売りの会社も、急ぎのお客さんにとってはありがたい存在だ。いろいろな特徴があり、そのお客さんにあわせた会社が必ず見つかるようになってきたので、凄くやり甲斐を感じている。全国の会社が登録してくれているので、その全国の会社とお付き合いするようになって、自分の世界が広がって来て、本当に建築とひとを繋げられるようになってきたなという実感があるという。

【マッチングって大事だな】
以前から感じていたことだが、加藤さんはマッチングって大事だなと思っている。例えば、無垢材などの自然素材を使いたいと思っているお客さんに無垢材を使い慣れていないリノベーションの会社を紹介したところで、お互いに不幸になるだけだという。リノベ会社からすれば「慣れていない素材の工事は不安だ」と思うだろうし、お客さんはその会社に対して「どうして自分が希望しているものをすすんで提案してくれないんだろう?」と不満を持つことになってしまう。トイレ交換などのリフォーム工事が得意な会社に何千万規模のリノベーション工事を紹介しても、今度はリフォーム会社側にとって荷が重く、その仕事に対する比重がかかってしまい、会社自体がうまくまわらなくなってしまうのだ。SUVACOに相談しないでも、お客さんが自分で自分に合った会社を選べるように『はじめてでも失敗しないピッタリなリノベ会社選び方セミナー』というセミナーを開いたこともある。

【セミナーではどんなことを伝えている?】
お客さんによっては、様々な要望がある。家具だけ造りたいひともいれば、女性の建築家に頼みたいというひともいる。年上の頼れるひとが良いというひともいれば、同世代のひとで友だちみたいにやりたいというひともいる。それぞれに要望があるので、どんな会社がよいかは、そのひとによって違うというところや、会社にも大手の工務店系、設計事務所的な会社などと分類分けして、こういう要望を持っているひとにはこういう会社が向いているというようなことを話しているそうだ。

【地元に帰るーリモートワークの始まり】
加藤さんは最初はフリーランスで、SUVACOとは業務委託を結んで仕事をされていたのだが、SUVACOで仕事をしているうちにこの仕事のスタイルなら地元に帰れると思ったという。そして「愛知県に帰ります」と宣言してスケジュール組みを始め、2016年の11月に愛知へUターンをしたそうだ。その時、SUVACOの社長に「リモートワーク、離れていても仕事が出来るか?」という話をしていて、SUVACOはインターネット上のサイトなので、お客さんとのやりとりは基本的にメールで、時には電話をかける場合もあるが、全国対応ではあるもののネットの会社なので「出来る」ということになった。そうして加藤さんは主に西日本の問い合わせを対応することに、東日本はもうひとりのアドバイザーが対応することになったという。会社とのやりとりはGmailやチャットSkypeとかカレンダーといったネットアイテムで仕事ぶりを管理しながら、働いている。2017年8月には、SUVACOが中部日本放送(CBC)から出資を受けることになり、名古屋支店もつくることになった。

【SUVACOの使い方】
前述したようにSUVACOはインターネットサイトなので、サイトをみたひとが自分だけでも登録されている建築家や、注文住宅・リノベ会社の一覧が出て来て、そこに問い合わせや資料請求が出来るようになっている。しかし、これだけでは誰が、どこが自分の要望に合っているのか解らない。それに対して加藤さんや、もうひとりのアドバイザーさんが〈専門家紹介サービス〉ということで、電話でもメールでも構わないのでどんな風にしたいのかという要望を入れて貰うと、加藤さんともうひとりのアドバイザーさんが対応してくれるサイトになっている。もうひとつ加藤さんがアドバイザーをされている〈リノベりす〉というサイトは、それのリノベーションに特化したサイトなのだとか。

★自分らしいアイデアとパートナーに出会えるマッチングサイト★
【SUVACO】 https://suvaco.jp/

★雑誌「リライフプラス」とのコラボから生まれたリノベーション情報サイト★
【リノベりす】 https://renoverisu.jp/

【建材マニアの旅】
お仕事の他にも加藤さんは趣味でネット上に「建材マニアの旅」という記事を書いておられる。タイトルをみてもわかるように、加藤さんの趣味は〈建材〉フローリングとかタイルとかに代表される建材が好きなのだという。いろいろなところに行って、それを記事にしているのだそうだ。最近では愛知県犬山市の明治村や、宇都宮の大谷石の採石場を訪ね、近隣で大谷石の使用状況を見たり、その延長で大谷石がふんだんに使われている帝国ホテルにも行ったそうだ。


【大久保的まとめ】
加藤沙奈さんとは、我らが事務局長・名畑恵氏からの紹介で知りあった。予定していたゲストさんに仕事が入り、来られなくなった。誰か興味深い活動とか仕事をされている方を紹介してほしいと頼んだらふたり候補を挙げ、どちらがいいか? と問われた。リノベ女子という紹介のされ方だったし、リノベーションというのは、福祉住環境コーディネーターの資格を持っている私にとっても興味深かったので、加藤さんを選ばせていただいたわけだ。初対面はうちあわせの時、紹介してくれた手前、名畑氏も立ち会うことになっていたのだが、当日トラブルが発生し、立会人の名畑氏が来られないことになった。(後に聞いたところによる)私もいわゆる〈リノベ女子〉とスムーズに話が出来るのか不安だった。が、蓋を開けてみれば気さくで、自然体で、話しやすい方だった。それに〈リノベ女子〉とはいっても、加藤さんはご自分がリノベをされるわけではなく、コーディネーター的な存在だということも解ってきた。もともとの物怖じしない性質であるのかも知れないが、そういうお仕事をされているからこそ、自然と話しやすい雰囲気が醸し出されているのだろうなと思った。また、加藤沙奈さんはご自分のお仕事に誇りとともに、熱意を持っておられるようだ。これまでそういう問い合わせはなかったけれどと前置きされ、バリアフリーの住まいづくりの実情について質問された。うちあわせの時も答えたが、バリアフリー住宅の環境整備は、普通の住宅を建てるよりも数倍難しい。詳しくは述べないが、バリアフリー住宅を設えるには建築の知識はもちろん、福祉器機・用具の知識、福祉制度の知識、保険などの知識も必要になってくるし、なによりも家族間の調整やその人の病気や障がいに対する理解も必要になってくる。しかし、逆に言えばその人、その家族のために設えるオンリーワンの建築、家づくりが出来るわけで、普通の注文住宅やリノベーションと何ら変わらない魅力がそこにはあるのだ。ただ、残念なことにその件数はさほど多くはないかも知れない。その理由については様々考えられるが、ここでは詳しくは書かない。しかし、バリアフリー、あるいはユニバーサル・デザインが扱える建築家なり、アドバイザーは少子高齢者社会を迎えている現在の日本にとってなくてはならない、それこそオンリーワンの存在になり得るだろう。加藤沙奈さんの益々のご活躍を期待したい。