今月のゲストは、<音楽サークル ドラむす>のメンバーである寺見麻里さんと磯部奈美さんのおふたりだが、今回はそのおふたりというよりも、サークルとしての<ドラむす>さんに焦点をあてようと思う。お話のタイトルは、「障がいのある人と行う音楽活動~音楽サークル ドラむすで感じた大切なこと」
音楽サークル ドラむすさんの結成は2004年だから、今年で8周年ということになる。毎月の第四日曜日に名古屋市の瑞穂区生涯学習センターで練習を行い、春と秋に定期コンサートを催したり、公演の依頼があれば出張演奏もしている音楽サークルである。演奏のレパートリーは幅広くポップスから沖縄民謡まで、基本的にメンバーが演奏したい、歌いたいという曲であればジャンルに関わりなく受け入れてゆくという。オリジナル曲もある。
もともとは南区にある障害者施設の日中活動として始まったサークルだったが、〈施設の外でも自分たちの音楽を奏でたい…〉というメンバーの強い希望を音楽好きなご夫婦が適え、地域のボランティアサークルとして活動することになった。現在メンバーは21名。4歳の子どもさんから50代の大人までと幅広く、その中に12名のいろいろな障がいをもつメンバーがいる。発達障害や知的障害、精神障害や身体障害、難聴や重複障害…。寺見さんと磯部さんも、日本福祉大学在学中に友人に誘われて見学に行き、メンバーの楽しそうな練習風景に参加を決めたのだとか。
障がい者が中心のサークルであると、どうしても障がいのある人たちが主役になり、それを障がいのないメンバーが支えてゆくという図式になりがちである。しかし、ドラむすの場合はそれとは違い、演奏する楽曲に応じてどこのパートが誰が一番適任なのかを話しあい、楽器も、ボーカルもそうして決めてゆく。代表の松田美和さん曰く「障がい者のためのサークルではなく、たまたまメンバーに障がいをもつ仲間がいた、という感覚で活動あげてゆく課程において〈障がい〉の有無などあまり意味がないのであろう。
〈音楽サークル ドラむす〉の魅力は、それだけに止まらない。演奏する楽曲、その一曲の内にメンバーの全員に光が当たるようなアレンジを施して演奏してゆくのである。歌うことの好きなメンバーがボーカルに選ばれようものなら、一流ミュージシャンばりに歌いながら客席を歩きまわったり、ギター担当者の横に行ってセッションをしてみたり…と、生き生きとパワーを全開にさせて弾けるという。
つまり、<ドラむす>では誰もが音楽を通して主人公になれるし、メンバーの楽しそうな笑顔に触れることができ、どんなに落ち込んでいる時でも<よし、明日も頑張ろう!>という気分にさせてもらえるのだ。寺見さんも、磯部さんも、そこに魅せられたのである。
しかし、こうした魅力的な活動をしている〈ドラむす〉さんにも、悩みのタネはあるという。メンバーの障がいの有無にこだわらないとは言っても、それはひとりひとりの障がい者メンバーの障害特性に配慮しないという意味ではない。強い緊張のせいで演奏をする時に手がなかなか伸ばせず、楽器が演奏出来なかったり、譜面めくりが必要なメンバーもいる。そうした時に強ばった手の筋肉を解したり、演奏しているメンバーに代わって譜面をめくるサポートメンバーがひとりでも多く必要なのだが、現状は少ないメンバーでまわしているため、練習や本番にひとりでもお休みをすると、残りのメンバーで担当しなければならなくなり、大変に忙しくなってしまうのだという。
現在は毎月の練習をしながらも、再来年に計画している「十周年記念コンサート」に向けた準備に取り掛かっているという。しかし、〈ドラむす〉さんにとって、「十周年記念コンサート」はひとつの区切りであっても、単なる通過点に過ぎない気がする。前出の松田さんも言われている。「ドラむすの場合、目標は先にあって目指すものではなくて、積み重ねられたものの中にあるのだ」と。
そうなのだ。障がいの有無も、性別も、年代も越えて誰もが生き生きと輝ける社会を夢見て、〈音楽サークル ドラむす〉さんは、今日も明日も心楽しげに音楽を奏てゆく…。
音楽サークル ドラむすさんの結成は2004年だから、今年で8周年ということになる。毎月の第四日曜日に名古屋市の瑞穂区生涯学習センターで練習を行い、春と秋に定期コンサートを催したり、公演の依頼があれば出張演奏もしている音楽サークルである。演奏のレパートリーは幅広くポップスから沖縄民謡まで、基本的にメンバーが演奏したい、歌いたいという曲であればジャンルに関わりなく受け入れてゆくという。オリジナル曲もある。
もともとは南区にある障害者施設の日中活動として始まったサークルだったが、〈施設の外でも自分たちの音楽を奏でたい…〉というメンバーの強い希望を音楽好きなご夫婦が適え、地域のボランティアサークルとして活動することになった。現在メンバーは21名。4歳の子どもさんから50代の大人までと幅広く、その中に12名のいろいろな障がいをもつメンバーがいる。発達障害や知的障害、精神障害や身体障害、難聴や重複障害…。寺見さんと磯部さんも、日本福祉大学在学中に友人に誘われて見学に行き、メンバーの楽しそうな練習風景に参加を決めたのだとか。
障がい者が中心のサークルであると、どうしても障がいのある人たちが主役になり、それを障がいのないメンバーが支えてゆくという図式になりがちである。しかし、ドラむすの場合はそれとは違い、演奏する楽曲に応じてどこのパートが誰が一番適任なのかを話しあい、楽器も、ボーカルもそうして決めてゆく。代表の松田美和さん曰く「障がい者のためのサークルではなく、たまたまメンバーに障がいをもつ仲間がいた、という感覚で活動あげてゆく課程において〈障がい〉の有無などあまり意味がないのであろう。
〈音楽サークル ドラむす〉の魅力は、それだけに止まらない。演奏する楽曲、その一曲の内にメンバーの全員に光が当たるようなアレンジを施して演奏してゆくのである。歌うことの好きなメンバーがボーカルに選ばれようものなら、一流ミュージシャンばりに歌いながら客席を歩きまわったり、ギター担当者の横に行ってセッションをしてみたり…と、生き生きとパワーを全開にさせて弾けるという。
つまり、<ドラむす>では誰もが音楽を通して主人公になれるし、メンバーの楽しそうな笑顔に触れることができ、どんなに落ち込んでいる時でも<よし、明日も頑張ろう!>という気分にさせてもらえるのだ。寺見さんも、磯部さんも、そこに魅せられたのである。
しかし、こうした魅力的な活動をしている〈ドラむす〉さんにも、悩みのタネはあるという。メンバーの障がいの有無にこだわらないとは言っても、それはひとりひとりの障がい者メンバーの障害特性に配慮しないという意味ではない。強い緊張のせいで演奏をする時に手がなかなか伸ばせず、楽器が演奏出来なかったり、譜面めくりが必要なメンバーもいる。そうした時に強ばった手の筋肉を解したり、演奏しているメンバーに代わって譜面をめくるサポートメンバーがひとりでも多く必要なのだが、現状は少ないメンバーでまわしているため、練習や本番にひとりでもお休みをすると、残りのメンバーで担当しなければならなくなり、大変に忙しくなってしまうのだという。
現在は毎月の練習をしながらも、再来年に計画している「十周年記念コンサート」に向けた準備に取り掛かっているという。しかし、〈ドラむす〉さんにとって、「十周年記念コンサート」はひとつの区切りであっても、単なる通過点に過ぎない気がする。前出の松田さんも言われている。「ドラむすの場合、目標は先にあって目指すものではなくて、積み重ねられたものの中にあるのだ」と。
そうなのだ。障がいの有無も、性別も、年代も越えて誰もが生き生きと輝ける社会を夢見て、〈音楽サークル ドラむす〉さんは、今日も明日も心楽しげに音楽を奏てゆく…。