ジネンカフェだより

真のノーマライゼーション社会を目指して…。平成19年から続いているジネンカフェの情報をお届けします。

ジネンカフェVOL.079のご案内

2014-01-26 22:18:15 | Weblog
日時:2月1日(土)14:00~16:00
場所:くれよんBOX
ゲスト:原 愛樹さん(クリエイティブ・ディレクター)
タイトル:「共に創る」がうみだすものー-参加から参画へー
参加費:500円(お茶代別途)

プロフィール:イラストレーションから3DCCを経て、小中学校総合学習授業企画、まち案内ツール制作、大学でのe-ラーニング教材共同開発などに携わる。篠岡小学校「篠岡百話2012 篠岡たんけんカルタ」総合学習授業/小牧中学校「地域防災活動を綜合化する防災マップ開発とその実践ーみんなで育てる防災マップ 愛マップ・プロジェクト」/名古屋市目長者町繊維街「色は匂えど長者町カルタ」/ 名古屋大学 「OCW名大の授業」デザイン設計・企画

コメント:「共創 Co-Design」とは、一つの課題に対して、多様な人と学び合いながら、チームで取り組むこと。
学校、お母さん、研究者、地域の人、コミュニティデザイナー。色んな人のつぶやきを拾い上げ「創る」を共有し、もの・まち・ひとづくりを考えています。地域をこえ社会、しいては世界にはじない物づくりを目指すことで、その一員であるという意識づけにつながると考えています。また、知恵と勇気の育まれる状況やコミュニティの創出、物語の循環も期待できると思います。そのささやかな可能性について、主に小中学校での地域活動の事例から、皆さんとお話したいです。

ジネンカフェVOL.078レポート

2014-01-26 22:13:34 | Weblog
2014年初っぱなのゲストは、名古屋市北区東部いきいきセンター(一般的な名称は、地域包括支援センター)職員の内田日佐子さん。内田さんは2002年4月、名古屋市社会福祉協議会に就職。シルバー人材センターに配属され、5年間高齢者の就業調整等の業務に携わる。2007年4月、名古屋市社会福祉協議会ボランティアセンターに異動。ボランティアコーディネートや広報誌作り等の業務を6年間担当する。2013年4月、いきいき支援センターに異動し、現在に至っている。お話のタイトルは『”いきいき”と暮らすことを支援するとは?』

【内田さんと福祉との出会い】
内田さんが福祉に関心をもったのは、祖父母の介護問題が影響しているという。内田さんの父方の祖父母の介護というものは、すべからずお父さんの兄のお嫁さん。内田さんから
いえば伯母さんにあたる人が介護を担っていた。最終的には兄弟姉妹が力をあわせて交替で看る取り組みも行われたのだが、どうしても介護の負担は長男の嫁にゆく。子どもの頃はそのことに疑問すら感じなかったのだが、高校生ぐらいになると、それがどうしてそうなるのか疑問に思えてきたのだそうだ。そこから家族の在り方とか、地域福祉に興味をもち、日本福祉大学を受験して合格した。合格したのはよいのだが、当時は実家の春日井に暮らしていたので、春日井から日本福祉大学がある美浜まで通うことになる。それも大変だったろう。

【就職―名古屋市社会福祉協議会へ】
4年間、そうして学生生活を送った内田さんは、就活に名古屋市社会福祉協議会を受け、これも見事合格。しかし、はじめての配属先は〈シルバー人材センター〉であった。そこを5年間担当し、名古屋市社協ボランティアセンターに移動する。ここに6年、ボランティアコーディネーターや、広報誌の編集を担当し、2013年4月に名古屋市北区西部いきいきセンターに配属になり、北区東部いきいきセンターの開設準備にあたり、2013年7月のオープンからそこの職員を務めておられる。

【いきいきセンターって?】
〈いきいきセンター〉という名称から、一体なにをしているところだろうと思われるだろうか? 一般的には〈地域包括支援センター〉という名称で知られている公共の機関で、〈地域包括支援センター〉ではいかにも堅そうな名称で、少し取っつきにくい印象があろう。それで名古屋市では少しでも親しみやすいように〈いきいきセンター〉という名称にしたのだそうだ。どちらにしても、どんなことをしているのか判らないことには親しみにくいことには違いない。〈いきいきセンター(地域包括支援センター)〉とは、いわゆる高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしてゆけるように、社会福祉士や保健師、主任介護支援専門員などの専門職がチームになり、健康・福祉・介護などの多角的な面からのサポートをしてゆくところである。高齢者の家族から相談を受ける場合もあれば、ご近所の方から〈あそこのひと、最近ちょっと様子がおかしいわ〉ということで相談を受ける場合もある。その相談内容は介護保険のことにはじまり、健康を保つために福祉サービスのこと、高齢者虐待や権利擁護の相談など、実に多岐に渡っているという。高齢者の数だけいろいろな相談があるのだろう。それと共に介護保険で要介護認定を受け、要支援の1~2を受けた方へのケアプランも作成しているのだそうだ。内田さんのいる北区東部いきいきセンターではまだはじめてはいないそうだが、認知症高齢者を介護する家族に向けた支援、〈家族教室・家族サロン・医師による物忘れ相談・認知症サポーター養成講座の開催〉も行っている。名古屋市は16区あるが、1つの区に2~3ヶ所あり、北区も分室とあわせて3ヶ所あるという。

【高齢者の孤立防止をめざして】
多岐に渡る支援の中で内田さんが最近力を入れているのが、ひとり暮らし高齢者などの孤立防止のための〈見守り支援事業〉である。これは名古屋市に限らず、全国的な課題なのだと思うが、ひとり暮らしをされている高齢者の孤立死が社会問題になっている現状にあって、地域からの孤立化を防止するために、名古屋市が2013年4月から始めた取り組みである。各区のいきいきセンターに〈見守り支援員〉をおき、個別訪問や面談相談を行う傍ら、ボランティアを募り、独居高齢者宅に電話をかけ、孤独解消や安否確認に努めているのだ。しかし、独居高齢者とはいっても、そこに至るまでの事情や背景が違っていよう。家庭の事情から仕方がなくひとり暮らしになってしまった方もいれば、自ら周りとの接点を断ち切って孤立している方もいるだろう。それは千差万別なのである。ひとにはいろいろなタイプがいる。高齢者になると温和になる方、それとは逆に頑なになる方、また本当はひとり暮らしで淋しかったり、不安だったり、何か困り事があったりしても、他人に迷惑をかけるわけにはいかないと思っているのか、ひとに自分の弱っている姿をみられることがたまらないと思っているせいか、内田さんやボランティアさんが「何か困っていることはありませんか?」と訊いても、「何も困ってない」とか、「何とかやれとるで大丈夫だわ」という応えが返って来ることがある。また、家族とはコミュニケーションがうまく行ってないのに、家族以外とは何の問題もなくコミュニケーションが取れていたりする。ひと対ひとなので相性もあり、ましてやこれまでの長い人生で培ってきた自分ながらの生き方のスタイルをもっている方が大半なのだ。独居高齢者支援といっても、容易ではないであろう。内田さんはそういう方とは、先ずは当たり障りのない天気の話や、からだの調子を尋ねることにしているという。天気や陽気とからだの調子とは、密接に関係しているからだ。「何も困ってない」と言いながらも、買い物袋を重そうに下げてアパートの階段を上ってゆく独居高齢者の後ろ姿を眺めながら、〈せめて買い物ぐらいヘルパーさんに付き添ってもらえば楽なのに…〉とため息が出る時があるそうだ。

【大久保的まとめ】
ひとは誰しも普通に生きて、永らえれば高齢者となる。当たり前のことだ。歳の割りに若く見える人もいるが、からだは正直で映画『ベンジャミンバトン』みたいに、本当に若返ってゆく人はいない。つまり高齢者支援とは、あらゆる人々の幸せを願い、考え、実践する〈福祉〉のいわば原点なのではないのだろうか? 高齢者支援で一番難しいのは、内田さんが現在取り組まれている独居高齢者支援であろう。独居高齢者の中には頑なに他人の介入を拒んだり、ご近所とトラブルを起こす方も少なくない。しかし、そこにはそれなりの事情や理由がある筈である。それを何気なく探り、対象者の心を開かせ、解決策を見出してゆく…。それはいつまでとは知れないぐらいに時間がかかることかも知れない。だが、北風と太陽の物語ではないけれど、温もりの籠もった言葉を根気よく幾度もかけ続けることによって心を開いてくれることもあるだろう。ひとは、ひとりでは生きてはいけない。内田さんのこれからの活躍を陰ながら応援したいと思っている。