日本ユーラシア協会広島支部のブログ

本支部は、日本ユーラシア地域(旧ソ連邦)諸国民の相互の理解と親善をはかり、世界平和に寄与することを目的とする。

トルストイ家の箱舟

2011-02-23 08:49:40 | 日記
トルストイ家の箱舟 朝日新聞2010年12月25日より
英文(写真)は The Asahi Simbun ,Feb.15th 2011より
トルストイ最晩年の謎に迫る「トルストイ家の箱舟」ロシア語訳、本国で出版
ふみ子・デイヴィスさん著 ロシア外務省と大使館など企画 共同で映画作りも

 ロシアの文豪トルストイ(1828~1910)の最晩年と客死を巡る事情を解きほぐした、北九州市出身のふみ子・デイヴィスさん著「トルストイ家の箱舟」(群像杜刊)がロシア語に翻訳された。ロシア外務省が原著に注目し、没後100年にあたる2010年秋、寄贈用に出版した。今春には市販する計画だ。(八板俊輸)

 『箱舟』」は07年の出版。トルストイの死出の旅となった家出の謎を解こうと、妻ソフィアや秘書ブルガーコフの日記、末娘アレクサンドラの手記などをもとに、家族や高弟チェルトコフら周辺人物の立揚を探る。国家や教会権力とたたかった思索、財産放棄の遺書、13人の子を産んだ妻との家庭騒動と、当時の状況を解き明かす。
 出版は、ロシア外務省と在日口シア大使館などが企画した。出版に尽力した駐日ロシア大使の妻ナータリヤ.・べーラヤさんは「『箱舟』は日本で評判がよく、ロシア人もあまり知らないことが書いてある。ロシアでもぜひ読まれてほしい」と話した。
「箱舟」のロシア語訳は源氏物語の翻訳で知られるタチヤーナ・デリューシナさん。装丁はトルストイの玄孫(やしゃご)でモスクワ在住の画家ナタリヤ・トルスタヤさん(56)。トルスタヤさんは「トルストイ没後百年記念」と銘打ち世田谷区の昭和女子大で昨年末に開かれた自身の絵画展のため来日した、「過去の数多くの本で、ソフィアはトルストイと仲がよくないかのように書かれた。でもディヴィスさんはは妻の心情や膨大な蔵書の目録づくりの功紺を肯定的に評価している」と語る。
 .デイヴィスさんはシンガポール在住の陶磁器絵付け作家。1975年モスクワの民族友好大学を卒業し米国商社員と緒婚。99~2002年にもモスクワに滞在.し、トルスタヤさんに出会い、貴重な資料を得て「箱舟」を執筆した。トルストイの末娘アレクサンドラがロシア革命後、「いかに生きるべきか」と間い続けた父の哲-学を実践し、米国亡命前に日本に滞在した時の回想録も翻訳出版した。「箱舟」と回想録の2作品をもとに、日口共同で映画製作の計画-が進む、デイヴィスさんは「女性の立揚からソフィア夫人の等身大の入物像を探ったら、勤勉、律儀で聡明(そうめい)な良妻賢母だとわかった。日口関係は北方領土問題などでぎくしゃくしているが、文化面で親近感を伝え、友好に役立てぱうれしい」と話している。

[トルストイの客死]
伯爵家に生まれ、長編小説「戦争と平和」などで名声を博したトルストイは、農地経営を経て国家や宗教を批判する思想家として著作を重ねた。印税などの財産放棄を決意して家族との不和が起きる中。1910年晩秋に家出。鉄道による旅の途中に体調を崩し、下車した小駅の駅長舎で肺炎のため82歳で死去した。

[写真]ロシア語に翻訳された本と原著を手にするべ一ラヤさん(右)とトルスタヤさん=港区のロシア大使館、竹谷俊之撮影
    ふみ子・デイヴィスさん
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