日本ユーラシア協会広島支部のブログ

本支部は、日本ユーラシア地域(旧ソ連邦)諸国民の相互の理解と親善をはかり、世界平和に寄与することを目的とする。

小説「悲劇と運命」

2023-11-02 00:01:51 | 日記
2023年7月15日
 カザフスタンから日本語で2冊の本が出版され、関係者から感想が寄せられた。
小説「悲劇と運命」
核被害を自分の言葉で
 核国際運動代表団歓迎交流会の帰り際に頂いたサウレ・ドスジャンさんの「悲劇と運命」がすごい本ですね。
 現地を何度も取材したものとして一気に読了してしまいました。
 核実験場周辺で何か起こったのか?カラウル村、サルジャール村やカイナール村、デゲレン山、水爆実験の時全滅してしまったコルホーズ・タイランなど懐かしい地名が次々と出てきてました。
 住民の被害がいかにひどかったのか?
 当時私か取材していて、目を覆いたくなるような酷い現実に直面するたび、ファインダーを覗く目を離してしまうことがたくさんありました。信じがたい事実を次々と語る住民たち。私の取材したことが本当に起こっていたのか?確信を持てなかったのですが、この小説から裏付けられました。
 主人公の結婚後水頭症の赤ちゃんが生まれたシーンは私かセメイにある子どもの障碍者施設で何例も見た水頭症の赤ちゃんを思い起こし、私があつたあの赤ちゃんの母親の事と小説が重なり合って何度も涙をぬぐってじまいました。
 この本の素晴らしさは、カザフ民族が被った核被害を自分の言葉で告発していることです。被ばく者の心の襞まで表現できたのはドスジャンさんが同じ運命を歩んできたからこそだと思います。外国人がどれほど努力してもこの説得力、衝撃性には勝てません。
 この被害を伝え広めることがとても大切だと思いました。とりわけ広島長崎のある国で。
 広島に留学していたアケルケ・スルタノヴアさんの「核実験地に住む」 (花伝社)と合わせてカザフ人自身が記録した核実験被害です。
森住卓(写真家)
(編集部注:今回は少部数が協会と広島平和記念資料館に贈呈された)

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叙事詩『ジベク姫』

2023-11-01 23:47:09 | 日記
叙事詩『ジベク姫』
日本人にわかりやすい言葉で
 カザフスタンで古くから口承されてきた有名な叙事詩『ジベク姫』が、日本ユーラシア協会員でもある文学者、シャラファット・ジルキバエワさんの手で日本語に翻訳されたことは、両国の文化交流への非常に大きな貢献となる。
 『ジベク姫』は、その中で語られるカザフの広大なステップや丘陵を超えての旅路も、若く美しい主人公たちの短くも深い恋愛も、そして運命と邪悪な人間に翻弄される二人の結末も、すべてが魅力的な物語だ。吟遊詩人による口承文芸であるので、原語での韻やリズム、民族独特の言い回しなど、文化的な共有が少ない国の言葉に翻訳するというのは非常に難しい仕事であったと推察できる。日本語と日本文化を精力的に研究してきたジルバエワ博士は、日本人にわかりやすい言葉を使い、丁寧な注釈をつけて、この仕事を見事に完成させた。
  『ジベク姫』日本語版には、カザフ人にとって友人ともいえる馬に関する多岐にわたる用語、人々にイメージを喚起させるための巧妙かつカザフ文化特有の比喩表現による掛け合いの面白さなど、楽しめる点が多々ある。また、独特の風習やしきたり、部族間あるいは周辺民族との関係など、カザフの歴史を知る手がかりにもなる。おすすめの一冊である。岡田晃枝(東京大学大学院総合文化研究科・教養学郡特任准教授)
 (編集部注:今回、著者から20部送られてきたので、協会本部で扱う。7月7~9日のバザーで屡示販売する。税込1000円、送料370円)

中央アジアの恋愛叙事詩「ジベク姫」発売! 中央・ユーラシアのステップで実際にあったラブストーリー。 古代カザフの黄金時代を思い出せる美しい作品。 カザフの即興詩人ジャムブ-ル・ジャバエフの演奏で記録され、 カザフスタンの書籍出版協会(Association of Publishers and Booksellers of Kazakhstan "APPB")より出版された有名な古典叙事詩「ジベク姫」(日本語版)が販売中です。 翻訳者:ジルキバエワ・シャラファット 全218頁+カザフスタン共和国功労芸術家ドゥゼルハノフ・アギムサルによる画像の付録ファイルを含みます。 2023年4月刊 販売価格 1,000円 送料 370円 書籍をご希望の方は日本ユーラシア協会にご連絡ください。 TEL :03-3429-8231 Email: info@jp-euras.org
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日本ユーラシア協会広島支部ニュース2023年10月30日

2023-11-01 23:22:16 | 日記
日本ユーラシア協会広島支部ニュース2023年10月30日
【訃報】
竹田正直日本ユーラシア協会会長が逝去されました。協会のために一生懸命に取り組み余人に代えがたい会長でした。お悔やみ申し上げます。
竹田 正直(たけだ まさなお)
2023年10月15日 19時47分逝去 享年88才
[〝赤い靴〟が好きな竹田さん]
 残念、もう竹田会長のソーラン節が聴けない。興に乗るとカザフでも経堂でも「大漁旗」を掲げ、ヤーレン ソーランと。最近は全国理事会後の宿所は我が家の近くにあり、歩きでも本部の経堂に近いので喜んでおられた。その都度、同宿の広島の黒川冨秋さんと我が家に立ち寄られ、正月は「おせち」の残りの酒肴でカラオケに興じたのも最近のことだ。赤い靴が十八番(おはこ)でカラオケでは最高得点だと自慢していた。私の郷土の雨情の作詞による童謡だから、点数は大目に見ておこう。北大ボート部での活躍ぶりは寝物語に熱が入っていた。
 竹田さんはあまり酒好家ではなかったが、ビールはサッポロビールに限ると愛郷心の深い人だった。また或る時、ジョージアワインのボトルのデザインが気に入って「欲しいなー」という表情をされていたので、「ここで飲み干したら差しあげます」と下戸(げこ)の竹田さんに難題を言ったことが心残りだ。そのボトルは今も私の手元に有る。
 協会の新聞は2時間かけて読み通すとおっしゃっており、時には紙面の指摘やお褒めの電話をいただいたこともあった。
 妻と共に北海道訪問を計画していたのに再会は叶わない。
 我が人生、これ以上の人に会えないのではないかと思うそのお一人だった。                       
                                                                                                                      副理事長 佐川廣文
 
【2023年度ロシア語能力検定試験】
第82回ロシア語能力検定試験(1・2・3・4級)は10月28日(2級、4級)、29日(1級、3級)実施されました。次回第83回は2024年5月末に実施予定。

【今秋以降のイベントの紹介】[① 広島留学生会館祭]毎年11月の第1日曜日に開催される留学生会館まつり。2023年11月5日に開催されます。[②2023年国際フェスタ]
11月19日、広島国際会議場及びその前の平和大通りで開催されます。国際フェスタは、在住外国人を含む参加市民に国際交流・協力活動に親しみ、理解を深めてもらうとともに、広島市の都市像である国際平和文化都市の実現に資することを目的に行っており、今年で24回目の開催で、本年度は11月19日(日)に開催します。国際協力バザー(民芸品)とひろしま国際村~世界の屋台に参加予定です。[③ペアセロベ]1984年、国際平和文化都市ひろしまで、国際交流を図ろうと始まった『ぺあせろべ』。今年度は2024年1月14日に開催されます。場所は旧広島市民球場跡地です。

【カザフスタン訪問報告会】
ロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト企画
●日時: 2023年12月9日(土)13:30 ~ 17:00
●会場: 広島市平和資料館東館B1メモリアルホール/ 広島市中区中島町           1-2 TEL(082)241-4004 
●特別講演:在日カザフスタン共和国大使館公使 クルマンセイト バトルハン
●参加費:無料●報告者:野宗 義博(広島国際大学教授・外科医) 川野 徳幸(広島大学平和センター長) 藤本成明(広島大学原爆放射線医科学研究所) 佐々木桂一(ヒロセミPJ世話人代表) 小畠 知惠子(ヒロセミPJ世話人副代表) 黒川冨秋(ヒロセミPJ世話人副代表) 高垣慶太(早稲田大学3年) サンガー 梨里(京都市立芸術大学1年)●連絡先:090-6416-5035(佐々木) sasaki6846@gmail.com●主催:ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト 協力:セメイ医科大学、セメイ市、広島平和資料館、広島市立基町高校、在日カザフスタン大使館、在カザフスタン日本大使館、生協ひろしま、日本ユーラシア協会広島支部、カクワカ広島、広島市女性団体連絡会議(ひろしまWENET)、NPO法人ANT-Hihoshima、一般社団法人HAP 後援:広島市教育委員会、広島市(申請中)[協力団体にも後援申請中。]
[グローバル・ヒバクシャ プレスコードは世界を欺いた!二つの被ばく国 日本とカザフスタン~ カザフスタン訪問報告会、特別講演 ~]
 プレスコードという言論統制によって、核被害が隠されたため、核開発が進み、その結果、世界では多くの核被害が止むことなく続いている。第2次大戦終了後、日本では原爆投下後6年8か月、カザフスタンは最初の核実験から40年間、アメリカと旧ソ連によるプレスコードにより核爆弾の放射線被害はないことにされ、調査報告は改ざんされ事実は隠され、核開発が進んでいった。この間世界中に核実験や核採掘、原発事故等により、声をあげることが出来なかった多くの人々が原因も分からず命を落とし、現在も世代を越えて病魔に苛まれている。カザフスタンは市民の団結によりソ連からの独立する2年前1989年にセミパラチンスク核実験場の閉鎖を決定した(正式には1991年8月29日核実験閉鎖を宣言)。さらに核兵器禁止条約を批准したカザフスタンと未だ条約を承認していない日本どちらが独立国といえるのだろう。ロシア・クライナ戦争激化により核抑止力は核脅威力として全世界を恐怖に陥れている。まさか、戦争が、まさか核攻撃が行われることはないと信じたい人類の前に核兵器の脅威は紛れもない現実として立ちはだかっている。広島、長崎の二つの核爆弾直撃を受けた国と、40年間に450回以上に及ぶ秘密裏の核実験により核被害を受けた国の人々は、この事実を、声を合わせて告発し、未来へ警鐘を鳴らす義務と権利がある。8月からのカザフスタン訪問に始まる一連の活動を皆さまと共有する事で、核兵器廃絶への道が実現できる一助となることを願ってやみません。カザフスタン・セミパラチンスク訪問報告の一部はhttps://www.youtube.com/live/rJpQtY9YOu4?si=FLXiMp1r5491jOeYでご覧いただけます。

【ウクライナ情勢】
[2023年日教組平和集会(10月21日22日山口県・岩国市)より]
特別報告1「ウクライナの現状」日教組国際部 寺澤環さん
●子ども、教育の現状・約1000万人の学齢期の子どものうち、完全に対面での授業を受けているのは3分の1のみ。残り3分の2の子どもは、校舎が一部損壊もしくは地下シェルターがないため、一部対面もしくは完全オンライン授業。・ロシアの侵攻開始から、1300校以上の学校が全壊。・就学前の子どものうち、3分の2が就学前教育を受けていない。・ロシアとの国境に近いハルキウ市では、地下に学校を建設し1000人の子どもが60の地下教室で学習。●子どもの学習、ウェルビーイングへの影響・コロナ、戦争がありながらも教育はオンラインで何とか継続できた。・ユニセフの調査によると、57%の教員が子どもたちのウクライナ語に問題があり、45%の教員が子どもたちの算数・数学スキルが下がっているとし、52%の教員が子どもたちの外国語スキルが下がっていると回答した。・家族や友人の死、戦争という暴力、別れを経験したため、教職員や友人との安心安全な学校に戻ることが急がれる。・難民となった子どもたちの約半分が当該国の教育を受けていない。ウクライナからのオンライン授業を受けている子どもが大部分であるが、教育を諦めた子どももいる。※JTU日本教職員組合寺澤さんのコメント 「いつ平和がやってくるのですか?」「大統領のために誰が闘うのですか?」の声が上がるウクライナについて上記内容の報告がありました。教職員団体ウクライナEIでは「ウクライナがロシアに勝つ」ことが強調されていた。私たちの平和教育、平和運動とは隔たりがあるとも感じた。

【講演会・学習会の案内】①早坂康隆さん講演会 仮題 日本列島の成り立ちから視た瀬戸内・広島の安全問題 2023年12月16日(土)14時00分開会~ 16時00分終了 ・場所 東区民文化センター 3階 大会議室
②Peace Maker’s Meeting 12月17日(日) 13:30~16:00 広島国際会議場3階研修室2
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