日本ユーラシア協会広島支部のブログ

本支部は、日本ユーラシア地域(旧ソ連邦)諸国民の相互の理解と親善をはかり、世界平和に寄与することを目的とする。

3・26政府交渉ネット

2012-03-30 08:09:54 | 日記
3・26政府交渉ネット

[参加者より]
2012年3月26日衆議院議員会館で環境省の大臣官房廃棄物リサイクル対策部の4名の担当者と 3・26政府交渉ネットのメンバーの間で話し合いがもたれた。環境省側は放射能問題 については答えられないと予め通達していたが、特措法で環境省所管とされる職員が 自ら専門家でないからとのべるなどちぐはぐがめだった。愛知県知事が受け入れを表 明するなかで、愛知県から参加したのは1人だけだったので拙速であるが報告する。 大枠で間違いないが、細部で訂正があるかもしれない。

2012・3・26
放射性廃棄物全国拡散阻止3・26政府交渉ネット
以下は会議終了後主催者がまとめたものの要点です。交渉では予め提出してあった質問 に答える形で進められた。
本日の収穫
①政府の有識者会議、従来非公開であったのが来週の13回から公開
②広域化が進まないのが復興のネックとされていた(細野大臣)が環境省の担当者の話 では順調に進んでいる。仮置き場への移動はほぼ100%, 最終処分は70%、急いで広域化する理由はない。 3年を目処とした根拠もファジーとされ確な根拠はない。9 広域処理を進める根拠は阪神淡路、中越地震の場合廃棄物処理法によって進められて 来た。今回もそれにそっている。しかし、処理法は広域処理を要請してはいない。
③宮城、岩手の瓦礫の放射能測定をきちんとやっていない。環境省はつかんでいない。
④汚染瓦礫の放射能基準8000Bq/kgを取り消す要求をした。*環境省は原子炉規制法を間違った解釈をして100Bq/kgはリサイクルの基準であり、廃棄する場合は適用されないと主張している。
⑤ 環境省はセシウムはバッグフィルターで99・9%除去可能として来たが、島田市で の試験焼却結果(測定自体は島田市)のマテリアルバランスを市民団体が計算したところ捕集率は60%程度であることが分かり当日島田市民から発表された。


「気づきジャーナル」(3/27)より転載。

震災瓦礫は広域処理ありきが問題 環境省院内集会リポート
http://kiduki-journal.org/2012/03/27/%E9%9C%87%E7%81%BD%E7%93%A6%E7%A4%AB%E3%81%AF%E5%BA%83%E5%9F%9F%E5%87%A6%E7%90%86%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%8D%E3%81%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%80%80%E7%92%B0%E5%A2%83%E7%9C%81%E9%99%A2/3月26日記念すべき一日に永田町で開かれた一つの集会に賛同し、参加。
                   黒田 麻由子(ノンフィクションライター)

 柏崎刈羽原発が点検停止し、東京電力管内の原発がとりあえずすべて停止となった2012年3月26日、衆議院議員会館では瓦礫の広域処理に関して所管の環境省に対し、全国から集まった人々が、疑問点や不安などを質問する院内集会(主催:服部良一議員 事務局:放射性廃棄物全国拡散阻止!3・26政府交渉ネット )が1日通しで開かれた。

環境省側の出席官僚は適正処理不法投棄対策室 杉山徹氏、野本卓也氏、廃棄物対策課、豊村紳一郎氏、小山惠一氏、産業廃棄物部 塩見拓正氏の5人。

 北海道から沖縄まで会場に集まった人はおよそ180人、いち早く瓦礫受け入れをした静岡県島田市や、福島県郡山市からの参加者もいた。中学生の若者も参加し「将来、自分や自分たちの子どもの命や健康が危ないのなら危ないと、嘘ではなく本当のことが知りたい」と正々堂々発言し、会場から拍手が起こった。
 
 今回の論点は、岩手県・宮城県の震災瓦礫の一部を全国各地の自治体に運んで焼却処理をする方針が急ピッチで進んでいることを受けたもので、瓦礫に含まれる放射性物質が拡散される強い懸念が中心だ。国は「心配ないレベルのものだけを広域処理する」と言っているが、実際にはすべての瓦礫の放射性物質を測定することは大変困難であり、環境省は各自治体のホームページで公開され安全性が確立しているとして、自らこれを計測していないことを明らかにした。

 すでに受け入れた静岡県島田市での産業廃棄物処理業者との癒着が疑われること、東京都が女川町からの瓦礫受け入れを秘密裏に進めたとされる疑惑、東京都ではすでに焼却施設での被曝者が出ている現実などさまざまな意見交換がなされた。3年間の瓦礫広域処理による予算が、かなり多めに見込まれていることも指摘された。

 地方自治法では、基本的に地域で出たごみはその自治体で処分するということになっている。もちろんやりきれない場合は周辺の自治体の協力を仰ぐこともできるが、あまりに遠隔地で処理されるということについてははっきりした説明が必要であるとされる。説明がないとなると疑惑が生まれて当然ということであろう。

 また、環境省は瓦礫そのものの放射線量測定は行っていないという、この回答を得たとき、思わず会場からも嘲笑が起こっていた。瓦礫問題を語るときにその場の「空間線量」を持ち出すあたり、環境省自ら「放射線について聞かれても答えられない」と主張するとおり専門家ではないことがはっきりした。繰り返しになるが専門家でない人が決定しているということがはっきりわかったわけである。

100と8000のあいだには、何が…?

 原子炉規正法において、原発事故以前は汚染されているとみなす基準値は、100ベクレル(1㎏あたり)とされていたが、今回の瓦礫処理において8000ベクレルに引きあげられている。この二重基準について法学を学んでいるという東京都の女性から専門的に突っ込んだ質問がなされた。

 環境省は「よくお調べいただきありがとうございます」と素っ頓狂な前置詞を置いてから「8000ベクレルは埋め立て基準として原子炉規正法の外にある」という説明を行った。が、すぐにこれが間違いであることが質問者より指摘された。汚染されている瓦礫のレベルを定めた基準値は、今回のことにあてはめると震災瓦礫は原子炉規正法の適用範疇の問題である。

 8000ベクレル(1㎏あたり)は、埋め立てが可能なレベルという。これがどのような手続きを経て決まったのかがはっきりしない。

 事務局によると「今回の一連の震災問題で面白いのは、これまで活動団体が指摘してきたような質問を、都道府県レベルからも出されていること」だという。それほどまでに誰もがおかしいと考える方針を国が次々打ち出してきているということになる。近代始まって以来の環境破壊を引き起こしていることから、国政レベルの混乱は必至とはいえ、瓦礫受け入れをどうするかは、国民的に意見が二分される問題であるにもかかわらず、たとえば東京都の受け入れを独断したとされる石原知事は反対派の声を「黙れ」という一言で切り捨てている。反対するものは非国民といわんばかりで、議論もなされないとなると、いまさらではあるが、日本は民主国家ではなかったのか。

論拠なき詭弁、すべてが前時代のまま

 嘘といえば、放射性核種が取り除けるとしたバグ・フィルター(ろ布式集塵機)もまたしかりのようだ。

 焼却炉にこのフィルターをとりつければ99・9パーセント放射性物質がとりのぞけると喧伝していたが、フィルター業者によると「不可能」除去に責任をもてないとのこと。また実際に島田市で独自調査をした市民がこの「基本的な嘘」を実験結果を使って集会の場で発表した。環境省は「私たちの行った簡単なテスト結果から申し上げている」とまたも詭弁を弄する。実験結果を発表した人も呆れ顔であった。論拠は何もないに等しかった。

 震災後いち早く、「瓦礫は受け入れない」と議決したはずの滋賀県や北海道釧路市などで、この期に及んでさまざまな圧力からその議決が揺らいできていることや、すでに沖縄では大手建築業者のトラックで何かが大量に運び込まれているらしいということも話された。太平洋戦争敗戦後から基本的に日本政府を信じていない沖縄県民はさまざまな疑惑が浮上している。

実際、私も野菜流通の仕事に従事する知人から「福島県産の野菜は沖縄の離島などに運ばれている」との話を聞いていた矢先だったので、現地の方の報告とあわせて、「汚染ゴミが本当に沖縄に運び込まれているのだったら…」と暗澹たる思いがした。幼い子の健康と将来を考え、連れ合いと別居して沖縄に移住している人もいるだろうに、なんという皮肉なのだろうか。

 恐ろしいことに、私の住む埼玉県でも瓦礫の受け入れがまもなく始まり、熊谷市などのセメント業者が受け入れて再利用するとのことらしい。活動家の方々は実験焼却に合わせて、周辺の空気を何とかして集め、調査に乗り出すもようだ。

 ただ、震災後まもなく、闇にまぎれて、福島県を含めた瓦礫がすでに他県に運び込まれているということもまた、じゅうぶんありうる事態なのだろうとふと考える。


「阪神大震災の折もそうだったので3年ですべての瓦礫を処理、復興につなげたい」という根拠の薄い表向きの理由を繰り返す環境省だが、実際に現地を見てきた人は、すでに町中の瓦礫は駆り置き場に移され、人が住む場所には津波当初のような散乱はもうないと報告する。

 奇妙なことに「瓦礫があるせいで復興が遅れている」とされ、実際新聞報道でもそのようなキャンペーン記事が見られた。他方、補助金欲しさに次々と受け入れを決める自治体の安易さも問題だ。「3年で広域処理により片付ける」ための予算は膨大に見積もられている。そのようなばらまきをやめ、大切なものとして資金を節約し、もっと必要な震災支援にあてるということを考えたほうがよいと思うのがごく普通の考え方のように感じた。

 岩手県のある町長は「もともと使ってない土地がたくさんあるのに、どうして急いで瓦礫を全国に拡散するのか。10年20年と時間をかけて処理した方が雇用確保し、地元に金も落ちる」と発言している。

また、陸前高田市長は、地域住民の雇用対策も兼ねて現地に大規模焼却施設を建設したい意向を県に申請すると即時却下されている。

 どこでどう決まったのか「広域処理ありき」で始まっていることは明らかなようである。早く処理したい、それだけの理由なら、再考してほしい。上記町長のいうように、長い時間をかけて復興に向けて歩んでいくことは、地元の経済効果だけでなく、次世代の教育的価値などを考慮した場合にも、その年月と行きかう人々によって織り成されるさまざまな知恵を学べる、よい機会と場所になるのではないだろうか。とくに今のような時代には、忘却だけが幸せではないのだから。


うんざりする「絆」キャンペーン

 瓦礫に含まれる放射性物質は、焼却炉で実際に焼かれた灰、排水から計算することになる。灰には「飛灰」「固灰」があり、飛灰は周辺住民が呼気から吸い込んでしまう。また水に溶けやすい放射性物質もあり、排水として環境に出てしまう危険性がある。

 このような中、当然のことながら周辺住民には被曝の不安がつきまとう。地方自治体は、そんな住民からの反対の声には「国が安全といっているから」と責任逃れをし、そして全国的な「絆」キャンペーンである。この「絆」という言葉がこの1年間どこでも使われ、一人歩きを続けているのは本当に気の毒だ。

少し話はずれるが、最近、「孤立死」の問題がさかんに報道されている。が、これは今、始まったことではない。この類の記事には「この親子は地域とのつながりが希薄であった」などで結ばれる。だから「絆、絆」。しかしながらこういう死に方はたった今、増えたということは断じてなく、いつの時代でも一定数あったのだ。孤立死を減らさなければいけないことと、ことさら「絆」を強調する戦略はこの際わけて考えたい。また、このような大メディアのからくりは日常茶飯事なのでこの本質が理解できれば、一気にリテラシー力がついてくるのではないだろうか。次世代を担う人々には、ぜひメディアリテラシーの能力を多角的に身に付けていただきたいと日々、念じている。



いつか来た道―「非国民」

「被災地のことを思えば瓦礫受け入れなど何でもないはずだ。それに反対するなんてそれでも人間か!」のような言い方が蔓延、思っていることを口に出来ない雰囲気が広がっている。集会に参加して総合的に見ると、瓦礫の処理に反対する理由は利己主義ではなく、むしろ日本のことを真剣に考えての行動であることが理解できる。

 放射能汚染地帯に住まざるをえない人々の内部被爆を少しでも減らすため、まだ汚染の少ない西日本以西の食べ物を供給することは続けていかなければならない。日本列島がすべて放射能汚染でがんじがらめになるとどんなことが起こるだろう。

 たとえば外国産のものを求める人が増えて、国内の産業・農業は衰退する。また逆に輸出したものについて、「放射能汚染があった」と国際的な賠償請求が来る事態に発展することもあるかもしれない。これらは現在、「5年間は国民に詳細を知らせない」ということが前提で秘密裏に交渉が進行中のTPP協定とも関連して想定できる。すぐそこに迫った大問題なのである。日本のメルトダウンがすぐ目前にきている、と背筋が冷たくなった。

参加者からの報告を一部リポートしたい。

 北海道釧路市から参加の方は、植物の線画を描く人。「釧路市には2つの国立公園がある。そこで花の絵を描こうと思っても植生の保護のため立ち入り禁止区域がある。そういうことを環境省は推進するところだったはず。それが危険かもわからないゴミを国立公園内に持ち込もうとされることの矛盾を考えてください」と呼びかけた。

 福島県郡山市から参加の方は「原発事故があってからいくつもの院内集会で国の役人と交渉を試みてきたが、いつも出てきてくれるのは若手の官僚ばかり。中心世代の官僚が出てきて話し合ってくれることもなく、ほとほと疲れてしまった。いまは自分の命を大切に残りの人生を生きようと仲間たちとも話している。ごみは他のところ、間違っても西日本には持っていかないでほしい。いま、日本人が絶滅する危機であることをもっと認識してほしい。たとえば10年20年後に実際何か起こったときに責任を負う世代のあなたたちが上の人たちを説得してください」と感情を抑えた語り口で訴えた。

 神奈川県でごみ焼却場でアルバイトしているという男性は「瓦礫が燃やされることになるとそこは放射線管理区域になる。何も知らない仲間たちがこのままでは被爆の危機にさらされる。燃やさない方法を考えてほしい」と大声で訴えた。

 質問の嵐は定刻になってもやまず、環境省の若手官僚たちは、「時間ですので」と立ち上がることもせず、うつむき加減で意見を聞いていた。彼らの立場も察するにあまりある。大きな機構の中での自分たちの無力を知らないはずはないだろう。しかしながら彼らにもおそらくは血をわけた幼い子どもがいるはずだった。私たちはみんな、おそらく来る最終局面では敵・味方ではない。

真にわかちあう社会とは

 この問題の核心はどこにあるのだろうか。「被災地の不幸をみんなでわかちあい、一日も早い復興を」という共感だけではないことは、ここまでくればわかる。

 瓦礫と一言でいっても、その中にはさまざまなものがある。放射性物質だけでなく、有害物質もたくさんあるだろう。今後、その中から何がみつかるかわからない。まだ知られない事実が発掘される可能性もある。「早く片付けたい」のは被災地の人たちではなくほかの誰か、なのかもしれない。

 また前段で書いたように、国際関係の中で起こる、惨事便乗型資本主義の一環として考えられないではない。

 さらには、数年後、病気などが大量発生したときに備えて、福島や東北だけに偏った症例が出ないよう、日本列島各地にまんべんなく放射能をばらまいておけば「国民病」「時代病」でごまかせるといった東電や原子力ムラの思惑からくるのであろうか。

 ヒロシマ、ナガサキ原爆投下と水俣病など4大公害を経験してきた日本とすればあまりに残念な、はずかしい様であり、何より悲しい。

 行動し、知り、つながることで解決に近づくと信じてこその活動である。何も変わらないと諦める人が圧倒的多数であったから、原子力ムラやその他の利権構造がここまで強固に確立してきたのである。これは驚くべきことで、こここそを突かなければ明日はないであろう。

 衆議院議員会館を出ると「派遣会社と派遣先のもつれから不当に職をなくしたという女性や、消費税増税に反対する人々、また若者にチャンスを与えない国に対して抗議して座り込む若者たちとさまざまな人々がビラをまいていた。

 放射能問題はそれこそ日本を沈ませる大問題であるが、私たちの国には、今、長く問題の本質を見つめずに物質的価値だけを追い求めてきたことで、ひずみがあちこちに露呈している。まさに文明の惨状といえる。

 おそらく、利権の末に思ったとおりの金銭や何がしかが手に入ったとしても、その当人が幸せになるということはないであろう。この現代文明の惨状の本質に真に向き合う人が増えない限り、私たちの国に巣食う諸問題は解決に向かうことはない。魔物のように行く手に広がる放射能も、日本列島を覆いつくし、やがて未来を奪うはずだ。

事務局ホームページhttp://gareki326.jimdo.com/




震災瓦礫は広域処理ありきが問題 環境省院内集会リポート



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資料 広島市議会決議2012年3月22日 原子力安全委員会3月22日

2012-03-29 00:20:24 | 日記
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1000000000002/1332404487299/index.html

決議案第3号
東日本大震災で発生したがれきの受入れに関する決議案
 東北地方を始め、東日本の広範囲にわたる地域が、地震とそれに続く津波により、我が国に、かつて経験したことのない未曾有の大きな被害をもたらした東日本大震災が発生して一年余りが経過した。
 この間、国を挙げて、被災地の復旧と復興に向けて懸命の取組がなされてきた。しかしながら、岩手県、宮城県、福島県の被災三県で発生した約2,253万トンにも上る膨大な量のがれきは、現在においても、いまだ7%程度しか処理ができていない状況にあり、復旧と復興に向けて、大きな障害となっている。
 このため、政府では、福島県を除く、岩手県及び宮城県のがれき処理について、広域処理を行うことを決め、全国の自治体に、その受入れの協力を呼びかけているものの、遅々として進んでいない実態にある。
 被災地の一刻も早い復旧・復興を実現するためには、迅速ながれきの撤去・処理が求められている。
 66年前の悲劇から、国内外からの援助などにより、復興・発展を遂げることができた広島市としては、そうした被災地が置かれている現状を看過することはできない。被災地の方々の苦悩を思うと、この問題に対しても、市民生活の安全・安心を確保した上で、援助の手を差し伸べることが必要であると考える。
 よって、本市議会は、政府に対して、安全基準を確立した上、情報を開示し、国民への説明責任を履行することを要請する。また、広島市に対しては、広島県とも十分連携し、科学的な知見により放射能の影響を検証し、放射線量の測定等十分な体制を整えることを条件に、有害物質が除去されているがれきについて受入れを表明することを要請する。

以上、決議する。
平成24年3月22日
広島市議会


●http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201203230046.html
広島市議会が「がれき」決議
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 広島市議会(定数55)は22日、東日本大震災で発生したがれきの受け入れを被爆地として表明するよう市に求める決議案を賛成多数で可決した。
 最大会派の保守クラブ(21人)など6会派が共同提案した。決議は「66年前の悲劇から国内外からの援助で復興・発展を遂げることができた広島市として、被災地の現状を
看過することはできない」とし、市民の安心・安全を確保した上で被爆地として援助することが必要、と訴えている。
 その上で、政府に安全基準を確立し、情報開示と国民への説明を求める。市に対しては広島県と連携して放射線測定などの体制を整えた上で、有害物質が除去されたがれきの受
け入れを表明するよう求めている。
 がれきの受け入れに際して市民の納得と合意を求める別の決議案を提案した共産党(3人)などを除く50人が賛成した。
 決議を受け、松井一実市長は「重く受け止める。安全性の確保と国民への説明については国と県が協議している。その結果と今回の決議を踏まえて対応したい」と述べた。

http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2012/genan015/siryo1.pdf
第1号第1号
(案)
関西電力株式会社大飯発電所3号機及び4号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する原子力安全・保安院による確認結果について
平成24年3月22日 原子力安全委員会

1.はじめに
原子力安全委員会(以下「当委員会」という。)は、平成 23年 3月 11日に発生した東京
電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえ、既設の発電用原子炉施設につ
いて、設計上の想定を超える外部事象に対する頑健性に関して、総合的な評価を行うこと
が重要であるとの考えのもと、平成 23年 7月 6日に「東京電力株式会社福島第一原子力発
電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価の実施
について」をとりまとめ、原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)に対し、発電用
原子炉施設の安全性に関する総合的評価(以下「総合的安全評価」という。)の実施を要請
した。

当委員会が要請した総合的安全評価は、何らかの基準に対する合否判定を目的とするも
のではなく、設計上の想定を超える外部事象に対して施設の潜在的な脆弱性を事業者自ら
が的確に把握し、様々な対策を行うこと等により、施設の頑健性を高め、これらの内容に
ついて技術的説明責任を果たすことについて、規制行政庁である保安院がこれらの評価結
果を的確に確認することを求めたものである。

保安院は、この総合的安全評価を一次評価と二次評価に分けた評価手法及び実施計画を
とりまとめ、事業者に評価の実施を指示した。その後、事業者において評価が行われると
ともに、その評価結果について、保安院による確認が行われている。

当委員会は、平成 24年 2月 13日に保安院より「関西電力株式会社大飯発電所3号機及
び4号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する審査書」(以下「審査書」とい
う。)の報告を受けた。

当該審査書は、関西電力株式会社(以下「関西電力」という。)が保安院に平成 23年 10
月 28日及び 11月 17日にそれぞれ提出した、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所に
おける事故を踏まえた大飯発電所3号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)の結果
について(報告)」、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた大飯
発電所4号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)の結果について(報告)」に対する
保安院の審査結果を取りまとめたものである。

当委員会は、保安院から報告を受けた一次評価の範囲において、平成 23年 7月 6日の要
請文を踏まえて確認を実施したので以下に当委員会としての見解を述べる。

1

2.2.
保安院は平成 23年 7月 21日に策定した「東京電力株式会社福島第一原子力発電所にお
ける事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手
法及び実施計画」において、一次評価として、事業者に対して以下の方法に基づく評価を
求めている。

「安全上重要な施設・機器等について、設計上の想定を超える事象に対して、どの程
度の安全裕度が確保されているか評価する。評価は、許容値等に対しどの程度の裕度
を有するかという観点から行う。また、設計上の想定を超える事象に対し安全性を確
保するために取られている措置について、多重防護(defense in depth)の観点から、
その効果を示す。これにより、必要な安全水準に一定の安全裕度が上乗せされている
ことを確認する。」

また、保安院による上記文書に関する参考資料等において、一次評価のスコープ(範囲)
は、以下のとおりとしている。


対象事象:自然現象として、地震、津波、その重畳
安全機能の喪失として、全交流電源喪失(SBO)、最終ヒートシンク喪失
(LUHS)

対象設備:安全上重要な施設・機器等

建屋、系統、機器等の評価:地震や津波によって建屋、系統、機器等に対して加
わる力などと設計基準上の許容値との比較による安全余裕を評価する

施設全体としての安全対策の評価:建屋、系統、機器等がどの範囲まで損傷、機
能喪失すれば、燃料の重大な損傷に至るかについて評価する

燃料の重大な損傷の防止対策の評価:燃料の重大な損傷を防止するため対策の有
効性を評価する
3.当委員会による確認
3.1
確認の進め方及び方針等
当委員会による確認は次のとおり実施することとした。
(1)確認の進め方
平成 24年 2月 13日の原子力安全委員会臨時会議において、外部有識者の参加を得た
「発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価検討会」(以下「検討会」という。)を
開催し、技術的観点からの確認を行うこととした。

また、検討会の議事は原則として公開とし、資料及び速記録についても公開すること
とした。

(2)確認の方針等
平成 24年 2月 20日の原子力安全委員会定例会議において、当委員会による確認は、
以下の項目を中心に行うこととした。

2

①確認の主旨
①確認の主旨
③最新知見の反映
④発電用原子炉施設の特徴を踏まえた確認
⑤安全性向上等に対する今後の継続的な取組
3.2 当委員会の確認した内容
当委員会は、大飯発電所3号機及び4号機の総合的安全評価に関して、保安院の審査書、
検討会での説明等により、一次評価の範囲内において、以下のことを確認した。


評価は基本的に平成 23年 10月 1日時点であること。

自然現象として地震及び津波ならびにそれらの重畳、安全機能の喪失として全交
流電源喪失及び最終ヒートシンク喪失を対象とし、これらに起因して炉心(燃料)
損傷に至るまでの事象(炉心損傷シナリオ)を同定し、これを対象として裕度を
評価していることを、保安院が確認したこと。

一旦機能喪失に至った施設・機器等は復旧しないものとして取り扱っていること
を、保安院が確認したこと。

保安院は、自然現象等の起因事象に対しては、安全上重要な施設・機器等につい
て許容値等と比較することにより、イベントツリーを用いて炉心損傷を回避する
パス(成功パス)を抽出し、多重防護の効果を示していることを確認したこと。

上記の評価の許容値等について、地震については耐震バックチェックで使用され
たものに加えて実験値等を用い、津波については機器の設置高さを用いることと
しており、保安院はそれらの妥当性を確認したこと。

事業者が行うとした事象対応オペレーションについて、保安院が現地調査を行い、
実際のルートや操作性の確認及び時間の測定などを確認したこと。

保安院が求めた緊急安全対策による裕度の向上を評価していることを、保安院が
確認したこと。
その結果、当委員会としては、以下のように考える。


一次評価は、技術的に言えば、地震及び津波に対する施設の裕度を簡略な方法 1に
よって評価したものであるが、個別の原子炉施設について事業者による評価結果が
提出され、規制行政庁による確認が行われたことは、一つの重要なステップである。

上記の方法によって、地震及び津波に対して最も余裕の少ない、炉心損傷に至りう
るシナリオとして、最終ヒートシンク喪失(LUHS)に伴う全交流電源喪失(SBO)
を同定している。本シナリオは、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を
踏まえ、施設の頑健性を確認する上で、特に重要度の高いシナリオである。
1 地震に対して、実際の耐力ではなく、より安全側であるとして、設計において用いる許容値等と比較す
る方法によって試算していること等を指す。

3



緊急安全対策は、本評価結果による限り、成功パスが成立する地震動及び津波高さ
の範囲を大きく拡張するものではないが、実質的には、建屋への浸水防止、可搬施
設の複数配備等によって、成功パスの成立性をより確実にするものである。
3.3 二次評価に向けた当委員会の意見
当委員会は、確認に当たって、保安院、独立行政法人原子力安全基盤機構及び関西電力
から補足説明を求めるため、今後、二次評価まで行われることを前提として 7項目の基本
的な質問2を提示した。また、検討における質疑応答の内容は、概ねこれらの 7項目に分類
可能であった。以下、各項目について、質問の趣旨と、保安院及び関西電力からの回答の
要点、及び、今後、二次評価に向けて留意するべき点等について当委員会の意見を示す。

(1)事業者独自の努力、マイプラント意識
質問の趣旨
施設の頑健性を担保し、改善するに当たって、事業者が独自の目標を設定し、目標達
成のための合理的方法について判断し、それらの内容について技術的説明責任を果た
すことが重要である。ここでは、総合的安全評価における関西電力独自の努力の内容
についての説明を求めた。

回答の要点ならびに当委員会の意見


自主的努力の内容として、具体的な設備整備について設備容量の大型化、機器数の増
加等について説明がなされた。これら設備整備については、その仕様や数量だけでな
く、その必要性や効果についての技術的判断の根拠と内容についての説明責任が果た
されること、また現場確認(ウォークダウン)によって得られた情報、個別対処及び
水平展開による安全性向上効果についての説明責任が果たされることが、今後の継続
的改善のために重要であると考える。

(2)技術的背景
質問の趣旨
アクシデントマネージメント策を含め、今般の評価対象内容に関係し、かつ従来は規
制対象でなかった領域に関し、事業者が自主的に整備した技術の内容を把握するため
の説明を求めた。

2関西電力株式会社大飯発電所3号機及び4号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する原子
力安全委員会からの質問事項(平成24年2月21日第1回検討会 総検第1-6号)

4

回答の要点ならびに当委員会の意見

上記の問題は関西電力の報告書に含まれておらず、保安院による審査過程で取り上げ
られたものである。このことに示されるように、今般の評価に関わる範囲であっても、
従来、事業者の自主努力の範囲であった領域については、規制行政庁への報告が十分
に行われていない可能性があり、事業者と規制行政庁の間の更なる意思疎通が必要で
ある。

今般の評価では、保安院は、成功パスに関わるアクシデントマネージメント策につい
てのみ実行可能性を確認したとしているが、整備済みとされているアクシデントマネ
ージメント策の実行可能性についての総点検も必要である。

当委員会は、総合的安全評価において確率論的安全評価(PSA)そのものを必ず実施す
ることまでは求めていないものの、内的事象PSA、地震・津波 PSA等の知見を活用する
ことを求めている。今般の評価において当該施設に関する PSAの知見は明示されなか
ったが、評価を的確かつ効率的に行い、シナリオ同定や成功パスの頑健性を担保する
という観点から、当委員会は、各施設に関する PSAの知見を活用することを改めて奨
励する。

(3)共通要因故障、従属要因故障の同定
質問の趣旨
想定を超える地震や津波に際して共通要因故障、従属要因故障が生じることは、潜在
的な脆弱性の要因であることから、このような可能性に係る検討内容について説明を
求めた。

回答の要点ならびに当委員会の意見

今般の評価においては、簡略な方法を用いていることから、故障の様態や内容の現実
的な同定は行われていないが、保安院は本方法によって地震や津波への裕度を保守的
に見積もることができたとしている。一方、施設の頑健性をより高めるためには、潜
在的な脆弱性の要因となるような故障の可能性を現実に即して同定し、防止策を講ず
べきである。このためには、設計情報(系統図)から読み取れる主要設備間の従属関
係だけでなく、補機ないし周辺機器と設備本体の従属関係まで考慮すべきである。


保安院は、成功パスの成立のために重要な設備の一つであるタービン動補助給水系に
ついては、地震に起因する内部溢水による従属要因故障の可能性を検討し、その可能
性が十分に低いことを確認したとしている。

5

一方、非常用ディーゼル発電機については、海水ポンプの故障により従属的に故障し、
これが全交流電源喪失(SBO)の原因となるとしている。この故障シナリオによる影響
は大きいことから、合理的に達成可能な故障防止策が検討されるべきである。

一方、非常用ディーゼル発電機については、海水ポンプの故障により従属的に故障し、
これが全交流電源喪失(SBO)の原因となるとしている。この故障シナリオによる影響
は大きいことから、合理的に達成可能な故障防止策が検討されるべきである。
シナリオ同定の頑健性
質問の趣旨
一次評価においては地震や津波による機器故障を簡略な方法によって判断しているこ
とから、このようなアプローチによって同定された炉心損傷シナリオの確かさに注意

を払う必要があることについて、どのように考慮したか説明を求めた。

回答の要点ならびに当委員会の意見

保安院は、地震や津波による機器故障の判断基準が保守的であり、今般の評価に当た
って事業者が新たに導入した判断基準についてはその妥当性を確認したとしている。

しかしながら、上記の判断基準は実際の限界値等との差異が大きいことを踏まえ、施
設の潜在的な脆弱性を把握する際の地震起因シナリオの同定、特に進展速度の速いシ
ナリオのふるい落としにおいては慎重を期すべきである。また、安全対策の計画につ
いての評価を目的とする場合には、むしろ複数のシナリオを同定することが望ましい。


シナリオ同定は、種々の安全対策の基礎となるものであることから、その現実性につ
いて、安全対策の実施に当たる関係者の共通理解が得られるものでなければならない。
シナリオ同定に係る判断基準のうち構造解析に基づくものについては、事業者はさら
に技術的な説明責任を果たすことが必要と考えられる。
施設・機器等の地震に対する耐力に関する実力値の体系的な評価に向けて、努力がな
されるべきである。

(5)成功パスの頑健性
質問の趣旨
今般の評価では、地震や津波によって施設が被害を受けたとき、運転員操作等によっ
て安定的な停止状態に至る道筋、いわゆる成功パスが示されているが、操作の遅れや
失敗、設備の故障の可能性が適切に考慮され、その影響に応じて対処策が準備されて
いることが必要であり、これらについて説明を求めた。

回答の要点ならびに当委員会の意見

保安院は、成功パスに係る運転員操作所要時間、設備の多重化について確認したとし
ている。また、代替パスについても、整備済みのアクシデントマネージメント策の活
用等があるとしている。


しかしながら、成功パスの頑健性をさらに向上させるためには、多様なパスを定量的
な解析によって検討し、対処可能な範囲を広げる努力を行うべきである。また、対処
策は、想定される種々のシナリオに共通的に有効であることが望ましい。

6


津波に関しては、成功パスの成立する津波高さの範囲をより現実的に特定するため、
地形等を考慮したシミュレーション等により、津波の挙動等を適切に考慮すべきであ
る。

津波に関しては、成功パスの成立する津波高さの範囲をより現実的に特定するため、
地形等を考慮したシミュレーション等により、津波の挙動等を適切に考慮すべきであ
る。

複数の原子炉が設置されている発電所で一つの炉が炉心損傷に至ったような場合、隣
接炉での炉心損傷防止策(成功パス)が影響を受ける可能性があり、今後検討がなさ
れるべきである。

成功パスを頑健なものとするための設備対応や訓練等は、その必要性及び合理性につ
いて、設備対応や訓練等に当たる関係者の共通理解が得られるものでなければならな
い。

成功パスに係る構造解析、熱流動解析については、事業者はさらに技術的な説明責任
を果たすことが必要と考えられる。

今般の評価によれば、成功パスが成立する地震動の上限及び津波高さの上限は、緊急
安全対策以前と大差ない結果となっているため、合理的に達成可能な改善策が検討さ
れるべきである。

人員の確保・招集、専門的人材の配置を含めた事業者の緊急時対処能力が、今後、よ
り系統的に示されるべきである。

事業者は、整備した資機材(施設)について、実際に使用する場面で実効性があるも
のとするために教育や訓練を実施し、改善事項を常に見出していくことが必要である。
また、規制行政庁は事業者の行った訓練について、上記観点から適切な指導を行って
いくことが必要である。

(6)可搬施設による対処の考え方
質問の趣旨
可搬施設による対処は、柔軟性に富み、予め詳細に想定することが困難な事態にも有
効であると期待される一方、臨機の判断と作業を前提としている。これらを踏まえた
恒久的施設の強化と可搬施設の活用の考え方を整備する必要があり、この点について
の説明を求めた。

回答の要点ならびに当委員会の意見

緊急安全対策等で導入した可搬施設に加え、恒久施設を整備する一方、可搬施設も維
持するという方向性が示された。今後、事業者においては、訓練や解析に基づいて、
可搬施設の活用及び維持の方針を整備し、今後の対策に反映すべきである。ここでは、
可搬施設への品質要求や中長期的な機能維持の考え方も整備されるべきである。設備
等の信頼性の確認については、一律の品質要求や定期検査等に限定せず、訓練におけ
る動作確認等の実質的な方策が検討されるべきである。

7

プラントの安全確保に係る設備は本来規制対象であることが前提である。緊急安全対
策は今回の事故を受けた緊急避難的な措置であり、規制行政庁は、緊急安全対策とし
て整備された可搬施設等について、恒久的施設の強化と可搬施設の活用の考え方を明
確にしつつ、規制上の扱いを整理することが必要である。

プラントの安全確保に係る設備は本来規制対象であることが前提である。緊急安全対
策は今回の事故を受けた緊急避難的な措置であり、規制行政庁は、緊急安全対策とし
て整備された可搬施設等について、恒久的施設の強化と可搬施設の活用の考え方を明
確にしつつ、規制上の扱いを整理することが必要である。
経過措置の頑健性
質問の趣旨
計画されている大型施設の設置等の実施までに時間がかかるものがある場合、それら
の対策が実施されるまでの経過措置の頑健性について把握されていることが必要であ

り、この点についての説明を求めた。

回答の要点ならびに当委員会の意見

可搬施設の配備ならびに訓練等によって頑健性を担保するという考え方が示されたが、
体系立った訓練及び評価によって施設の相対的な脆弱性を摘出し、排除する努力が払
われるべきである。


免震事務棟を設置し、緊急時対策所を置くことについては、特に重要と考えられるこ
とから、経過措置として考えられている原子炉建屋内の会議室等の利用について、必
要に応じて追加措置を講ずるとともに、免震事務棟の建設を急ぐべきである。また、
規制行政庁においては、緊急時対策所への機能要求を整備し、審査基準等の形で早急
に提示すべきである。

4.まとめ
今般の総合的安全評価は、保安院が東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事
故を踏まえて事業者に指示した緊急安全対策等が、主に設計上の想定を超える外部事象に
対していかに原子炉施設の頑健性の強化に寄与したかを評価することを目的としており、
一次評価により緊急安全対策等の一定の効果が示されたことは一つの重要なステップと考
える。今後は、当委員会の意見を踏まえ、二次評価を速やかに実施するとともに、より一
層の安全性向上に向けた継続的改善に努めることが肝要である。

8

(参考)
可児吉男 学校法人東海大学 東海大学工学部原子力工学科教授
五福明夫 国立大学法人岡山大学大学院自然科学研究科産業創成工学専攻教授
杉本純 国立大学法人京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻教授
藤城俊夫 財団法人高度情報科学技術研究機構参与
更田豊志 独立行政法人日本原子力研究開発機構安全研究センター副センター長
横堀誠一 学校法人五島育英会 東京都市大学工学部原子力安全工学科教授
※敬称略

<発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価検討会の開催実績>

第1回会合 平成24年2月 21日
第2回会合 平成24年2月 29日
第3回会合 平成24年3月 5日
第4回会合 平成24年3月 7日
第5回会合 平成24年3月 13日

9

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日本ユーラシア協会広島支部ニュース2012年3月27日

2012-03-28 23:29:57 | 日記

日本ユーラシア協会広島支部ニュース   2012年3月27日
【日本ユーラシア協会全国総会が開催されました】
2012年3月17日(土)18日(日)本会議:石川県立音楽堂「交流ホール」
分科会:国際交流センター
テーマ:「環日本海の平和・友好・共生と3.11の復興をめざして」分科会:1平和条約 2文化・芸術交流 3言語の教育・普及 4青年交流 5学術・経済・姉妹市都市交流 6国際交流・旅行 7核廃絶・脱原発
[写真上:全体会での伊原さんの報告(2頁掲載)]
[写真中:祝賀会でのロシア留学生の挨拶]
[写真下:分科会7の真木さん(左)の報告(次号で紹介)]

[日本ユーラシア協会第53回全国総会宣言(金沢)]
今年は、日本ユーラシア協会創立55周年、日ソ協会から改称して20周年という記念すべき年です。
私たちは、東日本大震災と、人災ともいうべき原発事故の苦難を経た1年後、2012年3月17,18日、ここ石川県金沢市で第53回全国総会を開催し、新しい2012年度から2013年度の活動方針を決定しました。総会には、各界の来賓、代議員、評議員、役員など、155名が参加し、全体会や分科会での熱心な討議と盛大な祝賀会が行われました。
2011年3月11日に東北を襲った東目本大震災が、多くの「人命」と「財産」を奪い、未曽有の大被害をもたらしました。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りいたしますとともに、被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
 被災地では、不自由な仮設住宅での生活、失業保険切れ、雇用と産業再建の遅れ、医療・福祉・教育の課題など生活再建や震災復旧・復興の目途が立たず、不安が高まり、震災による自殺者、孤独死が増えてきています。
さらに、地震と津波による東京電力福島第一原子力発電所の事故で、チェルノブイリの原発事故に匹敵する放射能汚染に曝され、多くの被災者をだしました。今なお、その影響は変化しながら多岐にわたり被害を拡大しています。放射能汚染の徹底した測定と除染の取り組み、放射能被害の全面的な賠償、子どもたちを放射能から守ることが急がれます。今後とも、被災者、被災地の想いに寄り添いながら支援活動を進めることが求められています。
私たちを取り巻く世界の情勢は、決して楽観できる状況にはありません。アメリカによる経済、政治、軍事にわたる一国覇権主義支配は崩壊しつつあり、中東、アフリカ、アジア、ラテン・アメリカ地域等世界の各地で民主化運動の高揚が見られます。一方ではパレスチナ・イスラエル間題、イランや北朝鮮の核開発を巡っての軋櫟など局地的な戦争に転化する危険性は否定できない状況にあります。ユーラシア諸国の関係も、自立と連帯と対立、経済発展上の格差などをめぐり複雑です。
近く、日口間の領土間題解決に熱意を示すロシア新政権の発足にあたり、日口両国の政府が真剣で踏み込んだ交渉に臨み、この歴史的懸案の解決にあたるよう強く期待するものです。協会としては、日ロ平和条約締結を促進するため、国民世論をもりあげていくことに力を尽くします。
日本国内の情勢は、経済不況の深刻化、震災復興の遅延、TPPへの参加、沖縄の普天間基地の固定化、消費税大幅引き上げ、原発再稼働の動きなど、国民生活の苦しみは一層深刻さを増しています。
協会は、「原発からの撤退」、「被災地への救援活動の継続」、「憲法9条を守る運動での共同」、「原水爆禁止・核廃絶」、「TPP参加反対」などにも連帯して活動します。
協会は引き続き全国各地でユーラシア諸国民との相互理解、文化・芸術分野の紹介と交流、友好親善のための多彩な取り組みを行い、今年9月6,7日、札幌で開催される第10回日ロフォーラムの成功を目指します。
全国的に協会の会員の高齢者比率が高まっており、次の世代への運動の継承を早急に図らなくてはなりません。国際友好運動を発展させる上でも、若い世代への組織拡大が極めて重要です。
広範な人々と連帯し、絆を強め、全力をあげて新しい方針を実践しましょう!
2012年3月18日日本ユーラシア協会第53回総会 金沢

[⑧平和間題 核兵器のない世界へ 日本ユーラシア協会の平和活動 非核の国際連帯のうねり 広島県連理事長伊原敏子]
日本ユーラシア協会は、2010年5月3日~28日にニューヨークで開催された核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成功をめざし「核兵器のない世界」の国際署名をロシア語に訳し、広島平和文化センターの協力による広島・長崎の被爆写真ポスター(1組38枚)と共に、ロシアの平和市長会議加盟15の都市及び姉妹都市と3月全国総会に出席のキルギス代表宛に送り、連帯の行動を呼びかけました。皆様は各県連・支部の署名行動に積極的に参加されたことと思います。また、協会本部からは平和担当の坪井副会長を代表派遣し、日本ユーラシア協会の平和の取組みをアピールしました。
ロシアの諸都市に呼びかけた署名は、札幌と姉妹都市のノボシビルスクをはじめ、オーレンブルグ、ボルゴグラード、ハバロフスク、ウラジオストーク、キルギス国から計269送られてきました。被爆国の日本全国で取り組まれた691万余の署名は、ニューヨーク国連本部で、日本代表がカバクチュランNPT会議議長に直接手渡し、その広場に高く積み上げられました。議長は翌日会議の冒頭で、この700万にのぼる日本国民の心からの叫びである署名の感動と政府代表に向かって核兵器廃絶の努力を呼びかけました。藩基文国連事務総長も「核兵器廃絶がいま、地平線の先に見えている。行動すれぱ世界は変わります。」と発言。私たち一人ひとりの草の根の力が、まさに国際政治を動かしており、協会の皆様の運動がこの一翼を担ったのです。引き続き、次のステップ2015年のNPT再検討会議にむけて、昨年2月からの「核兵器禁止を求めるアピール」新署名の取組に力を注ごうではありませんか。平和への取組をおろそかにすること、手をゆるめることは情勢が許さないでしょう。
さて、毎年広島と長崎で行われている原水爆禁止世界大会に出席のユーラシア諸国からロシア、カザフスタン、リトアニアの各代表を招いて広島と東京で歓迎・交流会を行っています。ロシア・チェリャビンスクの核製造工場での3回の大事故、カザフスタン・セミパラチンスクでの40年聞、4500回以上の核実験の結果、環境・人体に及ぼす重大な被害は二世、三世と今なお劣悪なる医療環境の中で、多くの癌・先天性奇形児の出産、健康破壊のため苦しみ続けている現状を世界に訴えています。広島訪問は13回目というロシア・チェリャビンスクの核被害者のミーリャさんは、「毎年、日本ユーラシア協会の皆さんが温かく迎え激励してくださるので、元気が出るし心から感謝しています。」と語っておられまず。
私自身も毎年この世界大会国際会議に出席し、分科会で当協会の核兵器廃絶・日本国憲法9条の普及取組み等について発言していますが、何と言っても最大核保有国はロシアです。
世界で核爆弾2万3,360発の中、13,000発がロシアで、第2位のアメリカが9,400発です。
そのロシアに対して民間どうしの運動を直接取り組んでいるのが日本ユーラシア協会であり、私たちの役割の重要性を痛感しています。

【問題提起:「日ロ領土問題解決・平和条約締結促進を目指して 事態打開の方途をさぐる」日ユ協会常任理事・京都府連会長長砂實さんより提案。(第5回)次号に掲載。】

【ひろしまフラワーフェスティバル 】5月3、4、5日に参加します。お楽しみに!!

【第59回ロシア語能力検定試験5月27日日曜日実施 会場:袋町市民交流プラザ南棟会議室A】
受け付け期間は4月2日から5月10日です。





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がれき問題について 丸山茂樹より意見

2012-03-23 07:09:36 | 日記
がれき問題について 丸山茂樹より意見

皆 様
情報提供、有難う御座います。
一言、私見を述べます。私もこの間、岩手、宮城、福島の被災地を何回か往復していますが、最も多くの人々が緊急と望み考えているのは、生活と仕事を始めて少しづつでも普通の生活を取り戻すことです。岩手県の宮古市・重茂漁協ではこれにいち早く取り組みほぼ50%程度回復させました。ここでも勿論あちこちに瓦礫の山があり処理すべき問題ではありますが、これは緊急を要する課題ではないのです。
日常生活と生産(仕事)を阻害しているのは水揚げできるように港を修理すること、生産施設の応急処置、そのために緊急工事などの発注が遅くて、再建を諦める人が続出しています。

瓦礫問題にマスコミや政治家が集中しているのは、優先課題のすり替えのように思われます。
丸山茂樹
追伸:農協中央会のシンクタンクの雑誌『にじ』とピープルズ・プラン研究所の季刊誌に書いた拙論をご参考までに添付します。

● がれき問題に関して、いろいろ情報が流れていますので、 以下、参考情報を転送します。   
********
被災地の市町村が自ら本格的な瓦礫処理施設を建設しようとしても政府や県がさせなかったことなど・・・・
陸前高田市の例での話

http://ameblo.jp/junichi-raelian/entry-11193556785.html
そのほか:
①「瓦礫の広域処理が許されない12の理由」
(「沖縄県独自の被災地支援ビジョン策定を求める陳情書」)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1618.html
②「いのちを守る300キロの森づくり」動画
http://www.youtube.com/watch?v=gDOEs2_ONGM&feature=youtube_gdata_player

●復興をめぐる攻防―協同・共生の道か、“悪魔の石臼”か―岩手県宮古市・重茂(おもえ)漁協の復興の活動―
丸山茂樹(参加型システム研究所、日本協同組合総合研究所、客員研究員)
 
 1.重茂漁協とその特徴
 重茂漁協と言っても何処にあるどんな漁協なのか?本誌の読者で知っている方は少ないのであるまいか。そこで先ず、その概況を述べるところから始めたい。岩手県都の盛岡市から太平洋に向かって真東へ約100キロ進むと宮古市がある。人口約6万3000人。宮古港は岩手県内にある重要港湾の1つ(他に久慈港、釜石港、大船渡港)であり、漁業関連の水産加工、運送流通、造船、漁具、魚網、関連機器、商業施設、観光、行政機関などがあって周辺の中小の漁業集落の営みを支えている。    
市内に三つの漁協がある。北に超大型の堤防で知られる田老漁協、市の中央を流れる閉伊川の河口近くの宮古漁協。そして南部の太平洋に突き出した本州最東端の半島が重茂地区でここに小さな漁港8、やや大きな漁港2つを持つのが重茂漁協である。人口約1600人の純漁業の集落で漁協組合員574人、大災害を受けた昨年度(平成22年度)の事業高(購買事業、販売事業、加工事業、自営事業、指導事業の合計)は約43億2000万円(他に共済事業保有高226億7000万円)である。漁協の組合員数はごく平均的な規模であるが経営は極めて健全で1組合員の事業高は単純平均で約750万円。共済保有高の1組合員平均約3千950万円で非常に多い。(1世帯に複数の組合員がいる家庭もあり、ワカメや昆布の養殖を営む組合員は他の組合員より収入が多いので一律ではない)
重茂漁協の特徴の一つはワカメや昆布の養殖が盛んであること、ワカメや昆布の加工事業を漁協として営んでいること、また大きな漁穫のある定置網業を漁協が経営していること、生協など消費者組織と親しい関係を結び産直など多様な販売チャンネルを開発していること、などがある。つまり漁業だけでなく水産加工、貯蔵、販売事業などを多角的に行い、年間を通じて安定的に仕事を行えるようにしている。近年盛んに言われている農林水産業の六次産業化(1次×2次×3次=6次産業化)を早くから実践してきたのである。
これらの結果でもあり原因でもあるが、組合員の平均年齢が55.6歳で全国平均よりも約10歳若い。結婚して子供を育てる見通しがあるから若者は安心して漁師になれるし、嫁や婿も外からやってくる。実際に29歳以下46人、39歳以下54人、49歳以下102人の組合員がいる。水産庁の『水産白書』によると漁村の高齢化と人口減少は全国平均よりも高く、65歳以上の高齢者の割合が50%を超える漁業後背集落はこの10年間で倍増したと指摘しているけれども重茂地区ではこの傾向を見事に跳ね返してきたのである。

2.重茂漁協のコミュニティづくりと環境運動                      
合成洗剤追放・せっけん運動をやってきた人々や、青森県六ヶ所村に建設中の核燃料再処理工場の反対運動に現地で関わってきた方は皆ご存知であるが、重茂漁協は海の環境を守るために長年にわたってせっけん運動や反核施設運動を地道に続けてきた。重茂地区への峠には次のような大きな看板がある。                                       
「お願い ここでは合成洗剤を絶対に使わないことを申し合わせた地域ですから ご協力お願いします。昭和五十五年五月 重茂漁協通常総会 重漁協婦人部総会」                                                   
昨年(2010年)も女性部が中心となって全国からせっけん運動や環境保護運動の活動家・専門家を数百人集めて漁協本部のホールで「シャボン玉フォーラムin重茂」を開いている。重茂地区ではサケ、アワビの稚魚の養殖放流事業も行っていて、環境を守るための河川の浄化、植樹事業も熱心に行っている。先にも述べたが青森県の六ヵ所村の核燃料再処理施設への反対署名活動や代表団派遣など粘り強く展開してきた。                 
今年(2011年)7月末、復旧が一段落したところで新しい出発を期して漁協本部の広場で開かれたバーべキュー大会で、地域の人々や生活クラブ生協の組合員ら数百人を前に、伊藤隆一組合長はこう語った。「私達は先祖から受け継いできた素晴らしい海を子孫に引継いでゆくために六ヵ所村の核燃料再処理施設への反対運動を続けてきました。私たちに対して『漁協がそこまでしなくても良いんではないか』と言う批判もあったのですが、この度のフクシマ第一原子力発電所の事故で不幸にして私達の主張の正しさが証明されてしまったのです。」ここに協同組合運動を社会運動として実践してきた事が示されている。
 ちなみに重茂漁協の事業計画書にはこう書いてある。『「天恵戒驕―天の恵みに感謝し驕ることを戒め不慮に備えよ。この天恵戒驕は初代組合長西舘善兵翁が根滝漁舎新築記念に記したものである。私たちのふるさと重茂は天然資源からの恵みが豊富であり、今は何ら不自由はないが天然資源は有限であり、無計画に採取していると近い将来枯渇することは間違いない。天然資源の採取は控えめに、不足するところは自らの研鑽により、新たな資源を生み補う。これが自然との共存共栄を可能とする最良に手段である」。

3.復興への「重茂方式」と「岩手特区」
 さて、何故いま重茂漁協か?3.11以後、NHKの取材班がいち早く重茂に張り付いた。
復興を巡って真っ先に動き出したと言うこともあるが、しかしそれ以上に僻地の寒村ながら国や県・市など上からの指導や援助を待つことなく協同の力、コミュニティの総力を結集して動き出し「重茂方式」とも言うべき復興方式を編み出しつつあったからである。             
重茂地区も他の漁村同様に壊滅的な打撃を受けた。816隻あった船は16隻を残して798隻が失われ、家屋の全壊流出101世帯、死者50人、港湾施設、加工貯蔵施設、作業施設、定置網、養殖筏は総てが流失した。家族を失い、家を失い、船も筏も失って多くの漁師が無収入になる危機的状況を前に伊藤隆一組合長は語った。「こうゆう時こそ協同組合の精神で行かねばいかん」。先ず、生きる手立てを図ること、仕事が出来る目標を立てること、みんなで力を合わせて離脱者、脱落者を出すことなく支えあう方策を創る。被災の後、提携している生協が毎日のように支援物資をトラックで運んできた。常日頃の提携の賜物だ。
組合員は地区毎の集まり、役員会、組合員全員協議会が相次いで開いた。瓦礫の片付け、道路の修復と共に、何よりも船を確保して再生の仕事の目処をつけなくては。そこで船を確保するために被災しなかった青森、秋田、山形などの漁港へ組合員を派遣して、使っていない中古の船の確保に走り回った。まず確保した約50隻の船をどうするか?漁協連合会を通じて発注した400隻の船が少しづつ届く。これをどう配分するか?『総てを漁協で所有し、地域ごとにグループを作って共同利用する』『組合員全員が1隻づつ持てる段階がきたら個人所有に移行する』それまでは『グループ毎の水揚げに応じて分配金を支払い、船の代金は水揚げの10%を天引きして貯める』『港湾施設・加工施設などは上からの援助を待つことなく順次、計画を立て先行して実行する』・・・いわゆる『重茂方式』の登場である。
これに対し岩手県の達増拓也知事は重茂漁協から学んだと激賞しつつこう語っている。「・・・岩手における復興にとって、規模の集約・大型化、民間大資本の導入などの手法―端的にいって“TPP的”な路線は、まったく考えられません。この点は復興会議でもかなり時間をかけて繰り返し説明し、両論併記的な記述になった・・・・」「答えは現場にある…で、漁協を核にした復興という点では先駆的なワカメ養殖で知られる重茂漁協の自主的な取り組みに教えられた点が大きいのです。言うまでもなく重茂も甚大な津波被害を受けたのですが、漁協の総会で、残存した漁船を一括して確保し、お金を工面して補修を実施したうえで、操業に出られる漁業者に貸与し、漁業者はこの漁船を共同利用するという仕組みを全会一致で決め、そして早くも五月二十一日には天然ワカメ漁の再開にこぎつけているのです。・・・・」(雑誌『世界』2011年9月、達増拓也「答えは現場にある―岩手県のめざす人間と故郷の復興」)
岩手県の復興計画を見ると、基礎自治体、漁協、農協、地域企業グループの復興を県が下支えして行くこと、国の資金を必要とするがそれは上からの押し付けであってはならないこと、下記のように「七種の特区」を提唱しているが、それは国家による強制ではなく、地域自治を擁護し、大企業資本の侵入による地域支配から地域経済を守る内容である。
『七種の特区からなる「岩手復興特区」を創設することにより、岩手の迅速な復興を実現し「命を守り、海と大地と共に生きる、岩手、三陸を創造する」★まちづくり特区(土地利用手続き等の迅速化、多重防災型まつづくりに向けた財政支援等)★再生可能エネルギー導入促進特区(多様なエネルギー資源を活用した電源開発等★保健・医療・福祉サービス提供体制特区(施設の早期復旧、町づくりと一体となった体制構築、遠隔医療に推進等)
★教育進行特区(教育施設の早期復旧、教職員の配置充実化、児童生徒の居場所つくり等)
★企業・個人再生特区(早急な二重債務対策の実施、税制優遇による被災地投資の加速化等)
★漁業再生特区(漁船・施設等の共同利用、漁船建造許可の迅速化、漁港復旧等)★岩手の森林再生・活用特区(県産材の活用による災害復興、多機能海岸防災林の造成等)
                                             
4.“悪魔の石臼”―「宮城方式の特区」                           
宮城県の村井嘉浩知事は、国家資金の大規模導入と抱合わせで大企業にも漁業権を与え、大企業の誘致によって雇用の機会をつくるために「特区」を作ろうとして復興会議の答申にこれを盛り込んだ。しかしこれは、「重茂方式」や「岩手の特区」と正反対の性質のものである。彼の『宮城県震災復興基本方針』には、「単なる『復旧』にとどまらず、これからの県民生活のあり方を見据えて、県の農林水産業・商工業・製造業のあり方や公共施設・防災施設の整備・配置など様々な面から抜本的に『再構築』することにより、最適な基盤づくりを図ります」とある。彼が語るには「中小の漁港を復興するのではなく、選択と集中を行い、漁業権を外部企業にも与えて大規模な漁業や水産加工工場を誘致する。そうすれば雇用の機会も拡大する」という。これは典型的な新自由主義思想の実践宣言に他ならない。カール・ポランニーはその著書『大転換』で、ナチスの「ファシズム」とソ連の「スターリン主義」を“悪魔の石臼”と呼んだが、韓国の権寧勤氏は、全世界に格差社会をもたらす新自由主義政策を第3の“悪魔の石臼”と呼ぼう!と提唱している。村井嘉浩知事の政策はまさに“悪魔の石臼”であるが、漁民や地域の水産加工業者の抵抗に遭遇している。彼らは都市の消費者と結んで起業して出資者を募ったり、「重茂方式」に学んで共同所有方式を模索したり、可能な規模での創業を行っている。しかし、高齢化と過疎化に悩む人々の一部は、復興の道を自ら作り出せない苛立ちや諦めの中で、国家権力と大企業へお任せしようという衝動に駆られ、巨額の国家予算を伴う村井路線に引きつけられている。「宮城方式の特区」を許すか、地域の協同の力で農林水産業を復興させることが出来るか、激しいヘゲモニー闘争が繰り広げられている最中にある。

5.結び―「資源小国神話」と農林水産業
 本稿では紙数の制限もあってフクシマ原発事故に触れることが出来なかった。そこで最後に「原子力神話」と共に推進派が論拠にしてきた「資源小国神話」について触れて、農林水産業の復権への幾つかのポイントを考えることにしたい。
 原子力の安全神話は今や破綻したが、それでも「安全を確実にしたうえでやはり原発は継続する」という『日本の五賊』―政府・財界・官僚・学者・マスコミの<原子力ムラ人達>がしがみつくのは「日本は資源のない国だから輸出産業に依存するほかない。原子力産業もその1つだ」という神話である。しかし、実は資源小国論にはまったく根拠がない。           
いま世界は人口爆発と食糧危機に直面しているが、日本には莫大な耕作放棄地がある。日本は世界にまれな緑多き森林大国であるのに山林は荒れ放題で、外国の木材を大量に輸入している。世界は水不足に悩み危機的な地域も少なくないが日本は良質・豊富な水資源に恵まれている。親潮と黒潮の交わる三陸沖は世界三大漁場の一つであり、日本は海洋資源に恵まれている。素直に見れば間違いなく日本は非常に恵まれた資源大国なのだ。          
それにも拘わらず農林水産業の担い手が少なくなり高齢化して、限界集落が激増しているのは何故か?それは自然と資源を循環させつつ生かしてゆくことに価値を置くのではなく、産業資本の効率と利潤を物差しにした経済効率至上主義の「価値観」に支配されてきたからである。その価値観を転換して自然と調和した持続可能な生活と自治を価値基準に据える事である。そしてかけ替えのない自然の保全者であり食料の供給者である農林水産業の担い手に基本的な生活を保障するのだ。例えて言えば全国何処にでも学校・教師、病院・医師看護士、警察署・警官が必要であるように、全国民が自然保全者と食料生産者たる第一次産業従事者を社会全体で必要であると認める。そして全国民の基金で彼らの生活を保障するというコンセンサスをつくるのである。そうすれば、若い世代が喜んで、また誇りを持って第一次産業に従事するようになることは疑いない。価値観と政策転換である。
半永久的に放射能を出し続ける原発は廃止する。電力の独占体制を解体して、発電と送電と配電を分離する。送電は公的に管理し、発電には多様な主体が参画するようにする。政治と共にエネルギーも分権化と自治への過程を促進する。多様なエネルギー源―小型水力、風力、太陽光、地熱、海洋力、木材など地域に適した発電が行われる。中央集中化、大都市化、過密化と過疎化、人間の荒廃は改善され、地域自立の経済への道が開かれる。それが野田内閣と宮城県の村井義浩知事らが進める“悪魔の石臼”へのわれわれの対案であり、実は最初に述べた「重茂方式」「岩手特区」で既に実践されつつある道である。
(2011年11月15日、記)

● 岩手県宮古市・重茂(おもえ)漁協の復興への取組みと特長点―協同精神で漁船の共同利用制による復興と六次産業化の実践―
丸山茂樹(JC総研客員研究員、参加型システム研究所客員研究員)

1 はじめに
 2011年3.11東日本大地震・福島第1原発事故によって岩手・宮城・福島の漁業は壊滅的な打撃を受けた。漁業の復旧の目途が立たず漁民の高齢化がすすんでいる上に過去の災害や投資によって借金を抱えている人も多く、漁業及び海産物加工など関連産業から去らざるを得ない人々も少なくない。そんな中で政府当局の方針や援助が降りてくるのを座して待つのではなく、協同組合精神を結集して再建・復興の方針を決め、いち早く実践している岩手県宮古市の重茂(おもえ)漁協が注目されている。        
重茂漁協もまた他の漁協と同様に壊滅的な打撃を受けた。しかし再建への行動はスピードが速いだけでなく、まず漁協が全精力を注いで漁業に欠かせない船の確保に取組み、組合員がこれを共同利用するという独特の所有・利用方式を編み出して再起を計っている点に特徴がある。もともと重茂地区はコンブやワカメの養殖が盛んで、組合員が生産する水産物を漁協が加工・保管・販売するいわゆる六次産業化を実践してきた。それだけでなく、豊かな海の自然環境保全の活動を社会運動として地域をあげて取組み、アワビの種苗生産、サケ・マスの孵化放流などにも力を注ぎ、消費者組織との産直も続けてきた。こうした先進性が災害からの復興でも素早さと新しい方式を編み出す原動力になっている。
 そこでこの報告では復興への取組み状況と共に、これまでの重茂漁協の経営と運営、活動の歴史や特徴点についても様々な角度から報告することにしたい。

2 重茂漁協の位置と概況
 先ず重茂漁協の位置とおおまかな現況を述べる。岩手県の県都盛岡から東へほぼ1直線に約100キロ進み太平洋岸に達した所が宮古市である。市の人口は約6万3000人。早池峰国定公園内最高峰の早池峰山、陸中海岸国立公園の中でも著名な景勝地の浄土ヶ浜も市内にある。宮古港は国内海上輸送網の拠点となる政令で定められた重要港湾の1つである。(重要港湾は全国に103港、岩手県には宮古港のほかに久慈港、釜石港、大船渡港がある)。ここには漁業関連の水産加工、運送流通、造船、漁具、魚網、関連機器、商業施設、観光、行政機関などがあって周辺の中小漁村の営みを支えてきたのである。     
市内には3つの漁協がある。市の北部にあるのが田老漁協、市の中心を流れる閉伊川の河口にある宮古漁協、そして市の南部の太平洋に突き出した重茂半島をエリアとするのが重茂漁協である。半島の東端は本州最東端に位置し、魹(とど)ヶ崎灯台は映画「喜びも悲しみも幾年月」の舞台となったことで知られているが、宮古駅前からバスで約1時間、1日に幾本もない僻地である。地区の人口は約1600人で漁協の組合員数は574人。漁協の規模としてはごく平均的であり、リヤス式海岸の入り江毎に県が管轄する漁港2、市が管轄する小さな漁港8、合計10の漁港が散在してあってその近くに集落がある。前浜の磯根資源を最も重要な産物としており、林業が多少あるとはいえ他には産業といえるものはない漁業専業の地域である。(地図1.及び2.を参照)          
今回の災害では、漁協事務所の建物は高台にあって無事であったが、家屋の全壊流出が101世帯、50名の犠牲者を出した。漁船は総数814隻あったが16隻を残して798隻が流出した。港湾施設、加工・貯蔵施設、作業施設、定置網施設もほぼ全壊、養殖筏はすべてが押し流された。組合員も漁協も生産施設も製品のストックもほぼ壊滅的な打撃を受け、ただ破壊された港と瓦礫を残しただけであり、ゼロどころかマイナスからの出発であった。
 重茂漁協の大きな特徴は、良質のワカメ、コンブの養殖が盛んであること、アワビ・ウニなどの水産物を加工・貯蔵・パッケージ・販売する一貫生産・流通を漁協として行っていること、またサケ、さば、イカなど多くの漁獲がある定置網事業をも漁協として行っていることである。またこれらの事業を持続可能なようにアワビの種苗生産、サケの孵化放流など資源管理もまた漁協の事業として行っている。そして販売活動において生協など消費者組織との産直をはじめ多様な流通チャンネルを通じて行っている。後にも触れるがこのように多角経営であること、安定的な収入を得ることができる養殖事業や定置網事業を行う事によって所得水準が比較的高いのである。
 もう1つの特徴は海の自然環境保護のために植林に努め、鮭が遡上する河川の保全に気を配り、海洋汚染の原因を作らないための合成洗剤追放―石けん普及運動を地域をあげて推進し、青森県六ヶ所村の核燃料再処理施設反対運動など反原発・反核運動を進めてきた。 
これらの活動を地域社会の人々と一体となって展開することによって、美しい自然が守られ、持続可能な漁業が営まれ、安定収入が得られるということもあって結婚・子育ての未来に自信をもつ若い後継者が育っているのである。
                           
3 マスコミ報道にみる重茂漁協
 先ずはじめに「今、なぜ重茂か?」を理解するうえで参考になる新聞・テレビ・雑誌などマスコミ報道の一部を紹介することにしたい。
● 「いう時こそ助け合いが大切」(朝日新聞)                    
『漁船シェアリング』『自立再生へ宮古・重茂漁協』『50隻を共同で利用』などの見出しで次のように伝えている(2011年5月15日夕刊)。
『「誰もが予想しなかった未曾有の震災。一致して乗り切るしかない」アワビや養殖ワカメで知られる岩手県宮古市の重茂漁協(組合員約580人)。5月9日の組合員全員協議会で、集まった約400人に漁船や養殖施設の共同利用案を説明した。参加者は拍手で賛同した。漁協所属の814隻が被災。国や自治体の支援政策が決らないなか、共同利用は「多くの漁師が無収入になる危機的状況」(伊藤組合長)を乗り越えるために考えた案であった。主にアワビやウニ漁、ワカメ養殖に使う小型漁船を共用する。今回の津波で沖に逃げた漁船や、修理すれば使えるようになる漁船など約50隻を総て組合が所有。4地区に漁船を振り分け、収益は地区ごとに分かち合うという仕組みだ。また、新しく購入する船は総て組合が所有する。全員に1隻ゆきわたる数が確保できた後、個人に引き渡す。新船の代金は2013年以後の水揚げ代金から10%を天引きするから、漁船を失って再出発する漁師たちは借金をする必要がない。小野吉男さん(69歳)は、老朽化して廃船扱いにしていた小型漁船1隻を共同利用に提供するつもりだ。震災では、漁船と養殖施設7台を失った。孫と2人で年収1000万円であったが、今後どうなるか分からない。それでも「こういう時には助け合いが大切。迷いはない」と話す。・・・』
● 「何としても重茂の漁業を再生させる」(NHK)
『豊饒の海よ 蘇れ―宮古重茂漁協の挑戦』(2011年9月6日)
 暮らしが立たず漁にも出られない日々、このままでは漁業離れ、脱落者が出てしまう・・・という危機感から重茂漁協の伊藤隆一組合長の再生への努力が始まる。NHKのカメラは上京して民主党幹事長の岡田克也氏との会合に出たり、水産庁の補助金の説明会に出る姿を追いつつ、具体性、敏速性のない政治家や行政当局の話に対して「こういうのを相談倒れに倒れると言うんだ」と言い放つ伊藤組合長の言葉もとらえている。国や県の援助を期待しつつもそれを座して待つことなく、自ら進んで自助努力を重ねて何としても重茂の漁業を再生させようとする漁民たちの日々の姿を追う。震災後の3月から8月初めまでの6ヶ月間、東京の繁華街で重茂産のワカメのパックが販売され消費者の手にとられるまでを、伊藤隆一組合長を軸にして立体的に描いている迫力ある映像である。
 「何としても重茂の漁業を再生させるんだ」という強い意思。船がなければ手足をもぎ取られたに等しい・・・漁民の要請にいち早く応えること・・・修理可能な船の修復。青森・秋田など他の地域へ出かけて行って使っていない中古船を求め大型トラックで重茂へ運ぶ。これらの船を皆で共同利用する意思決定までの人々の不安や内面の葛藤・・・。400隻の新造船を漁連組織を通じて発注するところまでこぎつけたこと。先ず4隻が届き、喜びの中、浜辺で行われたセレモニー。当面の収入の道として、瓦礫の撤去や道路や港湾工事など行政当局からの仕事に積極的に従事すること。天然ワカメの収穫を漁協が編み出した「漁協による所有と組合員の共同利用」によって開始する。収穫したワカメを浜辺でボイル、茎と葉の分離作業にいそしむ女性たちの姿。エリアを4つに分けて地区ごとにチーム編成を行い、収穫に応じた公平な分配。努力した分だけ報われる個人営業に慣れた人々の、協同労働への戸惑いや葛藤・・・等など。協同を是としつつも「悪平等」に陥らない工夫・・・これらもまた映像にまとめられている。国の補正予算の遅れと金額の不十分さ。これを岩手県当局が補い素早く現地の要請に応えた事実なども報じている。                                           
重茂漁協の活動を貫いているのは、組合員に対して常に情報をオープンにし、徹底した民主的運営を行っていることであろう。復興への道筋、そのための手段・方法、何時になったら復興できるのか?組合員が抱いている不安に対して、キチンとした根拠・情報に基づく説明が、地区代表者会議、役員会、組合員全員協議会などを繰り返し行うことによって、皆んなの納得のもとに決定がなされ実行に移されている。したがって協同組合のリーダーへの信頼は厚く、組合員同士は連帯感に満ち溢れていることが映像でよく分かる。
● 「答えは現場にある」(雑誌『世界』2011年9月号)
達増拓也『岩手のめざす人間と故郷の復興』―インタビュー「答えは現場にある」―において岩手県知事は次のように話している。「船が流されただけでなく、養殖施設や加工工場なども壊滅的な被害を受けています。県内111の漁港のうち108の漁港が被害を受けている情況です。復興の核となる漁協の事務所が流失・全壊してしまっている例も多いので、まずすみやかに漁協の機能を回復させ、それぞれの地域ごとに主体性のある復興をはかっていくことに取り組んでいます。やはり「答えは現場にある」で、漁協を核とした復興という点では、先駆的なワカメ養殖などで知られる重茂漁協(宮古市)の自主的な取組みに教えられた点が大きいのです。・・・漁協の総会で、残存した漁船を一括して漁協で確保し、お金を工面して補修を実施したうえで、操業に出られる漁業者に貸与し、漁業者がこの漁船を共同利用するという仕組みを全会一致で決め、そして早くも5月21日には天然ワカメ漁の再開にこぎつけているのです。・・・私は岩手では漁協単位などで主体的な工夫を重ねて、零細であっても付加価値の高い漁業を目指していけばいいのではないかと思っています。
野田村の漁協がイトーヨーカドーとの提携で売り出しに成功しているミニホタテ、牡蠣の養殖が盛んな山田町の漁業者が売り出して人気のあった「山田の牡蠣くん」などはその1例です。「牡蠣くん」は地場産の牡蠣の燻製をオリーブオイルに漬けたもので、養殖と加工からインターネットでの販売まで行う六次産業化の先駆的な事例です。・・・岩手における復興にとって、規模集約・大型化・民間資本の導入などの手法―単的にいって“TPP的”な路線は、まったく考えられません。・・・漁業などの第1次産業はすでに高齢化しているではないかとも言われますが、例えば高付加価値の生産物を送り出すことで収入も安定している重茂などでは若い世代の漁師が多く育っています。私たちの生命を支える第1次産業で働く人々が正当に対価を得られる社会的仕組みをどう考えるのか、そこが課題なのではないでしょうか。・・・』

4 六次産業化の成果―重茂漁協の組合員の平均年齢は55.6歳
 水産庁の『水産白書』(平成23年版)によると全国各地で漁村の高齢化と人口減少が進んでいる。漁村の高齢化率は全国平均よりも高く、65歳以上の高齢者の割合が50%を超える漁港後背集落はこの10年間で倍増したと指摘している。また人口集中地区(都市)までの距離が1時間以上かかる漁業集落も全体の2割となっているともいう。
 重茂地区もいわゆる条件不利地区に属するが、若い世代の漁師がいて組合員の平均年齢は55.6歳、全国平均より約10歳も若い。より詳しく見ると29歳以下が47名(8%)、30~49歳が156名(27.2%)、50~69歳が241人(42%)、70歳以上が131名(22.9%)である。この内1世帯に父親または母親と子供の2名の組合員がいるケースも少なくないのでこれが結果的に平均年齢を押し上げている。実際には働き盛りの漁師を親や祖父母が手伝っているケースも多い。特に養殖をしている世帯では働き手が多く、年収も1000万ないし1500万円くらいある。都会のサラリーマンに劣ることはなく、家・屋敷も立派なものが目立つ。養殖をしておらずさほどの収入のない世帯でも、漁協の定置網事業への従事、加工場における作業など年間を通じて働く機会が計画的につくられているので暮らしに困ることはない。すなわち結婚し子供を育てる将来の見通しが立つから若者がこの地に住むし余所からもやってくる。婿にしろ嫁にしろ他人に雇われるのではなく、自分で決めて働き、努力と工夫の成果を我が物にできる自営業―漁業は魅力ある楽しい仕事なのだ。
                                        5 重茂漁協の各事業の概況                           
ここで重茂漁協の事業の概要(平成22年度分)を紹介することにしたい。今回の被災は大きかったがこれまでの経営が極めて健全であり、蓄積された内部留保も大きかったので致命的な打撃にはならなかった。また組合員の共済への加入も多く、養殖施設や水産物への共済の掛け率が高いので、経済的な意味の再起へのポテンシャルは高い。以下は重茂漁協の今年度の事業概要である。
(1) 共済事業(概数)
① 長期共済 本年度末保有高           116億5080万円
        支払共済金                9520万円
 ② 短期共済                      133万円
(2)購買事業 重油・ガソリン等石油類の販売高    2億4700万円
        魚網・舶用機器など資材        2億0200万円
       生活物資                 142万円
(2) 販売事業
 ①生鮮魚介藻類 取扱高合計  6億0663万円  受入手数料 1963万円    
 ②水産製品加工品  〃   13億4108万円   〃   5360万円
(4)定置加工販売(海藻)
 ①ワカメ・コンブの仕掛け品             1億8741万円
 ②わかめ。こんぶの製品              3億6607万円
(5)定置加工販売(魚類)
  ①さけ加工品                    7158万円
  ②めかぶ                      4549万円
  ③うに                       4835万円
  ④その他アワビなど                 2803万円
(6)利用事業
  ①種苗供給高                    2330万円
  ②漁港クレーン。荷捌き利用料受け入れ        1039万円
(7)定置加工販売事業
  ①自営(さけ、さば、イカ、等)         8億2157万円
  ②共同経営(   〃    )         1億6972万円
(8)さけの特別採捕事業
  ①親魚捕獲、採卵、放流実績         稚魚放流1760万尾
  ②収支実績  収入:6662万円 支出:2597万円 利益:4065万円
(9)指導事業
  ①指導事業には、教育情報、繁殖保護、資源管理、営漁指導、遭難救助、生活改善、共済保険推進、アワビ・ウニの中間育成事業、アワビ種苗生産事業が含まれている。
   指導事業の収支は△1194万円である。
注1)『重茂漁協第62年度[平成22年4月1日から23年3月31日まで]業務報告書』より)
注2)役職員体制は常勤の役員(理事)1名、非常勤の役員(理事)11名、監事4名、職員は参事1名、会計主任1名を含む25名(うち3名は信漁連へ出向)

6 重茂漁協の復興計画
 第63年度[平成23年4月~24年3月]の事業計画によって復旧・復興計画が定められた。これによると本年度中にワカメ、コンブの養殖施設の一部、ボイル塩蔵施設、主要港2箇所の集荷所、3港のクレーン、サケ・マス孵化場、19トン型の操業船1隻、定置網5統、冷食工場海水引込み工事、情報連絡施設を整備する。                 
来年度から2年にわたって引続き養殖施設、クレーン、操業船、定置漁業トラック整備、定置漁舎、6箇所の漁港の荷捌所の整備を行う。その後更に10年くらいの展望を持って中長期にわたる復興事業として、冷凍冷蔵庫関係、残りのクレーン関係、未完成の荷捌所の整備を行う。
これらによって漁業生産の復興を計りつつ、中古船の確保、県漁協連合会を通じた新造船の事業を進め、加工事業、定置漁業の回復を徐々に進める。
国や県の補助金などは時期的には遅れる見込みである。しかし養殖業を営む組合員の多くが施設・産品の共済・保険に加入しているので施設再建に当たっての資金問題は解決する見通しだ。むしろ月々の生活費が問題である。漁協では収入が元通りに回復するまでの間、組合員各自が生活費を切り詰め、市や県当局の公共工事などによる収入(日当)で補い、生活と生産の同時的回復を呼び掛けて既に実行している。
報道では再建に当たって国が50%、地方自治体が25%、合計75%の補助金を地域の漁業組織に出すと伝えられている。しかし、岩手県では更にこれに上乗せして地域の漁協や生産者グループの自己負担は実質10%にする策が講じられている、と聞いた。
可能なところから生産を開始し、生活を軌道に乗せ、施設や設備を再建しつつ消費者との連携を以前以上に強固なものにしてゆく―再建策を国家や大企業に丸投げするのではなく自主管理・自治を基本にして行政の支援をフルに活用する―基本方針を具体化したのが重茂漁協の事業計画(第63年度平成23年4月1日から平成24年3月31日まで)である。

7 協同することと競争の重要性―高坂菊太郎参事との対話
 これまで「重茂方式」による復興について紹介してきたが、計画の陣頭指揮をとる参事兼業務部長との長時間にわたるインタビューから、印象的な幾つかのお話をピックアップしたい。(写真1は、高坂菊太郎参事)
・重茂に適した船―中古の船を確保するために多くの組合員を被災していない県の港に派遣した。意外に多くの使っていない船があり、格安で分けてくれた。しかし、実際に使おうとすると、この地のワカメやウニ漁の作業がやりにくい構造・レイアウトの船が少なくなかった。それを修理・改造して使っている。新しい船の発注には造船関係者にはニーズに合わせた設計、製造を心がけるようにお願いしている。
・共済・保険金―組合員は常日ごろから共済には必ず加入しているので、この点は安心している。しかしお金がおりても20%は漁協に積み立てるように呼びかけている。施設や産品の保険金を安易に生活費に使ってしまわないようにも呼び掛けている。再生産できる体制を整えることが最も大切である。これを怠ると将来を見据えた再建策が立たないために思わぬ脱落者が出かねない。
・地域社会への貢献―過去、漁協の利益の中から宮古市に数千万円単位の寄付をしてきた。寄付金で高校生のための寄宿舎を作ったり奨学資金を出したりした。これは当漁協の初代組合長の西舘善兵さん以来の伝統である。それが出来たのは定置網のお陰でもある。高収入を得ることのできる定置網を漁協の所有とした戦後の改革が大きかった。漁協の事務所の前には西舘善兵さんの銅像と業績を称えた碑文がある。もともと教育者であり晩年を郷土の発展と人材育成に捧げられた人物である。                             
・子弟の教育の重視―昔は次男、三男は都会へ出なければならなかった。この半島の海の資源は限られていたのでそうせざるを得なかったのだが、彼らに教育を施し立派に生きてゆけるように、剰余金は市の教育費に寄付したと聞いている。それが出来たのは前にも言った定置網という共有財産があったからだ。さらに加工、貯蔵、販売事業によって収益を増やした。養殖の展開によって更に豊かになり、拡大再生産に繋げる事ができた。
・大規模合併に反対―重茂漁協は行政当局が進める合併に同意せず今日まで来ている。その最も大きな理由は合併した大規模漁協を見ると、誰もが意見を述べ合う情況にないことがハッキリしたからだ。漁業といっても遠洋漁業、沖合漁業、沿岸漁業、養殖漁業など様々であり、季節ごとの水産物の漁業権調整などは漁民同士がとことん話し合って魚種、時期、数量を決めてゆかねばならない。そうしないと海の資源は荒れてしまい持続性を失ってしまう。既得権益などというものではなく、自然と資源の保全であり、それが漁業権の調整なのだ。しかし合併して大規模になると話し合いと合意による運営はなかなか出来ない。力の大きなもの、権力があるものが決めてしまうことになる。
・協同も競争も必要―漁師はサラリーマンではない。漁でも養殖の仕事でも、同じくらいの時間働いて、同じくらいの規模の施設をもっていても努力と技量次第で収入は2倍にもなる。それが漁業です。競争して努力し技量を磨くのです。朝凪の仕事は9時~5時の仕事ではないから競争と努力と絶えざる工夫の積み重ねなんです。協同することは非常に大事だが、競争や個人の自発的な努力を妨げてはいけない。ウニやアワビの季節になると参事の私も海に出て競いながら漁をしますよ。
 事業計画書のはじめに「天恵戒驕―天の恵みに感謝し驕ることを戒め不慮に備えよ」と   
書いてある。続いて「この天恵戒驕は初代組合長西舘善兵翁が根滝漁舎新築記念に記したものである。私たちのふるさと重茂は天然資源からの恵みが豊富であり、今は何ら不自由はないが天然資源は有限であり、無計画に採取していると近い未来枯渇することは間違いない。天然資源の採取は控えめに、不足するところは自らの研鑽により、新たな資源を生み補う。これが自然との共存共栄を可能とする最良の手段である」とある。

8 地域社会と共に生きる
 重茂漁協の大きな事務所ビルの前は広場になっており、初代組合長の銅像と石碑がある。構内に県立宮古病院付属重茂診療所もあり、道を挟んで漁協直営のガソリンスタンド、直ぐ近くには宮古市役所の出張所、郵便局、バス発着場、数軒の商店もある。           
漁協事務所の3階には数百人が集える大ホール、畳の和室、料理教室が出来る大きなキッチンもある。一言で言えば重茂漁協はこの地域コミュニティの中心になっており、人々はここを拠点にして様々な活動をし、暮らしを営んでいるのだ。最近は事務所から遠くない高台のあちこちに仮設住宅が建ち被災者が住んでいるが、彼らは孤立することなく地域に溶け込んでいる。(写真2は、初代組合長の西舘善兵翁の像と碑)
 先に事業概要の中で「指導事業は赤字1194万円」とあったが、これには季刊誌「漁協」
の総代組合員たちへの配布、岩手県漁連の漁業情報の全組合員への配布、漁協女性部の活動の後援、漁協青年部の活動の後援などが含まれている。組合員が地域で活動するための情報交換、コミュニティの活性化のための活動を後押ししているのである。その一例を示すと重茂半島の入り口には次のような大きな看板が立っている。(写真3。重茂地区の入り口に立つている看板)    
「お願い ここでは合成洗剤を絶対に使わないことを申し合わせた地域ですから ご協力お願いします。 五十五年五月 重茂漁協通常総会 重茂漁協婦人部総会」
今は婦人部ではなく女性部と名前をかえた漁協の女性たちは昨年5月末、2日間にわたって全国の環境保護・合成洗剤追放・石けん利用推進運動の活動家や専門家、数百人を集めて「シャボン玉フォーラムin重茂」というイベントを開いている。漁協からの予算は270万円余。川や海を汚さないための生活スタイルを創る努力を粘り強く続け、自分たちだけでなく、全国に向かって発信し続けているのだ。
また先にも述べた青森県六ヵ所村の核燃料再処理施設への反対署名運動を展開してきた。ひとたび核燃料施設に事故が起こり、放射性物資が海に流出したら、取り返しのつかない悲惨なことになる。母なる海を守りたいという想いから行動してきたのである。
<歴史を振り返る>
ここで簡単に重茂漁協の歴史を振り返っておくと、昭和24年(1949年)の水産業協同組合法の施行の伴い重茂村に漁協を創立以来、大きな出来事の1つは昭和27年(1952年)の定置網の自営開始であった。第2に大きな出来事は昭和30年(1955年)の重茂村と宮古市の合併であったがこの時、両漁協は合併することなく、教育に必要な通学バスや学生寮の資金を宮古市に寄付している。財政的には惜しむことなく協力するが、協同組合の自立・独立は堅持している。昭和38年(1963年)区画漁業権を獲得し、この年に歴史的なワカメの養殖事業を開始した。昭和48年(1973年)高台に新事務所を建設、ガソリンスタンドも新築。昭和51年に、生活クラブ生協、群馬県民生協との取引開始。翌年にはサケマス孵化場の整備と事業開始。以後、年々施設、機械類の整備を行い、生産規模の拡大と生産性の向上を実現すると共に、協同組合自治の発展のイベントを意識的に行い、競争の原理と協同の原理を同時に調和させる試みを実践してきた。

9 まとめ―「共生社会」か、「悪魔の石臼」か?                  
2011年7月末、産直で提携先の生活クラブ生協の組合員や役職員が約100名駆けつけて「バーベキュー交流会」を開いた。これまでの復旧に一区切りをつけて、新しい再建への道を歩むために消費者と生産者が心を一つにしようというイベントであった。重茂の人々数百人が集ったが、ここでは重茂中学校の和太鼓同好会の生徒約20名が見事な演奏を披露し、これに遠く山梨県の生活クラブ組合員の主婦たち10名の和太鼓組が競演、拍手喝采を浴びた。この時期はワカメの種糸を仕込む時期である。これを終えると来年3月には収穫が期待でき実収となる。田植えにも例えられる時期の楽しい盛大なイベントであった。
 バーベキュー大会の開会挨拶で、伊藤隆一組合長は再建のためには地域が一体となって協力すること、われわれ生産者と生協などの消費者が一体となって協力すること、更に広く全国民的な連帯の中で未来を創造してゆきたい、そのためにもと・・・・「私たちは先祖から受け継いだ素晴らしい海を子孫に引き継いでゆくために、六ヶ所村の核燃料再処理施設への反対運動を続けてきました。私たちに対して『漁協がそこまでしなくても良いのではないか』という批判もあったのですが、この度の福島第1原子力発電所の事故で、不幸にも私たちの主張の正しさが証明されてしまったのです」と語り、核廃絶、地球の環境を大切にし、互いに手を携えて協同することの重要性を語った。(写真4.伊藤隆一組合長)     
人間と自然、人間と人間が共に生きる「共生社会」の道を切り拓くか。それともカール・ポランニーが「悪魔の石臼」と呼んだ「ファッシズム」「ソ連型社会主義」と「新自由主義型の格差社会」の弱肉強食の道へ進むか、今岐路に立っているように思われる。
 原子力施設のある福島でも青森でも当該漁協は漁業権を放棄している。1世帯数千万円といわれる補償金や交付金で買収されてしまったわけであるが、その背景には「漁業や農業では飯は食えない」「働き手は老齢化していてもはや継続できない」と嘆く人々や漁業はほんの片手間にしかしていない“漁協組合員”の“賛同”があったという。
 今この度の災害を機会に、漁民から漁業権を奪い、営利企業も漁業に参入できる「特区」制度が宮城県知事の村井嘉浩氏によって称えられ、県漁連の反対にも拘らず政府の復興会議の報告書にも、宮城県震災復興基本方針にも盛り込まれている。村井嘉浩路線を支持する人々は、大資本の導入によって漁業権を放棄する代わりに組合員は莫大な補償金を手にすることが出来るのみならず、大企業による大規模漁業の展開・水産加工工場の操業などによって雇用の機会が生まれ、衰退した漁村は再び蘇るであろう、との誘いに傾く。
 しかし、重茂漁協の実践は「共生社会」への道が決して夢ではなく実現可能であることを示しているのではないか?再生・復興への目途の立たない被災地の人々が今、<危機>の最中にあることは確かである。<危機>は英語で言えば<crisis>であるが、これには<分岐点>という意味もある。<危機>についてイタリアの革命家・思想家のアントニオ・グラムシはこう述べている。「危機は、古いものが死んでも、新しいものが生まれてこないという、正にこの現実の中にあるのだ。このような空白期間には多種多様な病的現象が起きるものだ」(『獄中ノート』雑録34「過去と現在」)
 協同組合陣営にとって重茂漁協は正に危機の中にあって生まれた自治と共生の復興への姿であり、事業経営であり、また地域づくりでもあって協同精神の結晶のような存在であると思う。その第1の理由は、今、求められている第六次産業化を実践し地域社会の持続可能な発展に貢献していること。第2は、協同組合の定義、価値、原則を身をもって体現していること。第3にレイドロー報告が提唱している優先すべき4つの分野をこれまた身を持って実践しているからであると考えるのである。(2011年10月29日、記)










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日本物理学会 神戸大学

2012-03-22 00:42:02 | 日記
日本物理学会 神戸大学
●3月25日午後「エネルギー・環境材料の機能と格子欠陥」シンポジウム
●25日午後 25pXA16:45企画講演「福島原発放射性物質の測定」
●26日13:00-16:55GD会場「福島原発事故と物理学者の社会的責任」シンポジウム

●John Harte 教授セミナー・集中講義
Consider a Spherical Cow の著者である米国カリフォルニア大学バークレー校の John Harte 教授が,この3月下旬に,学術振興会の短期招へいで来日され,その機会に,神戸大学でいくつかセミナー等を行います.
3月27日の集中講義は,物理学会の最終日と重なっています.これは,以下の本の内容に基づくものです.
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Maximum Entropy and Ecology: A Theory of Abundance, Distribution, and
Energetics, by John Harte
Oxford Series in Ecology and Evolution
978-0-19-959342-2 | Paperback | 23 June 2011
http://ukcatalogue.oup.com/product/9780199593422.do
----------------------------------------------------------------------
会場は,すべて神戸大学発達科学部です.
http://www.h.kobe-u.ac.jp/4874
------------------------------------------------------------------------
======================
2012.03.27 9:00-11:00
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Special Lecture on Ecology Part 1
Date: Tuesday, March 27, 2012
Place: B210 Seminar Room, Faculty of Human Development Building B 2F
Time: 9:00-11:00
Theme: Toward a Unified Theory of Ecology (1)
Outline: This talk will focus on the Maximum Entropy concept and its
application to ecological theory. Ecologists and physicists would be
particularly interested.
Hosted by Graduate School of Human Development and Environment
Supported by Japan Society for the Promotion of Science (JSPS)
======================
2012.03.27 14:00-17:00
----------------------
Special Lecture on Ecology Part 2
Date: Tuesday, March 27, 2012
Place: B210 Seminar Room, Faculty of Human Development Building B 2F
Time: 14:00-16:00
Theme: Toward a Unified Theory of Ecology (2)
Outline: This talk will focus on the Maximum Entropy concept and its
application to ecological theory. Ecologists and physicists would be
particularly interested.
Hosted by Graduate School of Human Development and Environment
Supported by Japan Society for the Promotion of Science (JSPS)


======================
2012.03.28 9:00-18:00
----------------------
Workshop on Environmental Science and Public Understanding, A Session in
Academic Exchange Weeks 2011, Graduate School of Human Development and
Environment
Date: Wednesday, March 28, 2012
Place: Conference Room, Faculty of Human Development Building A, 2F
Time: 9:00-18:00
Hosted by Graduate School of Human Development and Environment, and
Kobe University Science Shop
Supported by Japan Society for the Promotion of Science (JSPS)

Program will be announced separately.

======================
2012.03.29 10:00-11:30
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The 229th Natural Environmental Science Seminar
Date: Thursday, March 29, 2012
Place: B210, Faculty of Human Development Building B, 2F
Time: 10:00-11:30
Title: Climate-Ecosystem Feedback
Speaker: John Harte, UC Berkeley
Outline: This talk will focus on how ecosystem responses to climate
change are likely to generate feedback effects that will make the
problem of global warming even worse than generally believed.
Hosted by Unit of Natural Environmental Science, Graduate School of
Human Development and Environment, Kobe University
Supported by Japan Society for the Promotion of Science (JSPS)

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