日本ユーラシア協会広島支部のブログ

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NPJ訟廷日誌【速報】大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文

2014-05-22 16:48:43 | 日記
NPJ訟廷日誌【速報】大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文を掲載します
http://www.news-pj.net/diary/1001

【速報】大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文を掲載します
2014年5月21日
大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨
主文
1  被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。

2  別紙原告目録2記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏外に居住する23名)の請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用は、第2項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。

理由
1 はじめに
 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を間わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。

 個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。

2 福島原発事故について
 福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに、原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって、チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる。

 年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり、どの見解に立つかによってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが、既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え、住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず、両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は、放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断す’ることはできないというべきである。

3 本件原発に求められるべき安全性
(1)  原子力発電所に求められるべき安全性
 1、2に摘示したところによれば、原子力発電所に求められるべき安全性、信頼性は極めて高度なものでなければならず、万一の場合にも放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置がとられなければならない。

 原子力発電所は、電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが、原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法2条)、原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。しかるところ、大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である。このことは、土地所有権に基づく妨害排除請求権や妨害予防請求権においてすら、侵害の事実や侵害の具体的危険性が認められれば、侵害者の過失の有無や請求が認容されることによって受ける侵害者の不利益の大きさという侵害者側の事情を問うことなく請求が認められていることと対比しても明らかである。

 新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなくなるから、新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には、その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり、危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになったといえる。本件訴訟においては、本件原発において、かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。

(2)  原子炉規制法に基づく審査との関係
 (1)の理は、上記のように人格権の我が国の法制における地位や条理等によって導かれるものであって、原子炉規制法をはじめとする行政法規の在り方、内容によって左右されるものではない。したがって、改正原子炉規制法に基づく新規制基準が原子力発電所の安全性に関わる問題のうちいくつかを電力会社の自主的判断に委ねていたとしても、その事項についても裁判所の判断が及ぼされるべきであるし、新規制基準の対象となっている事項に関しても新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく、(1)の理に基づく裁判所の判断が及ぼされるべきこととなる。

4 原子力発電所の特性
 原子力発電技術は次のような特性を持つ。すなわち、原子力発電においてはそこで発出されるエネルギーは極めて膨大であるため、運転停止後においても電気と水で原子炉の冷却を継続しなければならず、その間に何時間か電源が失われるだけで事故につながり、いったん発生した事故は時の経過に従って拡大して行くという性質を持つ。このことは、他の技術の多くが運転の停止という単純な操作によって、その被害の拡大の要因の多くが除去されるのとは異なる原子力発電に内在する本質的な危険である。

 したがって、施設の損傷に結びつき得る地震が起きた場合、速やかに運転を停止し、運転停止後も電気を利用して水によって核燃料を冷却し続け、万が一に異常が発生したときも放射性物質が発電所敷地外部に漏れ出すことのないようにしなければならず、この止める、冷やす、閉じ込めるという要請はこの3つがそろって初めて原子力発電所の安全性が保たれることとなる。仮に、止めることに失敗するとわずかな地震による損傷や故障でも破滅的な事故を招く可能性がある。福島原発事故では、止めることには成功したが、冷やすことができなかったために放射性物質が外部に放出されることになった。また、我が国においては核燃料は、五重の壁に閉じ込められているという構造によって初めてその安全性が担保されているとされ、その中でも重要な壁が堅固な構造を持つ原子炉格納容器であるとされている。しかるに、本件原発には地震の際の冷やすという機能と閉じ込めるという構造において次のような欠陥がある。

5 冷却機能の維持にっいて
(1) 1260ガルを超える地震について
 原子力発電所は地震による緊急停止後の冷却機能について外部からの交流電流によって水を循環させるという基本的なシステムをとっている。1260ガルを超える地震によってこのシステムは崩壊し、非常用設備ないし予備的手段による補完もほぼ不可能となり、メルトダウンに結びつく。この規模の地震が起きた場合には打つべき有効な手段がほとんどないことは被告において自認しているところである。

 しかるに、我が国の地震学会においてこのような規模の地震の発生を一度も予知できていないことは公知の事実である。地震は地下深くで起こる現象であるから、その発生の機序の分析は仮説や推測に依拠せざるを得ないのであって、仮説の立論や検証も実験という手法がとれない以上過去のデータに頼らざるを得ない。確かに地震は太古の昔から存在し、繰り返し発生している現象ではあるがその発生頻度は必ずしも高いものではない上に、正確な記録は近時のものに限られることからすると、頼るべき過去のデータは極めて限られたものにならざるをえない。したがって、大飯原発には1260ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能である。むしろ、①我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022ガルであり、1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものであること、②岩手宮城内陸地震は大飯でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震であること、③この地震が起きた東北地方と大飯原発の位置する北陸地方ないし隣接する近畿地方とでは地震の発生頻度において有意的な違いは認められず、若狭地方の既知の活断層に限っても陸海を問わず多数存在すること、④この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎないことからすると、1260ガルを超える地震は大飯原発に到来する危険がある。

(2) 700ガルを超えるが1260ガルに至らない地震について
ア 被告の主張するイベントツリーについて
 被告は、700ガルを超える地震が到来した場合の事象を想定し、それに応じた対応策があると主張し、これらの事象と対策を記載したイベントツリーを策定し、これらに記載された対策を順次とっていけば、1260ガルを超える地震が来ない限り、炉心損傷には至らず、大事故に至ることはないと主張する。

 しかし、これらのイベントツリー記載の対策が真に有効な対策であるためには、第1に地震や津波のもたらす事故原因につながる事象を余すことなくとりあげること、第2にこれらの事象に対して技術的に有効な対策を講じること、第3にこれらの技術的に有効な対策を地震や津波の際に実施できるという3つがそろわなければならない。

イ イベントツリー記載の事象について
 深刻な事故においては発生した事象が新たな事象を招いたり、事象が重なって起きたりするものであるから、第1の事故原因につながる事象のすべてを取り上げること自体が極めて困難であるといえる。

ウ イベントツリー記載の対策の実効性について
 また、事象に対するイベントツリー記載の対策が技術的に有効な措置であるかどうかはさておくとしても、いったんことが起きれば、事態が深刻であればあるほど、それがもたらす混乱と焦燥の中で適切かつ迅速にこれらの措置をとることを原子力発電所の従業員に求めることはできない。特に、次の各事実に照らすとその困難性は一層明らかである。

 第1に地震はその性質上従業員が少なくなる夜間も昼間と同じ確率で起こる。突発的な危機的状況に直ちに対応できる人員がいかほどか、あるいは現場において指揮命令系統の中心となる所長が不在か否かは、実際上は、大きな意味を持つことは明らかである。

 第2に上記イベントツリーにおける対応策をとるためにはいかなる事象が起きているのかを把握できていることが前提になるが、この把握自体が極めて困難である。福島原発事故の原因について国会事故調査委員会は地震の解析にカを注ぎ、地震の到来時刻と津波の到来時刻の分析や従業員への聴取調査等を経て津波の到来前に外部電源の他にも地震によって事故と直結する損傷が生じていた疑いがある旨指摘しているものの、地震がいかなる箇所にどのような損傷をもたらしそれがいかなる事象をもたらしたかの確定には至っていない。一般的には事故が起きれば事故原因の解明、確定を行いその結果を踏まえて技術の安全性を高めていくという側面があるが、原子力発電技術においてはいったん大事故が起これば、その事故現場に立ち入ることができないため事故原因を確定できないままになってしまう可能性が極めて高く、福島原発事故においてもその原因を将来確定できるという保証はない。それと同様又はそれ以上に、原子力発電所における事故の進行中にいかなる箇所にどのような損傷が起きておりそれがいかなる事象をもたらしているのかを把握することは困難である。

 第3に、仮に、いかなる事象が起きているかを把握できたとしても、地震により外部電源が断たれると同時に多数箇所に損傷が生じるなど対処すべき事柄は極めて多いことが想定できるのに対し、全交流電源喪失から炉心損傷開始までの時間は5時間余であり、炉心損傷の開始からメルトダウンの開始に至るまでの時間も2時間もないなど残された時間は限られている。

 第4にとるべきとされる手段のうちいくつかはその性質上、緊急時にやむを得ずとる手段であって普段からの訓練や試運転にはなじまない。運転停止中の原子炉の冷却は外部電源が担い、非常事態に備えて水冷式非常用ディーゼル発電機のほか空冷式非常用発電装置、電源車が備えられているとされるが、たとえば空冷式非常用発電装置だけで実際に原子炉を冷却できるかどうかをテストするというようなことは危険すぎてできようはずがない。

 第5にとるべきとされる防御手段に係るシステム自体が地震によって破損されることも予想できる。大飯原発の何百メートルにも及ぶ非常用取水路が一部でも700ガルを超える地震によって破損されれば、非常用取水路にその機能を依存しているすべての水冷式の非常用ディーゼル発電機が稼動できなくなることが想定できるといえる。また、埋戻土部分において地震によって段差ができ、最終の冷却手段ともいうべき電源車を動かすことが不可能又は著しく困難となることも想定できる。上記に摘示したことを一例として地震によって複数の設備が同時にあるいは相前後して使えなくなったり故障したりすることは機械というものの性質上当然考えられることであって、防御のための設備が複数備えられていることは地震の際の安全性を大きく高めるものではないといえる。

 第6に実際に放射性物質が一部でも漏れればその場所には近寄ることさえできなくなる。

 第7に、大飯原発に通ずる道路は限られており施設外部からの支援も期待できない。

エ 基準地震動の信頼性について
 被告は、大飯原発の周辺の活断層の調査結果に基づき活断層の状況等を勘案した場合の地震学の理論上導かれるガル数の最大数値が700であり、そもそも、700ガルを超える地震が到来することはまず考えられないと主張する。しかし、この理論上の数値計算の正当性、正確性について論じるより、現に、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの問に到来しているという事実を重視すべきは当然である。地震の想定に関しこのような誤りが重ねられてしまった理由については、今後学術的に解決すべきものであって、当裁判所が立ち入って判断する必要のない事柄である。これらの事例はいずれも地震という自然の前における人間の能力の限界を示すものというしかない。本件原発の地震想定が基本的には上記4つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づきなされたにもかかわらず、被告の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない。

オ 安全余裕について
 被告は本件5例の地震によって原発の安全上重要な施設に損傷が生じなかったことを前提に、原発の施設には安全余裕ないし安全裕度があり、たとえ基準地震動を超える地震が到来しても直ちに安全上重要な施設の損傷の危険性が生じることはないと主張している。

 弁論の全趣旨によると、一般的に設備の設計に当たって、様々な構造物の材質のばらつき、溶接や保守管理の良否等の不確定要素が絡むから、求められるべき基準をぎりぎり満たすのではなく同基準値の何倍かの余裕を持たせた設計がなされることが認められる。このように設計した場合でも、基準を超えれば設備の安全は確保できない。この基準を超える負荷がかかっても設備が損傷しないことも当然あるが、それは単に上記の不確定要素が比較的安定していたことを意味するにすぎないのであって、安全が確保されていたからではない。したがって、たとえ、過去において、原発施設が基準地震動を超える地震に耐えられたという事実が認められたとしても、同事実は、今後、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しても施設が損傷しないということをなんら根拠づけるものではない。

(3) 700ガルに至らない地震について
ア 施設損壊の危険
 本件原発においては基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあると認められる。

イ 施設損壊の影響
 外部電源は緊急停止後の冷却機能を保持するための第1の砦であり、外部電源が断たれれば非常用ディーゼル発電機に頼らざるを得なくなるのであり、その名が示すとおりこれが非常事態であることは明らかである。福島原発事故においても外部電源が健全であれば非常用ディーゼル発電機の津波による被害が事故に直結することはなかったと考えられる。主給水は冷却機能維持のための命綱であり、これが断たれた場合にはその名が示すとおり補助的な手段にすぎない補助給水設備に頼らざるを得ない。前記のとおり、原子炉の冷却機能は電気によって水を循環させることによって維持されるのであって、電気と水のいずれかが一定時間断たれれば大事故になるのは必至である。原子炉の緊急停止の際、この冷却機能の主たる役割を担うべき外部電源と主給水の双方がともに700ガルを下回る地震によっても同時に失われるおそれがある。そして、その場合には(2)で摘示したように実際にはとるのが困難であろう限られた手段が効を奏さない限り大事故となる。

ウ 補助給水設備の限界
 このことを、上記の補助給水設備についてみると次の点が指摘できる。緊急停止後において非常用ディーゼル発電機が正常に機能し、補助給水設備による蒸気発生器への給水が行われたとしても、①主蒸気逃がし弁による熱放出、②充てん系によるほう酸の添加、③余熱除去系による冷却のうち、いずれか一つに失敗しただけで、補助給水設備による蒸気発生器への給水ができないのと同様の事態に進展することが認められるのであって、補助給水設備の実効性は補助的手毅にすぎないことに伴う不安定なものといわざるを得ない。また、上記事態の回避措置として、イベントツリーも用意されてはいるが、各手順のいずれか一つに失敗しただけでも、加速度的に深刻な事態に進展し、未経験の手作業による手順が増えていき、不確実性も増していく。事態の把握の困難性や時間的な制約のなかでその実現に困難が伴うことは(2)において摘示したとおりである。

エ 被告の主張について
 被告は、主給水ポンプは安全上重要な設備ではないから基準地震動に対する耐震安全性の確認は行われていないと主張するが、主給水ポンプの役割は主給水の供給にあり、主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の姿であって、そのことは被告も認めているところである。安全確保の上で不可欠な役割を第1次的に担う設備はこれを安全上重要な設備であるとして、それにふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると考えられる。このような設備を安全上重要な設備ではないとするのは理解に苦しむ主張であるといわざるを得ない。

(4) 小括
 日本列島は太平洋プレート、オホーツクプレート、ユーラシアプレート及びフィリピンプレートの4つのプレートの境目に位置しており、全世界の地震の1割が狭い我が国の国土で発生する。この地震大国日本において、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを得ない。

6 閉じ込めるという構造について(使用済み核燃料の危険性)
(1) 使用済み核燃料の現在の保管状況
 原子力発電所は、いったん内部で事故があったとしても放射性物質が原子力発電所敷地外部に出ることのないようにする必要があることから、その構造は堅固なものでなければならない。

 そのため、本件原発においても核燃料部分は堅固な構造をもつ原子炉格納容器の中に存する。他方、使用済み核燃料は本件原発においては原子炉格納容器の外の建屋内の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれており、その本数は1000本を超えるが、使用済み核燃料プールから放射性物質が漏れたときこれが原子力発電所敷地外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない。

(2) 使用済み核燃料の危険性
 福島原発事故においては、4号機の使用済み核燃料プールに納められた使用済み核燃料が危機的状況に陥り、この危険性ゆえに前記の避難計画が検討された。原子力委員会委員長が想定した被害想定のうち、最も重大な被害を及ぼすと想定されたのは使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり、他の号機の使用済み核燃料プールからの汚染も考えると、強制移転を求めるべき地域が170キロメートル以遠にも生じる可能性や、住民が移転を希望する場合にこれを認めるべき地域が東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250キロメートル以遠にも発生する可能性があり、これらの範囲は自然に任せておくならば、数十年は続くとされた。

(3) 被告の主張について
 被告は、使用済み核燃料は通常40度以下に保たれた水により冠水状態で貯蔵されているので冠水状態を保てばよいだけであるから堅固な施設で囲い込む必要はないとするが、以下のとおり失当である。

ア 冷却水喪失事故について
 使用済み核燃料においても破損により冷却水が失われれば被告のいう冠水状態が保てなくなるのであり、その場合の危険性は原子炉格納容器の一次冷却水の配管破断の場合と大きな違いはない。福島原発事故において原子炉格納容器のような堅固な施設に甲まれていなかったにもかかわらず4号機の使用済み核燃料プールが建屋内の水素爆発に耐えて破断等による冷却水喪失に至らなかったこと、あるいは瓦礫がなだれ込むなどによって使用済み核燃料が大きな損傷を被ることがなかったことは誠に幸運と言うしかない。使用済み核燃料も原子炉格納容器の中の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に対して堅固な施設によって防御を固められてこそ初めて万全の措置をとられているということができる。

イ 電源喪失事故について
 本件使用済み核燃料プールにおいては全交流電源喪失から3日を経ずして冠水状態が維持できなくなる。我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼすにもかかわらず、全交流電源喪失から3日を経ずして危機的状態に陥いる。そのようなものが、堅固な設備によって閉じ込められていないままいわばむき出しに近い状態になっているのである。

(4) 小括
 使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていくものであるところ、使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え、国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。

7 本件原発の現在の安全性
 以上にみたように、国民の生存を基礎とする人格権を放射性物質の危険から守るという観点からみると、本件原発に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めざるを得ない。

8 原告らのその余の主張について
 原告らは、地震が起きた場合において止めるという機能においても本件原発には欠陥があると主張する等さまざまな要因による危険性を主張している。しかし、これらの危険性の主張は選択的な主張と解されるので、その判断の必要はないし、環境権に基づく請求も選択的なものであるから同請求の可否についても判断する必要はない。

 原告らは、上記各諸点に加え、高レベル核廃棄物の処分先が決まっておらず、同廃棄物の危険性が極めて高い上、その危険性が消えるまでに数万年もの年月を要することからすると、この処分の問題が将来の世代に重いつけを負わせることを差止めの理由としている。幾世代にもわたる後の人々に対する我々世代の責任という道義的にはこれ以上ない重い問題について、現在の国民の法的権利に基づく差止訴訟を担当する裁判所に、この問題を判断する資格が与えられているかについては疑問があるが、7に説示したところによるとこの判断の必要もないこととなる。

9 被告のその余の主張について
 他方、被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。

 また、被告は、原子力発電所の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。

10 結論
 以上の次第であり、原告らのうち、大飯原発から250キロメートル圏内に居住する者(別紙原告目録1記載の各原告)は、本件原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから、これらの原告らの請求を認容すべきである。

福井地方裁判所民事第2部
 裁判長裁判官 樋口英明
    裁判官 石田明彦
    裁判官 三宅由子


http://news.livedoor.com/article/detail/8858161/
「額に入れたい文章」「感情的すぎる」 大飯原発訴訟「判決文」にネットで反響
関西電力大飯原子力発電所の3号機と4号機の安全性をめぐる裁判で、福井地裁は5月21日、運転再開をしないように命じる判決を言い渡した。これを受け、弁護士やジャーナリストらが運営するニュースサイト「NPJ」では、判決要旨の全文が公開された(http://www.news-pj.net/diary/1001)。

その判決要旨を読んだ人たちから、ツイッターにさまざまコメントが投稿された。「額に入れて貼りたい」「気合いが入っている」など判決文を高く評価する意見が数多く書き込まれた一方で、「判決文とは思えない感情的な文章」と批判する声もあった。

●「人の命の大切さが表現されている」

判決要旨を公開した理由について、NPJ編集長の中川亮弁護士は「格調高く、文学的な表現で、とてもいいことを言っている。ぜひ多くの人に読んでほしいとの思いで全文を公開した」と話す。

特に、中川弁護士が注目したのは、原発停止が長期化することによって国富が流出するという懸念に対して、福井地裁が、

「豊かな国土と国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことが出来なくなることが国富の喪失と考える」

と述べている点だ。中川弁護士は「人の命の大切さが表現されている」と評価する。

●「技術的な問題について理解していない」

この判決要旨に対する反響は、ネットで拡散している。ソーシャルメディアのツイッターには、数多くの意見が書き込まれた。

「なんて格調高い! あとでプリントアウトして読みなおすわ~。額に入れて貼っておくわ~(o;ω;o) 」

「判決文を一度は読んでみるといいと思う。原発の賛成・反対を別にして冷静に判断している。何が大事なのか?経済それとも未来永劫の生活の営み?」

「脱原発派をヒステリックだと批判してた推進派にこそ読んで欲しいよね」

「寝る前にもう一度今日の福井地裁の判決文を読み直す。気合入った判決文だ」

「すばらしい判決でした。『法』というもののうつくしい部分が現れた印象です」

と、福井地裁の判決を高く評価するコメントが多いようだ。

その一方で、

「判決要旨見つけたけど、やっぱよく分からんかった。特に、全電源喪失の可能性に関する判断根拠。これ、略されてるのかな?あと、国富喪失の件。お前はギリシャ危機を見てなかったのかと。財政破綻→市場クラッシュのコンボをなめたらあかん。」

「ちょっと踏み込みすぎに見えますね」

「判決文とはとても思えない感情的な内容で、裁判官の心理が社会的にバランスのとれたものであったとはとてもいえない。また技術的な問題について理解していない、と思われる部分も散見される。」

と踏み込んだ内容を批判するコメントもあった。

(弁護士ドットコム トピックス)

http://news.livedoor.com/article/detail/8840820/
被曝によって…双葉町で鼻血調査
福島県双葉町で鼻血「有意に多い」調査 「避難生活か、被ばくによって起きた」
ざっくり言うと

福島県双葉町で、鼻血などの症状が多いという統計調査が出ていたことが分かった
原因は、原発事故による避難生活か被ばくによるものだと指摘されている
鼻血と被ばくの関係について、最終報告はまだだとしている

J-CASTニュース
2014年05月16日19時18分
福島県双葉町で鼻血「有意に多い」調査 「避難生活か、被ばくによって起きた」

福島県双葉町では、鼻血などの症状の統計が有意に多かった――。岡山大などの研究グループが町の依頼で健康調査したところ、こんな結果が出ていたことが分かった。一体どうなっているのか。

健康調査は、岡山大、広島大、熊本学園大のグループが、「美味しんぼ」で鼻血の症状を訴えた井戸川克隆町長時代の2012年11月に実施した。全町民にアンケート用紙を配って調査したため、町に配布などの協力を依頼した。
体がだるい、頭痛、めまい、目のかすみ、鼻血、吐き気…

その中間報告が載ったのは、熊本学園大の中地重晴教授が13年11月に学術雑誌に発表した論文だ。「水俣学の視点からみた福島原発事故と津波による環境汚染」の論文によると、住民には原発事故による健康不安が募っていることから、放射線被ばくや避難生活によるものかを確かめるために疫学による調査を行った。

比較するために、双葉町のほか、福島県境にあり放射線汚染地域でもある宮城県丸森町筆甫地区、さらに原発から離れた滋賀県長浜市木之本町でも調査した。その結果、双葉町と丸森町は、体がだるい、頭痛、めまい、目のかすみ、鼻血、吐き気、疲れやすいなどの症状で、木之本町よりも有意に多かった。

特に、両町では、鼻血が特に多く、オッズ比を取ると、双葉町が3.8、丸森町が3.5もあった。双葉町では、ほかに肥満、うつ病など様々な症状がオッズ比3以上の高い値を示し、両町では、消化器系の病気や神経精神的症状も多かった。

論文では、「これら症状や疾病の増加が、原子力発電所の事故による避難生活又は放射線被ばくによって起きたものだと思われる」としており、事故の影響であることを明確に認めている。今後は、双葉町が行った住民の動向調査から、被ばくとの関係をも調べる予定だとしている。

この内容については、原発事故の取材を続けているライターの木野龍逸さんが14年5月13日にツイッターで紹介し、ネット上で話題になった。
双葉町の抗議文と食い違っている?

「美味しんぼ」の鼻血描写を巡り、双葉町は2014年5月7日、「現在、原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません」と小学館に抗議している。

ところが、岡山大などが町に協力を依頼した今回の調査では、鼻血の症状が有意に多いとの結果が出ているのだ。これに対し、木野龍逸さんは、自らのツイートをまとめた「togetter」上で、「なんだか、双葉町の抗議文と食い違ってないですか?」と疑問を投げかけた。

論文で調査結果を紹介している熊本学園大の中地重晴教授は、取材に対し、「調査結果は、昨年8月に双葉町に報告しています。町側は、そのことを忘れているのではないですか」と指摘した。最終報告については、岡山大が中心になって論文にまとめる予定だとしたが、双葉町が鼻血の症状は多くないと主張しているため、「被ばくとの関係については発表できないのではないか」ともした。

一方、岡山大大学院の津田敏秀教授は、最終報告については、まだメドが立っていない状況だと取材に話した。ただ、「鼻血と被ばくは関係ないと政府が言っていることは、科学的な根拠がありません。チェルノブイリでも報告があるわけですから。美味しんぼの騒ぎは、重要な問題だとは思っていないですね」と言っている。

双葉町の健康福祉課では、取材に対し、町が岡山大などに調査を依頼し、調査結果の報告も受けたことは認めた。報告を受けたのは、現職の伊澤史朗町長のときになってからだが、なぜ美味しんぼ側に抗議したのか。こうした点などを聞こうとしたが、「担当者が退職するなどしており、詳しくは当時の書類を調べないと分からない」とし、5月16日夕までに回答はなかった。

町の秘書広報課では、「鼻血を出す人がそんなに大勢いないことは、保健所の聞き取り調査で分かっています。岡山大などからの報告を受けたわけではありませんが、町民の健康管理については今後検討していきます」と話している。

http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7682877.html
No Nukes 原発ゼロ
☆水俣学の視点からみた福島原発事故と津波による環境汚染

http://news.livedoor.com/article/detail/8856509/
前双葉町長が憤る「“放射能で鼻血”は風評ではなく実害」

拡大する「ビックコミックスピリッツ」の『美味しんぼ』騒動。福島原発を取材した主人公の山岡士郎が、極度の疲労を訴え、突然、鼻血を出す……。『美味しんぼ』で描かれたこの場面に、石原伸晃環境相が「何を訴えようとしているのかまったく理解できない」と不快感をあらわにするなど、大騒動となった。

漫画に実名で登場しているのが、福島県双葉町の前町長・井戸川克隆氏だ。自らも鼻血が出ると明かし、その理由を「被ばくしたから」と語っている。さらに「今の福島に住んではいけない」という発言に、地元の双葉町は「許しがたい風評被害」と小学館に抗議文を送った。はたして「放射能と鼻血」に因果関係はあるのか。埼玉県内で避難生活を続ける井戸川さんを訪ねた。

「『美味しんぼ』で話したことはすべて真実です。鼻血はほとんど毎朝出ていますよ。私だけじゃない。福島には同じ症状の人が大勢います。今日も旧町民から電話があって、双葉町が『鼻血が出ている者はいない』と言っているのはおかしいと。別の人からは『鼻血のことは言うな』と口止めされたと聞いています」

鼻血だけではない。あるとき銭湯に行ったら、ほかの客に『あんた、足がきれいだね』と言われて驚いた。もともと毛深い体質なのに、すね毛がすっかりなくなり、女性の肌のようにツルツルになっていたのだ。異変は次々と現れた。

「事故直後から喉がずっといがらっぽいし、朝起きるとこのへん(胸の上あたり)が焼けるようにジリジリするんです。じつは病院のエコー検査で甲状腺にしこりがあると診断されています。血小板が少ないとも言われました」

井戸川氏は被曝している。’11年3月12日夕刻、双葉町の福祉施設「ヘルスケアー」には取り残された300人ほどが集まっていた。井戸川氏は町長として避難誘導をしていた。そのとき、鈍い爆発音が響く。福島第1原発の1号炉が水素爆発を起こしたのだ。その直後、ぼたん雪のように黄色い破片が降ってきた。

「原発建屋に使っていた断熱材でした。軽いから風に乗って飛んできたんです。目に見えない放射性物質も一緒に降っていたはずです。線量計は針が振り切れてピーッと鳴っていましたよ。『もうこれで死ぬのか』と思いました。私は原発事故直後に大量の放射能を浴びている。その事実は誰も否定できないでしょう」

井戸川氏はチェルノブイリを訪れている。そこで感じたのは、事故後の福島との違いだったという。

「チェルノブイリでは年間1ミリシーベルト以下が居住地域で、1ミリシーベルトを超えると移住する権利が発生する。5ミリシーベルトを超えると移住が義務になるんです。福島の避難基準は20ミリシーベルトです。チェルノブイリより甘い基準で、ひたすら『安全、安全』とだけ言って県民に本当のことを伝えていない。放射能のあるところにニコニコして住めなんて、外の人間に言われる筋はない。だから私は『福島に住んではいけない』と言っているんです」

井戸川氏の怒りは収まらない。

「石原大臣は私の発言を疑っているようですが、それなら石原さんにあえて言いたい。疑うのなら、自分が被ばくしてみろと」

(週刊FLASH6月3日号)
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日本ユーラシア協会広島支部ニュース 2014年5月16日

2014-05-19 11:39:27 | 日記
日本ユーラシア協会広島支部ニュース 2014年5月16日
【日本ユーラシア協会広島県連理事会が開催されました。】
5月9日 広島市留学生会館にて。県連定期総会等。

<第3回全国 青年交流集会>本年7月5日(土)、6日(日)の
2日間で開催予定。場所は、東京都目黒区の大橋会館(最寄り駅:東急田園都 市線 池尻大橋駅)

【日本ユーラシア協会広島支部総会・広島県支部連合会総会が開催されます。】
2014年7月19日(土曜日)日本ユーラシア協会広島支部第58回定期総会、広島県支部連合会第24回定期総会が広島市留学生会館2階大ホールで開催されます。
日程概要:
①13:00 開場 
②13:30 広島支部定期総会 
③14:30 広島県支部連合会定期総会 
④16:00 DVD「不毛の地」(34分)視聴
⑤17:30~19:30 懇親会
(総会欠席の方で、議案書ご希望の方は連絡をお願いいします。080-5505-4872)
[ドキュメンタリー 「WASTELAND 不毛の地」紹介]
ロシア ウラルの核惨事などによる放射能汚染に苦しむ川下の人々の悲劇
ドキュメンタリー 34分
監督 : ゲンナジ・シャリバン 
公開2009年 ロシア 日本語字幕付き スタンダード・サイズ NTSCカラー
製作・脚本 : オレグ・ボドロフ
2010年イルクーツク国際ドキュメンタリー映画祭「人間と自然」部門で受賞
●ロシアのチェリャビンスクにあるマヤーク核施設コンビナートは、原発や原子力潜水艦の使用済み核燃料の再処理を担う。マヤークから出る大量の放射性廃棄物は、60年間直接カラチャイ湖やテチャ川に捨てられ続けてきた。その流域の汚染は桁外れで、住民の生活と健康破壊は目を覆いたいほど悲惨である。ロシア政府がソビエト時代から極秘としてきたマヤーク各施設コンビナートのずさんな管理実態とその被害者たちの苦悩に迫った衝撃のドキュメンタリー。原発・核産業に依存する社会が産み出す悪魔的現実を問う問題作。
ゴスマン・カビロフ:この下に村がうめられたのです。
ミーリャ・カビロワ:私たちはひとつに団結すべきなのです。

この映画を山のような絶望と苦悩を取り除いたミーリャとゴスマンに捧げる。オレグ・ボドロフ ●「不毛の地」普及委員会 TEL03-6915-9281 http://wasteland-fumounoti.blogspot.jp/

【ロシア語能力検定試験】
第63回ロシア語能力検定を2014年5月25日(日)に3、4級の試験を実施します。
http://www.tokyorus.ac.jp/kentei/#
広島会場:広島まちづくり市民交流プラザ南棟会議室C

【広島一カザフスタン友好訪問団(仮称)】
今夏、広島空港からチャーター便で実施されます。
Aコース(ビジネスセミナーコース)とBコース(セメイ訪問コース)は、往路:広島―アスタナ、帰路:アルマートィ―広島はAB共通の日程です。
行程2014年8月28日(木)~9月1日(月)  詳細日時、行程、宿泊場所は次の通り。(前号より変更有。)
8月28日(木) 12:30広島空港集合 13:30出国手続き 15:00広島空港発(約7時間) 19:00アスタナ着 20:00ホテル着 アスタナ泊 
Aコース
8月29日(金) ・カザフスタンビジネスセミナー・政府関係者による投資レクチャー・アスタナ市内見学 アスタナ泊 
8月30日(土) AM:アルマティヘ移動 PM:市内見学等 アルマティ泊
8月31日(日) ・アルマティ市近郊・ビジネス研修現地訪問、商談等

Bコース
8月29日(金) ・カザフスタンセミパラチンスク核実験場閉鎖25周年式典出席・セメイ市(セミパラチンスク)へ移動(チャーター便にて約1時間)セメイ泊
8月30日(土) ・セメイ市にて交流事業等・核実験博物館(核実験場クルチャフ セメイ泊 )
8月31日(日) ・セメイ市近郊 ・除染技術調査等、夕方アルマティに移動 

AB合流
8月31日(日)  18:00アルマティ空港にて食事  19:00帰国手続き 19:00アルマティ空港発(約7時間)
9月1日(月) 08:00広島空港着 09:00現地解散.
チャーター機:Sunday航空(KLMオランダ航空)を予定。

【呉支部より】
「日本ユーラシア協会呉支部の春の小旅行ー瀬戸内海歴史探索とダーチャについてご報告します。
 呉支部の春の小旅行(御手洗とびしまハイキング)は、4月27日(日)、広島県呉市の下蒲刈島と大崎下島御手洗で行われた。会員以外の参加もあり新たな発見も多かった。
 とびしまルートは呉市内からは下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島を伝い、愛媛県今治市の岡村島まで7つの島が7つの橋で結ばれている。参加者は上蒲刈島出会いの館を出発点に岡村島までを往復した。
 古くから瀬戸内海の港町として栄えた大崎下島御手洗では、呉市内の中学校で歴史を教えている是恒さんが、散策の要所や歴史的建造物の内部で、古い建物や古い展示物が今に語りかけることを説明した。また御手洗は大長みかんで有名なみかん所にある。参加者は、その近くのみかん直売所で、今年初めてお目見えのカラマンダリンという品種のみかんに舌鼓を打ち、kg単位で買い求めた。そして歴史の見える丘からはその多島美を堪能した。
 上蒲刈島恵の丘レストランで野外お膳料理をいただいた後は、「瀬戸内のダーチャ」を訪問した。長年ロシアのダーチャ生活を探求されて来られた一杉次郎さんエルビラさんが、旅、ウズベキスタンのビザ発給事情、美味しいワインの作り方などを絵も交えて説明した。参加者は「初めて聞くことばかりでとても勉強になった」と異口同音に感銘を受けた。またこのダーチャで出された江田島から参加した会員の抹茶ケーキ、エルビラさんのレモンのケーキとレモンも使った果実酒は絶品であった。この日振る舞われたお菓子や飲み物はすべて手作りであり、筆者は「これもダーチャの楽しみだな」と思った。
 移動中の自動車の中で一杉さん、エルビラさん、是恒さんが釣りの話で大いに盛り上がった。エルビラさんはロシア語で話し、是恒さんは日本語で話しているのに妙に通じ合っているのには、「大好きなことは言葉を超越するのだろうか」とみんな驚いた。

【ひろしまフラワーフェスティバルに参加しました。】


5月3日~5月5日
第一日目はМатрёшаマトリョー社マリーナさんが講師でマトリョーシカ絵付け教室が開催されました。
二日目カザフスタンからの留学生シャリアットさんが出演しカザフスタンの歌と踊りを披露し、併せてヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクトとユーラシアの広場の紹介をして戴きました。
写真は
①絵付け教室。
②ブリヌイつくり。
③シャリアットさんの公演。
●日本ユーラシア協会広島支部が「2014ひろしまフラワーフェスティバル」を盛り上げる!(呉支部 藤井さん記)
 広島で最も大きなイベント、全国的にみてもこの時期2番目にお客の多い祭りである、花の祭典「2014ひろしまフラワーフェスティバル」が、5月3日広島市の平和大通りと平和公園周辺で開幕しました。
日本ユーラシア協会広島支部は5月5日までの3日間、ロシア料理やユーラシア諸国物産品の出店、マトリョーシカ絵付け教室、カザフスタンからの留学生による歌と踊りの披露などで祭りを大いに盛り上げます。
 恒例のボルシチは大人気。呉から参加されたTさんは、早速ボルシチをサンドリヨンの黒パンと一緒に食し、「これが一番美味しい」と大満足でした。他にも支部自慢はウクライナのクワス、昨年までのロシアのクワスとひと味違います。
 広島でオーダーメイドのマトリョーシカを製作販売し、マトリョーシカ絵付け教室を開いているカムチャッカ出身のマリーナさんとお友達数人が、民族衣装を着けてマトリョーシカ絵付け教室を開催しました。華やかなロシア民族衣装のロシア人女性たちは、等身大のマトリョーシカと一緒に記念撮影を求める参加者の要望に応えてポーズを決めていました。
 支部出店の最大の特徴は、ロシア人、ウクライナ人、カザフ人など旧ソ連圏出身の外国人がたくさん訪れることです。
客としてももちろんですが、店を手伝うためだけでなく民芸品の販売のために参加して、日本ユーラシア協会の懐かしいメンバーと一緒に盛り上がります。この日一番良く売れていたのは,マトリョーシカを中心とした民芸品の数々のようでした。

【文集 宙(おおぞら)第29号】中村さんの作品紹介第4回は次号に掲載します。

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ドキュメンタリー 「WASTELAND 不毛の地」紹介

2014-05-01 00:21:27 | 日記
ドキュメンタリー 「WASTELAND 不毛の地」紹介
ロシア ウラルの核惨事などによる放射能汚染に苦しむ川下の人々の悲劇
ドキュメンタリー 34分 監督 : ゲンナジ・シャリバン 
WASTELAND
不毛の地
公開2009年 ロシア 日本語字幕付き
スタンダード・サイズ NTSCカラー
製作・脚本 : オレグ・ボドロフ
2010年イルクーツク国際ドキュメンタリー映画祭「人間と自然」部門で受賞
ロシアのチェリャビンスクにあるマヤーク核施設コンビナートは、原発や原子力潜水艦の使用済み核燃料の再処理を担う。マヤークから出る大量の放射性廃棄物は、60年間直接カラチャイ湖やテチャ川に捨てられ続けてきた。その流域の汚染は桁外れで、住民の生活と健康破壊は目を覆いたいほど悲惨である。ロシア政府がソビエト時代から極秘としてきたマヤーク各施設コンビナートのずさんな管理実態とその被害者たちの苦悩に迫った衝撃のドキュメンタリー。原発・核産業に依存する社会が産み出す悪魔的現実を問う問題作。
ゴスマン・カビロフ
この下に村がうめられたのです。
ミーリャ・カビロワ
私たちはひとつに団結すべきなのです。


この映画を山のような絶望と苦悩を取り除いたミーリャとゴスマンに捧げる。オレグ・ボドロフ
「不毛の地」普及委員会 TEL03-6915-9281
http://wasteland-fumounoti.blogspot.jp/


こうした結果を生んでもなお、原子力発電を続けることができるのか?
『不毛の地』について
 ロシアは、ウラル山脈の東西で欧州とアジアに分かれる。欧州寄りの西側にはモスクワを始め豊かな都市があり、ロシア人が多く住む。東
側はウラル地方と呼ぱれ、広大な大地に多様な文化を持つアジア系の民が多い。
 この物語は、北欧ロシアに位置するムルマンスクの美しい町、ポリアルニィ・ゾィの住民が、原子力発電所に大きく依存しながら豊かな生活
を営んでいることから始まる。
実際、ウラル山脈の西側には32の原発が稼働している。その使用済み燃料は、ウラル山脈東側チェリャビンスクにあるマヤーク核コンビナートで再処理されている。マヤークには、カラチャイ湖を含む無数の湖沼があり、ウラル山脈から流れ出たテチャ川が横断している。
 本作品は、マヤークが排出する放射性廃棄物が、1948年からテチャ川に直度投棄され続けているという驚くべき事実を明らかにする。さらに、マヤークにおけるずさんな核廃棄物管理のため、57年にはウラルの核惨事と呼ぼれる大爆発事故を起こし、67年に放射能汚染汚泥が飛散し、ウラル地方一帯を放射能で汚染した。しかしながら、旧ソ連も現ロシア政府もその事実と住民たちの被害を隠蔽し続けて来た。
 汚染され続けて来たテチャ川流域に、ムスリュモワオ村がある。その住民たちは、ガンをはじめとする不可解な病気「川の病気」に襲われ、健康と生活を破壊され続けて来た。その絶望的な村で育ったミーリャとゴスマン夫妻は力合わせてNGOテチャを立ち上げテチャ川流域の被害とマヤークのずさんな実態と非人道性を告発して活動している。その二人の案内で、私たちは核と原発政策の悪魔的な現実に直面することになる。

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