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トンガの津波と非常通信

2022-02-03 16:30:00 | アマチュア無線
トンガの火山噴火津波と非常通信
トンガの首都ヌクアロファがあるトンガタプ島の北おおよそ65㎞程離れた海底火山「フンガ・トンガ フンガ・ハアパイ」が日本時間の1月15日午後1時頃(トンガ時間午後5時)が大規模噴火、それから津波が発生しヌクアロファで約85cmの津波を観測、その後流れてきたのはネットが切れる直前に投稿された唯一の動画のみ、どこのニュースやYoutubeを見て同じ動画である。

この動画に現れる海に面した道路はトンガ滞在時に普段自転車で走っていた道路で海岸から10mから50m程離れている。場所と潮位にもよるが海面から1m程度の高さから2m位なので、海に面する地域は危険な状態であるが、津波が街を飲み込む規模ではないと想像していた。ただ人の膝や腰辺りまでの波でもその中に居たら流されるのは当然だろう。後の報道では15m級の津波ともいわれているが、仮に首都のある北海岸に15mの津波が来たら街全体が完全に流されてしまったと思う。なので火山灰の影響を除くと、西側のリゾート地の様に甚大な被害は出ているが、一部の地域だけと想像していた。

それからトンガで唯一のハムであるA35CS Christianのfacebookのメッセンジャーをチェックすると津波発生以降既読になっていなかった。最近は彼の声を聞くこともなかったので無線を続けているのか定かではなかったが、何らかのアクションが無いかと待っていたが何もなく時間が過ぎて行った。ある知り合いの日本のハムはIARU-R3での動きは無いかと探ってアクションを起こしていた。

私も、JICA関連でも近隣国の事務所から現地とのコンタクトの可能性を探ったが、海底ケーブルに損傷が発生してネットも電話も繋がらなくなっていたので何も分からない状態であった、また現地からの発信は衛星電話のみであったがこちらは行政が優先して使用していたであろうし、噴煙の影響なのか?使用は限定的であったようだ。

津波から1週間後1月21日頃、地元の通信会社デジセルが衛星回線を開通させたとのニュースが流れてから個人レベルでも少しずつ電話が繋がるようになったようで、トンガでのアマチュア無線の普及を目指してChristianを6年以上ずっとサポートしているWB2CM Carlosから、「やっと彼と電話でコンタクトが取れた」と連絡を貰った。この時点で限定的ではあるが、公衆の通信も繋がって行政も現地情報の発信を始めたので緊急(瀕死の重傷を負っている人や土砂に埋もれて今直ぐにでも助け出さなければならない状況等)を要する非常通信の可能性は低くなったと思う。

ただ、災害発生後、携帯が繋がり難い状況下での「地域貢献型通信」の可能性はまだあるのだと思ってChristianとのコンタクトを試みるが、結局Christianとは無線では交信できなかった。Carlosの情報ではChristianは「津波発生後に無線を聞いてはみたが何も聞こえなかったと話している」又はChristianに「R3リジョン3の非常通信周波数を聞いているので、出てみるように」とCarlosから伝言してもらった。その伝言に対して日本時間の朝の10時前に出てくるとの返事を貰っていた。私は仕事だったのでJA6GCE,JQ2GYU,VK3GKを始め幾らかの知り合いに聞いてくれるようにお願いしたが、聞こえてはこなかった。

もしかしたら彼は無線よりも優先することがあったのだろうと想像する。私も一度だけChristianに電話して繋がったが外出中では直接話すことは出来なかった。その後も電話してみようかと思ったが限定的な回線状態のときに海外からの電話が集中して本来必要とされる電話が繋がり難くなってしまえば、これは迷惑でしかないだろうと、その後は電話はかけてはいない。

津波発生からほぼ1週間、衛星回線が繋がって限定的に電話も繋がるようなるまで、またその後もChristianが積極的に無線を利用しなかった理由を想像してみた。
我々が想像する状況と現地の状況の違いはなかったのか?
設備は使える状態にあったのか?
彼らの考える緊急性はどうだったのか?
他に優先することがあったのではないか?
例えばトンガの人達はこの様な災害が発生した場合に先ず自分達で復旧作業を始める。そこで「そんな時に無線やる?道路や空港の火山灰を撤去するのが優先だろ?」

日本だと北国では、この時期だと家の前に雪が積もって、外にも出られない、先ずはそれを片付けることが優先である「えっ無線?」そのような感じだろうか?

それでもアマチュア無線家が本島や離島にいたらどうだろうか?公衆回線が全滅している状況ではバッテリーさえあれば殆どの12V使用の無線機は車のバッテリーでも使用することが出来るので、公衆回線が繋がるまでの1週間、連絡網の確保は出来たであろうと思う。また災害発生後の限定的な公衆回線のなかで連絡網として機能したであろうと思う。

東日本大震災の時には直ぐに全国規模で非常通信が始まって、現地の情報が伝えられていたが。これをそのままトンガに置き換えることは無理があるが、地域に合った災害時のアマチュア無線の活用の可能性はあるように思える。

現在は日本を始め、ニュージーランド、オーストラリアからの救援物資が
届き始めて、少しずつ復旧に向かっている。現状ではアマチュア無線の出番はないと思うが、大洋州の島々から成り立つ国では、これから先の事を思うと、行政が行う災害時の通信網の整備は優先課題だと思うが、大げさに言えばアマチュア無線が、公的な通信網のフェイルセーフ的な役割で、普段は趣味として無線を楽しんで、災害時は活用できる体制を考えておくことも必要かと思った。

Christianともそのようなことについて情報交換を続けて行きたいと思う。

2年ではあるがトンガに滞在して、唯一の地元ハムであるChristianとも出会ったことで、今回の災害で無線で何かできることはないだろうかと考えている。思い付きは色々と出てくるが、現地の状況を考えると、素人アイデアなので、どれも、課題があることばかりである。
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