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パライソメッセージ20131004 No.29

2013-10-03 18:03:08 | メッセージ

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パライソメッセージ 2013.10.04 N0.29

 Mail : isokawas@goo.jp

     Blog : http://blog.goo.ne.jp/isokawas

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 「パライソメッセージ20131004 No.29」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

【思うところ】

 作家の山崎豊子さんが亡くなられました。

 実は私は、小説は読まない主義です。なぜなら、小説は同じパターンでばかり書かれているから。つまり、様々な人間関係や人間模様が書かれ、最後にはどんでん返しの結末へと、パターン化されていて、何を読んでも大体同じなので結局飽きてくる。しかし、山崎豊子、司馬遼太郎、松本清張だけは別格。この3人の小説は大変骨太で、物書きとしての偉大さというか責任感というか、そういった重みがずっしりと伝わってくる。特に私は、山崎豊子と司馬遼太郎の小説は全て読んだ。

 山崎豊子の小説で最初に読んだのは『白い巨塔』。それを読んで、この作家の小説は全部読もうと思い、読み始めた。山崎豊子の小説にもあるパターンがあり、正義感の強い主人公が巨悪や巨大な壁に必死に、果敢に立ち向かう。そして女性作家らしい淡いロマンスが必ず入り、結末は繊細な抒情詩のような世界。初期の頃の『ぼんち』『花のれん』『芙蓉の人』などは別として、だいたいそういったパターンなのだが、何しろ素材が重厚でありそれに対して徹底的に真摯に取組んでいるので、一つ一つの小説のメッセージがずっしりと心に滲みてくる。どの小説にも全て感動したが、一番感銘を受けた小説は『大地の子』だった。多分それは戦争という原体験が背景にあり、山崎豊子の思い入れが、他の作品とは質が異なっていたからだろう。その意味では『二つの祖国』も少し同じ香りがする。共通して骨太で反骨清心旺盛で不屈でそれでもって責任感に満ちた丁寧な小説なのだが、この2作、特に『大地の子』は先の戦争を体験した作者が原体験を何重にも補強して小説として仕上げている。この世代の歴史を深く描くことが出来る筆力といったことといい、重厚長大なメッセージを送り続けてきたことといい、このような作家はもう二度と出てこないだろうと思う。 

合掌。

 

【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:かつてR学園は光り輝いていた-活気溢れるR学園の再生を目指して-⑦

 (21世紀COEの採択の持つ意義)

 1998年の大学審議会答申を受けて「新自由主義政策」の施策の一つとして21世紀COE(卓抜した研究拠点)の採択が2002年から開始された。R学園では学園が培ってきた研究の成果を結実させるべく、教職が協働し積極的に申請に取り組んだ。その結果2002年度の第1回目のCOEにはR大学で3件(2003年度1件)が採択され、それは私学においてはK大学(5件)、W大学(5件)に続き第3位の成果であった(ちなみにT大11件、K大10件)。この時は学園の研究者、教員が営々として培ってきた研究の成果、たとえばアート・リサーチ・センターのわが国の最先端をリードし続けてきた研究や、産学連携で取組まれ、成果が検証されてきた研究が21世紀COE採択という形で結実したものであり、それらは学園全体の努力の結実として、学園の全構成員、校友、父母等の学園関係者にとっても大きな確信となり、学園アイデンティティの醸成に大いに貢献した。

 しかし、それ以降2005年にスタートするグローバルCOEも含めて学園の取り組みはどうであっただろう。どちらかというと立命館学園では1998年以前は研究活動は『冷遇』されていた。「費用対効果の非効率」「経費がかかる」「研究費は自前で稼いでくるべき」「教育が優先」等々言われていた。ところが1998答申、そしてCOE以降は、「採択」されること自体が自己目的化され、そのために「COEを取れる研究者」を外部から招聘するのに汲々としてきたり、それまでは『冷遇』されてきた研究費がにわかにマッチングファンドとして措置されるといったことになってきた。その結果一定の採択は果たした。しかし多大な経費を投入して外部から研究者を招聘し研究条件を整備してきたが、果たしてR学園の研究活動に多大な貢献をもたらし、学園の研究活動が大いに発展し、社会的にも貢献出来たのだろうか。そのことが学園のすべての構成員・校友・父母の確信となり、アイデンティティの醸成に大いに役立っているのであろうか。父母や受験生の視点は評価のほうへと向いていったのだろうか。それらのことを、遅きに失したかも知れないが真摯に総括しなければならないのではないか。

                                         (以上)

 

「一押しBook」

?貧困大国ア... 

 書名:㈱貧困大国アメリカ

著者:堤 未果  東京生まれ、ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号取得、国連婦人開発基金、アムネスティ・インターナショナル・NY支局員、米国野村證券、以降ジャーナリスト。著書は『グラウンド・ゼロがくれた希望』『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』他多数。

出版社:岩波新書 2013年6月27日第1刷 1,500円(税込み)

書評:

 本書はよく読まれ、よく売れている。今話題の本の一つであり、TPPなど多国籍企業の横暴が吹き荒れる現代のトレンドを読む意味でも、自らの価値観に忠実に生き自らのキャリアを形成している女性のメッセージを読む意味でもお勧めの一冊である。筆者はアメリカの大学院を修了し、国連やアムネスティといった、自らの価値感に沿ったキャリアアップを体現している。  

 内容は、現代のアメリカにおいて多国籍企業や富裕層といった1%のエゴのために99%の人々が貧困に陥っている実態を徹底的に現場視点で暴き出し、『今だけ・自分だけ』よければ良いという1%層のモラルに対する告発である。第1章『株式会社奴隷農場』では、1%の構成者であるアグリビジネスやバイオ企業がいかに危険な農作物を作り、弱者・弱国を犠牲にして利益を独占する仕組みを作っているか、第2章『巨大な食品ピラミッド』第3章『GM種子で世界を支配する』では、遺伝子組換え食品(GM食品)の危険な実態と人々に犠牲を強いて1%が利益を独占する仕組みが述べられている。第3章までのところで、『食』を支配することによって世界を支配する、よりありように言えば手段を選ばず、遺伝子組み換えといった『神をも冒涜する』業で以ってしても『今だけ・自分だけ』の利益をむさぼる1%(この場合多国籍企業のアグリビジネスや製薬業界等)を強く告発している。

 第4章『切り売りされる公共サービス』では1%の社会的責任の放棄、納税と公共サービスへの貢献もボイコットする実態と、その結果としてのデトロイトの破綻や公教育、消防、公園などが消滅していく実態と、民営化された『夢の町』の実態がレポートされる。第5章『政治とマスコミも買ってしまえ』では今日の政治の裏側やマスコミの堕落が書かれている。そうしてアメリカは富める者と貧困者の格差が絶望的なまでに広がり、1%の強欲な超富裕層の影で、99%の悲惨な貧困層がうごめく超貧困大国への道を歩んでいる。

 勿論、本書は絶望とあきらめのメッセージではない。エピローグでは『グローバル企業から主権を取り戻す』ためにどうするのかのサジェッションが述べられている。

 最近は、強欲や貧困、アメリカ言いなりの従属、食の危機などを告発する書物が多く出版されているが、注目すべきはかつてのような『左翼的』『革新的』な人に限らず、元官僚とかどちらかというと『右翼的』な人による告発も大変多い。あちこちから日本の重大な危機に対する警鐘が鳴っている。

(以上)

イソの評価:★★★★★

蔵書:五十川蔵書。よく売れており、市民図書館にも蔵書あり。


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