胃 癌 日 記 42
(大峰山脈の弥山近くの 狼平山小屋)
7月上旬には、若者の雇用状況を少しでも良くするために京都の経済団体・経営者団体への要請と懇談に参加した。この取り組みは幅広く労働組合が集まって行ったものだが、昨今の若者に対する、ハラスメントも有りの風当たりの強さが社会的・構造的にもなっている状況の中で、こういった取り組みは非常に大事なことだと思う。
この懇談と要請に取組んで思ったことは、最近『若者の替わりはいくらでもいる』といった状況を背景に、若者の『使い捨て』『新卒切り』『内定辞退への追込み』『ハラスメント』などが横行しているが、実は『まともな会社』や『真面目な経営者』が大変多いということに大きな意味で安心感を持った。過労死やうつ病の発症をなくし、『何万人ものリストラ』をする企業が『決断』と言われ、もてはやされて株価が上がるような社会はおかしい。そう思っている会社や多くの経営者に触れて、良かったと思う。リストラによって『経費』が削減され利益が生じ配当が可能になる、だから株価が上昇するなどという、競馬の予想新聞の解説のようなロジックがまことしやかに言われるいわば退廃的な風潮に異議をとなえる、そういった企業や経営者の皆さんが、『哲学』や『理念』を持って日本経済の再構築に頑張っていただきたいと思う。
(弥山山頂の弥山小屋玄関で、小学校4年の孫と)
仕事のほうでは、私が呼びかけてケース・カンファレンスをスタートさせた。若手からベテランまで日頃の仕事を通じてのケーススタディをして、仕事のヒントを得たり自己研鑽に役立てばよいと思っている。これは私は退職まで続けようと、その後も誰かに引き継いでいって欲しいと思っている。
7月上旬の終わりからは、例年のことだが仕事で地方の優良企業訪問がスタートした。この業務は私が担当責任であり、引き継いだ2年前からこの仕事の目的や成果検証、具体的には大いにメリットを生む仕組みづくりに取組んできた。今では多くの地方優良企業と相当深いネットワークを構築することに成功し、具体的な成果も挙げている。この業務・仕事も私の退職までには、より大きな成果を生み出せるような仕組みを作っておき、引き継いでいきたいと思っている。
7月14日は、亡くなられた恩師のS先生の著作集出版記念の集い・シンポジウムを開催した。著作集の発刊には私も編集委員として参加し、S先生のゼミ卒業生で社会人としての視点から、いろんな意見や思いを述べさせていただき、少なくない部分で私の意見も取り入れられている。また、校正作業にも連れ合いの応援も得て参加し、私だけでなく福祉の現場の実践者、労働組合、ゼミ卒業生、S先生の理念や生きてきた姿に薫陶を受けた人たち、多くの学識者等々が本当に手作りで作ってきた著作集である。また、この集い・シンポジウムの開催に向けてホームページを更新し学部卒業生に広く呼びかけた。結果80名以上の参加があり、これに関わってきた人たちや、これから新自由主義に対置しS理論の今日的な実践を目指す若手等の確信になったと思う。
7月28日は学会での長いお付き合いの有るY女史の『出版をお祝いする会』に出席する。Y女史は社会人として仕事の傍ら大学院に通い、修士を経て博士課程で研鑽を積んでいる。今回出版した本は、自らの研究の集大成を博士論文として纏め、それを出版されたということである。彼女の利発な聡明さと頑張りは、今後チャンスがあれば研究職の道を歩むのかどうか分からないが、この一作では終わることなく、更に世に出て行くのだろうと思う。その若さとバイタリティを少し羨ましく思う。
(弥山山頂の弥山神社と、左は祠)
7月にはもう1本映画を見た。『臨場』という映画で、鑑識で死体検案をする警察官がストーリーの主人公。凶悪殺人犯が精神障害と偽装して無罪になっている不条理に、犯罪者を私的に抹殺する法医学者と鑑識警察官との絡みのストーリーが面白く、また内野聖陽の泥臭い演技が良かった。
(続く)
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