日本人イスラム教徒ゆとろぎ日記 ~アナー・イスミー・イスハーク~

2004年に入信したのに、2003年入信だと勘違いしていた、たわけもんのブログです。

ツッコミどころ満載! 中国製・10カ国語電子辞書

2005年07月16日 10時54分55秒 | アラビア語
ヒジュラ暦1426年ジュマーダー・ッサーニヤ(6月)10日 ヤウム・サブティ(土曜日)

ディープな10カ国語に対応。ケースが定期入れと一体化しているのもナイス。

 アラブイスラーム学院に注文しておいた電子辞書がようやく届いた。
 5月初めに注文したとき「今月の末には来ると思います」ということだったので、予想通りほぼ2ヶ月の遅れで到着だ。
 アラブの機関を通して、中国に注文というルートを考えればむしろ早いくらいだな。

 さて、10カ国語である。辞書に記してある順に、
 英語・中国語・日本語・ギリシア語・アラビア語・フランス語・スペイン語・韓国語・トルコ語・ロシア語。
 う~ん、たまらん! どういう購買層を期待しているんだかまったくわからないところが素晴らしい。
 日本製だったらおそらく入ったであろう、ドイツ語とイタリア語は無念であろう。

 さっそく使ってみる。購入した目的はアラビア語辞書なので、まず日本語をアラビア語に訳してみよう。

 まず「本」と打ち込む。كتاب とちゃんと出た。

 次に「紙」を訳そう。「K・A・M・I」と打ち込むと、「神」しかない。当然 الله と出る。

 でも「紙」を調べたい。カーソルで前後の候補を選べるらしい。後ろの候補は…「かみそり」か。では前の候補はどうだ?…「我慢できない」
 何をだ!? 語句の選定はどうなっているのか?

 動詞はどうだろう? 「食べる」と打ち込み、アラビア語に翻訳。 ياكل と出た。

 他の単語でも試してみたが、動詞は「未完了形・三人称単数男性形」で表示されるらしい。
 
 アラビア語については、次のような点が厳しい。

1.シャクル(母音記号など)がいっさい表示されない上、ラテン文字への転写がいいかげん。

 ياكل は「YAKOL」だしなあ。


2.アラビア語の動詞を調べる場合は、未完了形・三人称単数男性形に直してから打ち込まないと訳語が出ない。
 例えば كتب では訳してくれないので、 يكتب  と打ち込まなくてはならない。

3.訳が必ずしも1対1対応になっていない。例えば、日本語で「食べる」と打ち込むと
アラビア語で ياكل と出るが、アラビア語で ياكل と打ち込んでも

「食べる」という日本語が出ない。

そもそも候補の語彙にياكلもاكلも無い。

4.名詞の複数形、形容詞の不規則な女性形・比較級、動名詞などの発展した情報はいっさい出ない。例文も無い。

5.名詞で調べても動詞で出たり、その逆もある。

6.音声が何人か不明。アラブ人にしても国によって発音違うしなあ。少なくとも、きちんとしたフスハーには聞こえない。

 結論。「文章を読んだりする際にはあまり役に立たない」。
しかし、使い道が無いわけではない。本領を発揮するのは「フレーズ」、つまり場面別の会話集の方であることに気がついた。こちらにいろいろとツッコミを入れて楽しむのが王道のようだ。
 ということで、どんな風にツッコミを入れたのか少々紹介しておく。

◆「ごめんなさい」を、「ごめんなさーい」という、人を小馬鹿にしたような読み方するのはやめなさい。外国人がこのままの発音で覚えたら不快だぞ。

◆それまで甲高い男の声だったのに、「お世話になります」という例文だけ、野太い声の声になっているのはなぜだ!?

◆「ちょっとブラブラしているだけです」という例文の音声が「ちょっとブルブルしているだけです」になってるぞ。勝手に震えていてください。

◆日本料理の「おわん物」を「うぉわゎぁんもの」と震えながら読むんじゃない! コワイじゃないか。

◆洋食のメニューの日本語に「ビフテキ」ってあるけど、いまどき使わないだろう、こんな言葉。

◆「商人」の発音が「チトーニン」になっているぞ。

◆「人間」>「人種」のカテゴリーに「赤色人種」ってありますけど…。

◆ミャンマー(旧ビルマ)の音声が「ブルマ」だしなあ。

◆「食べ物」>「味」のカテゴリー。「山羊のような臭い」「脆(もろ)い」。たぶん、味を説明するのに使わないと思う。

◆「社会」のカテゴリーの語句を順番に見る。資本主義→共産主義→帝国主義→自由→民主主義→革命→国連→赤十字→マフィア
どういう社会のとらえ方をしているのか、中国人!?

 何の必然性も無く、「すきやき」という言葉を、各国の人が発音してくれるも楽しい。フランス人やアラビア人、トルコ人がみんなで「スキヤキ」と言っている。
 各国の「スキヤキ」を連続で聞いていると、なんだかウキウキしてくる。

 というわけで、Hans WehrだのMawridだのという「きちんとした」辞書とは別の世界の電子辞書のお話でした。愛用しようっと!