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日本人イスラム教徒ゆとろぎ日記 ~アナー・イスミー・イスハーク~

2004年に入信したのに、2003年入信だと勘違いしていた、たわけもんのブログです。

アラビア書道展&『イスラム書道芸術大鑑』ショック

2006年11月06日 05時59分37秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年シャッワル(10月)15日 ヤウム・ル・イスナイニ(月曜日)
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 そういうわけで、いろいろなことがありしばらくはブログをお休み中だけれど、ときには書きたいことや書いておいた方がいいこともあるので、久しぶりに書こう。

 11月1日から本日11月6日まで、東神奈川の「かなっくホール」で開催されていたアラビア書道展「サンドローズ(砂漠の薔薇)」に3点ほど出品した。
 3点とも10月31日になってようやく完成という綱渡り。

 初日はたまたま仕事が休みだったので会場に足を運んでみた。約70点の出品があったらしい。普段、人の作品を見る機会って余り無いので良い刺激になる。
 さすがにうまい人が多い。キャリアが長い方はもちろん、私とほぼ同じ経験年数なのに圧倒的にナスヒー体のうまい人なんかがいて、感心するやら焦るやら。

 中には、芸術的すぎてどう評価していいのかよくわからない作品もあった。私の頭の中にある「アラビア書道」の概念をはみ出しているため、うまいとかヘタとかのレベルを超えてしまっている。これが芸術というものなのかもしれない。
 会場で会ったマイミクさん(mixi上の仲間のこと)も、「白い紙に黒々とした文字」という「書道」のイメージを破られたようで(悪い意味ではなく)軽いカルチャーショックを受けていたようだ。
 絵や写真の中にアラビア文字が書かれていたり、木彫りの作品があったり、一般の人には「アラビア文字芸術」とでも言った方がわかりやすいかもしれない。

 さて、本日で展覧会は終わるわけだけれど、今回出品の作品群が巡業して、今度は11月20日(月)~12月2日(土)まで、アラブイスラーム学院で展覧会が開催されることとなった。
 サンドローズ(砂漠の薔薇)では、PR活動にほとんど貢献できなかったので、埋め合わせに今回の展覧会をPRしておきたい。開催要領は以下の通りです。

1.開催日時: 2006年11月20日(月)~12月2日(土) 14:00~16:30
(但し、11月20日、21日、22日、23日、25日、27日、28日、29日、30日、12月2日のみ開館)

2.場所: アラブ イスラーム学院 (東京都港区元麻布3-4-18) (TEL:03-3404-6622)

3.アクセス:東京メトロ日比谷線広尾駅より徒歩10分、または都営浅草線麻布十番駅より10分
(http://www.aii-t.org/j/frame/index_hiroo.htm ) (中国大使館の方ではなく、中国大使館公邸の隣。)

4.書道体験:専任講師によるアラビア書道の指導を受ける事ができます(23日は本田先生、その他の日は山岡及びアラブイスラーム学院の生徒が行います)。

4.その他:11月18日(土)17:00~18:00に同所地下一階にてオープニングセレモニーが開催されます。駐日サウジアラビア大使によりテープカットがあります。


 しかし、自覚症状はあまりなかったんだけれど、作品制作による緊張&プレッシャーが結構大きかったようで、作品展から帰宅してから数日間、頭がボーッとして身体がだるくてしかたなかった。ひと段落して、ふと気を抜いた瞬間に、今までの麻痺していた疲れが一気に出たような感じ。
 アラビア書道をたしなんでいる人には、絵画や日本書道など、もともと芸術には通じている人が多いようだ。話に聞くと、文字はとにかく、装飾なんかはチャッチャと手早く美しく仕上げてしまう人もおり、ホントにただ者でない人が揃っている。私は別の意味で「タダモノデナイ」と思われているフシがあり、早くアラビア書道そのもので「ただ者ではない」ようになりたい。

 話は変わるが、アラビア書道展にタイミングを合わせるかのように、アマゾンで『イスラム書道芸術大鑑』が中古で出品されていた。
 50000円の大型本ですでに絶版。私は3年以上前からこまめに探していたのだが、ようやく今回発見して速攻で申込。アマゾンからも注文確認メールが来て、「やった! ついにあの本が見られるぞ!」とオオヨロコビしていたら、今朝お詫びメールが入っていて、「タッチの差で他の人が購入しました。手違いがあってしすみません」と書いてあった。
 はっきり言って大ショックだ。日本全国津々浦々の古書店を歩き回り、ときには船が難破しそうになり、ときには行く手を阻む怪物と戦いながら探し回ったのに…(そんな気分なのです)。

 しかしまあ、50000円もするこの本を買ったと言うことは、きっとアラビア書道関係者かイスラーム関係者に違いなく、もしこの記事を見て「あ、買ったのオレ、オレとか」「なーんだイスハークさんも欲しかったんだ。あたし買ったから見せてあげるよ」という展開になると、オオヨロコビも復活するに違いないので、該当する方には是非よろしくお願い申し上げます。

 そうではなく、お金が余っているからなんとなく買っちゃったけど、あまり興味ないなあ…という人が買った場合は是非転売して頂けると、イスハークは喜びのあまりわふわふと庭を駆け回ると思います。
 とにかく、誰でもいいのでもし売ってくださる方がいたら是非売ってください。値段交渉にも応じますので。

ラマダーン第12日:アラビア書道展覧会の作品はこれで

2006年10月05日 21時36分00秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年ラマダーン(9月)12日 ヤウム・ル・ハミースィ(木曜日)
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 ふぅっ! 「SEASONS water chestnut」がうまい! 以前マレーシアで買ったのがまだ残っていた。賞味期限は余裕で大丈夫。
 
 薄目のココナッツジュースのような甘み。砕いたつぶつぶのクルミが入っていてこれがまたうまい。水分でふやけて、なんだかクワイのような歯ごたえ。

 さて、アラビア書道の展覧会に向けて、ぼちぼち本格的に作品作りに取り組まないといけない時期になってしまった。

 字を書いて、装飾をして、額に入れる。出品用の字も書いていないし、装飾も作っていないし、額も買っていないや…。

 小さめのナスヒー体でクルアーン第112~114章までを書いて、クルアーンっぽい装飾をするという野望はどうなるのか?

 それとは別に、ハディースの中の次の一節も書こうかと思って練習中。とても好きな言葉のひとつ。

حَدِيثٌ نَبَوِيٌّ شَرِيفٌ

لا يَزَالُ الرَّجُلُ عَالِمًا مَا طَلَبَ العِلْمَ
فَإِذَا ظَنَّ أَنَّهُ عَالِمٌ فَقَدْ جَهِلَ

ハディース・ナバウィー・シャリーフ

ラー・ヤザール・ッラジュル・アーリマン・マー・タラバ・ル・イルマ・

ファ・イザー・ザンナ・アンナフ・アーリム・ファカドゥ・ジャヒラ

高貴なる予言者の言行録

知識を求める限り人は賢者であるが、

自分を賢いと思った途端、愚か者となる。

 細かくて量の多いナスヒー体をずっと書いていたので、気分的にはすごく楽。

 ハディース・ナバウィー・シャリーフの部分だけ、色気を出してディーワニー体で書き、本文はナスヒー体で。ディーワニー体は今まで練習していなかったけれど、ささやかな初挑戦。焦りはあるけれど、少しずつ頑張ろう。

11月の展覧会に向けて

2006年09月10日 07時11分27秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年シャアバーン(8月)17日 ヤウム・ル・アハドゥ(日曜日)
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あちこちを直される。未だに全然基本ができていないことを痛感。

 トルコ国際コンテストの作品〆切は10月だとばかり思っていたら、2月だった。10月は単にエントリーの手続きだけ。
 ということで、まずは11月の作品展の作品制作に専念することにした。

 今回は思いっきり太くて大きいルクア体と、思いっきり細くて小さいナスヒー体という2作品にチャレンジ。極端な自分の性格を表しているようだ。
 本当は太さの中に繊細さとか、繊細さの中に力強さというのが理想だろうけど、まだそういうレベルではないので、それぞれの特徴を顕在化した作品にした。

 昨日のレッスンでは先生にルクアもナスヒーも随分と指導して頂いた。大変うれしかった反面、習ったはずのことが全然できていないことが判明して愕然。
 仕事の方も一番重圧だった執筆が終わったので、少しずつだけど練習をしていこうと考えている。

 ついでに11月の展覧会の宣伝。
アラビア書道作品展『サンド・ローズ(砂漠の薔薇)2006』
日 時:11月1日(水)~11月6日(月)
場 所:かなっくホール ギャラリーA
   (神奈川県横浜市神奈川区東神奈川1-10-1)


*詳細はまた改めて

カラム(筆・ペン)との戦い

2006年09月05日 23時16分59秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年シャアバーン(8月)12日 ヤウム・スラーサーィ(火曜日)
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昨年の入賞作品(上)を模倣してみる。1時間で3行がやっと(下)。書くのに使用したカラムは企業秘密(?)なので載せていない。
 いろいろなことがひと段落し、ようやくアラビア書道の練習を再開。
 トルコの国際コンテストはもう間に合わんのではないか? と思いつつも、とりあえず昨年の課題にチャレンジしてみた。

 細かいことは7月9日の日記に書いたが、私がエントリーできる可能性があるのはナスヒー体部門だけである。
 技術的にはもっと難しい書体があるが、手間がかかるという点では、課題が39行に及ぶナスヒー体部門が一番だと思う。B型には辛い。

 コンテストのルールで、「カラムの先の幅は1ミリ以下」となっているので、7月はカラム作りに悪戦苦闘した。
 先生から頂いたアドバイスに、自分なりの工夫を加えながら試行錯誤。

 まずは、弓道の矢の柄を使って作成。先端の幅を0.7ミリまで削り、直径0.2ミリほどの穴をあけてみた(写真の一番上)。
 お! 結構イケる。書き味も悪くない。と、思っていたらあっという間に先端が墨でふやけて使えなくなった。乾かしてはヤスリをかけて使用。すぐに形がくずれるので削り直しもしょっちゅう。う~ん、埒があかない。

 ということで今度はまったく違ったカラムを作成。先生に基本的な形を作っていただき、貴重なアドバイスもいただいた。先生にしてみれば大したことではないのかもしれないが、なんだかとても重要な秘密を伝授されたような気分。
 まだ工夫の余地はあるが(問題は材料が手に入らない)、今のところこれがベスト。しかし、このカラムが完成する頃に、仕事の都合でアラビア書道の練習がストップしてしまった。

 そしてようやく本日、本格的にこのカラムの登場となった。
 しかし、このカラムをもってしても、1行くらい書くと書き味が鈍る。墨壺も通常と違うものを2種類作り、使い分けながら書いてゆくが、ヤスリや千枚通しなどで手入れをしながら3行がやっとだった。
ただ書いたというだけで、うまいとか下手とかいう以前のレベルだ。 

 ナスヒー体部門に参加する人はどんなカラムを使って、どれくらいの手間と時間をかけて作品を作っているのだろう?
 さらさらっと流れるように書いているのだろうか、それとも1文字1文字相当な時間をかけて書いているのだろうか?

 ちょっとだけ書いてみたら、ますますコンテストが遠のいたような気がした。

アラビア書道の国際コンテストの課題

2006年07月09日 07時26分34秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年ジュマーダー・サーニヤ(6月)13日 ヤウム・ル・アハドゥ(日曜日)
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トルコの国際アラビア書道コンテストの課題

 昨日のアラビア書道のレッスンで、トルコ国際アラビア書道コンテスト(正式名称は知らない)の課題が発表された。
 2年に1回行われるコンテストで、世界的にも権威のあるもの。私の所属する教室からも過去に入賞者が出ている。

 「みなさんもできるだけ奮って応募してみてください」という先生の言葉に、「よーし、チャレンジしてみようかな!?」という気になった。

 ところが課題を見て愕然。
 コンテストは書体別に行われる。伝統的な筆と、伝統的な技法を用いて、与えられた課題を制作することが義務づけられる。自己流とか前衛とかはダメなのだ。

 ルクア書体はこのようなコンテストには向かないので、ルクア体部門は無い。ということは私が現段階でエントリーできるのはナスヒー体部門のみということになる。

 そして課題を確認した。39行…。上の写真の赤線で囲った部分がナスヒー体部門の課題である。
 しかも、ペン先の幅は最大1ミリまでとするというルールがある。細い筆で39行を書いていかなければならない。途中で間違えればもちろん書き直し。
 う~ん、気が遠くなる。

 ちなみに他の書体はどうかというと、ジャリースルス体部門は2行の課題か1行の課題かどちらかを選択(上の写真の青で囲った部分)。

 スルス体部門は4行(上の写真の緑で囲った部分)。

 他の書体も長くて9行である。

 スルス体は最高峰であり、難しいから仕方ないけど、他の書体と比べると、気が遠くなるな、ナスヒーは…。

 しかし、10月の作品展でもナスヒー体でクルアーンを書いていこうと思って、練習中だし、チャレンジだけはしてみてもいいのかもしれない。

 ただし、先生の顔に泥を塗るわけにはいかない。作品を提出するときに先生の名前も書くらしい。
 だから、事前に先生から「これなら出してもいい」と言われるような作品を書かなくてはならない。

 硬い竹を自分で調達してきて削ってカラム(筆・ペン)を作り、先生にアドバイスを頂いては改良してゆく。墨壺も普段使用しているモノでは耐えられないので、細いナスヒー体用のものを自作してゆく。

 相変わらず、線の意志はなかなか読めない。でもしばらくは太くて無骨な感じのルクア体と、細くて繊細なナスヒー体を練習してゆくつもり。

 トルコ国際アラビア書道コンテスト。出場できるといいな。
先生のアドバイスを受けながら、先の細い筆を試作してゆく。太いルクア体と、小さいナスヒー体の対比。試行錯誤の過程。

いよいよ明日か…

2006年05月26日 21時16分58秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年ラビーウ・ッサーニー(4月)28日 ヤウム・ル・ジュムア(金曜日)
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 いよいよ明日は、アラブイスラーム学院で第3回アラビア語オリンピック。アラビア書道の部は11時15分から1時間おこなわれる。集合は10時半。

 昨年の展覧会のときもそうだったが、自分の中で「『書くことが信仰』という故サアダウィー師の言葉をよく使うわりには、展覧会に作品を出したり、コンテストで競ったりするのは矛盾してるのではないか?」と悩むこともあった。

 しかし、今は迷いは無い。
 いろんなことに手を出すわりに怠けがちな自分にとっては、目標があった方がいいのだ。
 あるひとつのことが好きで好きでたまらなくて、ずっとやっていたら凄いレベルになった…という人が世の中にはいて羨ましい限りだが、私はそういうタイプではない。
 目標があるから(それがどんな目標であっても)、頑張れるタイプの人間なのだ。
 明日のコンテストにエントリーしたおかげで、いつもより練習時間を取る努力をしたし、カラム(筆、ペン)や墨の試行錯誤をする中で、ささやかな発見によりささやかな充実感を得ることもできた。

 思えば、昨年のコンテストで飛び入り参加をせざるを得ない状況になり、悲惨な結果に終わったこともモチベーションになっている。
 大した努力をしたわけではないけれど、昨年と違って、準備期間があっただけでもありがたい。

 「詳しいルールを知らない」というちょっとした問題はあるが、まあいいか。
 昨年通りなら、黒板に課題となるアラビア語が書かれ、それを見て好きな書体で時間内に作品を仕上げるという形式になる。

 しかし、今年は書体別なんて話も小耳に挟んだし、結局どうなるのだろう。他の書体に比べれば地味だが、明日はルクア体を書く。
 コンテストという視点で見れば、高度なスルス体や、見栄えの優雅なディーワニー体、基本中の基本ナスヒー体の方がおそらく有利だろう。
 でも、今自分が練習しているのはルクア体だからルクア体以外は書くつもりはない。コンテストと言っても、あくまで「今の自分の力を試す場」なのだから。 
 と、偉そうなこと言ったけど、そもそもナスヒー体とルクア体しか書けないんだった…。
 今日は早く寝ようっと。

アラビア語オリンピックに向けて悪あがき

2006年05月25日 21時59分29秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年ラビーウ・ッサーニー(4月)27日 ヤウム・ル・ハミースィ(木曜日)
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こんな写真をしゃあしゃあと載せられる大胆な一面を持つ私である。ホントは恥ずかしいが。

 アラビア語オリンピックがいよいよ明後日に迫ったが、実力が上がっていない。というより、実力下がっていないか? 
 理由はきわめて簡単で、練習不足である。やることが多いというよりは、単に時間の使い方が下手であることは百も承知だが、なかなか直せないものである。B型だしな…(←いつものいいわけ)。

 そこで考えたのが「弘法じゃないから筆も墨も選びまくるぞ」作戦。内容は極秘!…と言いたいが、作戦名がそのまま中身を表しているので隠しても仕方ない。

 先生から買った筆を自分になじむようにさらに削ったり、毛筆用の筆の柄を削って作ったり、七夕祭りで使った竹の枝をもらってきて削って筆を作ったり、画材屋で葦のペンを買ってきて削ったり、まずは筆を何本も用意だーーっ!
 下手な鉄砲も数打ちゃ当たる的発想で十数本用意した。この中で一番使いやすいモノで勝負という作戦。
 でも、アラビア書道は日本の書道と違って、カラム(筆・ペン)をどう作るかにかなりの重要性があるから、偉大なハッタート(書道家)でもカラム制作には試行錯誤を重ねている。カラムの作り方がひとつの秘密だったりもする。
 そういう意味では、筆をあれこれ試すのは別に「作戦」というほどのこともなく、アラビア書道愛好家なら誰でもやっていることかもしれない。

 問題は墨、またはインクの方だ。
 アラビア書道の基本では「にじみ」「かすれ」は避けるべきものとされている。(東洋の書道の影響か絵画の影響か、かすれたりにじんだりしている文字を書くハッタートもいる)。
 今度のコンテストでは、にじみ・かすれは大敵だ。

 ということで、墨汁をいろいろ試してみた。
 練習でいつも使っているのは、100円ショップの墨汁。いくらなんでも、これは安っぽいのではないかと思い、書道専門店に行って、「超濃墨」という高い墨汁を買ってきた。

 余談ながら、墨汁売り場の隣に「自動墨擦り機」という機械が売っていて驚いた。一辺30センチくらいの真四角の鉄のボックスからアームが二本にょきっと出ている。これに墨を挟んで擦るという機械。お値段5万8000円なり。「これを使ってみるか…」などとはまったく思わなかった。どういう人が使うんだろ、これ?

 さて、超濃墨で墨壷をいくつか作ってみた。ケースの中の構造を変えてある。
 ところが、何日も実験を重ねるうちに悲しい事実が赤裸々になってきた。超濃墨は粘度が強すぎて、竹のカラムには向かない。書いている途中で墨が固まり始めてしまい、最後まで筆線が続かない。そもそも普通に書くこと自体が難しい。
 むしろ、100円墨汁の方が伸びるし、かすれない。上の写真の線より上が100円墨汁、線より下が超濃墨で書いた文字。
 根本的な上手い下手は別として、あきらかに100円墨汁の方がアラビア書道には向いている。超濃墨の方は「文字になっていない」と言ってもいいような状態だ。ルクアとナスヒーで試してみたけど、他の書体でもたぶん同じだろう。

 竹のカラムを使うにはあまり粘度が高くない方が良いということがわかった。100円墨汁はだいたい粘度6~7くらいと予想される。それに対して超濃墨は粘度67! 途中で乾いちゃうわけだよな~。

 で、結論。
 いつもの100円墨汁を使って、いろいろなカラムの中から自分に合ったモノを見つけるのが一番! 
 なんだ、余計なこと考えずに地道に努力するのが良いという当たり前の結果じゃないか。

 それにしてもワーウو  とラーر

は相変わらず難しい。最後がきれいに「抜けない」んだよなあ。

アラベスク(幾何学系)作成への道②

2006年04月27日 20時51分29秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年ラビーウ・ル・アウワル(3月)28日 ヤウム・ル・ハミースィ(木曜日)
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反響ほとんどなし! 応募者ごく少数。5万アクセス突破記念キャンペーンの〆切もうすぐ。
詳しくは4月17日分の記事を参照してください。ボソボソ…


 今日は知り合いの数学者に、アラベスクの本
"ARABIC GEOMETRICAL PATTERN & DESIGN 200plates" by J.BOURGOIN
を見せて、「このようなものをパソコンのソフトで作りたいのですが、数学と何か関係がありますか? もし関係があるとしたら、数学系のソフトで、このようなアラベスクを作れそうなものありますか?」と尋ねてみた。

 結論から言うと、「代数」の中の「群論」というジャンルの中の「パターンの数理」という、最近数学業界ではやっている分野に関係するらしい。 そこでも、伝統的なアラベスク模様について議論が交わされているとか。

 なんだかよくわからなかったけど、アラベスクの本に載っているような図面はとても難しく、大学生レベルでは本質は読み解けないのではないかとのこと。

 あらためて先人や伝統のすごさを感じる。

 ということで、数学的なアプローチをしながらお絵かきソフトで作成するのは断念。数学者が悩むことを素人がやろうとしてはいけない。

 安易な方法として、スキャナーで図面を読み取り、IllustratorCS(以下「イラレ」)でトレースしてタイルを作り、手作業で組み立てた。ガタガタだけどなんとなくそれはそれで味があるし(下の図)、たくさん組み合わせればそれっぽく見える(さらに下の図)。なんだか強引な妥協の仕方だが今はこれで我慢。
 今後、さらにいろいろな方法を考えていこうと思う。



アラベスク(幾何学系)作成への道①

2006年04月26日 20時54分36秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年ラビーウ・ル・アウワル(3月)27日 ヤウム・ル・アルビアーィ(水曜日)
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小反響! 応募者少数。5万アクセス突破記念キャンペーンの〆切迫る!
詳しくは4月17日分の記事を参照してください。ボソボソ…


 アラビア書道を始めてから興味の範囲は広がり、アラベスク(「アラビア風模様」などと訳される)を自分で作成してみたいと思うようになった。
 アラベスクは大雑把に、植物紋様系と幾何学紋様系に分けられる。両方の要素を含んだものもあるし、鳥系紋様もあるが、だいたい上記の二つで考えるのがわかりやすい。

 植物系は、手書きのテイストである。なんというか、ヨーロッパの紋様で言うとロココのような感じで、花や葉っぱがくどいほど描かれる。
 こちらは東京ジャーミイの蔵書の中に参考となる本があったので、昨年夏に大量にコピーをさせていただき、手書きで少々練習した。
 この本はトルコ語のため、図版を見よう見まねで練習するにとどまり、B型らしく、夏を過ぎたらぱったりと練習しなくなった。
 東京ジャーミイの好意を無にするような状況が続いているので、いずれ練習を再開するつもり。

  
 
 もうひとつの幾何学系の方は、ヨルダンの本屋で購入した
"ARABIC GEOMETRICAL PATTERN & DESIGN 200plates" by J.BOURGOIN
を参考に、お絵描きソフトのIllustrator CS(以下、「イラレ」と呼ぶ。業界っぽいねぇ~)で、いろいろなパターンを量産しようとしたら、一発目から足止め中である。
 表題の通り、伝統的なアラベスク紋様の設計図(?)が200パターンも掲載されている。一番最初のパターンは、上の写真の右側のような、一見単純な図形。
 実際に、方眼紙などで手書きで書けば大した図ではないのだが、意表をついてイラレはこういう図が苦手だった。
 下のような、ごく簡単な試作品を作ったのだが、これだけのものを作るのに大苦戦を強いられた。

 


 イラレは、座標軸さえ定まれば10000分の1ミリ単位で微調整ができるのだが(すごいね)、微調整をできる形状や角度が限られているため、30度斜め方向に図形をきれいにそろえるというアラベスクの基本(勝手にそういう法則を見つけ出した)すらできない。
 輪郭線を太くすればごまかせるのだが、どうせなら精密っぽいものを作りたい。

 こうなると、調整したい部分をズームで最大倍率の6400倍にして手作業で微調整をしていくしかない。

 ところが、この方法だと、パターンをふやしたり、複雑なパターンの組み合わせのときに、ズレが生じやすい。
 上の右側の図の中にもだいぶズレが生じている。
  PCスクールの講師に、上の本を見せて「こういうの作りたいんですよね」と相談したところ、大いに燃えてくれ、指導計画を無視して2時間半一緒に試行錯誤したのだが、結論には「イラレでは限界がある。手書きの方が優れている」ということだった。
CADを使えばもっと簡単にできるかもしれないということだったが、個人でCADは買えないだろう。ヘタするとン百万円だし。

 そして講師は本を眺めながら、「これはコンパスと定規だけで値を割り出していって複雑に組み合わせた紋様ですね。完全に数学の世界。先人たちの築いたものはものすごいです」と感嘆していた。

 コンピューターがいくら便利とはいえ、人間には遠く及ばない分野がまだまだたくさんあるものだと感じた。

第3回アラビア語オリンピックにエントリー

2006年04月23日 07時28分45秒 | アラビア書道
ヒジュラ暦1427年ラビーウ・ル・アウワル(3月)24日 ヤウム・ル・アハドゥ(日曜日)
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5万アクセス突破記念キャンペーンの〆切、そこそこ迫る!
詳しくは4月17日分の記事を参照してください。


 5月27日(土)にアラブイスラーム学院で行われる、第3回アラビア語オリンピック「アラビア書道の部」に昨晩エントリーした。

 昨晩のレッスンで、「エントリー希望者は作品を一括して送りますので、今日中に提出してください」という指示が出た。
 レッスン終了の20分ほど前になって、エントリー用作品を書いていないことに気づいて大慌て。
 ルクア体の作品を出そうとしたが、まだまだルクアはヘタすぎて提出する水準の作品ができない。
 結局10分ほどで急いでナスヒー体のバスマラを書いた。
 墨が固まっているというアクシデントにより(手入れが悪いため)、昨晩の練習では筆がなめらかに走らず、輪郭がガタガタの線や、かすれた線の連発だった。
 当然、提出作品も不出来 でもルクアの出来よりはマシ。
 おおっぴらに見られると恥ずかしいので「まさかエントリー用作品の張り出しとかしませんよね?」との問いに「たぶん張り出しますよ」という非情なひとこと。
 でも今回は参加者が多いからいいか。

 昨年は14名参加(女性12名・男性2名)で、私は飛び入りだったので予選作品を出さなかった。
 今年はすでに25名以上の参加が決定し、飛び入りの余地はなさそう。

 競技に関心を示さず黙々と美しい作品を作り上げているベテランの方を見ると、「ああ、こういうスタンスもいいなあ」と感じる。
 アラビア書道を始めて2年弱、いまだに自分のスタンスは定まらない。ただ「競技」という形の目標があると、元来の怠惰癖に活が入れられるのも確か。
 「頑張る」という言葉はあまり好きじゃないけど、今回は「頑張ろう」っと!!