何をいまさらの、吾妻ひでお『失踪日記』であります。
中でも、興味深いのが路上生活体験。笑ってしまったのが、
その道具を使って、乾麺の「ほうとううどん」を煮るなんぞは、まるでロビンソン・クルーソー。こういう工夫をしてしまうというのが、漫画家の「業」なんでしょうな。
「肉体労働」体験や「アルコール中毒」での「強制入院」などは、人間関係が主になるので、今一つ笑えない。というのも、日常生活で起こりうることが、濃い形で出ているだけだからでしょう。つまりは、「路上生活」のように、具体的には想像できない、という体験ではないから。
ただ、名前を隠し「肉体労働」(ガスの配管工)しながらも、日本ガスの社内報にマンガを投稿してしまった、というのは、笑える。これも、漫画家の「業」の1つだろうね。
以上のように、客観的に見れば比較的悲惨なのに、笑えてしまえるのは、表現者として自分のことでも、他人事のように見る「クセ」がついているからでしょう。
そのことは、巻末のとり・みきとの対談でも触れてあって、
もう1つの原因は、吾妻ひでおの絵のタッチだからでしょう(手塚治虫系のマルマルとした絵柄)。
これが劇画タッチだったら、笑えませんぜ(とり・みきだったら『山の音』のようなタッチね)。
「入院後半のエピソードは続編にて」とありますから、やがて続編も出るのでしょう。今回の著書では描き下ろしの「アル中病棟」の絵が、若干荒れているような気がするのが少々心配ですが、続編を期待しましょう。
「言わずもがな」のこと
図書館の蔵書の場合、カバー裏の文章は読めなくなるのでしょうか?
図書館でお借りの方は、ご注意を。
吾妻ひでお
『失踪日記』
イースト・プレス
定価:本体1140円+税
ISBN4872575334
「突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働、アルコール中毒・強制入院まで。波乱万丈の日々を綴った、今だから笑える赤裸々なノンフィクション!」内容は、ほぼ、この帯の文句に尽きているでしょう。
中でも、興味深いのが路上生活体験。笑ってしまったのが、
「漫画家の7つ道具のカッター・シャーペン・ハサミ等は持っていた」というくだり。普通は持っていませんて、突然の失踪をしたら。
その道具を使って、乾麺の「ほうとううどん」を煮るなんぞは、まるでロビンソン・クルーソー。こういう工夫をしてしまうというのが、漫画家の「業」なんでしょうな。
「肉体労働」体験や「アルコール中毒」での「強制入院」などは、人間関係が主になるので、今一つ笑えない。というのも、日常生活で起こりうることが、濃い形で出ているだけだからでしょう。つまりは、「路上生活」のように、具体的には想像できない、という体験ではないから。
ただ、名前を隠し「肉体労働」(ガスの配管工)しながらも、日本ガスの社内報にマンガを投稿してしまった、というのは、笑える。これも、漫画家の「業」の1つだろうね。
以上のように、客観的に見れば比較的悲惨なのに、笑えてしまえるのは、表現者として自分のことでも、他人事のように見る「クセ」がついているからでしょう。
そのことは、巻末のとり・みきとの対談でも触れてあって、
「自分を第三者の視点で見るのは、お笑いの基本ですからね」と著者は語っています。
もう1つの原因は、吾妻ひでおの絵のタッチだからでしょう(手塚治虫系のマルマルとした絵柄)。
これが劇画タッチだったら、笑えませんぜ(とり・みきだったら『山の音』のようなタッチね)。
「入院後半のエピソードは続編にて」とありますから、やがて続編も出るのでしょう。今回の著書では描き下ろしの「アル中病棟」の絵が、若干荒れているような気がするのが少々心配ですが、続編を期待しましょう。
「言わずもがな」のこと
図書館の蔵書の場合、カバー裏の文章は読めなくなるのでしょうか?
図書館でお借りの方は、ご注意を。
吾妻ひでお
『失踪日記』
イースト・プレス
定価:本体1140円+税
ISBN4872575334
我が家の周りは昔から路上生活者が多い地域でして。
昨日は「ガード下で、パックに入った豆腐の上に、かまぼこ板の上で切った長ネギをのせて食する御仁」を見ました。
皆さん、自分の力の限り工夫をなさっているようです。
毎日拝見しているのですが、なかなかコメントをする機会がありません。
刀狩りの話は、とても興味深かったです。
明日から始まりそうな予感の、非人間的生活(笑)が一段落したら、読んでみたいと思います。
でも、配管工の仕事とか楽しそうだなあ、と思ってしまうんです、どうしても。やりたくなってきて。
これ読んで、「なんだ、失踪したきゃ、今すぐってあわてなくてもいつでも失踪できるじゃん」と思えたのも救いでした。
手を動かすしごとは、
それなりに面白いものがありますね。
小生も、町工場の様子などを見ていると、
>どうしても。やりたくなってきて。
という気分になることがあります。
>「なんだ、失踪したきゃ、今すぐってあわてなくてもいつでも失踪できるじゃん」
というのは、思うだけにしてくださいね(笑)。
では、また。