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最近の拾い読みから(176) ―『トンデモ日本史の真相―と学会的偽史学講義』

2007-08-25 07:51:12 | Book Review
「トンデモ」というと理系の言説が注目されますが(「水伝(みずでん)」や「相対性理論は間違っている」など)、文系、特に歴史ものにも多いようです。

その歴史ものの「トンデモ」をあつめて、その「トンデモ」ぶりを楽しもうという趣旨の書物です。
ただ、著者の原田実が、「九州王朝論」の古田武彦の元にいた人物なので、どうしても古代史が話題として多くなるのは、しかたがないでしょう。

それでは、歴史系の「トンデモ」には、どのようなものがあるか。

まあ、有名なところでは、「義経=チンギス・ハーン」説とか、「信長暗殺謀略説」などでしょうか(最近では、ネット上で、「フルベッキ写真」を元に「明治維新はフリーメーソンの陰謀だった」などの言説が盛んなようですが、これらは本書で扱われている)。

この歴史系の「トンデモ」、大きく分けると、偽史偽伝と謀略論になるんじゃないでしょうか。
偽史偽伝の最近の流行は知りませんが、「竹内文書(たけうちもんじょ)」「秀真伝(ほつまづたえ)」などが有名どころで、広い意味では、これに「未来記」や「東日流外三郡史(つがるそとさんぐんし)」「武功夜話」「金史別本(きんしべっぽん)」なんかも入るんじゃないかしら。

小生、前から偽史偽伝そのものより、このようなものを作る人々の動機や心理に興味があったのですが、この本はその趣旨から、それについては少々触れているだけですね。それでも、和田家文書(「東日流外三郡史」もその一部)と朝日新聞の和田シンパ U 記者なる存在について、若干の記述はあります。この辺りは、古田武彦の弟子だった著者の体験が生きていますね。

さて、謀略説に関しては、本書ではあまり触れられていませんが、それは近代史の「トンデモ」への記述が少ないこととも関係しているのでしょう。
というのも、日本近代史については、さまざまの謀略説が多いからです。一番有名なのが、真珠湾攻撃はルーズベルトの謀略に日本海軍がひっかかったからだ、というもの。
もっとも、こういうテーマになると、1冊まるまる使っても足りないかもしれないので、本書では扱わなかったのかもしれませんが。

本書は、ご自分が、どの程度、歴史系「トンデモ」に汚染されているかをチェックするにはいいかもしれません(正直言うと、小生も若干汚染されていました。どの部分かは訊かないでね)。
なお、ルビの間違いが散見されるのは、編集者の責任でしょうが、原田センセーもチェックをしっかりしてよ。

原田実
『トンデモ日本史の真相―と学会的偽史学講義』
文芸社
定価 1,575 円 (税込)
ISBN978-4286027517

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2 コメント

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わははは。 (Junco)
2007-08-25 20:29:09
こういうの大好き☆

このてのものでよく出てくるのはなんと言ってもユダヤ人ネタですねぇ。わかっちゃい~るけ~ど、お~もし~ろい~♪

きっと図書館じゃ見つからないから、ちと高いけど買ってみようかな(^_^)v

そうそう、この前の偽偽満州。なかなか面白かったですよ(^o^)
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「トンデモ」本の楽しみ (一風斎)
2007-08-27 19:36:01
この本もかろうじてご紹介したような次第。
それほど喜んでいただけるとは
思ってもいませんでした。

まあ「トンデモ」本の元々のコンセプトが
コマッタちゃんな本を、
突っ込みながら楽しむ、
ということですから、
Juncoさんのユダヤ人ネタについての
感想は、それで宜しいのではないでしょうか。

なお、『偽偽満州』の感想など
もっと詳しくお聞きしたいところ。
貴ブログでの記事なんかになりませんかねえ……。

では、また。
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