Moving

脱ネガティブを計るべく、浮きつ沈みつ漂う女の戯言日記

東電OL殺人事件

2008-03-09 | 本・映画
今更ながら佐野眞一のノンフィクション『東電OL殺人事件』を読んだ。
かなり有名な事件でとても印象に残っていて、この本も当時読みたいと
思いつつ機会を逃がしていたのだけれど、先日図書館へ行った際に
偶然見つけて借りてきた。

慶応大学経済学部を卒業し、東京電力で管理職まで務めたエリートOL
渡辺泰子が、夜は渋谷円山町の街角で客を引き売春を繰り返し、アパート
の一室で絞殺死体となって発見される・・・。
昼と夜の顔との落差がスキャンダラスな関心を呼び、彼女のプライバシー
を踏みにじる様々な報道が多々なされた。
年収が一千万はあったと言われる彼女が、なぜ売春婦となり雨の日も
風の日も客をとり続けたのか。
この事件は興味や親近感を持った同年代の女性がとても多かったと言うが、
私も彼女の心の闇の深淵に近づいてみたいと思った一人だ。
東電での仕事の後円山町で毎日4人の客をとる事を自らのノルマと課し、
公園や駐車場でも性交を厭わず最後には二千円で体を売った。
ホテルで放尿や脱糞をしたり、拒食症でガリガリに痩せていて、終電で
菓子パンをむさぼり喰いおでんの汁を啜っていたというその姿に、形容
し難い巨大な虚しさを感じずにはいられない。その闇は余りに大きく深い。

彼女の遺体は、1997年3月19日に渋谷区円山町の木造アパートの1階で
発見された。
犯人として逮捕されたのは現場近くに住むネパール人、ゴビンダ・プラサド
・マイナリ。その逮捕には始めから彼を犯人と決めつけた一方的な捜査が
感じられ、著者の佐野眞一は真相を究明すべく様々な角度から事件を掘り
下げる。
どう見ても被告を犯人とする決め手は弱く冤罪の匂いだらけなのに、直接
証拠が何も提示されないままゴビンダさんは犯人とされる。
この本では彼に無罪判決が出て涙にくれるところで終わるのだけれど、
その後が気になり調べてみたところ、検察が控訴し東京高裁では無期懲役
判決が下り現在再審請求中との事。
請求から3年経った今も審理は再開されておらず、現在日本国民救援会が
支援中だ。

裁判中裁判官が居眠りを繰り返していたり、児童買春で有罪になり罷免
された裁判官もいたりと、そういう奴らが人一人の一生を左右する権利を
持っているという事がとても怖い。
日本の裁判制度そのものにも疑問を強く感じる事件だ。
ゴビンダさんが無実ならば、本当の犯人はさぞほくそ笑んでいる事だろう。
「それでもボクはやってない」じゃないけれど、正義なんてどこにもない
のか・・・。

渡辺さんの遺体は死後11日経ってから発見されたとの事で、亡くなったのは
3月8日の未明とされている。
奇しくも命日近い時期にこの本を手に取り改めて事件に対して思いを寄せた
事に、何となく彼女に呼ばれたような感を覚える。
意味のない思い込みだとわかっていても。

彼女をあんなにも駆り立てていたのは一体何だったのか。
懲罰的超自我なんて難しい事は自分にはよくわからない。ただ彼女の叫びの
ようなものはすごく身近に感じる。
自分を極限まで追い込む事でしか生きる事が出来なかった彼女は、それでも
断じてあのようにして命を奪われる理由はないが、あのままの生活を続けて
いたなら何れ別の形で破綻していたようにも思う。
彼女を包んでいたのは絶望と破滅でしか無かったのか。
深い、どこまでも深い・・・・。

渡辺さんの冥福を心から祈ります。



うわぁ~ん

2008-03-09 | 戯言あれこれ
中山可穂さんのサイン会が有楽町の三省堂であったの知らなかった!!
ケッヘルの時に行き損ねて次こそは・・と思ってたのに。
やっぱmixiやってる方がこういう情報は得やすいなぁ。
作家さんのサイン会ってまだ行った事がないけれど、中山さんはぜひ
行って見たいと思う方の一人だ。
次の作品の時もやってくれるだろうか。
あぁ、後悔の嵐。。。。