中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

苟日新、日日新、又日新 (新たな探究を志したなら、日々新たな探究を続けよ)

2009年06月14日 | 中国語成語
昨年5月に、中国の胡錦涛国家主席が来日された際、早稲田大学で講演をされた。
その時の講演内容から、取り上げます。

苟日新、日日新、又日新
Gou3ri4xin1, ri4ri4xin1, you4ri4xin1

(訳)新たな探究を志したなら、日々絶えず新しいことを追及し続けなければ
ならない

《礼記大学》

湯之,《盤銘》曰苟日新,日日新,又日新。《康》曰:作新民。《詩》曰:旧邦,其命新。是故君子無所不用其極。

:殷朝初代国王の成湯

盤銘:青銅器の上に刻んだ箴言(しんげん)。ここでの器は成湯の入浴(行水)用のたらい。

:もしも

新:体の垢を拭い去り、体をきれいにすること。翻って、古い体質を捨て、新しく生まれ変わること

作新民:古い体質を捨て、新しく生まれ変わるよう、促す

詩:詩経 大雅 文王

周:周朝

旧邦:旧国

其命禀受天命 天命を受け継ぐ

是故:それゆえ

(訳)

殷の湯王が入浴用のたらいの上に刻ませた箴言に言うには:もし今日垢をぬぐって新たに生まれ変わったなら、以後も毎日、それを続けなければならない。周の成王の《》に言うには:古い体質を捨て、新しく生まれ変わるよう、促さねばならない。《詩経》に言うには:周はふるい国だが、新たな天命を受け継いでいる。それゆえ、徳の備わった君主は完善を求め続けなければならない

 

これは、胡錦涛国家主席の母校、精華大学の校訓、「人文日新」の
もとになったことばです。

このあとに出てくることば、

天行健,君子以自強不息

については、次回、説明いたします。

 


炒(魚尤)you2魚 (会社をくびになる)

2009年06月13日 | 中国語成語
 
Chao3you2yu2
(訳)会社をくびになる

以前、香港に住んでいた時、広東語のテキストでこのことばをみて、どうしてこれが会社をくびになるという意味なのか、よくわからず、印象に残った。これについては、次のように説明されている。

かつて、香港や広東省に出稼ぎに来た内地の人々は、雇い主から寮と食事の提供を受けた。彼ら、故郷を離れた出稼ぎ者は、風呂敷包みひとつ、多くともこれに綿の掛け布団か、竹を編んだ敷物を持ちやってきた。当時の店舗の建物は前の方が店で奥に店主や番頭も住む部屋や建物があった。 当時は雇われ人は、何か失敗をしてひとたび店主からクビを言い渡されると、雇われ人はすぐに荷物をまとめ、持ってきた布団を丸めて(巻舗蓋juan3pu1gai4)、店を去らねばならなかった。

広東料理にイカの炒め物、魷魚 という料理がある。イカは骨やワタを抜き、皮を剥いたものを開いて、平らにしたものを炒めると、生の状態では平らであったものが、熱が加わるとだんだん円筒状に丸まってくる。形が、この丸めた布団に似ていることから、魷魚を会社をクビになる意味に使われるようになった。

今でも、広東省では、工場のワーカーは中国内陸部からの出稼ぎ労働者が多く、そのため工場の敷地内に寮があり、ワーカーは、採用されると、大きなリュックや包みと、この丸く縛った布団を持ってやってくるのが見受けられる。

現在では、北京や上海でも、この「魷魚」ということばが、会社をクビになる、という意味で普通に使われるようになった<o:p></o:p>


吃一塹 長一智 (一度しくじったら、それだけ賢くなる)

2009年06月10日 | 中国語成語
 
Chi1yi1qian4 zhang3yi1zhi4

<意味> 一度しくじったら、それだけ賢くなる    
(失敗は成功の母)

:堀、溝の意味から転じ、困難、挫折の意味。

<出典>明・王陽明《与薛尚謙書》 薛尚謙に与うる書

一蹶者一智,今日之失,未必不后日之得
Jing1yi1jue2zhe3zhang3yi1zhi4, jin1ri4zhi1shi1, wei4bi4bu4wei2hou4ri4zhi1de2

挫折を経た者はより賢くなる。今日の失敗は、後日の得とならないとも限らない

<類義語> 失敗乃成功之母
shi1bai4nai3cheng2gong1zhi1mu3
失敗は成功の母

上当学乖
shang4dang4xue2guai1    

一度だまされると、賢くなる

<反義語>重蹈覆轍
chong2dao3fu4zhe2

同じ轍(てつ)を踏む

2009年1月29日、世界経済フォーラム(ダボス会議)での温家宝総理の講演
で、下記のように使われています。少し、引用します。

我們正在経歴的這場国際金融危机,使世界経済陥入上世紀大蕭条以来最困難的境地。

(訳)私たちが今経験している国際金融危機は、世界経済を前世紀の世界大恐慌以来の困難な状況に陥れた。 

這場危机的原因是多方面的。主要是:有関経済体宏観経済政策不当、長期低儲蓄高消費的発展模式難以為継;金融机構方面追逐利潤而過度拡張;金融及評級机構缺乏自律,導致風険信息和資産定価失真;金融監管能力与金融創新不匹配,金融衍生品風険不断積聚和拡散。

(訳)今回の危機の原因は多くの面から起こった。その主なものは;経済体のマクロ経済政策が正しくなく、長期の低貯蓄、高消費の成長モデルが継続できなくなった。金融機関が利潤を追求するあまり過度の拡張に走った。金融及び格付け機関の自律が欠乏し、リスク情報と資産価値のゆがみを招いた。金融の管理監督と金融の新機軸の創造がマッチングせず、金融派生商品のリスクが絶えず積み重なり、拡散した。 

“喫一塹,長一智”。我們必須従中認真吸取教訓,正確処理儲蓄与消費的関係,金融創新与金融監管的関係,虚擬経済与実体経済的関係,従根本上找到化解危机之策。

(訳)「一度失敗すれば、それだけ賢くなる。」我々はこの中から真剣に教訓を汲み取り、貯蓄と消費の関係、金融の新機軸の創造と金融の管理監督と関係、虚構経済と実態経済の関係を正確に処理し、根本から危機を解決できる対策を探し出さねばならない。

ちなみに、温家宝首相のスピーチは、今から思うと、その後の矢継ぎ早の内需拡大政策で、中国経済の喚起をするに先立っての、国際社会への公約発表のような色彩が感じられます。当時、これを読んだ時、非常に自信にあふれた、力強いスピーチだと感じました。


有志者事竟成 (強い意志で物事を行えば必ず成功する)

2009年06月09日 | 中国語成語

有志者事竟成
You3zhi4zhe3shi4jing4cheng2

強い意思を持って物事を行えば、必ず成功する、という格言で、たいへんよいことば。座右の銘にしている人も多いのでは。

出典は、後漢書の耿弇geng3yan3伝。

後の後漢の光武帝、劉秀が山東の青州十二郡を攻略するため、耿弇を派遣した。青州十二郡を支配する張歩は、耿弇が攻めてくると聞くと、歴下、祝阿、臨淄を拠点に、守りを固めた。耿弇は先ず祝阿を攻め落とし、次いで歴下、臨淄を攻め落とした。張歩はそこで自ら兵を率い、臨淄奪回に出、ここに臨淄城外で血みどろの決戦が巻き起こった。戦闘中、耿弇の足の太ももに矢が突き刺さったが、彼は刀で矢柄を断ち切り、傷を負ったまま戦いを続けた。劉秀は耿弇の苦戦を聞き、自ら兵を率い援軍に向かった。援軍の到着前、部将の陳俊は張歩の兵力が強大であるので、暫時休戦することを建議したが、耿弇は困難を他人に任せることを拒み、激烈な戦闘を経て、遂には張歩を打ち破った。数日後、劉秀が臨淄に到着し、軍隊を慰労した。彼は多くの部将の前で耿弇をほめたたえ、「かつて韓信は歴下を破り漢朝の基礎を作った。今将軍は祝阿を攻め、連戦連勝、このふたつの功はよく似ている。以前、おまえは張歩を平定したいと建議したが、当時はおまえが大風呂敷を広げていて、成功しないと思った。今、ようやくわかった。「有志者事竟成」と。

尚、このことばは、清朝、《聊斎志異》の作者の蒲松齢の故事があり、蒲松齢は科挙の試験に何度も失敗し、くすぶっている時、自分を鼓舞する対聯を作り、部屋に掲げた。

これを見ながら学問に励み、遂に志を遂げたわけですが、この対聯の内容については、またの機会に。