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同義語の選択(2)

2010年07月26日 | 中国語
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 中国語は、表意文字である漢字を使うことから、語句そのものにより意味、ニュアンスが込められる割合が大きい。そのため、多くの同義語が存在する。
 前回に続き、同義語の使い方の違いを意味、文法、修辞面から違いを分析し、同義語をどのように選択し、活用すればよいか、見ていきたい。
 テキストは、胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年である。

               二、同義語の分析の方法

  より多くの同義語を把握し、個人の語彙を豊かにするため、先ず、同義語の間の細かな違いを理解することにより、同義語をより積極的に活用することができる。一般的に、以下のいくつかの面から同義語を分析し、理解すべきである。

(一)ことばの意味の性質と範囲の上からの分析

1、感情的色彩の違い

 いくつかの同義語はその包含する基本的な意味は同じだが、その感情的色彩に違いがある。
 あることばは、話をする人のその事物に対する肯定、賞賛(“賛許”)の感情を表現し、ほめる意味合い(“褒義”)を含む。あることばは、話をする人の同一の事物に対する否定、非難(“貶斥”)の感情を表現し、けなす意味合い(“貶義”)を含む。あることばは、話をする人のその事物に対する褒貶を表現せず、一種の中性詞である。

  例えば、“頑強”、“堅定”、“頑固”、“固執”、“堅持”は同義語で、表現しているのは何れも「堅く守って変えない」(“堅持不変”)という概念であるが、“堅定”は“褒義”を含み、指しているのは正確な信念、或いは事業の正義を堅く守って変えない態度である。“頑固”と“固執”には“貶義”を含み、堅持しているのは不正確で間違ったものであることを表している。“頑強”と“堅持”は中性詞で、明確な感情の意味は無い。

  類似した例には:
    鼓動―煽動 果断―武断 保護―庇護
    成果―后果 含蓄―含混 依靠―依頼
    抵抗―抗拒 団結―勾結 技巧―伎倆

・勾結 gou1jie2 結託する。ぐるになる
・伎倆 ji4liang3 芸当。やりくち(悪いことに用いる)

 以上の対を成すことばには異なった感情の色彩がある。注意しないといけないのは、ここで挙げたのは比較的典型的なもので、実際は各組の中で、褒義詞であろうと貶義詞であろうと、一つに止まらず、一連の褒義詞、或いは貶義詞の中で、褒貶の程度に違いがある。同時に、各組の同義語が皆褒義、貶義、中性の三種あるのではなく、褒義詞と中性詞しかないものがある。例えば、“教誨”(jiao4hui4 教え諭す)と“教訓”。貶義詞と中性詞しかないものがある。例えば、“効尤”(xiao4you2 悪いと知りながらその真似をする)と“効法”。

 上記で言ったことばの意味の褒貶の他、同義語にはその他の感情的色彩の上での差異がある。人々の感情は多種多様であり、こういう差異には各種の異なった情況がある。例えば、“生日”と“誕辰”、“寿辰”;“客人”と“来賓”、“賓客”;“死”と“逝去”は一般的な感情的色彩と、厳粛で重々しい(“庄重”)色彩の違いがある。“人”と“家伙”;“漂亮”と“時髦”は一般的な感情的色彩と軽蔑的な色彩の違いがある。“肥”を人に用いると、諷刺、諧謔的意味となり、“胖”にはこのような意味は無い。

2、語意の軽重の違い

 いくつかの同義語の微細な差異は、語意の軽重の面を表現する。その表現する事物の概念は同じでも、そのある種の特徴や程度を表現する面で、軽重の差異がある。例えば、“損壊”、“毀壊”、“破壊”が表現するのは、同一の行為、動作であるが、“損壊”の語意はやや軽い。“毀壊”、“破壊”はやや重い。ある人が“損壊公物”(公の物を壊した)と言うのと、 “毀壊公物”、或いは “破壊公物”と言うのとでは、明らかに程度が異なる。

 類似した例には:
     優良―優異 掲發―掲穿 固執―頑固
     愛好―嗜好 鄙視―蔑視 請求―懇求

・優異 you1yi4 ずば抜けている。特に優れている
・掲發 jie1fa1 摘発する(人々が気付かなかった問題や悪事を表に出すこと)
・掲穿 jie1chuan1 あばく。暴露する(隠されていた悪を暴露すること)

3、範囲の大小の違い

 いくつかの同義語が指すものは同一の事物であるが、その中には指す範囲の大きいもの、小さいものの違いがある。例えば、“性質”と“品質”が代表するのは何れも“属性”の概念だが、“性質”が一切の事物の属性を指すことができるのに対し、“品質”は人の一種の精神修養上の特性のみを指し、範囲の大きさが異なる。

 類似した例は:
    事情―事件―事故  房屋―房子―屋子
    時期―期間―時間  災難―災荒
    戦争―戦役      局面―場面

・災荒 zai1huang1 災害と凶作。飢饉

4、具体と概括の違い

 いくつかの同義語は、同様の事物を指すが、あるものの指すのは具体的、個別的で、あるものは専ら概括的で、集団的なものである。例えば、“樹木”と“樹”が指すのは同一の種類のものだが、“樹木”が指すものは概括的で、一切の樹であり(例えば、“這地方樹木很多”)、“樹”が指すのはしばしば具体的で、個別的である(例えば“蘋果樹”、或いは“這棵樹”)。

 類似した例は:
     河流―河  書籍―書  花卉―花
     湖泊―湖  馬匹―馬  信件―信
     船只―船  紙張―紙  布匹―布

5、適応対象の違い

 いくつかの同義語は、代表する概念は同じだが、その適応する対象が、上、下、内、外などの違いがある。それらはしばしば話をする人がいる地位と関係する。例えば“愛護”と“愛載”は表す基本概念は同じだが、“愛載”は上に対してのみ適用され、“愛護”は下に対して適用される。“表達”と“伝達”は基本の意味は同じだが、“表達”はしばしば自分自身に適用され(例えば、“表達自己的思想感情”)、“伝達”は他人に対して適用される。

 類似の例:“改正”は消極的な事物に用いられ、“改進”はしばしば積極的な事物に用いられる。“保護”の対象は一般的なもので、“保衛”の対象は重大な事物である。“充足”は具体的な事物を説明するのに多用され、“充分”は比較的抽象的な事物の説明に多用されている。“熱誠”は人に対して多く用いられ、“熱心”は人に対して多く用いられるだけでなく、事柄に対しても用いられる。“侵蝕”は外から中に至る過程に多く用いられ、“腐蝕”は中から外に至る過程に多く用いられる。

(二)ことばの用法からの分析

1、ことばの配合関係の違い

 これらの同義語は、表す意味は同じであるが、具体的な運用の中で、いくつかのことばはしばしば固定したあることばとだけ組み合わされ、他のことばは常にまた別のことばと組み合わされ、混同する(“混淆”hun4xiao2)ことは許されない。例えば、“維持”と“保持”は基本的な意味は同じだが、“維持”は常に“生活”、“秩序”、“状況”、“状態”等のことばと組み合わされるが、“保持”は常に“清潔”、“衛生”、“健康”、“伝統”、“記録”、“光栄”等のことばと組み合わされる。

 その他の例は:
    ◆交換 ―― 意見、礼物
      交流 ―― 思想、経験
    ◆担任 ―― 工作、職務
      担負 ―― 責任、任務
    ◆侵占 ―― 土地、財産
      侵犯 ―― 主権、利益、領空
    ◆履行 ―― 条約、諾言、義務
      執行 ―― 命令、任務
    ◆改善 ―― 関係、生活
      改正 ―― 缺点、錯誤

 指摘しておかないといけないのは、これらの区別は絶対的なものではなく、事物の発展に伴い、元々はいっしょに組合せることができなかったことばが、組み合わされるようになる可能性がある、ということである。

2、詞性と句法の機能の違い

 ある同義語は、意味は同じだが、“詞性”(語の性質。品詞の分類の拠り所となる特徴)と“句法”(文の構造。構文)の機能に違いがある。例えば、“充分”と“充満”は、前者は形容詞、後者は動詞である。“剛毅”と“毅然”は、前者は形容詞、後者は、名詞。“勇敢”と“勇気”は、前者は形容詞、後者は名詞である。これらは“詞性”が異なる。あるものは、“詞性”は同じだが、“句法”の機能が一致しない。例えば、“艱苦”と“艱難”は何れも形容詞だが、前者は常に定語(限定語、連体修飾語)(例えば、“艱苦的生活”)になるのに対し、後者は常に述語(“謂語”)(例えば、“生活艱難”)になる。これらは、応用上も区別しなければならないものである。

(三)語体の風格の上からの識別

 異なる語体の風格を表現することも、同義語の機能の一つである。したがって、いくつかの同義語の間の細かな差異は、語体の風格の上から識別することができる。ある同義語はある種の語体の風格でのみ使われるが、またある同義語は別の語体の風格で使われ、それぞれ異なる。例えば、“夫人”、“妻子”、“老婆”という同義語の中で、“夫人”は比較的厳粛な、かしこまった場合に用いられ、“老婆”は比較的くだけた、日常のやりとりで用いられる。“妻子”は一般的な場合に用いられ、これらの語体の風格の色彩はそれぞれ異なる。

 現代漢語の語体の風格はたいへん多く、したがって同義語の語体の風格の上での区別も各種各様である。ここでは、よく見かけるいくつかの例を以下に説明する。

1.口語と書面語の違い

 いくつかのことばは多くは口語に用いられ、同時に通俗的な語体の色彩を帯びている。一方、いくつかのことばは書面語に用いられ、厳粛な重い風格や色彩を持つ。例えば:

    爸爸―父親
    媽媽―母親
    吓嗁xia4hu―恐吓kong3he4
    溜達―散歩
    剃頭―理髪
    怎麼―如何
    走―歩行
    信―函
    在―于

  もちろん、これらの境界は絶対的ではなく、口語の中でも書面語を用いることがあるが、いくつかの書面語は口語の中ではほとんど用いられない。

2.普通用語と特殊用語の違い

 いくつかのことばはしばしばある種の語体でのみ用いられ、別の語体の中では用いられない。ここにおいて、普通用語と特殊用語の区別が構成される。下記のことばは、普通用語と文藝作品で用いられる特殊用語の違いの例である。

     飛―飛翔
     走―行走
     心―心霊
     静―寂静
     光亮―晶瑩
     半夜―子夜
     寂寞―寂寥
     好―美好
     好意―美意

 公文書では、一般に普通用語と異なる特殊用語が用いられる。以下の例は、(普通用語)―(公文書で用いられる特殊用語)である。

     給―給予
     現在―茲
     辧法―措施
     安排―部署
     私下―擅自
     這―此

 その他では、“黎明”と“拂暁”、“爬行”と“匍匐”は、普通用語と軍事特殊用語の違いの例である。

 この他、語体の風格の特徴は、標準語(普通話)と方言のことば、専門用語と一般的なことばとの違いの上などで表現される。

 同義語の分析は、上に述べたことば自身の意味、用法、語体の風格の特徴から行う以外に、同義語と多義語、反意語との交叉関係にも注意し、それらとこれらのことばの関係から、その正確な意味を確定すべきである。

【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年