星空研究Memo

ここは某天文屋の外部記憶装置である。

RAW画像で差測光は可能か

2010-04-08 02:23:58 | デジカメ観測
久々にデジカメの話題で。
先日の広島の学会で青山学院大学の方々が
市販のデジタル一眼レフカメラとレンズを使い、素晴らしい光度曲線を出されていました。

さらに懇親会ではmeinekoさんから
デジカメデータはCCDデータと同じように差測光でもいけるのでは?!
という感じのお話を聞いたので
ちょっとRAW画像で色々試してみました。

試料:
2009年12月19日にアルゴルの極小を撮ったときのRAW画像
EOS kiss Digital N + EF 50mm F1.8
絞り2.8, ISO800, 露出10秒
ダーク減算、フラット補正無し


まず、IRISでRAW画像をRGBに分解してFITSで保存。
G画像をAIP4Win Ver.2で開く。


アルゴル付近にいる星を使ってプロファイルを見てみました。
追尾していないせいなのか?!なんだか変な形をしています。
しかしスカイは綺麗に揃っています。測光のエラーも0.01mag。


続いて、同じ画像の近くにいる星のプロファイル。
さっきより少し明るい星のためか、多少綺麗なプロファイルです。
測光のエラーは0.006mag。

では、AIPの差測光機能を用いて、上二つの星の差測光をしてみました↓


結果、V-Cは-0.77±0.01magとなりました。
この結果に比較星等級(VT)を足してみると、3.92magとなりました。
ちなみにVとして使った星のVTmagは3.90です。

エラーの範囲内では微妙に一致しませんでしたが
かなり良い結果ではないかと思われます。
他の星でも同じような差測光を行ったところ
ティコ星表のVTmagとほぼ一致する結果が得られています。

ちなみに画像にはα Perも写っており
画像内では一番明るく、比較星として利用できるだろうと考えましたが・・・


測光してみたところ、プロファイルが上図のようにフラットトップになっていました。
どうやら飽和しているっぽいです。
他にも画像内で2番目、3番目に明るい星を測光してみたら
同じようにフラットトップなプロファイルを示す星がありました。
とりあえず4000カウントを超えると危ない感じがします。
このように飽和してるっぽい星は勿論、比較星としては使えませんでした。


☆まとめ☆
・RAW画像は差測光で十分な結果が出せると考えられる。
・測光プロファイルから星のカウント値が飽和していないか確かめる。
・EOS kiss Digital NのRAW画像で、飽和値は4000カウントが目安か。

☆課題☆
・アルゴルで差測光してみて、前回の結果との比較。
・BやR画像ではどうなるか。


(追記)
キスデジNのRAW画像は12bitだそうだ。
とすれば階調は計算上4096となるため
飽和値が4000カウントくらいだというのが納得できる。