パラレルで作業中。
D論の予備審査委員会が 10/4 なので
それまでに履歴書やら業績リストやら D論 (仮) が要る。
2本目は予備審査までに投稿まで持っていきたいところ。
学会が終わったので少し作業ペースを上げられるようになった。
とりあえず今は食事時間、睡眠時間を削ってでも踏ん張る時。うおー。
大分より無事に帰宅。
さて、自分の発表について聞かれたことなど忘れないうちにメモ。
今回何をやったかというと、銀河系の新星を3次元で見て bulge, disk, halo に分類し
各空間で減光速度の度数分布がどのようになっているのかを見てみたいというのが目的。
サンプルは検出方法がデジタルデータ時代に移ったと思われる2000年~2011年の新星。
プラス、T Sco や RW UMi などを追加し、計60天体。
そのうち27天体は自分で t2, t3 を決め、そして星間吸収量と Mv (MMRDより) 推定して距離を見積もった。
で、結果としては bulge に slow が多いとか disk に fast が多いということを
統計的には示せなかった、という中途半端な内容。
質疑では複数の方から質問を頂いた。
講演終了後は気がついたら色々な方に囲まれててw
質問攻めに合いましたが、いつも以上に色々と意見が聞けて議論できたことは収穫。
で、問題としては懸念通りというかまず「距離」。
Mv を求めのに要となる MMRD はそこそこばらつきもある。
また既に論文で Mv や距離が報告されている新星もあるけれど、
使われる MMRD は リニアー フィットのやつを用いる人もいれば、
S字で制限をかけているやつを用いる人もいる。
あと星間吸収は自分で計算した分は極大の B-V と、 2等減光したところの B-V が平均的にある値になるという
経験則から推定した (van den Bergh & Younger 1987 のやつ)。
が、これもかなりばらつきがあるだろう。
# いつぞやの研究会で fast と slow では極大の色が異なるという話しも聞いたことがあるし。
# IAUC などを見ていると、たまに E(B-V) をスペクトルから推定している人もいるので、
# そういう情報があるときはそちらを採用。
MMRD で求める Mv と E(B-V) の二つのばらつき。
これだけでもうなんだか距離としては怪しさ満点になってしまう。
# 異なる推定方法が混在しているのも問題。
ちなみに della Valle らは nova shell で幾何学的に決めた新星のみをサンプルとして
nova populations を評価している (ただし面的に)。MMRD で求めたものは一切使わなかったというのは、
このあたりでツッコミが入りにくいのが利点だ (本人がレビューにそう書いている)。
それから、バルジの定義 (半径 3 kpc 、厚み 1 kpc はでかすぎると言われた)。
うーむ、銀河系の構造をもっとしっかり勉強せねば。
何か教科書を探そう。
あと、今のままでは新しさが無くて面白くないとまで言われてしまいました (+_+;
確かに、どれもこれも既存の観測的な経験則をベースにしていて不確定な要素が大きく
空間分布と nova populations の話しにまで一気に持っていけない状態。
新星の距離、特に色超過を決める何か新しい手法を独自に見つけないと、
銀河系新星の空間分布と種族は一向に前に進まないように思える。
また距離の問題がある程度解決したとしても「見落とし/爆発しても吸収で見えない」の件もるので...
そもそも観測から空間的に銀河系の nova populations を評価すること自体無謀なのだろうか... ?!
と、弱気にもなってしまうが、ここ数週間は D論本文を執筆したり
2本目 paper をボスと推敲したり、学会準備をしたりとバタバタしつつ大分まで長距離移動して
とりあえず疲れてチョー眠いので今夜はグッスリ寝ることにする!!
いま大分です。
明日、最終日 (21日) a講演で発表予定です。
今回は今までとちょっと違った発表内容なので
どういう質問がくるのかドキドキ・・・
自分で言うのもなんですが (おいっ!)、 色々と突っ込みどころがある気がする(ry
ちなみに今日は天文教育セッションを聞きに行ったのですが
冒頭二つの講演は飛翔系、AGN系でした。あれあれ?
なんでもお二人とも間違って申し込みをしてしまったのだとか。
そんなことが重なって起こるとは!!なんじゃそらー。
2000年以降、新星の検出はうなぎのぼり。
おおよそ10年ごとに年間発見数を見ると
2001~2010=7/yr
1991~2000=3/yr
1981~1990=2/yr
1971~1980=2/yr
という感じ。
検出器の発展により暗い新星や星間吸収の強い赤い新星が多く見つかっている。
さらに検出方法の効率化なども発見数増大に貢献しているであろう。
ところが銀河系の新星は数多くのものが見落とされていると言われていて、
Shafter (2002) や Darnley et al. (2006) は、本来 約 30/yr の新星が出現すると予測している。
また Darnley et al. は空間的な内わけも推定しており、 disk で 20/yr 、bulge で 14/yr と言っている。
この内わけは nova population と照らし合わせると受け入れられそうな推定値だ。
disk には速い新星 (重たいWDを持つもの) が多く、bulge には遅い新星 (軽い WD を持つもの) が多い。
また WD の重さは爆発に必要な物質の量に効いてくる。
質量降着率がどの新星もおおよそ同じとするなら
重たいWD を持つものほど爆発から次の爆発までの時間 (recurrence time) は短く、
軽いWDを持つものほど recurrence time は長くなる。
よって、disk に比べて bulge の出現数は小さくなるのかな?!という解釈を (自分の中で) している。
ところで最近 (ここ10年あまり) 発見される新星は、減光の速いものが増えたように見える。
これは何故だろうか?
主に観測的なバイアスに依存しているとすると、考えられる要因としては
(1) これまで速い新星が見逃されていた
(2) これまで星間吸収の強い領域 (銀河中心方向) の新星が見逃されていた
検出効率と検出器がここ10年あまりで大きく変化したことが効いているのは間違いないだろう。
ちなみに遅い新星の発見数があまり増加しないのは何故だろうか?
観測的なバイアスを先に考えてみると
(i) バルジに多いとすると星間吸収で非常に暗い
この点は、今後検出器の発展がある程度カヴァーしてくれるであろう。
が、そもそも遅い新星とはどういう性質なのかと考えると
(一) 遅い新星は絶対等級が速い新星に比べて1~2等暗い
(二) 爆発の頻度が低い
前者は検出器に関わる問題でもあるわけだが、後者は先に述べた本来の出現数の内わけからも在りうると思われる。
ここ10年あまりで新星の発見数は格段に増え、
星間吸収が強くバルジに位置すると思われる新星の発見も増えたと思われる。
# それでも予想される全体の約20パーセントほどしか年間に発見されていない状況ではあるが。
その甲斐あってか、ここ10年ぶんだけで新星の減光速度の度数分布を bulge と disk で見てみると
速い新星 (特に very fast) はdisk に圧倒的に多く、bulge にはほとんど無い。
試しに very fast nova が dsik nova である確率なんてものをベイズの定理を使いナンチャッテで求めると
0.7 とかになる。それに対して very fast nova が bulge nova である確率は 0.2 となる。
# あとはハローに居る very fast nova; KT Eri など
恐らく、disk nova は本来の分布の一部を切り出して全体を見る材料には少しずつ近づいている思われる。
が、bulge nova はそれに比べるとバイアスが強そうなので (遅い新星を評価する場合)、
結果から何かを予測することは何かしらのテクニックやらがいりそうだ。
生態学のデータ解析 - 統数研ベイズ講習 2010
http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~kubo/ce/IsmBayes2010.html
マルコフ連鎖モンテカルロ法の基礎と実践
http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~kubo/stat/2009/ism/skuboISM2010feb.pdf