毎年、7万人以上の多くの看護師が養成されるが、臨床では常に人手が足りない。
これの意味するところは、看護師資格とは
①養成校を守る②病院経営を守るため
の存在になってしまっている現実がある。
残念ながら現代医療は慈善事業ではありません。どれだけ目の前の患者様に尽くしたところで売り上げが上がらなければ、意味がない。
これからの医療機関、病院は厚労省から、さらなる経営の自立を迫られます。赤字なら潰れる、経営効率を最優先する時代が来ています。看護師でその意味や実情を知る人は少ないし、養成機関(大学、専門学校)でも古臭い看護理論や医学知識を学ぶという看護教育は変わらず、形だけの臨床実習も10年1日の教育しかされていません。
看護における経営感覚とは何か?物品の使用量を減らす、コピー用紙を再生紙に変えることではありません。本書を読み終われば、その方法に気付くかもしれない。
しかし、これは医療側にメリットがあるのみで決してwinwinの関係ではない。
ビジネスと割り切って行うべきなのである。
主観的に私が働いて感じたことや気付いたこと、同僚や同期から聞いたことを残し、同じように悩み苦しまねばならない人の一助になればと書き記しただけだということに過ぎません。
「俺、看護学校にいくわ」新卒で警察官4年目、26歳の私が、看護師をやっていた男性の親友にふと漏らした一言です。もちろん、友人は驚きながらも止めてくれました。
「女の世界だから止めておいたほうがいい」
「技術職だから、年齢がいってから入ってくると教えてもらえないよ」
そして、そもそもどうして看護師を希望したのかと私に問いました。
当時の私は一言、「警察官は自由がない。休日も呼び出されるし、代休もない。」
「公務員だから、一生組織に生活保障してもらえるのは経済的に楽だけど、代償として、思想信条や居住、休暇の自由が無く、もし結婚して子どもが産まれても、単身赴任させられて、大事な時期に一緒にいてあげられないかもしれない。何より、人生を人に決められたくない、自分を失いたくない」
と解答した10年以上前のやりとりを鮮明に記憶している。
親友はうなずきながらこう応えた。
「なるほど。確かに看護師は、職場外なら政治活動や宗教活動といった信念、思想の自由は認められているし、休暇は不規則な科が多いが呼び出されることはまずない。全国どこでも免許さえあれば、仕事はできる。お前の言うことはもっともかもな」
「ただ、警察官のような誰か強いリーダーシップを取ってくれる縦社会、男性社会がうらやましいけどね。女性社会は、本音と建前が激しいし、誰も責任とらない。完全横社会だから。」
上司が白といえば黒いものも白という社会と、全員が白黒はっきりつけず、それぞれ自己主張しっぱなしのばらばらの方向を見ながらの状態で仕事をする社会。
私はたった10年ほどで二つの社会を経験することができた。
そして、相反する二つを共存させることは企業、会社組織にとって永遠のテーマであるのだと体験を通して理解することができた。
とある名物社長の採用面接方法がとても興味深いため、ここで紹介したい。
普通、就職面接の場合、受験者は対象企業の理念や仕事内容、業績などを調べ、試験官から問われる質問に対し反論、解答ができるように準備をしていく。そして、その質問に対して、辻褄があい、納得できる解答ができた人間が採用となる。
これは一般的な企業面接である。
一方成長著しい飲食業界のとある企業の面接はというと、社長自ら集団面接に参加し、会社のプレゼンをする。そして、自分の起業した価値観を語り、使命、行動指針を語る。当然、企業としての負の部分も隠さず伝える。自分の企業が企業理念や使命を達成するために、顧客満足度を絶対とし、成果主義であったり、不規則勤務、業務的に残業月40時間は当り前などだ。会社としての目的達成するために、自己犠牲する部分はある、やる気の無い人間、価値観の違う人間では到底最後まで務まらない仕事、ブラックであるという部分も包み隠さず話す。「社員」と呼ばず「価値観共有できる仲間」という呼び方をする企業である。
最後に、「入社するかどうかは、締切日までに受験者が決めて欲しい」と就職の合否を受験者に委ねるのである。受験者全員が合格、入社を希望するかというとそうでもなく、本当に会社のトップと価値観を共有できる人材だけが残るのだという。
そのため、採用面接の門戸は常に開いており、やる気の有る人材が活躍する環境、他人の足を引っ張る余裕はなく、少人数でも業績のでる企業になるのである。
多くのサラリーマンやOLは、「生活していくために仕事をしている」のが本音であることを経営者は知っている。社員は会社に食わせてもらっている、いわば「定年後に年金暮らしをしてる老人」と同じ構造、「大して苦労もせず、年金に食わしてもらっている」のだと考えているのだ。
しかし、多くのサラリーマンは経営者が「人生において、自分の理念や価値観を貫き通し、達成することが最高の快感である。そのためにサボったり、楽をしたり休暇を取ったり、遊ぶことはしない、いかなるときもゴールを目指し、手段は選ばない」と考えているという事実を知らない。そう社長は何歳になっても「夢見る少年」であるということを。
サラリーマンから見れば、経営者は仕事、売り上げという悪魔に憑り依かれたキチガイである。
実際、経営者から見ると「社員」は、いつも週末の遊ぶ予定や仕事が終わって何処にのみに行こうかということばかり考えており、目を離せばすぐにサボる「なまけもの」としか見ていない。厳しくされれば、一時は反感するが抵抗は長続きせず、従順な飼い犬になっていく習性を知っている。厳しくすればするほど、進んで残業するようになり、休日出勤もするようになることも。社員は、基本的に指示されたことしかできない、創造性は欠如し、行動や思考に信念や一貫性がなく、誰かがその方向を強く示してやらないと身動きできない烏合の衆、迷える子羊の群れと見ている。
経営者が社員を騙すとき、「仕事はお金のためだけにするのではない、自己成長のためにもするのだ」と説明する企業がある。これは半分嘘で半分真実が含まれる。実際、社員が自己成長していけば、企業は損失をこうむることが多い。
成長とは何だろう?私の考える成長とは、「常に現状に疑問や不満を持ち、それを克服しようと自らの意思によって行動し、未来を変えていくことによって得られる価値観の積み重ね」である。 会社、上司によって設定された課題をクリアーしていくことで得られる実務能力は、あくまで会社の業績を上げるために培われた結果の能力向上なだけであり、その行動の動機に「内在する自発性」が伴わないため「成長」とはいえない。処理能力があがっただけ、例えるならば車で言えば最高速度があがっただけの状態である。
成長とは車で例えるならば、ガソリンだけでなく水で走れるようになるような、新たな価値観の提供、創造であり、「早く走ることしか考えられない価値観をひっくり返す」こととではないだろうか。
目標設定、課題設定を会社や上司に「させられている」段階で、成長はできない。
これは、学校のテストで良い点数をとることが、最高の評価だと勘違いして、他人(学校)が設定した課題をクリアするために努力している学生と同じである。彼らは学校のお勉強を通して成長などしていない。機械的に記憶力が増えているだけで、人間にしか備わっていないアルゴリズムや経験知は変わっていないことに気付かない。
先ほど、社員に成長されると企業は損失をこうむると述べた。その理由は単刀直入に「社員が成長すれば会社を辞めて独立してしまう」から他ないからである。独立を阻止しなければ、有能な人材は出て行ってしまう。そこで強い企業というのは、社員に対し、強い痛み(恐怖)と報酬を与え、「徹底した牙抜きと洗脳」することにより、強い番犬を飼いならし、収益を上げる組織を作り上げるのである。それが大企業の構造である。
企業理念と実際の行動がずれている会社など五万とある。
あなたが、これから目指す業界の基本理念をどれだけ知っているだろうか?OGOBを訪問したり、教員に聴く、企業展で説明を受ける、インターンシップに参加するだけで、末端の職員がその企業が掲げる価値観や行動指針を理解し意識して行動しているだろうか?きっと誰も本音は語ろうとしないだろう。
私はここで、医療業界、看護業界、病院、クリニックの目指す本当の姿とは、それらの価値観を形作る大元の、医療機器、大手ビッグファーマ(製薬会社)、健康保険システムについて忌憚なく書き記していきたい。
それは、一般的な価値観から大きくずれているかもしれない。この業界を実際に経験し調べた結果を私というフィルターを通して表現するからである。
この著書が、これから看護業界を目指す人へその一歩を踏み出す助けとなることを願ってやまない。
ブレインアップデート 田中信二先生
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