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保育業界の人材難:どの業界もトレーナー不足=間違った教育コストをかけている)いじめ、女性不信、時給1200円…知られざる「男性保育士」の苦悩 なぜ次々と「非正規」に転じるのか?

2018年05月05日 | マネジメント全般

今回の記事は「マネジメント」についてです。

社員、職員の離職の理由については諸説紛々としていますが、その多くは、

十分な教育を受けられないまま、現場を任せられ、誰頼ることもなく、問題がおきれば責任をとらされる

「現場放置主義」

ではないでしょうか?

特に離職率の高い職種は、専属のトレーナーがいない状況が多く

先輩社員について回る方式であるため

肝心の先輩社員の教育するスキル、人間性が低いと

トレーニー(TRを受ける人)

は問題を抱え込み、相談できず、思い悩みいつしか気力が消えうせてしまい、

「やっと一人前になったかな?という2年目以降」に辞めてしまいます。

何故、トレーナーが専属で必要かというと、「単に業務、ルーチンを教えるだけではいけない」

からで、「考え方、その作業、ルーチンの根拠、全体の仕組みの教育」をしないと

「できるの状態」

まで行かないからです。

多くの業界が、「わかるの状態」を「できるの状態」だと勘違いして、独り立ちさせ

「あとは実践のみ、みな先輩も実践で最後は実力をつけてきた」

といってしまう指導者が多い。

しかし、実践で問題があれば、責任は当事者がとります。

これでは「包括委任」以外何者でもない。

しかも問題があって、報告すると

「何故、その問題が発生する前に、私に報告相談しなかったのか?

勝手に判断してやってしまったのか?」

と現場を責めます。

本来、上司がマメに部下に報告を求める仕組みを作り、部下が些細なことでも報告できるように関係を気付いておくことがマネジメントでは大切なのですが、上司のマネジメント力が低いと

「報告してこない部下が悪い」

と切り捨ててしまい、部下が成長しないまでか、孤独感、自責感で退職してしまい、人材と教育コストを無駄にしたという結果を招くことになります。


間違った聞き取り、ミーティングの例を挙げます。

「何か問題あるか?」「何でもいいから困ったことないか?」

と部下に質問しても

「現状で、何が問題なのか?何が困ったことなのか?解りません」

というのが答えでしょう。

例えば、報告書の記載の方法も、先輩Aさんと先輩Bさんとでは書き方が違う。

どちらが正しいのか?ということなどから始まり、些細なことが蓄積していきます。

正しい、聞き取り、ミーティングの方法について紹介します。

(聞き取り準備)

上司、トレーナーは、本人からではなく、周りで働くほかのスタッフから

トレーニーの出来栄え、仕事ぶりを言ってもらい、「トレーニーができていない問題、やトレーニーへのクレーム」として捉えず、トレーナー自身の教育力の問題、伝え方が悪くできていなかった、結果として、チームに迷惑をかけていたと反省し、改善する方法をまとめます。

(実際の聞き取り、フィードバック)

「トレーニーができている」と思っているところと、現場では合格点に至っていない乖離を説明、

その乖離をどう埋めていくか、教育と訓練計画を立てていく

問題点を全部解決するのでなく、優先順位を立て、上位3つから解決していくこと

上記のプロセスを踏むことがトレーナーとしての最低条件です。

 

「仕事の片手間で教育する」「やりながら教える」では、不完全ですし、個人差、個人の能力差、資質に依存してしまいますから、良い人材が来ない限り、現場は潤滑に業務が回らなくなるのです。

そうではなく、良い人材も普通の人材も「同じ結果、同じ出来栄え、同じサービスレベルができる」まで仕上げることが

「教育と訓練」つまりトレーナーの仕事なのです。

つまり単に、「先輩について回るだけ」では、残念ながら、その先輩の教育できるレベルによって、新人の出来栄えが変わってきてしまいます。

ましてや、トレーナーが「好き嫌い」で仕事をしたり、「感情的な気質」だと、新人は振り回されて、いやになって辞めてしまいます。

ですから、人材難の時代とは、結局は「教育者=トレーナー不足」といっても過言ではありません。

これが、「教育コスト」の実態なのです。

トレーナーを教育、育成することが「教育コスト」をかけることなのです。

 

今回は、「教育コスト」をかけられていない業界をピックアップした記事を掲載します。

・・・・・・・・(いじめ、女性不信、時給1200円…知られざる「男性保育士」の苦悩 なぜ次々と「非正規」に転じるのか?2018年5月5日 11時0分 現代ビジネス)

 

近年、保育園や保育士に関するニュースが騒がしい。最近では女性保育士の「妊娠順番ルール」が衝撃をもって受けとめられた。今回は『ルポ 保育格差』著者のジャーナリスト・小林美希氏が、知られざる「男性保育士」の問題に迫る。

ある男性保育士は「心が折れた」
都内の認可保育所で働く木村俊宏さん(仮名、20代後半)は、「あまりのプレッシャーの大きさに、正職員はムリだと思った」と、今は派遣保育士として働いている。

中学生の頃から保育士に憧れ、男性も増えてきたことで保育の道に進もうと踏み切った。新卒採用された保育所では1年目に2歳児クラスに配置され担任を任された。

夢が実現して充実した保育士生活を送るはずだったが、まず、書類業務がネックとなった。

日々、連絡帳の記入や日誌作りに加え、月案、週案、日案といって、月齢や年齢に応じた成長を促すためどのような保育を行うか狙いや計画を立てる書類業務もある。

他にも「児童票」という子どもの成長と保育の課程を年に何度か記していく書類の作成もある。

園児が怪我をすればインシデントレポート。保育士が書かなければならない書類は山のようにある。

しかし、木村さんの職場では、ひとつひとつ教えてもらえるわけではなく、見よう見まねでパソコンに向かうしかなかった。なんとか書いたものはあっさりとダメ出しされる。

そのうち、書類作成を意識しすぎて保育中にも気が気でなくなり、1年目の木村さんにとっては大きなプレッシャーとなった。

保育についても先輩保育士は仕事を教えてくれない。新卒で右も左も分からないにもかかわらず、先輩が思うように木村さんが動けないと、「ちがう!」「まだやってないの!」と、ヒステリックに怒るばかり。

「いったいどうすればいいのか」と右往左往する辛い毎日を送った。園児を連れて公園にお散歩に出る時、子どもがお漏らしをしたりした時のための着替えや、ケガをした時のための救急セットの入ったリュックを持つのは“下っ端”の役割。

それに気づかずにいると「あんた、なにしてんのよ」と舌打ちされる。先輩の金切り声を聞く度に、「ポキッ、ポキッと音を立てるように心が折れていった」。

そうした、いじめのような状態が続くと精神的にギリギリとなり、心療内科にかかるまで追い込まれた。医師からは休職を勧められた。

勤め先の保育所には男性の保育士は木村さんのほか一人しかいない。職場はキツイ性格の女性の保育士ばかりで、「結婚願望がなくなった」と思うほどの女性不信に陥った。

保育士不足がもたらした現実
筆者の知る限り、10数年ほど前までは「保育士は0歳児から5歳児まで全ての年齢の保育を経験して一人前」と言われていた。そして、新卒1年目はベテランや中堅の保育士と組んで経験を積みながら担任を任されていたはず。

しかし、待機児童解消のため急ピッチで保育所が作られると保育士不足に拍車がかかり、そうは言ってはいられない。

ここ数年で、経験2~3年目でもクラスリーダーになり、20代のうちに主任や副主任になるケースは珍しくなくなった。保育所によっては、非正規でも担任をもつケースもある。

正職員でいる以上、担任になることからは、ほぼ、逃れられない。

木村さんは「自分にとって保育士は天職。他の職業なんて考えられない」と思いながらも、退職を決意。他の保育所で心機一転、リハビリを兼ねて非正規で働くことに決めた。

何か所かの保育所を経て、今は、派遣保育士として大手が運営する認可保育所で勤務している。職場は男性保育士が半数近くを占め、働きやすさを感じている。

時給1200円で1年契約。月収は10数万円だ。

 

前に働いていた保育所では、1年契約が満了する3週間ほど前に突然「今月末で終わりです。更新はありません」と契約が打ち切られたこともある。

それでも、木村さんは「いつ切られるかという心配があっても非正規でしか働けない。一人暮らしの身には厳しいが、正職員でも月収は19万円程度だった。好きな保育の仕事を完全に辞めるよりは、非正規で自分の心と体のバランスを見ながらでも働きたい」と話す。

非正規で働くケースが目立ってきている
全国福祉保育労働組合が行った認可保育所保育士の18年春闘に向けた「福祉職場で働くみんなの要求アンケート」では、仕事や職場で強いストレスを感じる原因について「責任や業務量の増加」(49.5%)に次いで、「職場の人間関係」(12.6%)が挙げられている。

また、東京都が2014年3月に発表した「東京都保育士実態調査報告書」でも、退職理由のうち「職場の人間関係」が20.6%を占め、3位になっている(複数回答)。

行政機関の労働相談員も「保育士からの相談には、職場で無視される、電話がかかっても内線を回してもらえないといった内容が多い」と話す。

総合サポートユニオンに寄せられた相談のなかで多いのは「労働基準法違反」(72.2%)で、内訳は「賃金未払い」「休憩が取れない」「有給休暇が取れない」だった。

次いで多いのが「パワーハラスメント・いじめ」(32.8%)となる(複数回答、2017年11月末現在)。

人手不足の状態では、気持ちに余裕もなくなりギスギスしがち。保育所は閉鎖的になりやすく、よけいにパワハラやいじめも起こりやすくなる。

 

同ユニオンの相談員である池田一慶さんは、「配置基準がギリギリだと過重労働となり研修や教育も受けられない問題がある。休憩時間も有給休暇も取れないなかで新人がつぶされ、30代の中堅も無理をしてバーンアウトして辞めていく。配置基準は保育士なら誰でもいいわけではなく、まだ何も知らない1年目を考慮してもいいのではないか」と憤る。

保育士として働くものの、パートや非常勤、派遣など非正規で就労するケースはもともと子育て中の女性に多い。第一線で担任をしながら朝晩、遅番、残業をこなしながら育児と両立できないからだ。

しかし、木村さんのように、いきなり現場に放り出されて新人のうちに精神的ダメージを受けて非正規で働くケースは、男女を問わずここのところ目立ってきている。

これまで男性保育士の最大の問題といえば、低賃金で結婚に躊躇してしまう、いざ結婚が決まると収入の多い異業種に転身する「男の寿退社」だった。昨年の内閣府「経営実態調査」でも、保育士の平均年収は315万円にとどまっている。

過去、筆者はそうした男性保育士ならではの問題も取りあげてきた。

ある20代の男性は、「恋人がいて結婚したいと思っても、手取りが20万円を切るため自信がない」と、結婚に踏み切れないでいた。また、別の30代の男性も「結婚が決まって、他の職業に転職活動をしている」と、保育士に見切りをつけようとしていた。

ところがいま、働き盛りの男性が、賃金を主な理由ではなく、業務や責任の重さを理由に非正規に転じるというのは、新たな問題として注視しなければいけないのではないだろうか。

前述の木村さんは「保育という仕事が好きでやる気があっても、派遣や契約社員では評価されずにあっさりと切られてしまう。保育士不足が解消しないのは当然だ」という矛盾のなかでも保育士であろうと、もがいている。

・・・・・・・・・(転載ここまで)

ライザップのような企業は、お客様に対して、トレーニングをします。

体重、体型の変化=結果となるため、トレーナーは必死になります。

しかし、保育業界などは、トレーナーはトレーニーを「単なる後輩」ぐらいにしか思っていません。

つまり「意識の差」「考え方の差」が出てるのです。

新人を「単に厳しく叱りつける」ことで一人前になるでしょうか?

「甘やかせばいい」のでしょうか?

違います。

トレーナーがいなくても、一人前にやれるようにすることが大切なのです。

そのために必要なことは何でしょうか?

それは

①「マニュアルの遵守」

②「考え方を教える」

の2点しかありません。

①はできます。しかし②「考え方を教える」が難しい。

それは、教える側自身、「考え方」がわかっていない可能性があるからです。

「業務ができるだけ、ルーチンができるだけ」では教育できません。

「なぜ?」という根拠、「その考え方」まで徹底的に教えることができなければ

「わかる状態」までは育成できても、「できる状態」までには至らないからです。

「できる状態」のスタッフを育成することが人材難を救う鍵となるのではないでしょうか?

教育コストの見直しとはここから開始するべきだと思います。

 

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