遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

10倍長生き

2008-01-21 21:18:50 | BIONEWS
酵母菌の寿命が10倍に:人間に応用できる部分とできない部分(WIRED VISION) - goo ニュース

南カリフォルニア大のグループが酵母の寿命を10倍にすることに成功した。どうやるかってーと・・・RAS2SCH9という遺伝子を破壊してカロリーコントロール下において培養するらしい。どちらの遺伝子も細胞の栄養条件に関して信号を伝達する遺伝子で、ヒトでは癌遺伝子として知られている。細胞が飢餓状態にあるかどうか判断して増殖するか否かを決定するのだ。これらの遺伝子を潰しておけば細胞は飢餓状態なのかどうかわからん。そこで栄養を極度に制限した状況におくと大人しーく静かに長生きするわけですな。細胞にとってハッピーかどうかは知らんが・・・。(笑)
上で挙げた2つの遺伝子をマウスで潰すとろくに成長しないらしいから、そのまま哺乳動物細胞に適応するのはムリがあるが、細胞が基本的に長く生きるにはどのような条件が必要かを知るための大きな実験成果だと思う。個体を長生きさせられなくても、例えば移植に使う組織を長持ちさせる技術に発展させることができれば大きな貢献ではないだろうか。
カロリーコントロールで寿命が延びるのは昔からマウスの実験でも知られている。ただ、人為的に栄養を制限してやった実験だから我々の生活に活かせる情報かどうかは疑問。統計的にはちょっと小太りのほうが長生きだそうだし、ガリガリに痩せている人の方が癌リスクは高いとどっかで聞いたことがある。まあ、僕の場合は食事制限したほうがいい・・・だろうね・・・はい。


上の写真は、小松から羽田に飛ぶ途中で撮った写真・・・パラじゃないよ。Boeing 777だよー。
コメント
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