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痔と恋愛は似ている気がしてきた/頭の中の昏い唄

2021年03月08日 | もう一冊読んでみた
頭の中の昏い唄/生島治郎    2021.3.8    

頭の中の昏い唄』 を読みました。

生島治郎とは、また、懐かしい。
若いころ光文社の「カッパ・ノベルス」で、彼のハードボイルド作品を夢中で読みふけりました。 もの凄く面白かった。
今は、懐かしい思い出。

それが、なぜ、今..........

 講談社文庫版『あなたに悪夢を』(1982年2月15日)  解説 星新一

 この『あなたに悪夢を』は、昭和五十二年に桃源社より刊行された。雑誌で未読のものも多く、私はすっかり感心した。ある雑誌の読書メモのページで触れたこともある。
 その時、特に印象ぶかい作品として「頭の中の昏い唄」と「誰・・・・・・?」をとりあげた。いま読み返しても、やはりすごい。彼は存在の不確実さのようなものが好きらしく、現代人の不安もそこにあり、共鳴現象を起こさせるのだ。いわゆるおどろおどろしい怪談とは別種の、えたいのしれない恐怖感をもたらす。これこそ“奇妙な味”の短編なのだ。
 この名づけは江戸川乱歩さんだが、まさにぴったりの呼称である。


 編者解説  日下三蔵

 生島治郎にとっては、ハードボイルドか奇妙な味かというジャンルの区別はあまり意味がなく「面白い作品」であるかどうかこそが重要であったのだ、と思われる。とはいえ、各ジャンルのファンとしては、傾向別にまとまっていた方がありがたいし、作品集全体の統一感、完成度が格別なものになるのも事実だろう。
 その好例が「生島治郎恐怖小説集」と銘打って七四年八月に桃源社から刊行された作品集『あなたに悪夢を』である。『東京2065』所収の十四編に「香肉」「蜥蜴」「夜歩く者」「頭の中の昏い唄」「殺しあい」「誰・・・・・・?」の六編を加えて再編集したこの本は、日本人作家による異色短編集としては、ベスト級の一冊といっていい。本書の第一部には、この本を初刊本そのままの配列で収めた。
 また、本書の第二部には、『東京2065』の収録作品のうち、『あなたに悪夢を』に入らなかった六編すべてを収めた。つまり、この一冊で『あなたに悪夢を』と『東京2065』の収録作品は、すべて読むことが出来る訳だ。


 初刊本の帯のキャッチコピー

 目覚めた途端に消えてしまった悪夢を、なつかしいとは思いませんか? 平凡な生活の隙間に、ふっと忍びよる戦慄の幻想・・・・・・平和な風景の片隅に、ひっそりと蹲る恐怖の陰翳・・・・・・そんな悪夢の数々をあなたに・・・・・・

さあ、あなたも “奇妙な味” をお楽しみ下さい。

 「痔の痛みなんて、恋愛と同じさ」
 「恋愛は、当人にとっては、真剣な苦しみだが、他人の眼で見ると、常にいささかこっけいなものだよ。とにかく、他人にはわかってもらえない苦しみなんだ。この点でも、痔に似ているぜ。痔だって、当人にとっちゃ、真面目ななやみなんだが、他人にはどうも同情するより、こっけいな感じが先に来てしまう。恋愛も痔も、その苦しみが悲惨なのはこの点だよ。」
 「なるほどね」
 なんだか、妙な論理だという気もしないではなかったが、木島に自信たっぷりにそう言われると、いかにも痔と恋愛は似ている気がしてきた。



    『 頭の中の昏い唄/生島治郎/竹書房文庫 』


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