ゆめ未来     

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業火の市/ドン・ウィンズロウ

2024年09月16日 | もう一冊読んでみた
業火の市 240916

ドン・ウィンズロウのギャング・ノワール三部作
  『業火の市
  『陽炎の市
  『終の市

主人公ダニー・ライアンの一生を逆にたどるのも一興と思い第三部から読み始めました。
第3部を読み終えたので、第1部『業火の市』に戻り読みました。
ダニーが属するアイルランド系マフィアとイタリア系マフィアの抗争です。

 戦争のきっかけはひとりの女だ。
 海から上がってきた女を観ていたあの日のことを思い出す。
 彼女が問題を巻き起こすことが彼にはそのときなぜかわかった。


無責任極まりない女と、自分だけがかわいい馬鹿な男が招いた、血で血を洗うマフィアの武力抗争。
ダニー・ライアンは、だんだん深みにはまっていく。

 悪魔は天使のふりをしてやってくる。ダニーはその昔尼僧たちからそう教わった。
 最悪な行為が最良の目的のためにおこなわれる。最も憎むべき行為は最も愛する者のためにおこなわれる。
 取引きに応じるよう、ダニーはリアムに言う。


 戦争のきっかけはひとりの女だ。
 少なくともほとんどの人間はそう思っている。パムのせいだと。
 彼女が海からあがり、女神のような姿で砂浜に立ったあの日、ダニーもその場にいた。
 そのときにはまだ誰もこの氷の乙女のような白人の女が、ボーリー・モレッティの恋人だとは知らなかった。彼が彼女のことを本気で愛していたことも。
 もっとも、リアムーマーフィがそのことを知っていたとしても、気にもとめなかっただろうが。


 サルが知っていることはすべてマーヴィンも知っている。
 サルがマーヴィンを始末したがっているのと同じくらい、マーヴィンもサルのことを消したいと思っている。マーヴィン自身、自分の噂が耳にはいってきているからだ。
 ヤワになっちまっただの、梯子を昇りきって地べたでの生活のことはすっかり忘れやがっただの。
 市の評判というものは、どんな商品でも同じように新たな価値を定期的に生み出さないと、その勢いは失われてしまう。
 そのため、マーヴィンはあらゆる機会を使ってサルを挑発する。
 マーヴィンのマーヴィンたる所以を黒人仲間に思い出させるために。


  『 業火の市/ドン・ウィンズロウ/田口俊樹訳/ハーパーBOOKS 』
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