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保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

秘伝のタレと分厚い肉が自慢!嵯峨嵐山 「焼肉 李」さん。

2009-09-12 20:58:52 | シリーズ・京都を食う!
体力仕事である船頭のスタミナ源となる料理は‘焼肉’です。

家や屋外でする焼肉もいいですが、たまには贅沢にお店に行きたいもの。

そんな私のお気に入りの焼肉屋さんが嵯峨嵐山にある「焼肉 李」さんです。

焼肉屋さんらしくない?モダンな入口を入ると、年季の入った大きな鉄板があり
靴を脱いで上がる座敷はすべて掘りコタツ式で、昔の大家族のお茶の間を思い出さ
せる10名以上が座れるものから小グループ用のもの4つがあるアットホームな店内です。

李さんの他の店と違うこだわりは‘備長炭’の鉢を使用し肉を焼くということ!
炭火の遠赤外線効果によりじっくり柔らかく焼きあがるので、肉の旨みを逃がすことがなく、
炭火であぶられる先漬けのタレが香ばしく絡む肉質の味わいは絶品です。


そしてこの「先漬けのタレ」こそ李さんのこだわりなのです。
焼いたあとにタレにつけて食べる他の焼肉店と違い、先にタレを肉に漬け込み
そのまま、焼いていただきます。

このタレは朝鮮半島から日本へとやってきた李さんのお母様が作り出し、
食卓に出していた李さんの家庭の味だそうです。

醤油と味噌をベースに数品の原料を絶妙なバランスで配合し、
最後にすりおろしにんにくを加えた秘伝の「揉みタレ」とのこと。

肉は、李家に伝わるこの伝統の秘伝タレに一番あう厳選された上質の肉を使用されているとのこと。

カルビの中落ちや上タン、この分厚さをご覧下さい!
こんなぶっとい肉ですが、「誰もが食べられる焼肉店」をモットーに
リーズナブルな価格で提供してもらえるのは‘とても’ありがたいのです。

いつも常連のお客さんでいっぱいのお店なので、是非、予約をして訪れるのがいいでしょう。
アットホームな雰囲気にすぐに馴染むことができる、昔懐かしい焼肉屋さんです。

★焼肉 李 嵯峨本店
〒616-8367 京都市右京区嵯峨北堀町10
℡075-881-8530
営業時間:PM5:30~PM10:30
交通:京福電鉄嵐山本線鹿王院駅 徒歩5分
メニュー
上ロース1250円 上タン1050円 上カルビ950円 上カルビ中落ち900円
上ミノ900円 テッチャン680円 ユッケ800円 石焼ピビンパ800円

京都・北山に息子さん営業されている「焼肉 李 松ヶ崎店」もあります。

吉田山山頂 森の中の和みカフェ 茂庵。

2009-09-11 20:42:45 | シリーズ・京都を食う!
京都大学の隣、吉田山山頂に和みのカフェ・茂庵があります。

東山・銀閣寺側から吉田山へ向かうと、小さな山の入り口に「茂庵」の名札が
掛けてあります。

その入口から民家が並ぶ横をすり抜け、石階段の路地を登り、森の茂みが続く
山道を進むと、山頂に佇む二階建ての木造建築・茂庵が姿を現します。

大正時代の実業家・谷川茂次郎が茶の湯をたしなむ為に建てた茶荘だった茂庵は
「市中の山居」と呼ばれ「町中に居ながらして山中の風情を楽しむ・・・
日常の中に非日常の空間を取り込み、その空間と時間を楽しむ」
という茶の湯の言葉を庵であらわしたものです。

暖簾をくぐり、木の扉を開けると、靴の脱いで木の階段を上がり、二階のカフェ・スペースへ入室します。

二階フロアーすべてを利用したカフェスペースには、木組の窓側のカウンター席と
テーブル席が5セット、奥がキッチンになる一体型のフロアー。
店内の木組窓はすべて開かれ、秋を感じさせる涼やかな風がカフェを吹き抜けていく心地よさは、下界とは別世界の異空間にいる錯覚に陥りそうです。
カウンター越しの窓からは吉田山の木々が風に揺れ、その向こうに京都の街風景が広がる展望は圧巻です。
北山の左大文字山や舟形、愛宕山などの美しい京都の山並みを眺めながら、食事をする。
至福のひと時を感じます。

「ここからは4つの送り火が見えるのですよ」とマスター。
確かに東山の如意ヶ嶽の大文字が間近に見えます。あとひとつは嵯峨の鳥居形でしょうか?それとも妙法のどちらか?
尋ね損ねたのが少し心残りですが、店内の静寂が会話すらさえぎるのです。
声のトーンも少し下げ気味に、会話すらはばかれる静寂に包まれた店内・・・
この自然の中では会話はいらないのかもしれませんね。

メニューはコーヒーをはじめドリンク類も充実しており、ゆったりとした時間を楽しむことが出来ます。

食事類はランチと野菜やチキン、チーズを挟んだピタパンの2種類のみ。
ピタパンは4種類から2つを選び、野菜系のスープとピクルスのワンプレート式です。


おいしいコーヒーを飲みながら読書したい時、日常を忘れ、気分をニュートラルに戻したい時、是非、訪れてみたい、そんなカフェが茂庵なのです。


★市井の山居「茂庵」

〒606-8311 京都府京都市左京区吉田神楽岡町8 吉田山山頂
電話番号 075-761-2100
カフェ営業時間/11:30~18:00(17:00L.O)   ランチタイム/11:30~14:00
定休日/月曜日[祝日月曜営業、翌火曜休業]
コーヒー 530円 紅茶 580円 柚子ジュース 630円 オレンジジュース 630円
マンゴージュース 630円 りんごジュース 630円
グレープフルーツジュース 630円 柚子ソーダ 680円

ピタパンサンド スープ、豆のマリネ付     1260円
・かぼちゃとクリームチーズ
・チキンと桃のハニーマスタードソース
・トマト&モツァレラチーズ
・なすズッキーニ&ベーコン
 

保津川の急流を筏で流して・・・継承するものとは?

2009-09-10 22:37:36 | プロジェクト・保津川
昨日、保津川の急流を60年ぶりに筏が流れました。

1300年という長きに渡り続いている保津川水運の幕を開けた‘筏’。

丹波産の材木を京都に流し、その時々の都造営や民家建築に
大きな役割を果たしていたのが保津川の筏流しです。
60年前に姿を消して以来、歴史の中に埋もれていた保津川の筏を
よみがえらせ、その伝統技術と歴史の記憶を今に伝承する目的で
始まった「保津川筏復活プロジェクト」。

その歴史の封印が説かれたのは3年前、保津川の上流地域にあたる
京都府南丹市の日吉ダムで開催された川のイベントでのこと。
数少なくなった保津川の筏師の方から直接に指導を仰ぎ、
保津川伝統の筏組みの技法を教わることでその姿を現在に復元することができたのです。

そして去年、組んだ筏を保津川で実際に川に浮かべ、流れの緩やかな
保津川上流部で流すことに成功、筏復活プロジェクトは順調に
段階的進展を見せていました。

そして今年、保津峡の急流を流すことが計画されたのです。
「学ぶ」→「組む」→「浮かばせる」→「流す」ことに成功した
我々メンバーにとって、保津川渓谷の急流を流すということは、
この事業に避けては通れない「宿命」ともいえるでしょう。

「渓谷の急流を流さずして保津川の筏操船技術の継承はない!」

しかし、日々、同じ川で舟を流している船頭とはいえ、筏を流すことに関しては
初心者、いわばずぶの素人の集まりに過ぎません。

元筏師の方から、操船技術の聞き取りや指導は受けてきたものの、実際に急流を
流すとなると勝手も違い、そう簡単なことではないと思っていました。

「筏の結ぶ藤つるが切れたらどうなる?」(事実、去年は操船中に樫が切れた…)
「流れに負けて岩に乗り上げたら?」「波の衝撃で体が振り落とされたら?」
もちろん自分自身の身に降りかかる恐怖もありますが、それ以上に、何事かあれば、
家族や保津川遊船など、この試みに協力して下さった多くの方々にも
会わす顔がありません。

保津川の流れの速さや波の高さ、渦の強さなど‘川の怖さ’を知りすぎている
私にとって、最悪の事態を想像できないといえば嘘になります。
川の上での失敗は‘死’すら意味する。
だが反面「私たち船頭ほどこの川を知っている者はいない」
「私たちにできなければ、未来永劫、誰も流すことができない!」
という「自負」や「使命感」もある。
この思いと「筏流し」という「未知の経験への怖れ」とが心の中を
行ったり来たりと交差しながら、当日を迎えというのが正直な気持ちでした。

我々の手で組まれた6連の筏は、保津川と清滝川が合流する嵯峨水尾の「落合」
から出発、途中3ヶ所ある‘難所’と呼ばれる複雑な流れをする急流も
難なく流しきり、5キロ先の嵐山に無事到着することができました。

嵐山で我々の到着を待つ、大勢の人々が見えたとき、私の胸に
燃えるような感動と達成感が沸き起こってきました。

それと同時に川で生きた先人たちの人生を垣間見たと感じた瞬間でもありました。

保津川の筏師、それは我々船頭にとって1300年以前からこの保津川で生きた大先達です。
「天下の要害」ともいわれた急峻な保津川渓谷の急流を命がけで制覇した人たち
も、嵐山の渡月橋を見たとき、こんな気持ちを感じたのしょう?
その先輩たちが‘何を感じて’この川で生きてきたのか?
この数日間の思いが、そのことを垣間見せてくれました。
そして、この思いを知ることではじめて復活は成就するのだと
この時、気が付いたのです。

歴史をよみがえさせるとは‘形’を復元するだけではない。

先輩たちも‘家族への思いや川の恐怖との葛藤’と日々、
闘いながら、この保津川で生きたのだろう。

その意味でも歴史と伝統の継承とは「その時代に生きた人の‘思い’」
にまで心を馳せ体感することだ、と感じました。

この「筏復活事業」で本当に甦らせなければならないこと。
それは筏と舟、形は違っても「川で生きる者の‘誇り’」だったのではないだろうか?

今後、この事業がどういった形で継続されているかはともかくとして、
技術継承と同時に川で生きた人たちの‘思い’や‘誇り’をしっかりと
次の世代に継承していかなければらなりません。

それが、1300年という長い歴史を有する保津川で生きる‘バトンランナー’としての私達の使命だと感じるからです。

私は今、保津川の船頭になって‘幸せ’だと、心からそう思えるのです。

明日の「保津川筏流し」の木材を搬入。

2009-09-08 16:06:09 | プロジェクト・保津川
明日の「保津川筏復活プロジェクト2009」を前に今日、
筏に使用される材木の搬入を行いました。

直径15cmのヒノキ、その数75本。

朝8時にJR保津峡駅前に輸送車で運搬された材木を明日、約2キロ下流の
筏が組まれる「落合」まで軽トラと2トントラックでピストン輸送し、
川岸の高台部に下ろす作業です。

同プロジェクトのリーダー河原林プロ保津理事をはじめスタッフ4名で
作業にあたりました。

当初は軽トラ2台でピストン輸送する予定でしたが、材木が想像以上に
重量があった為、一台の軽トラには載るのは2本が限界。
急遽、2トントラックをチャーターし輸送する計画を変更しました。

搬入場所の道路幅が狭いため、当初は2トントラックでは通行の邪魔に
なると思われたことによる軽トラ輸送でしたが、2本づつでは埒があきません。

搬入時間を短縮する為、軽トラ輸送を止め2トン輸送にその分の
人員をまわし、一気に積み下ろしたのでした。

若いスタッフの力もあり、搬入は2時間程度で終了。


その後、搬入した材木がバラけないように、きれいに整理整頓までして
本日の作業は無事に終了したのです。

さあ、準備は整いました。明日の筏流しの本番を待つばかりです。

明日は天候も‘晴れ’!

きっと素晴らしい復活イベントになることだろと思います。


★「保津川筏復活プロジェクト2009」
日時:9月9日(水曜日) 14:00~16:00
場所:嵐山・渡月橋上流左岸
総合受付:嵐山河川敷特設会場

13:00~16:00
筏流しや舟運など保津川の水運や環境のパネル展示あり。

筏が嵐山に到着するのは15:00~16:00頃の予定。

小雨決行

櫻井よしこさんの「講演会」を聴講して・・・

2009-09-07 19:32:52 | 船頭の目・・・雑感・雑記
昨夜、京都ホテル・オークラでジャーナリスト櫻井よしこさんの
講演会「この国の行方~日本のあるべき姿~」が開催され
私はっちんも聴講して参りました。

柔和で上品な語り口ながら、日本が抱える問題の核心部を
冷静に鋭く突く評論と解説には定評のある桜井さん。
ジャーナリストとしての独自の行動力と豊富な情報網から分析される
一次情報による具体的な提言には説得力があり、日本言論人には珍しい、
国家戦略として正論を述べられる論客でもあります。

自身が設立された民間シンクタンク「国家基本問題研究所」活動は
全国に広がり、大勢の会員数を有するとともに、今や海外の国際関係研究機関や
メディアにもその提言が注目をあつめています。

昨夜の講演会では「オバマ政権のアジア政策」を軸に
日中関係の現状と今後の展開についてお話されました。

具体的な事例やデーターに基づき話される内容にはシークレット情報も多く
ここでは明らかにすることは出来ませんが、日本にとってはかなり厳しい
状況になってきていることは確かなようです。

オバマ米国大統領が公言されている様にこれからの世界、特にアジアは
「米国・中国」両国による分割統治で秩序づけられていく中、新たな
民主党政権はどのような舵とりを考えているのか?
注意深く見定めていかねばならいと強く感じじた次第です。

自由と民主主義の旗を掲げ、日本と同じ価値観にある欧米諸国が、
対極の価値観により国を統治している中国になびいていく様は
聴いていて残念であり悲しくなりました。
国民の生命財産を守り、意志を尊重しながら進める政治体制の国と
国民や少数民族を抑圧して、その犠牲の上に世界最大の軍事大国化
を進めていく政治体制の国では、ある国の政府高官が言う様に
「最終的には太刀打ちできない」のかも知れませんが、
「人類はそんな愚かではない、人間の尊厳は必ずそれを許さない」
という希望を信じて、これからも考察していかねばならいと感じます。

軍事力を背景にしない外交はありえない。
しかし、この軍事力はけして武器装備力だけではない。
国家を思う国民ひとりひとりの精神力こそ最大の防御だと信じます。

「魔法のレストラン」京懐石・門のお料理。

2009-09-06 23:50:41 | おいしいもの、面白いもの発見!
我が保津川遊船・第三支部の役員慰労会をもてなして下さった
「京懐石・門」さんの料理の一部を紹介します。

まず、上の写真は「湯葉の豆腐風にウニのせ」
湯葉で豆腐プリンのようにまろやかに調理。うにの朱色が見た目にも鮮やか。
口にひろがるクリーミーさは和食の域を越える美味しいさ。


「鱧の落とし」と「子持ち鮎の甘露煮」そして「松茸の天ぷら」の三種盛りは
京都の夏と秋を代表する食材のコラボレーション。
さくさくの天ぷらは特製の天つゆでいただきます。これがまた美味い!

「さわらのムニエル風、オレンジソース掛け」
さかな料理にオレンジソースとは!これが実に合うのです。
この発想が凄い!天才料理人・西田浩二さんの真骨頂を見ました!

そしてデザート。これがめっちゃめっちゃ美味かったです。
ネタは内緒にしておきますが、アイスクリーム入りでした。

これは懐石料理のほんの一部。
まだまだ、美味しい料理が出されましたが、一応これくらいの
紹介に止めさせていだきます。

美味しい料理は人の心を幸せな気持ちにさせてくれます。

これぞ「魔法のレストラン」なのですね。



京懐石・雅で第三支部・役員の「慰労会」を開催。

2009-09-05 21:08:59 | 船頭
私が所属する保津川遊船・第三支部では毎年、その年度内に支部を
取りまとめる役員による中間慰労会が毎年、行われております。

この慰労会は、年度内の折り返し時期(中間期)にあたる夏季に
行われいるもので、いわば役員達による「上半期のお疲れさん会」です。

会には支部の会計から「飲食経費」を頂き、半期の「労をねぎらう」という
ありがた~い催しなのです。

会の幹事は毎年、支部長が務め、料理から店の選定までを行い、
日取りのセッティングを行うのが慣わしです。

会には私はっちん支部長と、出船支配人・森川次男氏、作事協議員・前川康彦氏、
川作協議員・大森秀樹氏、支部会計主任・高木要介氏、支部会計・工藤誠氏の
21年度第三支部役員にあたる計六名が参加、お店は私支部長の権限で
「京懐石・雅」で開催することに決めました。

船頭にしては少しおしゃれな演出となりましたが、たまには上品に懐石料理もいいでしょう。

料理は店主の西田氏の計らいで鱧(はも)と松茸のコラボという
「夏と秋の味覚を楽しむ」コースをご用意頂き、見た目鮮やか、食して満足の
美味しさに、役員一同、舌鼓を打ちながら楽しい会話も弾みました。
一口食するごとに多忙を極めた夏の疲れが癒されていきます。

今年は梅雨期に再三、ゲリラ豪雨に見舞われ、舟を係留地から陸地に
避難させ、川の洪水状態を徹夜で見張るなどの出来事もあり、本当に
役員の方々には労をおかけすることが多かった半期でした。
話の中がその時の事に及ぶと、各自があの場面でのエピソードや
感じたことなどで盛り上がりました。
また、遊船の未来などについても熱く語られながら夜はふけていったのでした。

そして、あと半期、これからも役員一同協力して無事に任期を全うすることを
誓いながら楽しく美味しい会はお開きとなりました。

同会に参加して下さった役員の皆さん、お疲れさまでした。
そして雅の西田浩二さん、美味しいお料理をありがとうございました。
この場をお借りて支部長はっちん、厚く御礼申し上げる次第であります。

保津川筏の復活プロジェクトを前に船頭が作戦会議

2009-09-03 22:20:11 | プロジェクト・保津川
今月9日(水)に開催される「保津川筏復活プロジェクト2009」を
一週間後に控え、今日18時から保津川遊船企業組合事務所で実行部隊となる
船頭たちによる「筏作戦会議」が、NHK放送局立会いのもと行われました。

会議には、当日に参加する船頭11名が出席し、同プロジェクトリーダである
河原林洋氏から当日の行程計画や筏に乗り込むメンバーなど配置体制の説明
が行われた後、参加した船頭で「筏流しに関する操船技術」についての
話し合いが持たれました。

今年で3年目となる「筏復活プロジェクト」
今回は半世紀ぶりに保津峡の激流に繰り出し嵐山まで流してしまうという、
これまでにない本格的な筏流しを復活させるイベントのなることから、
筏の操船経験のない我々船頭にとっても技術的な事前勉強が必要となります。

毎日、舟を流している保津川とはいえ、筏と舟では操船技術や流すコース
等が異なることから、筏の流れる形状をしっかり踏まえたシュミレーション
を行わなくてはならないのです。

シュミレーションは机上に白紙を広げ、川の流形を書き込み、将棋の駒を筏の連
になぞらえ行われました。

これこそまさに船頭技術講習の真髄!!

私たちも新人の頃、夜、師匠の家に呼び出され、白紙に書かれた川の上に
茶碗やおちょこを岩に、箸立てを舟に見立てて舟の操船技術を学んだものです。

筏のシュミレーションでも同様の方法が取られたことに‘伝統’を感じました。

今回筏を流すコースは保津川下りの航路行程で残り「3分の1」に当たる
清滝川と保津川が合流する落合と呼ばれる場所から嵐山までの間。
比較的流れが穏やかな区間ではありますが、「猿とび」や「奥の段」
保津峡最後の急流「大瀬」などの難所があります。

その難所を「筏ならどのように流せばいいのか?」

参加した船頭みんな、保津川の流し方にはそれぞれ「一家言」持っている者ばかり
「こう流せばどうやろ?」
「いや、筏の場合は舟とは流れ方が違うので、上手くいかないのでは?」
など、喧々諤々の議論が展開されました。

とにかく、今の保津川船頭には初めての筏流しです。
事前に確かなシュミレーションは行われたというものの、やはり最後は
日頃、川を流している‘技術’と‘勘’が一番のたよりだと思います。

当日は私も筏に乗り込み嵐山を目指します。

約半世紀ぶりに嵐山に保津川の筏が姿を現す、歴史的なイベント。
祖父が筏士でもあった私達、一族にとっても感慨深いイベントでもあります。

自分を信じ、仲間を信じて、この歴史的なイベントを
無事に成功させたいと思う次第です。