保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

‘荒々しい自然’を体感。増水時の保津川下り。

2007-05-25 23:55:05 | 船頭
今日の保津川は、昨日までの夏日が嘘の様な
荒れ模様の天気で、朝から強い風を伴う
激しい雨が降りました。

川の水位も時間を追う毎に上昇し始め、今日は
かなり迫力のある荒々しい川下りとなりました。

対岸の河原では消防署の皆さんが、これらかの梅雨シーズンに
備え、災害防止訓練をされていました。
いよいよ、そんな季節が近づいてきたのですね。

保津川は昔から‘暴れ川’で知られ、流域周辺の地域に
過去幾つもの洪水被害をもたらした荒々しい川です。
昭和26年に起った大水害では犠牲者76名という過去最大の
被害が出るなど悲しい記憶が多く残る川でもあります。

最近では平成14年10月20日にやって来た
台風23号が最も記憶に新しいところです。
昼過ぎから降りだ出した激しい雨で河川は氾濫、
保津川下りの乗船場や事務所も水に浸かり、対岸に
係留していた船が流出しそうな緊急事態となり、私達船頭が
大袈裟ではなく‘命を賭けた’決死の船上げ作業を行ないました。

これから梅雨の季節ですが、今年は水害のない
平穏な梅雨になることを祈りたいです。

自然は豊かな恵みと素晴らしい景色で潤いと心を癒しなど多くの
恩恵与えてくれる半面、一度その牙を剥けば人間の都合など
構うことなく猛威を振るい人に容赦なく襲いかかります。

自然の恐ろしさを身をもって体験する事も、自然の中で
仕事をして生きる私達の宿命でもあると感じます。

明日はおそらく河川が増水していて、船が出航できたとしても
船を出せる最高の水量での運行となることでしょう。
そして自然本来の姿がいかに荒々しいものか、その一旦が少し
垣間見られ体験できる風景となっていると思われます。

美しいだけではない‘荒々しい自然’を体感しに
明日に保津川下りをするのもいいかもしれないですよ。



80cmという船下りができる最高の水量になっております。