百休庵便り

市井の民にて畏れ多くも百休と称せし者ここにありて稀に浮びくる些細浮薄なる思ひ浅学非才不届千万支離滅裂顧みず吐露するもの也

【おもしろやことしのはるも旅の空】【100q甚く感じ入り候記(14)】

2014-02-06 16:25:47 | 日記


 そぉ~っと 事も無げに表示された このエンディング画面、「こんなんあったん、芭蕉さんの句に…」と驚く一方、老生 これには やられました。これで決定的です。3月 高知県香美市香北町/『やなせたかし記念館』→龍馬脱藩の道途中の『土佐源氏ばなしの里』/檮原町→豊予海峡フェリー→鹿児島県/開聞岳に登り 特攻隊として出征された方々の英霊に奉謝→長崎県/波佐見焼→太宰府市/九州国立博物館→宗像市/宗像大社 巡りの旅に出ること。

味な終わり方をしてくれましたのは、H26.1/16 20時~放送の NHK【BS歴史館】『江戸のスーパー変革者(1) 「松尾芭蕉~17文字で日本を変えた男』。【渡辺真理】さんになってからの『BS歴史館』、今回も 良かった、いい番組となりました。出演者の方々が 生き活きされています。真理さんに、取って置きの話しを聞かせよう 我こそは と、目を輝かせておいでです。【小島慶子】さんだと こうはいきません。



編集も内容も、国際日本文化研究センター教授【笠松和比古】さん・俳人【長谷川櫂】さん・東大大学院教授【ロバート・キャンベル】さん等 ご出演の方々も、「ちょっと芭蕉さんのこと 持ち上げすぎじゃありませんか」との感もありましたが、俳句というものについて特段 勉強しているわけでない老生にとりましては、とても楽しく接することのできた たいへん有意義な 有難い 至福のひと時 でございました。

以下 特に印象深かった事柄につき 記します。
    ・芭蕉さんは 日本史における ダム である
    ・1000年 積み重ね 完成された 王朝文学/和歌の形式=王朝コード
    ・この決まりごとを打ち破った 変革者 である
    ・「古人の跡を求めず 古人の求めしところを求めよ」という概念で
    ・その1000年の文化を受け止め継承する世界を やさしい言葉の 17文字で著す
     世界を創出した 
    ・「いいおほせて何か有る」とのことで
    ・「や」「かな」といった「切れ字」など用い 大きな余白を作ることにより
    ・言わないでも大事なことの本質を伝えるという
    ・芸術的な奥深さのある文章世界を創出
    ・「古池やかわず飛び込む水のおと」と「古池にかわず飛び込む水のおと」の
     違いのように
    ・基本が平等なので俳句が庶民のものとなった
    ・日本人の識字率が大幅アップした
    ・以後の日本人の生き方を変えた

たしかに老生にしましても、美意識の根底に芭蕉さん的な観念あるを認識できるのでありまして、
          世阿弥 1363 - 1443
          一休  1394 - 1481
          利休  1522 - 1591
          西鶴  1642 - 1693
          芭蕉  1644 - 1694
          近松  1653 - 1725
          蕪村  1716 - 1783
          一茶  1763 - 1828
という各文人さんの ご存命年を鑑みますれば、芭蕉さんは たしかに日本文化のダムかなあ と思わざるを得ないのでありまして、さすれば私たちは、そのダムの放水口から吐き出された水を飲んでいるということとなるのでございますが、そこでです、日本人の意識の中に しっかと根をはっている芭蕉さんの世界を、下の【平凡社】さん発行【別冊 太陽 / 俳句】という本から、芭蕉さん直筆の 絵・書 の幾つかを並べてみることにより 確かめられないだろうかと、そして芭蕉さんの ヒトトナリも より解りはしないだろうかと、そんなふうに思い立ったのであります。

    
 ↑これだけ【許六】さん筆 芭蕉さんの旅立ち姿 
                  ↑ この表紙絵以下 ↓は 総て芭蕉さん筆

旅された当時の 五つの情景 ↓ いずれも これぞ日本という情緒たっぷりの絵かと










ここで ふと思い付いたことがあります。日本人がイメージする『日本の原風景』というもの その中には、芭蕉さんが大きく住んでおられるのではないかと、日本の情緒=芭蕉さんの情緒 とほど 言えるのではないか ということ。

                   「枯枝にからすのとまりたるや秋の暮」 ↓

     ↓ 「初雪や水仙の葉のたはむまで」

    「山吹や宇治の焙炉のにほふ時」 ↓
 
           「みちのへの木槿は馬にくはれけり」 ↑
    
↑ 左より「蓑虫の音を聞にこよ草の庵」
           「あかあかと日はつれなくも秋の風」
                   「葛のはのおもてみせけりけさのしも」
                            「ふる池や蛙飛込水のをと」       
    
↑ 左より 「さみたれをあつめてすゝしもかミ川」
         「雲の峯いくつ崩れて月の山」
               「かたられぬゆとのにぬらす袂かな」
                     「涼風やほの三か月の羽黒山」
                           「荒海や佐渡によこたふ天河」


芭蕉さんは 斯も、絵も字も とても味わい深く お上手であります。ところで 後世の人間が このように鑑賞できるのも、言わずもがな 書画を遺して下さっていてこそのもの。老生は思います。この 現代の俳人の先生方よ、文字のみ印刷された句集だけ残されるのではなく、是非とも 芭蕉さんみたく、当該俳句に纏わる 直筆の絵と書を残しておいて下さいませな、せめて代表的な数十句だけでも、と願わずにはおられないのであります。この老生とて【木っ端絵】と名付け、当ブログ上に何十枚と お披露目させていただいておりますぞな。ただ いずれも 初期のブログゆえ、写真の出来が かなり悪いにせよ~ 恥ずかしながらも・・・     

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