大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』 という小説に、ケツを引っぱたかれまして、3冊の近松門左衛門さん本に目を通しました。
.![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/4c/938cb927c843765fc2a841d945f52633.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/51/7a3263572de5c2420a1796510b1aaedb.jpg)
最初から
① 新潮古典文学アルバム 19『近松門左衛門』
② 吉川弘文館 人物叢書『 同 上 』
③ 理論社 NHKにんげん日本史『 同 上 』
この中でオイラが特に、折に触れ 眺めたいと思うだろう事柄を、記録しとこうと思います。
まずは、③から
.![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/a3/20a6630a99d8ada259fa0ff7dfd77037.jpg)
大阪歴史博物館さん所蔵 ↑ 円熟期の肖像 ↑ 鯖江市歴史資料館さんの銅像
本年12月、後期高齢者となるオイラの 最大の関心事と言えば、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/39/afb7e9dd8acdddd21399987995abb7d0.jpg)
↑ ①より 最晩年の肖像と 辞世の文
やはり 死を間近にした ココロのウチ でして、そこのところを Up し 表示いたします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/a6/5bf1d0d59ce200efe2fbf165d2c5485e.jpg)
代々 甲冑の家に生まれながら、武林を離れ、三槐九卿につかへ、咫尺し奉りて寸爵なく、市井に漂うて商買しらず、隠に似て隠にあらず、賢に似て賢ならず、ものしりに似て何もしらず、世のまがひもの、からの大和の教えある道々、妓能・雑芸・滑稽の類まで、しらぬこと無げに口にまかせ筆にはしらせ、一生を囀りちらし、今はの際にいふべくおもふべき真の一文字は、一字半言もなき倒惑、こゝろに心の恥をおほいて、七十(ななそじ)あまりの光陰、おもへばおぼつかなき我世経畢(わがよえおわんぬ)
もし辞世はと問人あらば
それぞ辞世去ほどに扨てもそのゝちに
残る桜が花しにほはゞ
享保九年中冬上旬
入寂名阿耨院穆矣日一具足(あのくいんぼくいにちいちぐそく)居士
不̪俟終焉期豫自記(しゅうえんのきをまたずかねてみずからしるす) 春秋七十二歳
のこれとはおもふもおろかうづみ火の
けぬまあだなるくち木がきして
=== ↑ は ② より === ↓ は ③ より ===
代々 甲冑を見につけるべき家に生まれながら武士を捨て、高貴な公家に仕えたが、公家としての位は、なにひとつない。町の人びとのなかにまじって暮らしてきたが、商売は知らない。世を捨てた隠者のようでもあるが、ほんとうの隠者ではない。物知りのようでもあるが、なにも知らない。自分はまったくのまがい物である。昔からつたわるものの道理から、芸能お笑いのたぐいにいたるまで、知らないことのないような顔をして、口から出るままに、また、筆が走るままに、、一生、鳥のようにさえずりちらしてきた。いよいよ最後のときを迎えるにあたって、これだけはつたえておかねばならないというような、だいじなことは、これっぽっちも思い浮かばす、とまどってる次第だ。じつにはずかしい七十年あまりの歳月。考えてみれば、あやふやな一生をここに終わる
もし「辞世はなにか」と聞く人があれば、
わたしの作品が辞世である。それがのちのちの世まで伝わっていくならば
残ってほしいなどと思うのもおろかしいことかもしれない
自分の作品は灰にうずもれた小さな火が消え残る間の一瞬のもの
はかないくち木の垣根のようなものだから
そして ② には、直木賞作品『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』 の主人公 近松半二さんの実父 穂積以貫さんのことについても、門左衛門さんの芸術観について論評した彼の著作『難波土産(なにわみやげ)』が、非常に優れた評論として、数ページにわたり紹介されています。
門左衛門さんが もしも この時代の方だとしますと、芸術文化の最高の栄誉を受けられてて当然、文化勲章も人間国宝も国民栄誉賞もすべて・・・否々、もっともっと大きな賞でなければ・・・” 日本文化歴代最高栄誉賞 "があるとすれば、妥当ではないかと思います。
最後に、主な作品が何歳のときに書かれたか、② の書籍から 転記しておきます。
51 『曽根崎心中』 59 『冥途の飛脚』 63 『国性爺合戦』 69 『女殺油地獄』
57 『五十年忌哥念仏』 63 『生玉心中』 68 『心中天網島』
とは 申し候ばえども この 詞章 、見ずば ココロが 納まりませぬ故 ・ ・ ・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/dc/2a08abb8fe3b05d444c8e66d87d63de3.jpg)
↑ 海竜社さん発行『文語名文百撰 日本語はこんなに美しい』より
↓ 文化出版局さん発行 水上勉さん著『いまもむかしも愛別ばなし』より
此の世のなごり、夜もなごり、 二つ連飛ぶ人魂を、
死に行く身をたとふれば、 よその上と思ふかや、
あだしが原の道の霜、 まさしう御身と我が魂よ、
一足づゝに消えて行く、 なんなう二人の魂とや、
夢の夢こそあはれなり、 はや我々は死したる身か、
あれ数ふれば暁の、 オヽ常ならば結びとめ、
七つの時が六つ鳴りて、 繋ぎとめんと歎かまし、
残る一つが今生の、 今は最後を急ぐ身の、
鐘のひゞきの聞きをさめ、 魂のありかを一つに住まん、
寂滅為楽とひゞくなり。 道を迷ふな違ふなと、
・ 抱寄せ肌を寄せ、
・ かっぱと伏して、
・ 泣きゐたる、
二人の心ぞふびんなる。
< P S > R2.11.24 記
大阪の文楽劇場での公演時 購入するつもりの『曽根崎心中 床本(ゆかほん)』でしたが、見通せる状況にあらず、送料込み 300円で購入した書籍です。メルカリネーム『ともちん』さんに 感謝です。
< 追 伸 > R4.4.12 記
2大 名場面の 齣(こま)切れ画像、どうぞ ご鑑賞下さい。
● 2013.6.30 NHK-E『古典芸能への招待 文楽「心中天網島」』より
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● 平成7年 NHK-E『曽根崎心中 天神森の段』(お初:吉田蓑助さん、徳兵衛:吉田玉男さん)
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2020.2.7 NHK-E『にっぽんの芸能「蔵出し!名舞台」』より
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オイラは『何必館 京都現代美術館』さんの 梶川芳友(かじかわよしとも)館長さんの 美的感覚・至高な佇まい 趣・ご思考・ご嗜好 に強く惹かれています。毎月 注目して読んでる 産経新聞さん連載『何必拾遺』、R2.7.8 『「Art」は「美」の「術」でいいのか』は、特にココロに残りましたので、レイアウトを変更し 掲示させていただきます。
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当稿 〆 は、埼玉県ふじみ野市 酒見真弓さんの『どっしりと』という 産経新聞『朝の詩』。
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こんな心境でありたいもの。めっちゃ好い詩。オイラ、たいへん気に入ってます。
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最初から
① 新潮古典文学アルバム 19『近松門左衛門』
② 吉川弘文館 人物叢書『 同 上 』
③ 理論社 NHKにんげん日本史『 同 上 』
この中でオイラが特に、折に触れ 眺めたいと思うだろう事柄を、記録しとこうと思います。
まずは、③から
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/99/6835fc227b23832e460487c854e6392a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/a3/20a6630a99d8ada259fa0ff7dfd77037.jpg)
大阪歴史博物館さん所蔵 ↑ 円熟期の肖像 ↑ 鯖江市歴史資料館さんの銅像
本年12月、後期高齢者となるオイラの 最大の関心事と言えば、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/39/afb7e9dd8acdddd21399987995abb7d0.jpg)
↑ ①より 最晩年の肖像と 辞世の文
やはり 死を間近にした ココロのウチ でして、そこのところを Up し 表示いたします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/a6/5bf1d0d59ce200efe2fbf165d2c5485e.jpg)
代々 甲冑の家に生まれながら、武林を離れ、三槐九卿につかへ、咫尺し奉りて寸爵なく、市井に漂うて商買しらず、隠に似て隠にあらず、賢に似て賢ならず、ものしりに似て何もしらず、世のまがひもの、からの大和の教えある道々、妓能・雑芸・滑稽の類まで、しらぬこと無げに口にまかせ筆にはしらせ、一生を囀りちらし、今はの際にいふべくおもふべき真の一文字は、一字半言もなき倒惑、こゝろに心の恥をおほいて、七十(ななそじ)あまりの光陰、おもへばおぼつかなき我世経畢(わがよえおわんぬ)
もし辞世はと問人あらば
それぞ辞世去ほどに扨てもそのゝちに
残る桜が花しにほはゞ
享保九年中冬上旬
入寂名阿耨院穆矣日一具足(あのくいんぼくいにちいちぐそく)居士
不̪俟終焉期豫自記(しゅうえんのきをまたずかねてみずからしるす) 春秋七十二歳
のこれとはおもふもおろかうづみ火の
けぬまあだなるくち木がきして
=== ↑ は ② より === ↓ は ③ より ===
代々 甲冑を見につけるべき家に生まれながら武士を捨て、高貴な公家に仕えたが、公家としての位は、なにひとつない。町の人びとのなかにまじって暮らしてきたが、商売は知らない。世を捨てた隠者のようでもあるが、ほんとうの隠者ではない。物知りのようでもあるが、なにも知らない。自分はまったくのまがい物である。昔からつたわるものの道理から、芸能お笑いのたぐいにいたるまで、知らないことのないような顔をして、口から出るままに、また、筆が走るままに、、一生、鳥のようにさえずりちらしてきた。いよいよ最後のときを迎えるにあたって、これだけはつたえておかねばならないというような、だいじなことは、これっぽっちも思い浮かばす、とまどってる次第だ。じつにはずかしい七十年あまりの歳月。考えてみれば、あやふやな一生をここに終わる
もし「辞世はなにか」と聞く人があれば、
わたしの作品が辞世である。それがのちのちの世まで伝わっていくならば
残ってほしいなどと思うのもおろかしいことかもしれない
自分の作品は灰にうずもれた小さな火が消え残る間の一瞬のもの
はかないくち木の垣根のようなものだから
そして ② には、直木賞作品『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』 の主人公 近松半二さんの実父 穂積以貫さんのことについても、門左衛門さんの芸術観について論評した彼の著作『難波土産(なにわみやげ)』が、非常に優れた評論として、数ページにわたり紹介されています。
門左衛門さんが もしも この時代の方だとしますと、芸術文化の最高の栄誉を受けられてて当然、文化勲章も人間国宝も国民栄誉賞もすべて・・・否々、もっともっと大きな賞でなければ・・・” 日本文化歴代最高栄誉賞 "があるとすれば、妥当ではないかと思います。
最後に、主な作品が何歳のときに書かれたか、② の書籍から 転記しておきます。
51 『曽根崎心中』 59 『冥途の飛脚』 63 『国性爺合戦』 69 『女殺油地獄』
57 『五十年忌哥念仏』 63 『生玉心中』 68 『心中天網島』
とは 申し候ばえども この 詞章 、見ずば ココロが 納まりませぬ故 ・ ・ ・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/dc/2a08abb8fe3b05d444c8e66d87d63de3.jpg)
↑ 海竜社さん発行『文語名文百撰 日本語はこんなに美しい』より
↓ 文化出版局さん発行 水上勉さん著『いまもむかしも愛別ばなし』より
此の世のなごり、夜もなごり、 二つ連飛ぶ人魂を、
死に行く身をたとふれば、 よその上と思ふかや、
あだしが原の道の霜、 まさしう御身と我が魂よ、
一足づゝに消えて行く、 なんなう二人の魂とや、
夢の夢こそあはれなり、 はや我々は死したる身か、
あれ数ふれば暁の、 オヽ常ならば結びとめ、
七つの時が六つ鳴りて、 繋ぎとめんと歎かまし、
残る一つが今生の、 今は最後を急ぐ身の、
鐘のひゞきの聞きをさめ、 魂のありかを一つに住まん、
寂滅為楽とひゞくなり。 道を迷ふな違ふなと、
・ 抱寄せ肌を寄せ、
・ かっぱと伏して、
・ 泣きゐたる、
二人の心ぞふびんなる。
< P S > R2.11.24 記
大阪の文楽劇場での公演時 購入するつもりの『曽根崎心中 床本(ゆかほん)』でしたが、見通せる状況にあらず、送料込み 300円で購入した書籍です。メルカリネーム『ともちん』さんに 感謝です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/bb/fe029395a397184ba1e4e38a25fb3d70.jpg)
< 追 伸 > R4.4.12 記
2大 名場面の 齣(こま)切れ画像、どうぞ ご鑑賞下さい。
● 2013.6.30 NHK-E『古典芸能への招待 文楽「心中天網島」』より
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/b2/7257f79891a2ccf246fc557c269d0416.jpg)
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● 平成7年 NHK-E『曽根崎心中 天神森の段』(お初:吉田蓑助さん、徳兵衛:吉田玉男さん)
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2020.2.7 NHK-E『にっぽんの芸能「蔵出し!名舞台」』より
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オイラは『何必館 京都現代美術館』さんの 梶川芳友(かじかわよしとも)館長さんの 美的感覚・至高な佇まい 趣・ご思考・ご嗜好 に強く惹かれています。毎月 注目して読んでる 産経新聞さん連載『何必拾遺』、R2.7.8 『「Art」は「美」の「術」でいいのか』は、特にココロに残りましたので、レイアウトを変更し 掲示させていただきます。
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当稿 〆 は、埼玉県ふじみ野市 酒見真弓さんの『どっしりと』という 産経新聞『朝の詩』。
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こんな心境でありたいもの。めっちゃ好い詩。オイラ、たいへん気に入ってます。
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