百休庵便り

市井の民にて畏れ多くも百休と称せし者ここにありて稀に浮びくる些細浮薄なる思ひ浅学非才不届千万支離滅裂顧みず吐露するもの也

近松門左衛門さんに最高の栄誉を授けたい !!! & 7月8日 産経新聞『何必拾遺』ほか

2020-08-08 12:42:22 | 日記
 大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』 という小説に、ケツを引っぱたかれまして、3冊の近松門左衛門さん本に目を通しました。

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最初から 
   ① 新潮古典文学アルバム 19『近松門左衛門』 
   ② 吉川弘文館 人物叢書『 同 上 』
   ③ 理論社 NHKにんげん日本史『 同 上 』
この中でオイラが特に、折に触れ 眺めたいと思うだろう事柄を、記録しとこうと思います。

まずは、③から
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  大阪歴史博物館さん所蔵 ↑ 円熟期の肖像      ↑ 鯖江市歴史資料館さんの銅像

本年12月、後期高齢者となるオイラの 最大の関心事と言えば、
              
     
                 ↑ ①より 最晩年の肖像と 辞世の文
やはり 死を間近にした ココロのウチ でして、そこのところを Up し 表示いたします。



代々 甲冑の家に生まれながら、武林を離れ、三槐九卿につかへ、咫尺し奉りて寸爵なく、市井に漂うて商買しらず、隠に似て隠にあらず、賢に似て賢ならず、ものしりに似て何もしらず、世のまがひもの、からの大和の教えある道々、妓能・雑芸・滑稽の類まで、しらぬこと無げに口にまかせ筆にはしらせ、一生を囀りちらし、今はの際にいふべくおもふべき真の一文字は、一字半言もなき倒惑、こゝろに心の恥をおほいて、七十(ななそじ)あまりの光陰、おもへばおぼつかなき我世経畢(わがよえおわんぬ)
 もし辞世はと問人あらば
それぞ辞世去ほどに扨てもそのゝちに
残る桜が花しにほはゞ
 享保九年中冬上旬
入寂名阿耨院穆矣日一具足(あのくいんぼくいにちいちぐそく)居士
    不̪俟終焉期豫自記(しゅうえんのきをまたずかねてみずからしるす) 春秋七十二歳
        のこれとはおもふもおろかうづみ火の
        けぬまあだなるくち木がきして

               === ↑ は ② より === ↓ は ③ より ===

代々 甲冑を見につけるべき家に生まれながら武士を捨て、高貴な公家に仕えたが、公家としての位は、なにひとつない。町の人びとのなかにまじって暮らしてきたが、商売は知らない。世を捨てた隠者のようでもあるが、ほんとうの隠者ではない。物知りのようでもあるが、なにも知らない。自分はまったくのまがい物である。昔からつたわるものの道理から、芸能お笑いのたぐいにいたるまで、知らないことのないような顔をして、口から出るままに、また、筆が走るままに、、一生、鳥のようにさえずりちらしてきた。いよいよ最後のときを迎えるにあたって、これだけはつたえておかねばならないというような、だいじなことは、これっぽっちも思い浮かばす、とまどってる次第だ。じつにはずかしい七十年あまりの歳月。考えてみれば、あやふやな一生をここに終わる

もし「辞世はなにか」と聞く人があれば、
わたしの作品が辞世である。それがのちのちの世まで伝わっていくならば

残ってほしいなどと思うのもおろかしいことかもしれない
自分の作品は灰にうずもれた小さな火が消え残る間の一瞬のもの
はかないくち木の垣根のようなものだから


 そして ② には、直木賞作品『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』 の主人公 近松半二さんの実父 穂積以貫さんのことについても、門左衛門さんの芸術観について論評した彼の著作『難波土産(なにわみやげ)』が、非常に優れた評論として、数ページにわたり紹介されています。

門左衛門さんが もしも この時代の方だとしますと、芸術文化の最高の栄誉を受けられてて当然、文化勲章も人間国宝も国民栄誉賞もすべて・・・否々、もっともっと大きな賞でなければ・・・” 日本文化歴代最高栄誉賞 "があるとすれば、妥当ではないかと思います。

最後に、主な作品が何歳のときに書かれたか、② の書籍から 転記しておきます。
 51 『曽根崎心中』   59 『冥途の飛脚』 63 『国性爺合戦』 69 『女殺油地獄』
 57 『五十年忌哥念仏』 63 『生玉心中』  68 『心中天網島』 


とは 申し候ばえども この 詞章 、見ずば ココロが 納まりませぬ故 ・ ・ ・

    

        ↑ 海竜社さん発行『文語名文百撰 日本語はこんなに美しい』より
        ↓ 文化出版局さん発行 水上勉さん著『いまもむかしも愛別ばなし』より

    此の世のなごり、夜もなごり、   二つ連飛ぶ人魂を、
    死に行く身をたとふれば、     よその上と思ふかや、
    あだしが原の道の霜、       まさしう御身と我が魂よ、     
    一足づゝに消えて行く、      なんなう二人の魂とや、
    夢の夢こそあはれなり、      はや我々は死したる身か、
    あれ数ふれば暁の、        オヽ常ならば結びとめ、 
    七つの時が六つ鳴りて、      繋ぎとめんと歎かまし、
    残る一つが今生の、        今は最後を急ぐ身の、
    鐘のひゞきの聞きをさめ、     魂のありかを一つに住まん、
    寂滅為楽とひゞくなり。      道を迷ふな違ふなと、
      ・              抱寄せ肌を寄せ、
      ・              かっぱと伏して、
      ・              泣きゐたる、   
                     二人の心ぞふびんなる。

 < P S > R2.11.24 記
 大阪の文楽劇場での公演時 購入するつもりの『曽根崎心中 床本(ゆかほん)』でしたが、見通せる状況にあらず、送料込み 300円で購入した書籍です。メルカリネーム『ともちん』さんに 感謝です。
     

 < 追 伸 > R4.4.12 記
 2大 名場面の 齣(こま)切れ画像、どうぞ ご鑑賞下さい。
● 2013.6.30 NHK-E『古典芸能への招待 文楽「心中天網島」』より
......
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● 平成7年 NHK-E『曽根崎心中 天神森の段』(お初:吉田蓑助さん、徳兵衛:吉田玉男さん)
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            2020.2.7 NHK-E『にっぽんの芸能「蔵出し!名舞台」』より
 
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 オイラは『何必館 京都現代美術館』さんの 梶川芳友(かじかわよしとも)館長さんの 美的感覚・至高な佇まい 趣・ご思考・ご嗜好 に強く惹かれています。毎月 注目して読んでる 産経新聞さん連載『何必拾遺』、R2.7.8 『「Art」は「美」の「術」でいいのか』は、特にココロに残りましたので、レイアウトを変更し 掲示させていただきます。

 

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 当稿 〆 は、埼玉県ふじみ野市 酒見真弓さんの『どっしりと』という 産経新聞『朝の詩』。



     こんな心境でありたいもの。めっちゃ好い詩。オイラ、たいへん気に入ってます。



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