宮下昌也の近況報告    MASAYA MIYASHITA 's News

美術家・宮下昌也の展覧会、ライブペインティングなどの活動情報と
南房総、鴨川の日々の生活から最新情報を掲載しています。

ライブペインティングwithジミー矢島&ちょっと観光

2010-08-31 | ライブペインティング
8月最後の週末は、八ヶ岳へ一泊2日のショートトリップ。
メインの用事はキャンピカ明野でのライブペインティングと夏の展覧会の搬出。


ライブペインティングは一年ぶりに森のギタリスト・ジミー矢島さんと。
今回のジミーさんの楽曲構成は、彼の様々な演奏活動の側面をかいま見ることが出来る3部構成。1部のテーマは森での子供達とのワークの音や自然音を取り入れた森note。2部は彼の音楽のバックボーンであるブルース。3部は近頃傾倒している縄文の世界に思いを馳せた楽曲。


そして、こんな絵になりました!
カズボーのブログで始まりからの流れが見れますので、こちらもご覧下さい。
http://www.campica.jp/akeno/blog/temp/archives/2010_9_1_865.html

個人的に一番楽しかったのはブルース演ってる時だったな。まさに本領発揮といった感じでした。紳士なジミーさんは、絵を崩さないように遠慮していたみたいでしたが、次回は是非、ガツンと来るブルースで!とお願いしました。


翌日はカズボー夫妻に誘われて、標高1,300mにある定食屋「自然屋」にお昼ご飯を食べに。ここの食材はマスターが早朝山で採って来たものばかり!


夏キノコと夏野菜の天ぷら。


イワナの塩焼き。


定食の付け合わせも山の幸。お味噌汁は山盛りのキノコ汁。他ではお目にかかれない食材ばかりで大満足でした!季節を変えてまた訪れてみたいお店です。


お腹いっぱいになったところで山を下り、前々から訪れてみたかった小淵沢の「キース・ヘリング美術館」へ。作品数はそれほど多くありませんでしたが、ワクワクする様な建築とキ-ス・ヘリングに対する愛を感じる展示の素晴らしい美術館でした。


キース・ヘリングの作品は1993年に新宿で開催された回顧展で初めて生で見た時、巨大なドローイング作品に感銘を受け、「あれは21世紀のラスコー壁画だ!」と友人に興奮気味に語って、あきれられた記憶があります。今回展示を見てやっぱり絵の具によるドローイング作品が一番ぐっと来ました。あれだけ簡略化された線にも関わらず、手描きの跡が伝えるものは何なんでしょうね。美術表現に於いて最も原始的なこの手法がやっぱり好きだなぁ.....、と改めて自覚した次第でした。

いつもは用事が済むとトンボ帰りの山梨行きですが、今回は少しゆっくり観光モードを味わえました。いつもこのくらいのゆとりが欲しいところです。まあ、仕事も趣味も一緒くたなんでしょうがないですけど......。

いつもいつもお世話になりっぱなしのカズボー夫妻に感謝です。ありがとうございました。

コヅカ・アートフェスティバル:フィナーレ!

2010-08-16 | コヅカ・アートフェスティバル2010
2週間にわたる1st コヅカ・アートフェスティバル2010、8月15日をもって終了いたしました。
予想以上に多くの方にご来場いただき、また地元の方のご支持もいただき、そしてアーティスト達のつきることの無い創造力によって、最終日まで毎日が新しい発見と学びの場となりました。今更こんなことを言うのは滑稽ですが、アートの持つ力はすごいです。人の持つ内発的な衝動の可能性、より良くなろうとあがくことの美しさ、イメージ、ヴィジョン、クリエイティビティ.......。それが集まり自然の懐に抱かれて織りなした、日々進化する夢の様な2週間でした。


みごとなフィナーレを飾ってくれたムビラトロン。

アートフェスが終わっても、この南房総発のオルタナティブアートの潮流は止まりません。参加者からはすでに次回に向けてのイメージが次々と提案されています。必ず来年もやります!

最後に、次回へ向けてこのアートフェスを続けて行くことの意義をもう一度明らかにするために、開催前に書いた主催者代表としての挨拶文を記載させていただきます。

ありがとうございました!感謝!!

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コヅカ・アートフェスティバルには、2つのコンセプトがあります。
ひとつは、会場となるアートガーデン・コヅカのテーマでもある「人と自然をアートでつなぐ」。もうひとつは、「自然・地域・ライフスタイルをオルタナティブ(もうひとつの)な視点で見つめる」です。このオルタナティブな視点から見つめるというところが理解できると、南房総に多くのアーティストが移住し、活躍している訳が理解できます。

ひと昔前は、都会の業界に売り込んで行くことが、アーティストとして成功への道とされていましたが、今は、それで本当に豊かになれるのか?と多くの人が疑問に思っています。それよりは、より良い環境の中で、家族や友人達と暮らしながら、自給的な発想で自己実現していくほうが幸せへの近道なのではないか?と彼らは気づき始めているのです。

このアートフェスには地元以外にも、関東一円から30名を超えるアーティストやミュージシャンが参加しています。すべてのアーティストには参加条件として下見のために会場に足を運んでもらい、なぜこのような過疎農村地区の荒れた里山を会場にアートフェスをやるのかを理解してもらっています。みんな柔軟な感性でこの中山間地の歴史や、コンセプトの意味を理解し、独自の表現を展開しています。すばらしいアーティスト達が集まってくれました。 屋外ステージ作りなどの会場整備も、参加アーティストやボランティアによって進められています。切り出した間伐材など山にある素材を使い、できるだけ持ち出さず、持ち込まず、自分たちの手で。山そのものが展覧会場なので、里山整備も兼ねています。荒れて鬱そうとしていた山がどんどん明るい健康な姿に生まれ変わっています。経済優先の考え方のため見捨てられた里山を、アーティスト達がよみがえらせている。まさに「人と自然をアートでつなぐ」が具現化されていっています。

そしてもうひとつ、このアートフェスの重要なファクターとしてオープンアトリエがあります。長狭地区の8つのアトリエが会期中来場者の受け入れをします。南房総のアーティストの作品は、ライフスタイルに深く根ざしています。作品を生活と切り離して美術館に飾るより、その作家の生活空間で味わうことで、その魅力がもっとも如実に伝わると思います。

日本はもともと、世界が目を見張るほど庶民の生活の中にアートが生きている国だった訳ですから、自分たちの生活にアートを取り戻すきっかけに、このオープンアトリエがなればと思っています。 こういった発想は、けして新しいものではなく、120年前にイギリスで起きた「アーツ&クラフツ運動」で、日本では「民芸運動」の中で、生活と芸術のあり方が追言されています。ただ、高度成長の荒波が、その発想をあたかもメルヘンのように形骸化してしまいました。高度成長が終わった今こそ、先人の理念が地方発信のアートとして具現化していくかもしれません。

古きものとの融合ということでは、このアートフェスの会期を地元の例大祭とリンクするよう設定しました。お祭りは僕らの生活に残っている、もっとも生きた伝統的アートですから。このフェスも一過性のものでなく、続いていくものにしたいと思っています。南房総にはたくさんのアーティストが暮らしているのですから、各々をゆるやかにつなげることによって、内外に向けてアートの有用性を伝える機会にしていきたいのです。クラフトマンの作る質の高い日用品で生活の中にうるおいを加え、野外展示で里山にもう一度人と自然がふれあえる場所を作っていく。ワークショップで子供たちに物作りの楽しさを伝え、ライブで心に豊かさを与える。海の幸、山の幸のオイシイ環境にある南房総にアートが根付けば、本当に豊かな21世紀型のライフスタイルが創っていけると思っています。

最後に、フライヤーのメインビジュアルになっているイラストについて。
このイラストは、「アートガーデンコヅカの未来予想図」として2009年に描きました。どのくらい未来かというと、50年後を想定しています。戦後50年かけて荒れていった里山が、人と自然とのバランスのとれた生態系に戻るには同じ年月がかかると思います。 アートな心=遊び心を持って、そのくらいゆっくりやっていこうというメッセージです。
(宮下昌也 美術家~画家・クラフト作家・絵本作家)




コヅカ・アートフェスティバル:野外展示(藁珈琲洞/chanky hand craft)

2010-08-15 | コヅカ・アートフェスティバル2010
アートフェスもついに最終日を迎えました。最後の一日、想い残すこと無く楽しみたいと思います。

野外展示ではいろいろなタイプの出展者が参加していますが、参加にあたって一人一人にこのフェスの主旨をじっくり伝え、理解してもらってから参加を受け入れています。その中には美術の枠を超える様な参加者もいます。


週末森の家のバルコニーに、こつ然と現れるコーヒー屋さん「藁珈琲洞」。このアートフェスのためにブレンドしたスペシャルコーヒーを入れてくれます。


手挽きです。彼にとっては珈琲が、いや出店というパフォーマンスがアートなのです。


流木工房H-Diの椅子に座って珈琲を楽しむお客様達。マスターの蘊蓄に耳を傾けながら、森の風を楽しんでいました。
すっきりとした味わい。我が家もハマっています。豆も購入させていただきました。


イベント最後の3日間だけ栃木から、おっきなプードルを連れて駆けつけてくれた「chanky hand craft」。ヘンプの帽子やバッグを作っています。カメラを向けたら逃げようとしているのは、この山のネイティブおばあちゃん。


森にとけ込む素敵なディスプレイ。


また買い物しちゃいそう.........。


コヅカ・アートフェスティバル:野外展示(今井俊/早川栄二)

2010-08-14 | コヅカ・アートフェスティバル2010
30代を中心とした若手作家の活躍が目立つアートフェスですが、その中でも南房総の長老格の二人の作家の作品を紹介します。


ステージに張られた6m×90cmの布に描かれた今井俊の「森の精霊」。俊さんは1972年に最後の移民船に乗ってアメリカに渡り、メキシコとロサンゼルスを行ったり来たりしながら創作を続け、その後1987年に南房総に移り住んだ、僕等の様なライフスタイルのまさにパイオニア!


俊さんの描く妖しい精霊達........。


絵の余白には、会場の泥を塗りたくってました。う~ん、ネイティブ!


俊さんは「アトリエくぬぎ」の名でオープンアトリエにも参加していました。残念ながら会期中のオープンの日はもう終わってしまいましたが、機会があったらセルフビルトの素敵なアトリエも、ぜひ訪れてみて下さい。


森の家の前で来場者を見下ろすドッシリとしたステンレス彫刻作品、早川栄二作の「孔雀」。
早川さんは若い頃ドイツで修行し、今は鋸南町に工房ゲルニカを設立。大型のステンレス彫刻から生活用品や建具まで、何でも金属で作ってしまう鉄の男。


確かな技術に裏打ちされたリアリズム。
保田漁港の「ばんや」にある彼の経営するお店「フィッシャーマンズテラス」も必見です。ぜひ、訪れて下さい。


宮下昌也と巡る悠久の旅