諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

キュウリ 胡瓜 の哀歌

2009-06-01 22:21:22 | 日記・エッセイ・コラム

  緑は、いよいよ深さを増してまいりました。躑躅が終わり、今、皐月が、花を、満開につけています。紫陽花は、赤紫の大輪です。シモツケ草は、泡立つ薄紅色です。風は、清涼な流れで、緑陰を吹き抜けます。この時期の夕まずめは、格別にいいものです。この植物たちが、演出してくれる季節感を、何よりも大切にして、生活しています。しかし、人間生活のアメニティー追求と技術開発の名のもとに、多くのモノから、その季節性を奪ってしまいました。

  季節性を奪われたモノのに 【キュウリ】 が上げられるでしょう。                 

キュウリは、北インド原産。平安時代には知られ、江戸では寛政年間には、野菜として広く促成栽培されおります。(牧野植物図鑑・参) キュウリは、食卓の上では、たしかに主役ではないでしょう。 私たちとは、古くからの付き合いです。だからと言って、何時も目の前にあると思うのは、人間の勝手です。▼ 【キュウリ】と言えば、夏です。夏の日差しです。夏の畑です。肥やしを含んだ土の匂いです。キュウリを取った時、指を刺す痛みの感触。チョット付いている土の汚れを拭いて、そのままかぶりついた時に、口の中に広がる渋さと、水気を含んだほのかな甘味。カリカリ頬ばった時の音です。青臭い匂いです。夏の五感です。

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  植えつけたのは、5月初めでした。2~3週間で花をつけ始めました。花を頭に付けた幼いキュリは、今では、15cmくらいまで成長しました。家人が、糠床を仕込みました。やがて、食卓へ、並ぶでしょう。夏の味覚です。

    詩も川も  臍も胡瓜も 曲がりけり   閒 石

  曲がっていても、キュウリです。(家人曰く、貴方もホゾが曲がってるますヨ。) スーパーの青果売り場のキュウリは、全部、真っ直ぐです。あれってオカシイデスよ! 栽培する時に、プラスティック製の筒を被せて、曲がらないようにしているかです。

  田園風景の中に、ビニール・ハウスが、目立ちます。その内の何棟かは、キュウリ栽培のものです。季節外に、石油を燃やして、温度・湿度管理して、生育をそくしているのです。季節が、まさに、石油によって作られ、演出されいるのです。【エコ】に反してます。【 自然を大切に 】だとしたら、季節以外のモノを望まないことです。キュウリの【時と場】・【自然な生き方】に、手を加えないことです。