本日は、今シーズン2回目のキノコ採り同窓会。前回の同行後、「もう1回行きたい。」という話になって、早々と期日は決まった。しかし、コースの選定については、紆余曲折があって、最終的に、一番手近なOに決まった。どこに行っても、それなりにはキノコが採れるはずなんだけど、ここのムキタケは、量も品質もピカイチだし、うまくいけばナメコの大収穫に当たるかもしれないからだ。
まず、A氏と待ち合わせをして、そこからT氏と合流し採り場に向かう。だけど、外は真っ暗。日の出時刻が、日に日に遅くなってきているためだ。
「昔のイワナ釣り、思い出すね。」
「ああ、あの頃は、真っ暗な沢を歩いた。」
「先行者いねがって心配しながら。」
この時期のキノコ採りには不要な心配です。だって、いまどきのキノコ採り人口は減少の一途。マイタケみたいな特別なキノコの時期を除けば、山は平穏そのものです。
そして、この冷え込み。先行者はおろか、スズメバチもマムシも冬休みに入っています。したがって、現在の山は、我々欲タガリグループの独壇場と言ってよいでしょう。
だけど、後々のことを考えると山遊びの時間は早い程よい。帰宅後の後始末や調理、そして、年寄りには休憩が必要なんです。そのため、山の中でキノコが見え始めるギリギリの時間帯を目標に行動を開始するんです。
これで完璧と言いたいところだけれど、もう一つ。必要なのは熊鈴です。これは、言わずと知れた熊よけ。熊もマタギも、お互いに避けたいのは、鉢合わせですね。そういうアクシデントを避けるためには必要なアイテムです。
こういう目的もあるけど、熊鈴は、それ以上に大切な役割を持っています。三人三様の鈴を身に付けて山中に分け入ることによって、お互いの位置と無事を確認することができるんです。お互いの安全確認と確保のために必携と言ってよいでしょう。
夜が明けてきました
森の中は真っ暗だけど、尾根筋は明るくなってきました。すると、キノコも見えてきます。
「おう。あれは採らねんねベや。」
「おお~!いいムキタケ!」
A氏とマタギは既にかなり収穫しているから、ここはT氏に採ってもらう。
夢中でムキタケの収穫に興じる
夜明けの光が森に差し込む
ナメコも出てますね
とにかく、この山域のキノコは立木に生えていることが多い。
これは、マタギの勝手な推測なのだけれど、ナラ枯れを起こした木は、基本的に立木の状態だ。枝先までの栄養補給路は絶たれるために枯れた状態だが、幹には養分が残っている。その弱った幹の栄養分をもらってキノコ達は成長する。これが、立木に生える理由。
それが何年か繰り返されていくうちに、幹の栄養分も枯渇し木は倒れる。この倒木からキノコが生えることはない。なぜなら、倒れる以前に栄養分を全てキノコ達に与えてしまっているのだから。やがて、倒木は、風化し土に還る。こんな営みが起こっているんじゃないかな。
これが良いとか悪いとか評価は出来ないけれど、マタギ達がこの営みに加わらせて貰うことも、そんなに悪いことではないと考えている。
ということで、本日も採らせていただきましょう!
これは根元近く
ちょっと上の方
遙か上 分かる?この軸の太さ
採れる物だけでもいただきます
これは、クマさんの痕
元気なブナだから、実を採りに登ったんですね
これは、当然貰いましょう
この木も根元の分だけ戴きます(上は無理)
あっちこっちの立木から熊鈴の音が響いてきます。そして、良い株に当たれば大声が響きわたります。鈴の音が集まっていきます。そして、山分け、または、誰かさんのお土産に。まるでお祭りです。当然、このお祭りにクマさんは仲間入りしません。
「いやあ、おもへっけやあ!」
T氏は満足げです。
「かかがら、「こげいっぺえ採ってきてなじょすんの。」って言われそうだ。」
「いいべえ。旨く料理して食わせてやれ。「また行ってこい。」って言わせろ。」
「んだな。旨い料理考えてみるさげ。」
いいキノコ採りになりました。豊かなキノコとの出会いと熊鈴のハーモニーで、お祭り気分を楽しませてもらえました。
渓も深いが懐も深い採り場です
「まだまだ出そうだ。12月まで出続けるね。」
「うん。凄い場所見つけたもんだ。」
「それじゃまた。」
T氏と別れ、A氏を見送り、満足のうちに帰宅する。
Oの山の神様、本日もありがとうございました。