入れ歯を作るにあたり(保険治療)、百歩譲ってもさし歯に使用できない根っこは、当たり前ですが、抜きます。抜いた後に数週間、(どうしても急いでくれとおっしゃられる場合は数日、特に前歯)傷口が治ってから、入れ歯の型をとります。しかし、患者さんによっては、痛い、怖い、先入観からどうしても根っこを抜きたくないとおっしゃられる方がいらっしゃいます。その場合、根っこを抜かないで型をとり、入れ歯を作ることがあります。入れ歯ですから、取り外しができます故、装着後に、その根っこが痛くなりだしたら抜けばよいだけです。(固定式のブリッジではそうはいきません。根っこが生き埋めの状態になりますからね)しかし、骨粗しょう症に罹られた場合、治療薬を服用されるわけですが、そのお薬を飲まれていますと歯を抜いた後に、歯の周りの骨(顎骨)が腐っていく症状が、決して少なくない頻度で認められております。ですから、すぐには歯を抜けません。内科のお医者さんと相談しどちらにプライオリティーがあるかを考えます。非常に難しい問題が生じてしまうのです。また、一部の抗がん剤を服用されていても、同様な症状がみられる場合があります。「根っこを抜きたくない」とおっしゃられる方は女性に多いです。また、骨粗しょう症も圧倒的に女性が多いですよね。「備えあれば憂いなし」、入れ歯を作る前には、根っこはきちんと抜かれることをお勧めいたします。実は自分への戒めでもあります。「根っこを抜きたくない」と頼まれると、ついつい、「では、入れ歯を装着された後に、痛くなったら抜きましょう」と応対してしまいますので。
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