この映画は、昭和37年(1962年)の作品。
「椿三十郎」の「椿」に関連して書いたブログは、ここを参照。
http://blog.goo.ne.jp/hirat55/d/20081130
映画の詳細は、ここを参照:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%BF%E4%B8%89%E5%8D%81%E9%83%8E
この映画の最後の椿三十郎(三船敏郎)と室戸半兵衛(仲代達矢)の決闘の場面の秒数、コマ数を解析:
①お互いが対峙し、袖から手を出してから、お互いが動き出すまで:21秒19コマ(30コマ/秒)
②お互いが動き出してから、仲代が刀を抜く動作まで:16コマ(30コマ/秒)
③仲代が刀を抜く動作から、三船が切り始めるまで:3コマ(30コマ/秒)
④三船が切り始めてから、仲代を切り抜くまで:11コマ(30コマ/秒)
⑤三船が仲代を切り抜くから、仲代の体から血飛沫(しぶき)がでるまで:7コマ(30コマ/秒)
⑥仲代から血飛沫(しぶき)が出始めから、武士の画面に変わるまで:1秒15コマ=1.5秒(30コマ/秒)
⑦武士3人づつ、3画面展開:3秒16コマ=3.5秒(30コマ/秒)
⑧仲代が立ったままの画面から、仲代が切られ、傾き始めるまで:1秒22コマ(30コマ/秒)
⑨仲代が切られ、傾き初めてから、倒れるまで:4秒24コマ(30コマ/秒)
⑩三船が深呼吸を3回する画面:7秒21コマ(30コマ/秒)
この当時は、コンピューター・グラフィックの処理がなかった時代、⑤の三船が切り抜いてから血飛沫(しぶき)がでるまでのタイムラグが、7コマ。(=0.2秒)
俳優の演技と、舞台技術との連携の素晴らしさが、読み取れる。
お互いのタイミングで、抜き合う約束のもと、仲代の刀を抜く動作から三船が反応した時間差が、③の3コマ(=0.1秒)
三船敏郎さんの機敏さも感じる。
お互いが刀を抜くタイミングは、二人の役者に任せていた。
また、二人には、夫々が刀を抜く技の練習のみさせ、本番まで、相手がどう切り込むのか知らなかったようである。
この画面のコマ展開や、秒数からも、よく計算し尽くしていると感じた。
切り合った後の9名の武士の画面は、3人づつ映す画面で、3画面。計9名の表情を描写。
⑦のとおり、その画面は、夫々が約1秒。
その僅か1画面1秒で、二人の凄かった闘いと驚愕した3人単位の武士の表情から状況を表現。
何れにしても、良いカット(画面、秒数、繋がり)の連続。
従って、「あっ」と言う間の最後の決闘のシーン。