「イタリアはボルジア家の圧政下にあった30年間、殺戮、テロ、戦争が横行した。しかし、ミケランジェロ、ダ・ヴィンチ等が活躍するルネッサンスを生み出した。一方、友愛精神のスイスは、その500年にわたる平和と民主主義で、いったい何を産んだのか? 鳩時計だよ」
映画『第三の男』(1949年制作、キャロル・リード監督)の中で、オーソン・ウェルズ演じるハリー・ライムが語る台詞です。グレアム・グリーンの脚本にはなかった台詞で、オーソン・ウェルズの提案によるものだそうですが、永世中立の非生産性を語っている言葉だと言われています。
その永世中立国のスイスで、家庭での銃の保持をめぐる国民投票が行われました。美しい自然と永世中立国という言葉から、銃などとは縁遠い国というイメージを持ちやすいのですが、実際には武装中立国であり、国民皆兵を国是としています。つまり、徴兵制がある。森の中にはトーチカが隠され、食糧備蓄も怠りなく、学校には避難用シェルターが造られ、各家庭に『民間防衛』という小冊子が配布されている。自らの身は自ら守る・・・
徴兵制度を廃止しようという提案が今までに三度、国民投票で否決されたスイス。今回の「家庭での銃保持を認めるな!」という提案も否決されました。詳しくは、13日の『ル・モンド』(電子版)が伝えています。
13日に行われた国民投票で、スイスは、左派と平和団体が提案した、軍人と予備役が軍役についているときを除いて家庭で銃を保持することを禁止する、という提案を反対53.6%で否決した。
スイス民主主義の特徴でもある国民による直接提案。今回の銃規制に関する提案についての国民投票は、伝統的価値観にこだわる農村部では、大差で否決された。州別の賛否でも、提案が可決されたのは全26州のうち、ジュネーブ(Genève)、ジュラ(le Jura、中心都市はDelémont)、ヴォー(Vaud、中心都市はLausanne)、ヌーシャテル(Neuchâtel)、チューリッヒ(Zurich)、バル・ヴィル(Bâle-ville、ドイツ語表記ではBasel)というフランス語圏4州を中心とした6州のみだった。
提案の中心になったのは、スイス社会党と武器のないスイスをめざすグループで、今後、すべての銃は武器庫で保管し、銃の登録センターを連邦政府に設けることを要求した。提案自体は否決されたものの、銃をめぐる問題が国民の関心を呼んだことを社会党は評価している。
一方、右派政党“UDC”(l’Union démocratique du centre:中道民主連合:保守主義・リベラル派)は、次のように投票結果を喜んで受け止めている。今回の否決は、スイス国民が中立と民兵の銃保持を認めたことを意味し、個人の責任、自由といったスイスの価値観が、武器への恐怖感に基づく単純化された議論に勝ったことを示している。
銃保持をめぐる国民投票は、スイス国民の間に大きな論争を引き起こした。反対派にとっては、今回の提案は1874年以来のスイスの伝統に異を唱えるものだ。なぜなら、銃を家庭の引出しにしまっておくことは、スイス国防の根幹をなすものだからだ。スイスの軍人は20万人を数えるが、数千の予備役をすぐ招集できることによって補強されている。しかも、法律によって、18歳以上のすべてのスイス人が、若干の条件付きだが、銃を保持することを認められている。
国防省によると200万丁ほどの銃がスイス国内にあるが、これは3人強に1丁の割合であり、しかも24万丁は登録されていない・・・
ということなのですが・・・銃大国、スイス。あの素晴らしい自然の中に、200万丁の銃。14日の時事通信の記事によると、人口100人当たりの銃保有者の割合は46人で、アメリカ(89人)、イエメン(55人)に次ぐ第3位の銃大国になっている、というデータもあるそうです。
500年におよぶ平和が作り出したのは鳩時計だけかもしれない。しかし、その平和を守るためには、武器と国民皆兵をはじめさまざまな対策が講じられてきたわけです。平和は誰も与えてくれはしない。自らが獲得するべきもの。自ら守りぬくべきもの。スイスはそう語っているようです。
さて、日本の平和はいかに守るべきなのでしょうか・・・
映画『第三の男』(1949年制作、キャロル・リード監督)の中で、オーソン・ウェルズ演じるハリー・ライムが語る台詞です。グレアム・グリーンの脚本にはなかった台詞で、オーソン・ウェルズの提案によるものだそうですが、永世中立の非生産性を語っている言葉だと言われています。
その永世中立国のスイスで、家庭での銃の保持をめぐる国民投票が行われました。美しい自然と永世中立国という言葉から、銃などとは縁遠い国というイメージを持ちやすいのですが、実際には武装中立国であり、国民皆兵を国是としています。つまり、徴兵制がある。森の中にはトーチカが隠され、食糧備蓄も怠りなく、学校には避難用シェルターが造られ、各家庭に『民間防衛』という小冊子が配布されている。自らの身は自ら守る・・・
徴兵制度を廃止しようという提案が今までに三度、国民投票で否決されたスイス。今回の「家庭での銃保持を認めるな!」という提案も否決されました。詳しくは、13日の『ル・モンド』(電子版)が伝えています。
13日に行われた国民投票で、スイスは、左派と平和団体が提案した、軍人と予備役が軍役についているときを除いて家庭で銃を保持することを禁止する、という提案を反対53.6%で否決した。
スイス民主主義の特徴でもある国民による直接提案。今回の銃規制に関する提案についての国民投票は、伝統的価値観にこだわる農村部では、大差で否決された。州別の賛否でも、提案が可決されたのは全26州のうち、ジュネーブ(Genève)、ジュラ(le Jura、中心都市はDelémont)、ヴォー(Vaud、中心都市はLausanne)、ヌーシャテル(Neuchâtel)、チューリッヒ(Zurich)、バル・ヴィル(Bâle-ville、ドイツ語表記ではBasel)というフランス語圏4州を中心とした6州のみだった。
提案の中心になったのは、スイス社会党と武器のないスイスをめざすグループで、今後、すべての銃は武器庫で保管し、銃の登録センターを連邦政府に設けることを要求した。提案自体は否決されたものの、銃をめぐる問題が国民の関心を呼んだことを社会党は評価している。
一方、右派政党“UDC”(l’Union démocratique du centre:中道民主連合:保守主義・リベラル派)は、次のように投票結果を喜んで受け止めている。今回の否決は、スイス国民が中立と民兵の銃保持を認めたことを意味し、個人の責任、自由といったスイスの価値観が、武器への恐怖感に基づく単純化された議論に勝ったことを示している。
銃保持をめぐる国民投票は、スイス国民の間に大きな論争を引き起こした。反対派にとっては、今回の提案は1874年以来のスイスの伝統に異を唱えるものだ。なぜなら、銃を家庭の引出しにしまっておくことは、スイス国防の根幹をなすものだからだ。スイスの軍人は20万人を数えるが、数千の予備役をすぐ招集できることによって補強されている。しかも、法律によって、18歳以上のすべてのスイス人が、若干の条件付きだが、銃を保持することを認められている。
国防省によると200万丁ほどの銃がスイス国内にあるが、これは3人強に1丁の割合であり、しかも24万丁は登録されていない・・・
ということなのですが・・・銃大国、スイス。あの素晴らしい自然の中に、200万丁の銃。14日の時事通信の記事によると、人口100人当たりの銃保有者の割合は46人で、アメリカ(89人)、イエメン(55人)に次ぐ第3位の銃大国になっている、というデータもあるそうです。
500年におよぶ平和が作り出したのは鳩時計だけかもしれない。しかし、その平和を守るためには、武器と国民皆兵をはじめさまざまな対策が講じられてきたわけです。平和は誰も与えてくれはしない。自らが獲得するべきもの。自ら守りぬくべきもの。スイスはそう語っているようです。
さて、日本の平和はいかに守るべきなのでしょうか・・・