ときどき話題になる、フランスの不動産価格。フランス人に限らず、投資先としてフランスの不動産を選んでいる外国人も多いようで、その中には日本の個人投資家もそれなりにいるようです。数年前からは、特に中近東からの投資が急増。それ以前はロンドンへ流れていたオイル・マネーが、パリを中心としたフランスの不動産価格の割安感から、一気に流れ込んできました。そして、その後を追うように、中国からの投資が。
では、昨年、大きく上昇したフランスの不動産価格。今年はどうなのでしょう。2010年の流れを引き継ぐのか、それとも一服感が漂うのか。2月2日の『ル・フィガロ』(電子版)によると・・・
パリおよび地方中核都市の中心街にある既存の居住物件は、引き続き価格上昇を続けるが、その伸び率は2010年ほどではない。それでも前年比、二桁の伸びにはなるだろう。“Un début d’année 2011 dynamique mais après ?”(2011年初頭にはダイナミックな動きがあるが、その後は?)というタイトルの付いたフランス公証人協会の不動産景気判断が、このような予想をしている。
パリ市内およびリヨン、ナント、ボルドー、モンペリエといった活気ある都市の歴史的建造物の多い地域では、10%以上の価格上昇になるだろう。パリ首都圏、パリ大都市圏でも価格は上昇を続けるだろうが、しかし年間では一桁の上昇に収まりそうだ。
上記以外の地域では、昨年よりも低い上昇率で、3~5%の上昇になりそうだ。全国不動産協会(la Fédération nationale de l’immobilier)によると、全国の中古物件の価格上昇は、平均して3~6%ほどが見込まれている。因みに、2010年には全国平均が1.5%だったが、パリでは15.7%という記録的上昇を記録した。
昨年の取引物件数は、2009年の59万戸から80万戸に急増。不動産への投資は、金融市場での投資よりも安全だと見做されていることが原因だろうと、公証人たちは述べている。
しかし、今年2011年の中古物件の取引戸数は前年を下回りそうだ。それには、政府の財政改革が影響を及ぼしている。税務改革の一環として、サルコジ大統領は1月中旬、現在のところ非課税となっている主な住居用中古物件の売買益部分への課税(l’idée de taxer les plus-values réalisées lors de la vente d’une résidenace principale, jusqu’ice défiscaliéees)を提起した。こうした改革の影響で、しばらく売るタイミングを見極めようとする物件保有者が多くなるからだ。その結果、短期的には市場へ供給される物件が減少し、価格押し上げの要因となるだろう。
今年の第一4半期には、不動産価格は前年の流れを受けて上昇を続けるだろうと予想されている。契約書などに基づく昨年末の予測によると、パリのアパルトマンの平均価格は、今年第一4半期に1㎡あたり8,000ユーロ(約90万円)を超えるだろうとのことだ。地方都市でも上昇を続け、市街地全体の平均でボルドーやレンヌでは15%、ナントとリヨンでは5~10%。一方、リールやトゥールーズでは0~5%の上昇と、比較的安定した推移となるだろう。
・・ということなのですが、株式市場へ流れていた投資マネーが、安全性を求めて不動産市場へ流れ込んだ結果、不動産価格が上昇している。その投資で儲かる人は良いのですが、投資としてではなく、自分の住居用として不動産を探している人にとっては、いい迷惑ですね。France2だったかTF1だったか、先日のニュース番組でも、劣悪な住居に住まわざるを得ない人々が非常に多くなっていると報道されていました。住居物件の価格が上昇すれば、賃貸価格も上昇する。その結果、住めるのは、狭く、古い住居、あるいは住居とはもはや言えないようなスペース。そうしたところに暮らしている人たちも多い。あるいは、手頃な物件が都心から遠ざかり、結果として長距離通勤を余儀なくされる人たちも多い。その一方で、マネーゲームの一環として不動産の売り買いをしている人たちがいる。
しかも、最近よく指摘されるように、アメリカの金融緩和策により、余った資金がコモディティ市場や不動産市場に流れ込み、価格を上昇させている。FRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は強い口調で、こうした指摘を否定していましたが、実際はどうなのでしょう。資源や農産物を中心に、さまざまな「モノ」の価格が上昇しているのは事実です。コーヒーももうすぐ値上げされますね。私たちの台所を直撃するのも時間の問題。
その波が不動産にも。チャイナ・マネーやインディアン・マネーの流入も相俟って、不動産価格も上昇。日本も例外ではなくなるかもしれないですね。しかし、上がったものは下落する。中国の不動産バブルがはじけるという不安も指摘されています。マネーゲームで、私たちのささやかな夢、マイホームを絵に描いた餅で終わらせないでほしいものです。
現実の人生と、デジタル化された数字の世界・・・どう調和を図っていくのか。大きな課題ですね。
では、昨年、大きく上昇したフランスの不動産価格。今年はどうなのでしょう。2010年の流れを引き継ぐのか、それとも一服感が漂うのか。2月2日の『ル・フィガロ』(電子版)によると・・・
パリおよび地方中核都市の中心街にある既存の居住物件は、引き続き価格上昇を続けるが、その伸び率は2010年ほどではない。それでも前年比、二桁の伸びにはなるだろう。“Un début d’année 2011 dynamique mais après ?”(2011年初頭にはダイナミックな動きがあるが、その後は?)というタイトルの付いたフランス公証人協会の不動産景気判断が、このような予想をしている。
パリ市内およびリヨン、ナント、ボルドー、モンペリエといった活気ある都市の歴史的建造物の多い地域では、10%以上の価格上昇になるだろう。パリ首都圏、パリ大都市圏でも価格は上昇を続けるだろうが、しかし年間では一桁の上昇に収まりそうだ。
上記以外の地域では、昨年よりも低い上昇率で、3~5%の上昇になりそうだ。全国不動産協会(la Fédération nationale de l’immobilier)によると、全国の中古物件の価格上昇は、平均して3~6%ほどが見込まれている。因みに、2010年には全国平均が1.5%だったが、パリでは15.7%という記録的上昇を記録した。
昨年の取引物件数は、2009年の59万戸から80万戸に急増。不動産への投資は、金融市場での投資よりも安全だと見做されていることが原因だろうと、公証人たちは述べている。
しかし、今年2011年の中古物件の取引戸数は前年を下回りそうだ。それには、政府の財政改革が影響を及ぼしている。税務改革の一環として、サルコジ大統領は1月中旬、現在のところ非課税となっている主な住居用中古物件の売買益部分への課税(l’idée de taxer les plus-values réalisées lors de la vente d’une résidenace principale, jusqu’ice défiscaliéees)を提起した。こうした改革の影響で、しばらく売るタイミングを見極めようとする物件保有者が多くなるからだ。その結果、短期的には市場へ供給される物件が減少し、価格押し上げの要因となるだろう。
今年の第一4半期には、不動産価格は前年の流れを受けて上昇を続けるだろうと予想されている。契約書などに基づく昨年末の予測によると、パリのアパルトマンの平均価格は、今年第一4半期に1㎡あたり8,000ユーロ(約90万円)を超えるだろうとのことだ。地方都市でも上昇を続け、市街地全体の平均でボルドーやレンヌでは15%、ナントとリヨンでは5~10%。一方、リールやトゥールーズでは0~5%の上昇と、比較的安定した推移となるだろう。
・・ということなのですが、株式市場へ流れていた投資マネーが、安全性を求めて不動産市場へ流れ込んだ結果、不動産価格が上昇している。その投資で儲かる人は良いのですが、投資としてではなく、自分の住居用として不動産を探している人にとっては、いい迷惑ですね。France2だったかTF1だったか、先日のニュース番組でも、劣悪な住居に住まわざるを得ない人々が非常に多くなっていると報道されていました。住居物件の価格が上昇すれば、賃貸価格も上昇する。その結果、住めるのは、狭く、古い住居、あるいは住居とはもはや言えないようなスペース。そうしたところに暮らしている人たちも多い。あるいは、手頃な物件が都心から遠ざかり、結果として長距離通勤を余儀なくされる人たちも多い。その一方で、マネーゲームの一環として不動産の売り買いをしている人たちがいる。
しかも、最近よく指摘されるように、アメリカの金融緩和策により、余った資金がコモディティ市場や不動産市場に流れ込み、価格を上昇させている。FRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は強い口調で、こうした指摘を否定していましたが、実際はどうなのでしょう。資源や農産物を中心に、さまざまな「モノ」の価格が上昇しているのは事実です。コーヒーももうすぐ値上げされますね。私たちの台所を直撃するのも時間の問題。
その波が不動産にも。チャイナ・マネーやインディアン・マネーの流入も相俟って、不動産価格も上昇。日本も例外ではなくなるかもしれないですね。しかし、上がったものは下落する。中国の不動産バブルがはじけるという不安も指摘されています。マネーゲームで、私たちのささやかな夢、マイホームを絵に描いた餅で終わらせないでほしいものです。
現実の人生と、デジタル化された数字の世界・・・どう調和を図っていくのか。大きな課題ですね。